古気候学の研究者と市民の熱意から生まれた、気候科学のエキサイティングな講義。古気候学とは、堆積物や氷床などに残る痕跡を手がかりに気候変動の歴史を復元し、地球環境を造形するメカニズムを明らかにする学問だ。その成果は地球の理解そのものを確実に変えつつある。本書では第一線で活躍する研究者が、生きた講義の中で発せられる疑問を丁寧に拾いながら、複雑で動的な地球システムの本質を説き明かす。まず古気候学の面白さ、これが圧巻なのである。歴史と本物の科学がみごとに融けあっている。億年〜数年という異なる時間軸を縦横に飛び移る思考。日本海から掘り出した堆積物と数万年前に極地を覆っていた氷床を関連づけるような、壮大なからくりの数々。研究者たちは過去の気候が遺した暗号を丹念に読みこなし、地球環境の頑健さと脆弱さの謎に迫っていく。地球温暖化はウソかホントかといった表層的な議論はもうたくさん、今度こそ地球と環境の実像を掴みたいという読者に、この質の高いレクチャーを追体験してもらいたい。豊富な図版も紙芝居とは意味が違う。科学的根拠を自ら一つ一つ読み解く過程にこそ、「理学する」手ごたえがある。サイエンスカフェ参加者の探求欲にも感染せずにはすまない、充実の地球システム学入門。
進む温暖化。止まらない気候変動。温室効果ガス排出量ゼロなど対策を打ち出す各国だが、最新の研究が示すのは「これらの対策では、温暖化は止まらない」という事実だ。そんな中、欧米を中心に注目を集めている最新技術、それが気候工学(Geoengineering)である。「大気中からCO2を直接回収する」「成層圏に微粒子を撒いて太陽光を遮る」など、温暖化対策の「最終手段」の概要・効果・危険性について、日本の第一人者が解説する。
気候変動への対応で、残された時間は多くはありません。差し迫った課題になっている二酸化炭素(CO2)の排出削減と一日たりとも欠くことはできないエネルギー・電力の安定供給をどう矛盾させずにすすめていけばいいのかーこのことを検討するために、この本をつくりました。
自然災害に強靱な社会に向けて。気候変動とその影響に対する適応をテーマに、企業・行政・市民による先進的な取組みと適応に関する最新の理論を紹介。
温室効果ガスCO2の20%近くを自動車・鉄道・船舶・航空機などの運輸部門が排出している。本書では、その85%強を排出する自動車の気候変動対策について、フランスやノルウェーのEV普及促進政策のレヴュー、日本のハイブリッド車・EVの普及や将来性とCO2削減の現状など検証するとともに、公共交通や居住地環境、ライフスタイルの変化と自動車利用との関係などを分析する。
本書は、気候と気象の違いや、地球の気候システム、現在と過去の気候の違い、気候が地球と私たちの生活に与えた影響について、解説しています。そして、将来の気候変化の課題に触れ、今それに対処するために取られているいくつかの手法を紹介します。
生態系の機能(エコシステム)に学ぼう!それを基調に、持続可能な社会を実現しよう!地球生態系との融和を目指してー。自然災害の激甚化、森林破壊、熱中症・感染症の多発、農漁業の不振…気候変動の影響と適応策/技術(10分野別)をわかりやすく図解。
身近な天気から、未来の気候まで。“空気”と“水”と“太陽の光”が生みだす、大気のさまざまな現象。そのふしぎを解きあかす。
隕石が絶え間なく降り注ぐマグマオーシャンの時代から全球凍結したスノーボールアース、恐竜が繁栄した超温暖化時代、そして氷期、間氷期を繰り返す、直近の260万年間にいたるまで地球の気候は激しく変動してきた。一見すると無秩序に激しく変動しているように見えるが、その変化には一定のリズムや規則性があることがわかってきた。鍵を握るのが、地球の表層における「炭素循環」と公転軌道要素の変化がもたらす「ペースメーカー」だった。最先端研究でわかった気候変動を制御する地球の「からくり」。
ヨーロッパ、南北アメリカ、アジア、アフリカ、オセアニア、南極…41カ国60人の日常と葛藤。学業との両立、親の説得、そして金曜日の勇気。