偉大なる国力を背景にして、その重厚な性能を太平洋の空にいかんなく発揮した傑作機ヘルキャット。一九三〇年代から手がけられた艦上戦闘機の頂点に達したF6Fの誕生までのグラマン社開発者の苦難の道のりを描いた話題の技術戦記。日本機群を壊滅させた“実力の名機”の全貌を写真・図版を駆使して詳解する。
おそばがだいすきなてんぐがいました。おそばがすきですきで、てんぐはそのうち自分でそばを打つようになりました。「そばうちてんぐ」とよばれ、はじめは山神さまや山のなかまにごちそうしていましたが、それではものたりません。てんぐはすこし「じまんや」でもあったのです。もっとたくさんの人に自分の打ったおいしいそばを食べてもらいたくて、とうとうなみ木通りでそばやをはじめることになりました。ひとりで読むなら3年生から。
「あの年の夏祭りの夜、浜から来た少女カムロミと恋に落ちたわたしは、1年後の再会というあまりにも儚い約束を交わしました。なぜなら浜の1年は、こちらの100年にあたるのですから」-場所によって時間の進行が異なる世界で哀しくも奇妙な恋を描いた表題作、円筒形世界を旅する少年の成長物語「時計の中のレンズ」など、冷徹な論理と奔放な想像力が生み出した驚愕の異世界七景。SF短篇の名手による珠玉の傑作集。
なつがきて、うさこはおおはりきり。うみにいこうとともだちをさそいますが、「うみぼうずがでるからいや!」みんなにことわられてしまいます。そのようすをかげでみていたおばけは…。
遠州引佐の遺跡・天白磐座でタレント牧山未来が殺害された。容疑者は第一発見者の小田切諒輔。しかし、東海道の脇往還「姫街道」に因んだイベントの主役に被害者が内定していたことから、選考に絡む怨恨、そして所属事務所との確執などが浮上。事件は別の様相を見せ始めた。インターネットで諒輔と知り合った沢上静香から捜査を依頼された宮之原警部の推理は。
空爆下、敵に姿をさらして、飛行機との戦いに命を懸けた陸軍防空部隊の死闘を描く。
うさぎくんが椅子を作りました。そして、「どうぞのいす」の看板をそばに立てました。ある日、ろばさんが椅子にドングリを置いておくと…。動物たちが、いすの上に置いてあるものを「どうぞならばいただこう」と食べてしまい、全部食べてしまっては悪いというので持ってきたものを置いていくという、「思いやり」が心を和ませてくれる絵本。
あたしは主人公にはなれないー。関根夏はそう思っていた。だが半年前の卒業式、夏はテニス部の先輩・志田から、秘密の使命を授かった。高校で代々語り継がれる“サヨコ”伝説に関わる使命を…。少女の一瞬のときめきを描く『六番目の小夜子』の番外篇(表題作)、『夜のピクニック』の前日譚「ピクニックの準備」など全10話。恩田ワールドの魅力を凝縮したあまりにも贅沢な短篇玉手箱。
2005年1月9日TBS系で放送された、宮藤官九郎脚本のTVスペシャル・ドラマ。少年時代より笑わないヤクザ・虎児は、落語家の取り立てをきっかけに笑いに目覚め、竜二と出会い、さらにトラブルに巻き込まれてゆく……。
「チンギス汗の覇道に終わりはない」-一一六二年秋、モンゴル高原で一人の男子が生を享けた。右手に血凝りを握り、“眼に火あり、顔に光あり”と言われる吉相を持っていた。後のチンギス汗である。十三歳で父を敵に殺された彼は、家族を守るために孤独な闘いをはじめる。幾多の苦難を乗り越え、遂にモンゴルを統一した彼の目に映ったものとは…。チンギス汗の壮大な夢と不屈の魂を格調高く謳い上げる、著者渾身の一大叙事詩。
「闘う者たちの崇高な魂がここにある」-世界制覇を夢み、ひたすら突き進んだチンギス汗は、一二二七年、六十六歳でこの世を去る。彼の遺志を継いだ蒼き狼たち。五代目フビライが目指したのは、海の彼方日本であった…。「地の果て、海尽きるところまで」を求めた男たちの苛烈な生き様を、夢破れ戦場に散った者たちへの鎮魂を込めて描き切った、森村歴史小説の最高峰、遂に文庫化。