母性信仰や三歳児神話ーー「子育ては母親がするもの」という世間からの圧力を感じながら、保育所に子どもを預ける女性たち。彼女たちの意識はどのように変化していったのか? 母親、保育施設スタッフの両者の聞き取り調査を通して、フェミニズムの視点から捉える。
序 章 「母」というひどくつまらない存在
■第1部 フェミニズムの母性研究、再訪
第1章 データにみる、日本社会における「女性の母親業」
第2章 女性の母親業を水路づける二つの社会構造
第3章 フェミニズムによる母性主義イデオロギーの批判的研究
第4章 母親の実践への注目
■第2部 託児にふみきる
ーー認可外保育施設「子ども一時預かり施設 ばぁばサービスピノキオ」の実践から
第5章 調査の概要
第6章 「一時保育」をめぐる困難
第7章 親密圏の残骸を寄せあつめる
第8章 「移行期世代」の子育てから考えるピノキオの実践の近代性
第9章 託児にふみきる
■第3部 2000年代以降の変化をめぐって
第10章 「団塊ジュニア世代」と産み育ての個人化
第11章 母親の就労の増加と「専業主婦」をめぐる社会的認識の変化
■第4部 乳児をあずける
--認可保育所の「乳児保育」を利用する女性6名の語りから
第12章 調査の概要
第13章 「乳児保育」をめぐる困難
第14章 家族を運営する
第15章 「三歳児神話」を反復する、書き換える
終 章 ふたたび、「母」というひどくつまらない存在、
ならびにフェミニズムの主体としての母親の可能性をめぐって
私たちはみな、資本主義という恒常的な災害の被災者である。
パン(金)も、バラ(尊厳)も、両方よこせ!
蔓延する新型ウィルス、パンデミック下で強行される五輪、そして顕在化する不平等や分断。私たちが直面している危機は、COVID-19 によるというよりは元来グローバル資本主義ないしネオリベラリズムという災厄によるものであるー
女性の活躍、ケア労働、路上生活、再開発、生活保護...あらゆる格差、貧困、分断の問題を最新のフェミニズムの視点から読み解き、国内外の事例から日常的で具体的な抵抗の方法を探る。気鋭の社会学者、初の単著。
1 パンとバラのフェミニズム/私たちはみな、資本主義という恒常的な災害の被災者である
パンとバラのストライキーローレンスの移民女性労働者たちのストライキ
「活」という名の妖怪ーパンを食わせずバラ(のようなもの)を差し出すネオリベラリズム
魔女は禁欲しないーパンもバラもよこせ!
パンデミックにおけるケアインカムの要求
2 個人的なことは政治的なこと/路上、工場、周辺の場から
紙の味
現代の屑拾い
無菌化された労働力商品たちの夜
「声」をきくことの無理
3 ジェントリフィケーションと交差性/日常の抵抗運動
クレンジングされる街で
猫のように体をこすりつけろ
抵抗する庭
「開発」と家父長制
差別の交差性(インターセクショナリティ)
路上のホモソーシャル空間
夜を歩くために
階級、ジェンダー、セクシュアリティなどの視座から、女性文学の多様な側面に切り込む。
宮本百合子を中心に、大塚楠緒子、野上彌生子、平塚らいてう、岡本かの子、林芙
美子、石牟礼道子、向田邦子、角田光代らの作品を幅広く取り上げ、一世紀にわたる
女性文学の内実を解き明かす、フェミニズム批評の実践。
1
一フェミニズム批評
女と言説/フェミニズム批評の有効性/フェミ
ニズム批評・ジェンダー批評・ケアの倫理/女
性文学史の新たな構築をめざして
2
二宮本百合子とセクシュアリティ
百合子とセクシュアリティ/『伸子』の素子/
『乳房』/ 鼎談 愛と生存のかたち
三宮本百合子と反戦・平和
『杉垣』にみる反戦表現/『築地河岸』『二
人いるとき』/『鏡の中の月』『雪の後』『播
州平野』をめぐって/占領下の百合子
四宮本百合子の世界と表現方法
百合子と日本女子大学校/『伸子』/『伸
子』にみるスペイン風邪と恋/『未開な風
景』/宮本百合子と佐多稲子
3
五女性表象の変容
女性による樋口一葉論/大塚楠緒子『空
薫』『そら炷 続編』/野上彌生子『噂』
/求愛の表現/戦時下の「母性」幻想/
角田光代『八日目の蝉』にみる母と娘
六フェミニズムとセクシュアリティ
『青鞜』におけるセクシュアリティの政治学へ
の挑戦/平塚らいてうと成瀬仁蔵/平塚
らいてう/田村俊子宛鈴木悦書簡をめ
ぐって/林芙美子『ボルネオダイヤ』『牛肉』
『骨』/林芙美子『晩菊』
七社会とジェンダー
岡本かの子『生々流轉』/石牟礼道子の世
界/三浦綾子『細川ガラシャ夫人』/向田
邦子のまなざし
★フェミニズムの最前線に歴史の光を当てる
前衛的モダニズム作家ヴァージニア・ウルフは、『自分ひとりの部屋』等の著作によって女権運動の先駆的存在とも見なされる。フェミニズムが様々な変遷を経てきた今日、私たちはウルフからどれだけ遠くへ来たのか。あるいは、今なおウルフのすぐそばに留まっているのか。ケア労働、第三波フェミニズム/ポストフェミニズム、新自由主義、ワーク・ライフ・バランス、働くシングルマザーといったアクチュアルなテーマから、フェミニズムの最前線で起こっていることを歴史的に考察する。
第I部 ポストサフラジストの「自由」と消費文化
第1章 おひとりさまのロンドン
──『遍歴』にみる働く独身女性表象と現代(大道千穂)
第2章 「オーランドーな女子たち」が目指すもの
──戦間期の「若返り」物語からみるポストフェミニズム世代の欲望と困難(加藤めぐみ)
第3章 ミドルブラウ文化と女性知識人
──『グッド・ハウスキーピング』、ウルフ、ホルトビー(松本 朗)
第II部 変貌する家庭とケア労働
第4章 「距離というものには大変な力が」
──『灯台へ』にみる「母」としての労働者と子どもの観察運動(矢口朱美)
第5章 家事労働を語ること
──家庭の天使、『波』のスーザン、ハウスワイフ2.0 (ツーポイントゼロ)(麻生えりか)
第6章 ヴァージニア・ウルフと「誰もの生」
──『波』におけるハイ・モダニズム、キャラクター、情動労働(秦 邦生)
第III部 ポストフェミニズム状況下の労働と共通文化
第7章 フェミニズムの戸惑い
──第二波フェミニズム前後の「働く」女の「自伝」(松永典子)
第8章 ポストフェミニズムからポスト新自由主義へ
──『めぐりあう時間たち』と『メイド・イン・ダゲナム』における女たちの「連帯」(河野真太郎)
第9章 女性は「すべてを手に入れる」ことができるのか?
──ワーク・ライフ・バランスをめぐる「マミー・リット」の模索(英 美由紀)
第IV部 旅するフェミニズム
第10章 ウルフ、ニューヨーク知識人、フェミニズム批評
──もうひとつ別の「成長」物語?(大田信良)
第11章 「少女」の誕生抵抗
──孤児アンの物語の原作と日本における受容をめぐって(伊藤 節)
コラム:ファッションは女性の味方?(高井宏子)/モダニズム、精神分析、フェミニズム(遠藤不比人)/娼婦、それは連帯するポストフェミニスト(丹羽敦子)/居住空間と女性建築家(菊池かおり)/ドリス・レッシングと家事労働の「外注化」(高島美和)/一九八〇年代とジャネット・ウィンターソンの「幸福」(植松のぞみ)/映画に見る性愛と婚姻の変遷(山口菜穂子)/ヴァージニア・ウルフの翻案作品と消えない不安(高橋路子)/フェミニズムとパシフィズム(奥山礼子)/「第三世界に女はいない」?(中井亜佐子)
一夫一婦制度が確立した明治期から2010年代までの新聞・雑誌や文学を精読し、ときに「純粋な恋愛の遂行者」として知識人に称賛され、ときに「眉をひそめられる不道徳な存在」として排除された女性たちの存在に光を当てるフェミニズム研究の裏面史。
はじめに
第1章 明治の妾ーー一夫一婦の裏面の妾という存在
1 法制度からみる妾の位置づけ
2 妾の近代文化
3 文学に描かれた妾
第2章 戦前の愛人ーー恋愛をする人
1 近代日本フェミニズムの出発点ーー恋愛/一夫一婦/妾の否定
2 愛人の登場ーー一九一〇年代まで
3 一九二〇年代の愛人像ーー文学作品・婦人雑誌・新聞から
第3章 一九三〇年代の妻と妾ーー妻の嫉妬と閉塞感
1 「嫉妬する妻」の構築
2 一九三〇年代の「妻」「妾」の身の上相談
第4章 戦後の愛人ーー働く女性、性的存在、不道徳な存在
1 戦後愛人の原型ーー一九四〇年代後半から五〇年代
2 週刊誌のなかの愛人
初出一覧
おわりに
【お詫びと訂正】
本書の第1章の注番号に誤りがありました。
38ページの注番号(18)が抜けていました。校正時の確認不足で誠に申し訳ありません。
38ページの6行目の文章に注番号(18)を追加し、13行目の引用文に付してある現在の(18)以降の注番号の数字をすべて1つずつ増やしたものが正しい注番号です。
38ページ:6行目の文章に注番号(18)を追加。
小山が「観念論」と指摘している(18)ように、近代日本の婚姻制度の基盤が固まる状況でどのような観念(ジェンダー意識)が立ち上がっていたのかを考察するのに適した素材であるからだ。【以下の注番号がずれる】
なお、88ページから始まる第1章末の注は番号・内容ともにすべて正しく、本文の注番号を修正するとすべて合致します。
著者と読者のみなさまにご迷惑をおかけしたことを、心からお詫びします。
なお、本書の電子書籍版は、正しい注番号に修正してあります。
青弓社編集部 2023年3月17日
フェミニズムは、社会を問い、制度を問い、人々の価値観を問うてきた。この本では、そんなフェミニズムについて、改めて「からだ」という観点から考える。
セックスワーク、トランスジェンダー、ルッキズム、アスリート、写真や表現、ミソジニー…etc.いくつもの論点や視点を行き来しながら、個人的なものであり社会的なものでもある、私たちの「からだ」の広がりについて考え、そこにいる他者とのつながりをフェミニズムとともに模索する。
第1章 どのような姿勢で社会問題について考えるべきか
尊厳があるかないかではなく、しんどさの意味の平等を(要友紀子)
取るに足らないおしゃべりの中から(鈴木みのり)
♦インタビュー♦誰かを排除しないスポーツ界へ(下山田志帆)
第2章 自分自身を振り返りながら、人との関係性を考える
♦インタビュー♦モデルとの関係性から考える「表現者としての被写体」(インベカヲリ★)
*往復書簡*「ルッキズム」とどうやって生きてきたか─なかったことにしないための往復書簡─(依田那美紀・井上彼方)
小説 龍とカナリア(オーガニックゆうき)
キンバリー・クレンショーらが提唱し、いまや多くの社会運動のなかで注目されている概念「インターセクショナリティ」。
本書では、インターセクショナリティの視点から、これからのフェミニズムがどのように新たな社会構造の変化を求めていくべきか、さまざまな反差別の実践を題材に考えていく。
※価格は予価です。
2015年国際女性デー、中国で痴漢反対のステッカーを配布しようとし、逮捕された5人の女性がいた。なぜ独裁者は、武器を持たない彼女たちを恐れたのか?独裁者(習近平)が指導する家父長制的権威主義国家は、性暴力をゆるし、女性たちを「産む機械」に貶め、その自由を奪ってきた。逮捕、勾留、脅迫、検閲、暴力。政府による抑圧が強まるなか、フェミニストはどのように声をあげ、行動したのか。その声はやがて、政治的表明を避けていた女性たちをも動かしてゆき…。独裁者も恐れた、フェミニストたちの姿を追う。
コロナ禍があぶり出したのは、もともとそこにあった不公正だった。
ケア労働、職業格差、デジタル性犯罪、性的マイノリティ差別ーー。
韓国のフェミニスト13人が、長年見過ごされてきた「誰かを搾取することで成り立つ社会」の歪みに切り込み、ケア・共存・共生を軸とした、「誰も踏みにじらない未来」を提言する。
【目次】
日本語版出版に寄せて
韓国語版序文 パンデミックと新自由主義を乗り越えるフェミニズムを模索しながら
本編を読む前に知っておきたいできごと
PART1 誰が「女性」なのか?
01 私は女じゃないんですか?
「女性とは誰か」をめぐるフェミニズム論争_キム・ウンシル
02 女性は潜在的な被害者なのか?
「無害な存在」というイデオロギーを超えて_クォンキム・ヒョンヨン
03 対抗的公共性
マジョリティに対抗する開かれた場としての女子大を目指して_キム・ヨンオク
04 フェミニズムとトランスジェンダーが手を取り合う未来
つながり拡がるフェミニズム運動を夢みて_ソン・ヒジョン
PART2 フェミニズムが構想するポストコロナ社会とは?
05 コロナの不平等
資本と男性中心の解決策に抵抗する_キム・ヒョンミ
06 パンデミックと女性労働者
最前線で闘う人々のために_シン・ギョンア
07 感染症と弱者のフェミニズム
不安と向き合うためのより良い方法を考える_チョン・ヒギョン
08 防疫監視社会のキスとセックス
「正常」を強制する社会で性的マイノリティの自由を擁護する_チェ・ヒョンスク
09 フェミニスト・グリーン・ニューディール
コロナ禍と断絶を乗り越えるための方法_チャンイ・ジョンス
PART3 新自由主義的フェミニズムを超えて
10 n番部屋は新種の犯罪なの?
顔のジェンダー政治_キム・チュヒ
11 安全の商品化とフェミニズム
被害と安全に対するフェミニズムからの問い_ミン・ガヨン
12 「悪いフェミニスト」の政治学
「パイ」の分配を超えて、より多くの連帯へ_イ・ヒョンジェ
13 フェミニズムの大衆化を再考する
女性の個人化のジレンマ_チョン・ヒジン
解説「脱植民地化とインターセクショナル・フェミニズム」梁・永山聡子
訳者あとがき
本編に登場する主な人物紹介
現代の韓国フェミニズム年表 主なできごと
ファンタジー・SF・ジェンダー
きらめく都市空間の隅々に仕掛けられた、さまざまな魔法の網! それが罠、妄想と知っても潔く捨てられない……。一発逆転の「幸せ」を夢見て積み重ねられる現代の「シンデレラ・ストーリー」。今を生きるファンタジーやSF、アニメなど様々な時空を横断しつつ、混沌とした時代の欲望の形を模索するーー。
はじめに──フェミニズムと女のからだ
第1章 女の健康運動──一九七〇年代のアメリカ
1 女と医療をめぐる状況
2 何よりも中絶の自由を──レッドストッキングス
3 女をモルモットにするな──ピル、DES、ダルコン・シールド
4 自分の子宮口を見てみよう──スペキュラムとデル・エム
5 「こちらはジェーンです」──伝説の中絶地下組織
第2章 地球を旅する本──『私たちのからだ・私たち自身』の軌跡
1 「それはこんなふうに始まった」──起源の物語
2 OBOSの魅力とは何か
3 国境を越えて
4 二つの日本版OBOS
第3章 日本のウーマン・リブと女のからだ
1 リブの誕生
2 優生保護法をめぐる対立
3 ピルへの複雑な思い
4 女のからだの日常から
第4章 一九八〇年代の攻防と、その後
1 優生保護法改定運動の再浮上
2 改悪反対運動の広がり
3 富士見産婦人科病院事件
4 富士見病院事件と女のからだ
5 阻止連と障害者運動
6 女のためのクリニック活動
第5章 生殖技術という難問
1 産むための技術の焦点化
2 不妊とフェミニズムの関係
3 生殖技術と日本の現状
4 アメリカの生殖資本主義
おわりに──女のからだは誰のもの
主要参考文献
図版出典一覧
社会構築主義のインパクト、多様性の承認。バックラッシュと新自由主義、「女性の貧困化」。社会理論がその方向性を見定めがたく彷徨する間に、ひとびとの身体・生命はグローバルな取引の激流に投げ出された。フェミニズムは近代リベラリズムの何を乗り越えるのか。ジェンダーの壁を越えた承認と再分配の理論構築へ、丹念に積み重ねられた論考を紹介。
型にはめれば分かりやすい。でも、型にはめなければもっと深く分かる!
変えられない筋書きも、捉え直してみせる。アクション、ホラー、時代劇、アニメ……。フェミニズムが鋭く批判する家父長制の文脈だけでは語りきれない、女性キャラクターの自発性をどのように取り出せるのか。白雪姫もシンデレラも好きだったあなたへ送る、異色のフェミニズム批評。
貞淑という悪徳、“不真面目な”ヒロインたち、
不条理にキラキラのポストモダン、
結婚というタフなビジネス……
「男らしさ」「女らしさ」の檻を解き放て!
注目の批評家が贈る〈新しい視界がひらける〉本
・ジュリエットがロミオにスピード婚を迫った訳とは?
・フェミニズムと優生思想が接近した危うい過去に学ぶ
・パク・チャヌク映画『お嬢さん』の一発逆転!〈翻案の効用〉とは
・『マッドマックス』の主人公がもつケアの力と癒やし
・「マンスプレイニング」という言葉はなぜ激烈な反応を引き起こすのか……etc.
閉塞する現代社会を解きほぐす、鮮烈な最新批評集!
フェミニズムの「落とし物」がここにあるーー。
今世紀に入り、日本社会で大きく膨れ上がった「スピリチュアル市場」。
特に近年は「子宮系」「胎内記憶」「自然なお産」に代表されるような妊娠・出産をめぐるコンテンツによって、女性とスピリチュアリティとの関係性はより強固なものとなっていった。
しかし、こうしたスピリチュアリティは容易に保守的な家族観と結びつき、ナショナリズムとも親和性が高い。
本書は、この社会において「母」たる女性が抱く不安とスピリチュアリティとの危うい関係について、その構造を解明する。
「子宮系、胎内記憶、自然なお産。女性たちのスピリチュアルで切実な思いを分析した画期的な本だ。」--森岡正博氏、推薦!
◆目次◆
第1章 妊娠・出産のスピリチュアリティとは何か
第2章 「子宮系」とそのゆくえ
第3章 神格化される子どもたちーー「胎内記憶」と胎教
第4章 「自然なお産」のスピリチュアリティ
第5章 女性・「自然」・フェミニズム
第6章 妊娠・出産のスピリチュアリティとその広まり
◆著者略歴◆
橋迫瑞穂(はしさこ・みずほ)
1979年、大分県生まれ。立教大学大学院社会学研究科社会学専攻博士課程後期課程修了。立教大学社会学部他、兼任講師。
専攻は宗教社会学、文化社会学、ジェンダーとスピリチュアリティ。また、ゴシック・ロリータやゲーム、マンガなどのサブカルチャーについても研究している。
著書に『占いをまとう少女たちーー雑誌「マイバースデイ」とスピリチュアリティ』(青弓社)がある。
フェミニズムが恐怖を引き起こすのも無理はない、
連帯したわたしたちは危険なのだから。
フェミニストとして生きるということは、その言動で他人の喜びを奪い、うんざりさせる存在になることかもしれない。それでも闘おう、ともに。あなたの存在と身体で。現代フェミニズムの最前線で注目される書き手が、自身の経験と魅力的な言葉の数々で呼びかける、連帯への挨拶。巻末にフェミニストとして生きるための10の道具解説と、マニフェストを収録。
◎目次
イントロダクション フェミニズム理論を家に持ち帰る
第一部 フェミニストになるということ
第一章 フェミニズムはセンセーショナル
第二章 方向づけられることについて
第三章 わがままさとフェミニストの主体性
第二部 ダイバーシティ・ワーク
第四章 変革を試みる
第五章 質問の的となること
第六章 レンガの壁
第三部 結果とともに生きる
第七章 壊れやすいつながり
第八章 フェミニスト・スナップ
第九章 レズビアン・フェミニズム
結論その一 キルジョイ・サバイバル・キット
結論その二 キルジョイ宣言
訳者あとがき
謝辞
参考文献
人名索引
イントロダクション フェミニズム理論を家に持ち帰る
第一部 フェミニストになるということ
第一章 フェミニズムはセンセーショナル
第二章 方向づけられることについて
第三章 わがままさとフェミニストの主体性
第二部 ダイバーシティ・ワーク
第四章 変革を試みる
第五章 質問の的となること
第六章 レンガの壁
第三部 結果とともに生きる
第七章 壊れやすいつながり
第八章 フェミニスト・スナップ
第九章 レズビアン・フェミニズム
結論その一 キルジョイ・サバイバル・キット
結論その二 キルジョイ宣言
訳者あとがき
謝辞
参考文献
人名索引
先史時代から現代にいたるまでの各時代と社会における女性の条件を、男性の地位・権力との関係で考察し、それらに基づいてフェミニズム理論を構築する野心作。著名な社会学者が、独自の第三世界論の立場から、世界的な規模での女性の条件の変革の可能性を展望し、女性解放の道筋を探る。
ナショナリズム渦巻く日韓で提起されてきた「慰安婦」問題ーーそれはまた、性差別的な社会構造のなかで踏みにじられた女性の人権をめぐる問題であり、現代の性暴力につらなる側面をもつ。フェミニズムの視点から「慰安婦」運動の歴史を問い直し、二度と被害を繰り返させない世界をまなざす、問題理解の手がかりとなる一冊。
はじめに
I
序章 ナショナル・アイデンティティの葛藤
一 「朝鮮人」として
二 ナショナル・アイデンティティの悩み
三 韓国留学と「慰安婦」問題
四 「挺身隊」問題の浮上が示すもの
第一章 韓国女性学と民族
一 女性学の成立と民族問題
二 日本軍「慰安婦」問題をめぐる民族議論
三 アジア女性学への視点
小 括
第二章 韓国における「慰安婦」問題の展開と課題ーー性的被害の視点から
一 「慰安婦」問題の展開と民族主義
二 「慰安婦」と公娼
三 性的被害とは何か
小 括
第三章 韓国における「慰安婦」問題解決運動の位相ーー一九八〇〜九〇年代の性暴力追放運動との関連で
一 民族民主運動と性暴力追放運動ーー一九八〇年代の女性運動
二 性暴力追放運動の質的転換ーー一九九〇年代の女性運動
三 「慰安婦」問題解決運動の位相
小 括
第四章 ナショナリズムを乗り越えるために
一 「慰安婦」問題とナショナリズムーー女性法廷後の課題
二 日・韓ナショナリズムと「慰安婦」問題ーー朴裕河著『和解のために』をめぐって
三 排除と差別に抗する視点
補 論 勤労挺身隊となった人々の人生被害についてーー名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟に寄せて
一 朝鮮人少女たちにとって「勤労挺身隊に行く」ということが意味したもの
二 日本に行って受けたであろう衝撃
三 朝鮮に戻ってからの人生の困難ーー勤労挺身隊に行ったことが朝鮮社会で意味したもの
四 日本軍「慰安婦」問題との関連
五 日本政府及び関連企業の責任
旧版あとがき
II
第五章 日本人「慰安婦」をめぐる記憶と言説ーー沈黙が意味するもの
はじめに
一 日本人「慰安婦」とは
二 戦後日本の「慰安婦」言説
おわりに
第六章 韓国の「慰安婦」証言聞き取り作業の歴史ーー記憶と再現をめぐる取り組み
はじめに
一 「慰安婦」問題の真相究明を求めてーー証言集一、二
二 サバイバーたちとの交流を重ねながらーー証言集三
三 証言とオーラルヒストリーの間でーー証言集四ー六
おわりに
第七章 韓国の「慰安婦」運動を再考する
はじめに
一 二〇二〇年五月ーー李容洙の記者会見
二 二〇二〇年七月ーー性暴力告訴情報流出事件
三 「慰安婦」運動の新たな地平
参考文献
岩波現代文庫版あとがき
初出一覧
索 引
第1章 ネオリベラリズムとジェンダーの理論的視座
第2章 日本におけるネオリベラル・ジェンダー秩序
第3章 ポストフェミニズムと日本社会ーー女子力・婚活・男女共同参画
第4章 「女子力」とポストフェミニズムーー大学生アンケート調査から
第5章 脱原発女子デモから見る日本社会の(ポスト)フェミニズムーーストリートとアンダーグラウンドの政治
第6章 「慰安婦」問題を覆うネオリベラル・ジェンダー秩序ーー「愛国女子」とポストフェミニズム