「教育学的人間学とは何(だったの)か」という問いに答えた論稿。教育の営為を人間の生という支持基盤のうちに投げ戻し、その身分を見定めようとする点で、教育学的人間学が教育を人間製作の技術的処置へと狭隘化する近代性とは対極をなすものであり、視野狭窄の打破を指向している。
有明海には、日本最大の干満差と日本の干潟の40%にあたる広大な面積の干潟がある。そこは、きわめて高い生物生産力をもつとともに、日本の他の海域では見られない特産生物の宝庫でもある。しかし、その価値はまだまだ社会に知られていない。泥の干潟やそれに続く浅い海、あるいは潮汐の影響を受ける河川下流部がどれほど豊かで大切な場所なのか、そしてその保全がいかにさしせまった課題なのか。この一見地味な世界に光を当てるために、様々な分野の21人の研究者が結集した。本書は、日本最大の干潟・河口域を有する有明海の生物相に焦点を当てたものである。
我々は、如何に生き延びるべきか…社会主義制度崩壊の後、苦悩する日・米・欧先進資本主義諸国、その動態を世界史的視野から比較分析、各国の選択の行方を探る。現代最高レベルの政治経済学者による、先端的総合研究。
日本経済のサービス生産部門は60%を超した。加熱するサービス化。経済の融合化を背景に産業の境界領域が噴出した。なぜ隙間産業は時代の先端を走る問題解決集団に変貌できたのか。人材派遣からリース、知的情報に安全の提供へとアイデアのシステム化をはかるビジネスの冒険者たち。多様性に挑んだ組織に日本的なサービス業の実体を解析する。そこにニュービジネスの誕生と進化のメカニズムがあった。
まちでの暮らし、アフリカ人の名前、リンガラポップス、マラゴリ人の視点、思春期、アフリカの文明、遊牧社会、水田と稲作といったテーマから、動物の話題ーゴリラと人との共存・病原体の生態、アフリカの目、バッタの大発生と移動といったテーマ、そしてアフリカの政情の話題ーアパルトヘイト、青年海外協力隊の活動などをとりあげ、さらには三十六億年間の地球の歴史を秘めているアフリカ大陸の地質と鉱物資源の話にまで及ぶ。
温暖化で何が起こるのか。プランクトン、昆虫から人間まで気鋭の研究者たちが、フィールドの最前線から報告する。
本書では、複雑で巧妙な生命体構築の基本原理としての遺伝子産物の“非対称性”および“多様性”の獲得機構と、それをささえる“品質保証”の機構に焦点をあてる。これらの研究の最前線を、国際的な研究を展開している、おもに若手の研究者が解説。
(「蛋白質 核酸 酵素」臨時増刊を単行本に改装発行)
I.RNAプログラムの重要性
II.スプライシング制御
III.RNAのプロセシングと編集
IV.核と細胞質の連携
V.RNAの局在化と翻訳制御
VI.RNAの安定性と翻訳制御
VII.疾患とRNA
赤信号が灯る地球生命の未来。150万種の生きものの絶妙な暮らし方から見えてくる、「緑の地球」「生命の星」のナチュラル・ヒストリー。今、多様な種のそれぞれの生が滅失の危機に瀕している。
高度情報社会が来るという。ソフトノミックスだともいう。けれども、そのわりには情報の本来性や文化の性格があまり議論されてこなかった。本書は、情報を生物にたずねその本来の意味を問い、また文化の中の情報を渉猟して、広範な問題提起をする。ネットワークとシミュレーションの時代の初本格的入門書である。
生命の共同体としての地球を取り戻すために、来たるべき社会・文化・民主主義像を提言する。シヴァの壮大な構想の全貌を示すマニフェスト。シヴァ思想の集大成にして入門書。
私たちにとってアジア・アフリカ・ラテンアメリカとは何か。若い世代に送る論争的文化論。
本書は、演劇・音楽・舞踊を介してワークショップを実施されている3名の鼎談をまとめ、また普段の活動を紹介したものである。
言語の科学は今まさに飛躍的に進歩しようとしている。かつて、化学物質の多様性は頭を悩ます問題であったが、化学者は、元素の周期表によって、多様性のなかに秩序と予測可能性を見出すことができるようになった。それとおなじように、新しい言語理論は、言語の多様性がすべての少数のパラメータで説明できることを示してくれる。パラメータを使えば、地球上に出現可能なすべての言語をつくるレシピが書けるはずだ。
井上民二はボルネオの熱帯雨林に大がかりな林冠研究システムをたちあげ、陸上の最後の秘境“地上40mの林冠”に暮らす多様な生物の相利共生関係の解明に、若手研究者とともに挑んでいた。しかし1997年9月6日、研究フィールドへむかう小型飛行機の墜落事故のため急逝。享年49歳。日本を代表する独創的生態学者の夢と情熱の軌跡をたどる。