日露戦争がはじまった明治37年の秋は、稲づくりもうまくいき、一家の生活は、ようやく安定するかにみえた。だが、ある晩豊太郎に召集令状が届く。北海道開拓のルーツを探る大河小説、第3巻。産経児童出版文化賞大賞、日本児童文学者協会賞、路傍の石文学賞受賞。中学以上向。
戦前から戦後にかけて、劣悪な環境に置かれていた故 郷愛媛の精神障碍者の治療・救済に一生を捧げた医師・渡部欣一郎。 九州・久留米の医学校時代は柔道部の主将を務め、 その風貌と口癖から「おいどん先生」と呼ばれた。現在、愛媛県内に精神医療の中核病院のほか、 研究所、福祉施設、看護学校等を運営する公益財団法人正光会を創設した精神科医の波乱の生涯を描く。
旧満州に設立された満州建国大学。「五族協和」を掲げ、五つの民族の若者達がともに青春を過ごした。満州国崩壊後、卒業生はどのような戦後を送ったのか。その実態に迫るドキュメント。(解説/梯久美子)
同級生が都会へと去っていく中、地元・浜虹町に残った倫太郎。毎日がなんとなく過ぎ去る日々の中、彼は初恋の人、聖音のことをずっと忘れられずにいた。そんなある日、運命の再会は突然やってきた。13年めにして突然虹浜町に現れた聖音。しかし彼女は・・・。名家の令嬢で優等生、みんなの憧れの的だった聖音。彼女は何を胸に秘め、虹浜に戻ったのか・・・!?
同級生が都会へ去っていく中、地元・虹浜町に残った倫太郎。なんとなく過ぎ行く毎日。初恋の人、名家の令嬢で優等生の聖音のことを忘れられずにいた。そんなある日、突然虹浜町に現れた聖音。彼女は何を胸に秘めて虹浜に戻ったのか?
祈りの心は果てしなく言葉から遠ざかってゆくのだろうか。--「現代社会の言葉が、自分の知っている言葉とはちがう」という不安と、「それでも」という決意に揺れながら。二〇二〇年の終わりから二〇二四年の初めまでの四六八首を収めた第十六歌集。
【歌集より】
猛暑日は浮き世ばなれをしてゐたい豆腐のいろのワンピース着て
止まりてはまた止まりては窓をゆくもうAIかもしれない蜘蛛が
反戦ははるかなる虹見えながら指さしながらだれも触れず
ベビーカーはさくらの下に いくたびも生まれかはりてみどりごねむる
古猫のひとり遊びのあさあけのこんなやさしい日をありがたう
アプリと穴
フロックコート
豆乳鍋
はんかち落とし
合鍵
ニボラー
スプーンにすくふスープ
月組さんの動画
象の移動
オンライン会議
化学式
きつねうどん
真冬のシンフォニー
雨
虎
よみがへり日和
蜆
どんな声で
ベビーカーはさくらの下に
はるかなる虹
真夏のひかり
無想界
死後はじめての
二枚の地図
なにも還らず
夜空
焼肉
わからなくなる
心臓
猿ヶ京
井の頭線
濡れようか泳がうか
いま風の向きが変はつて
酢の殺しかた
星空のワンピース
死のほかに
こころしらたま
奇天烈の神がみ
だれかの子
概算
クリスマスのくじ引き
あとがき
幼い頃に生き別れた双子の妹が、河童と共に現れた!! しかも龍に変身するなんてーー!? 愛すべき妖たちのアクション・ヒーロー・コメディ、コミックス未収録エピソードを網羅した特厚完全版!
新しい高齢者用住宅の準備計画“R・P”の中心人物として活気ある毎日を送る爽香。しかし、兄・充夫の借金癖には悩まされ続けていた。一方、河村の愛人・志乃の隣室に引っ越してきた“佐藤”という男は、一見善良そうだが!?また、爽香の秘書・麻生が車で怪我させてしまった少女が突然映画デビューして!?事件に仕事に息つく間もない爽香が大活躍の大好評シリーズ第17弾。
N.Y.テロの犠牲者に日本の子供たちははげましの絵を送った。そのほとんどは虹だったー子供の絵、虹を描く心理、科学、伝説、虹体験、さまざまな角度から追った「虹の本」。
「あれ、エミリー!」光湖(みつこ)には、いっしゅん、虹をわたってくるエミリーの姿が見えました。いいえ、それはエミリーによくにた青い目の人形たちでした。いくつも、いくつも、数えきれないほどの青い目の人形たちが、笑顔でおどりながら光の橋をこえてきます。
暗黒のポル・ポト時代を生きぬき日本にたどりついた少女は、30年の時を経て、ふたたび、あの「虐殺の丘」へ向かう。現地に暮らす「加害者」と、幾万の犠牲者を弔うためにー世界に希望の灯をともす、奇跡のノンフィクション。
3Bをあげての理解と応援のなかで、政則と直はその重すぎる問題に立ち向かう勇気を得た。だが、学校長と正面から対立した金八先生は、ついに桜中学を去ることになる…。
小6のユウタは一人、亡くなった父との思い出の地である山奥のダムを訪れていた。ところが突然の雷雨に襲われ、足を滑らせ気を失ってしまう。やがて目覚めたユウタの目の前には、ダムに沈んだはずの村が…。タイムスリップした1970年代の村で、ユウタは同い年の少年ケンゾーと、妹のような女の子・さえ子と出会う。失われゆく日本の原風景とともに、少年の最後で最高の夏休みがはじまった!誰の心にもある永遠の夏休みを描いた、懐かしくも切ない感動ファンタジー、上巻。
被害者の過酷な現実を知り
二度嘆き、三度怒りに震える。
2021年、くり返される緊急事態宣言ーー。
全国に拡大する感染症との対時も余儀なくされた
交通事故被害者たちに寄り添った、取材ルポ。
コロナ禍で埋もれた事実に、
強く、真っ直ぐ、光を当てる。
【待望の書籍化】
Yahoo! ニュースエキスパートで配信された
著者の注目記事を1冊にまとめました!
《本文より》
◆「交通禍」
国は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な流行)をくいとめるため、さまざまな対策を講じながら懸命に取り組んできた。しかし、その一方で、これまで多くの人の命と健康を奪い、その家族の人生を狂わせてきた「交通禍」への対策はどうだっただろうか。
今日も、全国各地で交通事故が発生し、人が亡くなり、重い障害が残るような重傷を負う人たちが新たに生まれている。
2021年、新型コロナウイルスの感染者数や死者数が毎日更新され、緊急事態宣言が発出されるたびに、私は交通事故被害者とその家族が置き去りにされているような気がしてならなかった。
【序章より抜粋】
◆時効のアンバランス
「私たちは息子が被害に遭うまで、ひき逃げに7年という時効があることなどまったく知りませんでした。どうしてひき逃げの時効が、過失で事故を起こした行為より時効が3年も早く来てしまうのでしょうか。実際に遺族の立場になってはじめて、日本の法律はおかしいことに気づかされたんです」
平野さんの話を聞きながら、はっとした。
ひき逃げ死亡事件が発生した場合、加害者には「事故を起こしたこと」「被害者を救護せずに逃げたこと」というふたつの罪が適用される。ところが時効に関しては、次のようにそれぞれにその期間が異なっているのだ。
自動車運転処罰法違反(過失致死)罪→時効10年
道路交通法違反(救護義務違反)→時効7年
事故後、すぐに救護すれば助かるかもしれない命をそのまま放置して逃げ去る『ひき逃げ』は、事故を起こしたあとに自らの意識で行う悪質な行為だ。すでに殺人罪の時効は撤廃されているが、死亡ひき逃げ事件となにが違うのだろう。私は平野さんの訴えを聞きながら、ふたつの罪における時効のアンバランスに大きな疑問を抱くようになった。
【第1章より抜粋】
◆「あした」という日
『今日福いのおじいちゃんとおばあちゃんの家に行きました。
福いのおじいちゃんとおばあちゃんのペットの犬と遊びました。
次に宿題をお父さんとやりました。
終わるころに、いとこがきました。
カードゲームをしました。
次にゲームをした後、いとことドッチボールをしました。
あしたはもっと楽しくなるといいです。』
心誠くんが記した最後の1行『あしたはもっと楽しくなるといいです』……、そこには、担任の先生によって赤色の棒線が引かれ、“はなマル”もつけられている。先生は、この日記の左端に、スマイルマークを添え、こんなメッセージを寄せていた。
『僕もほんとは、あなたの元気な顔が見たいです。それはみんな一緒。みんなあなたのことを想っているからね。いままでも、これからも、ずっとずっと、大好きだよ。』
9歳の彼は、「あした」という日に、どんな楽しい夢を描いていたのだろう。
この日記帳にその出来事が綴られることは、永遠にないのだ。
【第9章より抜粋】
《もくじ》
序 章 コロナ禍と交通禍
第1章 旅行券
第2章 パパの声
第3章 異国の地
第4章 鉄腕アトム
第5章 20年目の桜
第6章 補聴器
第7章 オリンピック
第8章 N95マスク
第9章 日記帳
第10章 贖罪とは
第11章 真冬の虹
あとがき
《著者プロフィール》
柳原三佳
(やなぎはら・みか)
ジャーナリスト・ノンフィクション作家。
交通事故、司法問題、歴史等を主なテーマに各誌に執筆。著書に『自動車保険の落とし穴』(朝日新聞出版)、『開成を作った男 佐野鼎』『柴犬マイちゃんへの手紙〜無謀運転でふたりの男の子を失った家族と愛犬の物語』『コレラを防いだ男 関寛斉』『私は虐待していない 検証 揺さぶられっこ症候群』『泥だらけのカルテ 家族のもとに遺体を帰し続ける歯科医が見たものは』(いずれも講談社)、『巻子の言霊ー尊厳ある死を見つめた夫婦の物語』(デザインエッグ社)、『示談交渉人裏ファイル1、2』(角川書店)など多数。
人びとは虹に何を見てきたか、その謎にいかに挑んできたかーー古今東西の科学、思想、美術、文学……虹をめぐる知と表現の系譜を通覧する一大スペクタクル! オールカラー・図版約500点。