日本語学習者の中には、古典日本語で書かれた資料を用いて研究を行う人たちがいる。日本研究を行う彼らに必要とされる言語教育上の支援とは何であるのか。この疑問に答えるために、海外教員への質問紙調査や学習者へのインタビュー、読解過程の分析等を通して彼らの古典日本語学習・理解の実態を明らかにし、それに基づく授業実践を行った。今まで明らかにされてこなかった古典日本語習得の実態とその支援について考える画期的研究。
本書では、文学には、皮肉やユーモアなどといった文学を理解し楽しむために必要なcreativity、書き手や話し手の語り口という文章を理解するために必要なnarrativityがふんだんに含まれているという点から、文学教材が単なる事実文、報告文、作られた会話文よりもコミュニケーション能力育成のための活動に有益であることを論じる。
本書は、日本語学習者にとって最も習得困難な表現の一つであるノダを包括的に扱い、ノダの全体像を掴むことを試みる。ノダを先行事態を必要とするものと必要としないものの二つにわけ、後者を前者の拡張したものと捉えることによって、一見無秩序に見えるノダの多様な意味を統一的に解釈することが可能になった。外国人日本語教師という筆者の立場から、本書における研究が教育現場でも役立つよう配慮した。
第1章 ノダへの問題提起
1.0 はじめに
第2章 ノダの研究史
2.0 ノダの研究史
2.1 三上章 既定命題説
2.2 山口佳也 名詞述語文説
2.3 吉田茂晃 叙述体言化説
2.4 田野村忠温 背後の事情・実情説
2.5 野田春美 ムードとスコープ説
2.6 菊地康人 情報共有説
2.7 角田三枝 思考プロセス説
2.8 名嶋義直 関連性理論説
第3章 ノダ研究に見られる傾向について
3.0 基本用語の整理
3.1 名詞としてのノ
3.2 形式名詞の再検討
3.3 いわゆる感情形容詞
3.4 ノデハナイの構成
3.5 分裂文の再検討
3.6 ノダにとっての情報共有
3.7 既定性について
第4章 ノダにかかわる諸側面
4.0 ノダの周辺
4.1 即物性と多様性
4.2 人称性
4.3 事実文・事情文
4.4 必須補語・任意補語
4.5 先行事態の標識
4.6 ノダの本質
4.7 ノダ分類のものさし
4.8 ノダの任意性
4.9 ノダと待遇表現
第5章 関係づけのノダ
5.0 関係づけのノダ
5.1 一般説明・事情説明
5.2 ノダにおける説明とは
5.3 作用域と接続形式
5.4 ノダの挿入的性格
5.5 関係づけのノダ
5.5.1 ノダ・推論補足
5.5.2 ノダ・換言補足
5.6 ノダロウ
5.7 ノカモシレナイ
5.8 ノデハナイカ
5.9 ノカ・ノデスカ
5.10 ノカ・カラカ
5.11 終助詞のノ
5.12 ノ・カ・?
5.13 ノニチガイナイ
5.14 ノデハナイ
第6章 関連づけのノダ
6.0 ノダと作用域
6.1 ノダと終助詞
6.2 ノダの後続形式から見えてくるもの
6.3 主張・強調
6.4 疑問・詰問
6.5 告白・教示
6.6 命令・注意
6.7 理由・説明
6.8 発見・感心
6.9 前置き・後置き
第7章 おわりに
7.0 まとめ
参考文献
索引
会話コーパスの構築法と分析手法の初歩がわかる
『日本語日常会話コーパス』(CEJC)を中心に、会話コーパスの構築と活用に必要な基礎知識をわかりやすく解説する。動画データまでを記録・公開するCEJCの特徴を踏まえ、倫理的な配慮や構築の手順を具体的に紹介。さらに、オンライン検索システム「中納言」、映像解析ソフトELAN、音声分析ソフトPraat、CEJC-RDB(リレーショナルデータベース)を取り上げ、各ツールによるコーパスの基本的な分析方法を事例を交えて概説する。
【シリーズ言語資源学】
言葉を集め、整理し、解き明かす。実証的言語研究の最前線。
コーパス、辞書、調査データなどを、いかに「言語資源」として活用し、研究に結び付けるか。国立国語研究所が展開するプロジェクトを中心に、データ構築法や分析法などについて基礎から応用まで解説。さらに言語資源を文化財と捉え、その整備や社会貢献の視点も重視し、これからの言語教育へとつながる新たなアプローチも提示する。
第1章│会話コーパスの設計と構築
1 会話コーパスの設計
2 日本語の会話コーパス
3 『日本語日常会話コーパス』の構築
4 『日本語日常会話コーパス』の量的概観
5 おわりに
コラム TalkBank:国際的な会話データの宝庫
第2章│会話の収録・音声動画データの
1 音声の収録
2 動画の収録
3 メタ情報の収集
4 収録後の音声・動画データの加工
5 おわりに
コラム 収録の現場で起こるちょっとしたトラブル集
第3章│会話の転記
1 発話の単位
2 表記
3 転記用タグ
4 CEJCにおける具体的な転記テキスト作成の手順
5 おわりに
コラム 埋もれた会話資料をコーパスとして蘇らせる
第4章│談話行為情報
1 背景
2 『日本語日常会話コーパス』への談話行為情報付与
3 談話行為情報付与結果の概要
4 おわりに
第5章│「中納言」を活用した分析
1 短単位情報・長単位情報の基本
2 「中納言」の基本的な機能・利用法
3 中納言の活用事例
4 おわりに
コラム まとめて検索「KOTONOHA」の活用
第6章│ELANを活用した分析
1 ELAN概要
2 ELANの基本操作
3 CEJCのELANファイルを用いた分析
4 おわりに
コラム ELANの注釈を字幕ファイル形式で出力する
第7章│Praatを活用した分析
1 CEJCにおける韻律情報
2 TextGridの活用
3 Praatスクリプトの基礎
4 Praatスクリプトの活用
5 おわりに
第8章│リレーショナルデータベースを活用した分析
1 リレーショナルデータベースとは
2 SQLの基本操作
3 CEJC-RDBの活用
4 CEJC-RDBの操作環境
5 おわりに
コラム RからRDBに直接アクセス
言語聴覚士養成校で学ぶ「発声発語障害学」のテキストとして最適な1冊。第3版では新たな取り組みとして、冒頭に「発声発語障害学の基礎知識」と題する章を設け、本書で取り扱う分野の基盤となる知識をわかりやすくまとめる。また、各項目の冒頭に設けた“学修の到達目標”は、日本言語聴覚士協会が作成の「言語聴覚士養成教育ガイドライン」(2018年)の内容を踏まえており、学生が学びを進めるうえでの指針とする。
「理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則」の改正により,必修となった「画像評価」。本書では,近年の国家試験の出題傾向を踏まえて,リハビリテーションに関わる医療職が画像をみる機会の多い疾患を厳選して解説した。異常像と比べて理解できるように,各部位の正常像も収載。また,脳画像では予後予測,胸部,骨軟部画像ではリスク管理というように画像をみるうえでのポイントを示し,日々の診療に役立つ1冊となっている。
中国語を母語とする日本語学習者が日本語で書いた作文は、文法としては正確なのに、「何か」が違う。それは何なのか。それは何に由来するのか。この疑問に答えるため、本書では日本・中国それぞれの国語における作文の規範に注目する。両国において模範と見なされる文章の分析を通じて、「意見はどのように書かねばならないか」「どのように論証しなければならないか」という枠組みの差異を多面的に明らかにする画期的研究。
がん患者の増加により、リハビリテーションの重要性が高まる中、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の役割も拡大している。本書は、基礎から周術期リハ、合併症、リスク管理、緩和ケアまでを網羅。養成校の授業用テキストとしてはもちろん、臨床現場でがん医療に関わるリハ職にも必携の一冊。第2版では最新のガイドラインを踏まえ、内容を大幅にアップデートしている。
メタ言語表現の学習とコミュニケーションのメタ認知の向上を結びつける日本語教育を提案。日本語学習者の視点を基に、メタ言語表現の学習の意義を捉え直した上で、豊富な談話資料より収集したメタ言語表現を分析する。初級日本語クラスでの学び、インタビューで得られた学習者の語り、待遇コミュニケーション論と文章・談話論に基づいた分析、いずれも日本語教師や日本語教育研究者に有益である。
日本語学習リソースへのアクセスが制限されている移住労働者の日本語習得過程はどのようなものか。本書は10年余におよぶフィールドワークと100名を超えるOPIによるデータをもとに、第二言語環境における移住労働者の日本語習得の過程を、日本の地域社会に存在する複数のコミュニティへ参加していく中での状況的学習としてとらえ、分析を行った研究の成果である。第二言語習得研究者はもとより広く在日外国人問題に関心のある読者に是非ご一読いただきたい
文献資料の電子化が進んだ20世紀の終盤以降は、英語史研究においてもコーパスや各種データベースが標準的に利用されるようになり、英語文献研究は飛躍的な展開を遂げた。英語史研究と現代英語研究が合流して英語学の分野間の連携が進んだのも、この時代の特徴である。本書はこの潮流の変化を捉えながら、音韻論・綴字・形態論・統語論を中心に最新の英語史研究を紹介するとともに、研究に有用な電子的資料についても情報提供する。
第1章 英語史研究の潮流
第2章 英語史研究の資料とデータ
第3章 音韻論・綴字
第4章 形態論
第5章 統語論
第6章 英語史研究における今後の展望にかえて
ソルボンヌ大学言語学教授によるベストセラー書籍の翻訳。本書では、広告、雑誌・新聞などメディアのテクストに焦点をあて、記号学的分析から一歩進んだ最新のフランスの言説分析の方法論を全21章で紹介。テクストの言説分析をより論理的に実践するための方法論とその事例研究が満載された、フランス言語学を専門にする学生、研究者のみならず、メディア研究に携わる研究者等幅広い読者を対象とする、学際的分野としてのメディア言説分析方法論の手引き書である。
高次脳機能障害は,障害の種類や程度が同じでも,患者の生活様式や障害のとらえ方よって,対応すべき問題が異なることが多々あります。本書は、このような高次脳機能障害のリハビリテーションのために、病態の正しい評価・診断、質の高い生活をめざすための訓練・支援を体系立てて学べる教科書です。打第3版では「言語聴覚士養成教育ガイドライン」(日本言語聴覚士協会,2018)に基づき構成し,さらに「高次脳機能障害のリハビリテーションにおける言語聴覚士の役割」「認知コミュニケーション」を新設しました。最新の研究から得られた知見も盛り込み、臨床家や研究者にも有用。第一線の執筆陣による充実の改訂版です。
言語聴覚士養成校学生向けの「聴覚障害学」領域のテキストの改訂版.国家試験出題基準を踏まえたうえで,実際の臨床場面で聴覚障害者を訓練・指導する際に必ず抑えておくべき知識の修得も重視.今回の改訂では,音の特性や両耳聴などを扱った「音と聴覚」と題する章を新設.また,この領域の現状に合わせ,人工聴覚器について詳説するなど最新の情報へ更新している.理解に役立つ知見や先駆的試みを扱ったColumnも多数収載.