椎名へきる5枚目のオリジナル・アルバム。この頃からの歌手活動へのシフトを表明するかのように、ギターをメインとしたロック・コンセプトな内容へと変貌しつつある。ガール・ポップというよりも、彼女本来の嗜好が現れてきたというべきパワフルな一枚。
ドラムが抜けて2人になってしまったナーヴ・カッツェですが、こちらの心配をよそに1曲目から、ぶっ飛ばす。私は飯村さんの豪快なギターが聴けてうれしい。ひと皮むけて極太になった感じだ。楠均(くじら)や朝倉弘一、寺谷誠一らのサポートも光る。
ポップネスを具えた多彩なオルタナティヴ・ヘヴィ・ロック表現を開拓してきた10年選手が2年ぶりに放つフルレンス作品。脱力浮遊系の歌と重く硬いギターの対比で描くプラトゥリ節は健在だが、今回はそのメリハリのなかから人間くささの側面がいっそう強く浮かび上がっている。