2022年から23年にかけて、展覧会が全国を巡回し、死後25年を経てなお変わらぬ人気を証明した芸術家・岡本太郎(1911〜96)。その芸術家像は、作家自身や長年の秘書・岡本敏子から語られたものをもとに形づくられ、なにより停滞を突き破るエネルギッシュな言葉がその芸術同様多くの人々を引きつけてきた。そのような中、本書では太郎の創作活動について、とりわけ作品の図像と作家などによる言説の関係性に注目し実証的に考察するという、従来とは異なるアプローチをとる。このことで、数ある岡本太郎関連書とは異なる、新たな岡本太郎像の提示を目指す。川崎市岡本太郎美術館で学芸員を務めた著者の長年の研究成果をまとめた一冊。
シェレ、ロートレック、ミュシャ、……
街に氾濫する大型の広告ポスター。大量に流通し始めたポピュラー・イメージの衝撃に画家やデザイナーはいかに対峙し、美術批評家、文化政策、産業界はどう関わったのか。フランス美術史への新しい視点。
序文 7
本書の問題意識 9
本書の構成 12
研究史の現状 17
第一部 “アフィショマニ(ポスター愛好)”とポスター芸術論の形成 21
第1章 十九世紀末フランスの“アフィショマニ”とロジェ・マルクス 23
序 23
一.一八九〇年代のフランスにおける“アフィショマニ”現象 27
二.ロジェ・マルクスのポスター批評(一八八九〜一九〇〇年)32
結 43
第2章 二〇世紀に臨む広告芸術論 -ギュスターヴ・カーン著『街頭の美学』(一九〇一年) 44
序 44
一.著書『街頭の美学』(一九〇一年) 47
二.第一次世界大戦前後の揺れる視点 55
三.広告芸術論の形成へ 63
第3章 世紀転換期のジュール・シェレ -ポスターから公共装飾画へ 67
問題の所在 -装飾画(家)の領分 67
一.ポスター・デザイナーとしての業績 69
二.装飾画家としての起用 76
三.キャリア転向の背景 -支援者のネットワーク 90
結 95
第二部 画家として、ポスター・デザイナーとして 97
第4章ジェームズ・ティソ作《パリの女》シリーズ
-油彩画と版画(リトグラフ/エッチング)の双方向的関係 99
序 99
一.油彩画《パリの女》シリーズ(一八八三〜一八八五年)とその版画化構想 100
二.作画過程 115
三.公開後の展開 130
結 136
第5章パリのミュシャ再考 -ミュシャはポスターの巨匠であったのか? 138
序 138
一.後発のポスター・デザイナー 139
二.称賛されるミュシャ様式 143
三.アフィショマニ(ポスター愛好)の現象 147
四.ミュシャ -装飾芸術としてのポスターの巨匠 151
第6章 領域横断する芸術家トゥールーズ=ロートレックのポスター 156
序 156
一.世紀末フランス、ポスター発展の環境 157
二.ロートレックとポスター 163
第三部 ポスター芸術の産業化と制度化 175
第7章二〇世紀初期フランスのポスターをめぐる広告業と現代芸術家連盟 177
序 177
一.広告業 179
二.現代芸術家連盟 183
三.アメリカ型広告との差別化 189
結 196
第8章醜いヌーディズム -一九三〇年代現代芸術家連盟批判に見る伝統主義とその背景 197
序 197
一.現代芸術家連盟の設立(一九二九年)と目的 198
二.「醜いヌーディズム」(一九三三年) -現代芸術家連盟批判に見る伝統主義 203
三.現代芸術家連盟マニフェスト「現代芸術、あるいは現代生活の環境のために」(一九三四年) 208
四.一九三〇年代フランスにおける装飾芸術観の振り幅 213
第9章ポスター美術館の誕生(一九七八年) -現代フランスのポスター受容と文化政策 217
序 217
一.最初のポスター専門美術館 219
二.広告美術館へ 225
三.芸術概念の拡大と広告振興 231
結にかえて -ポスター美術館の現在 236
あとがき 239
─
註 1
芸術・文化はつねに政治的側面を内包し、国家の存亡をかけた戦時下ではその相関関係はより緊密になる。
およそ20年の戦間期を経て再びの開戦、そして1940年には侵攻したナチス・ドイツにパリを占領されたフランス。だが戦時下においても、芸術家たちはそれぞれの方法・場所で活動を続けていた。錯綜する状況下、芸術家個人の思いや国の文化政策はいかなるものだったか。6人の美術史研究者が検証する。
はじめに 7
大久保恭子
序章
一九三七年パリ国際博覧会をめぐるフランスの文化政策 13
大久保恭子
1章
無に相対して --一九四〇年代フランスの美術 47
レミ・ラブリュス(礒谷有亮 訳)
2章
〈岐路〉に立つ仏独の芸術家 --第二次世界大戦時のフランスにおけるコラボラシオンと収容 79
河本真理
3章
「公式の趣味」の変遷とヴィシー政権下における美術作品の国家購入 125
松井裕美
4章
モデルニテの遺産と第二次世界大戦期のフランス美術 163
山本友紀
5章
「フランス」をうつす写真集 --レイモン・シャル出版の刊行物から見る戦時下のフランスの表象 185
礒谷有亮
6章
第二次世界大戦期の「フランス性」をめぐる芸術的「地政学」 223
大久保恭子
あとがき 263
欧文要旨 1
主要人名索引 15
吝嗇家の夫との田舎暮らしの虚しさを埋めるため、詩を書きはじめたディナ。それが話題となり、批評家ルーストーの愛人となった彼女は、とうとう夫を捨て、パリへと出てくるが…。ジョルジュ・サンドを彷彿させるような女作家を主人公とした表題作など、「文学」と「狂気」が交錯する2篇を収録。すべて新訳の新シリーズ第3弾。
基礎自治体(行政区画の最小単位。市区町村)の職員ら18名が研究員の肩書きを持ち、公務として活動した「文化・芸術を活かしたまちづくり研究会」。意外にも文化行政畑でない部署に所属する職員が過半数を占めた本研究会では、様々な観点からまちづくりに関する積極的な討議が行われた。特にピアレビュー(同業者どうしのフラットな評価)によって、職員=研究員が、他都市や他地域の職員、団体、政策、施設、事業、活動などについて同じ目線で批評・評価し、さらにそれらの考察を各研究グループの枠をこえて、相互に批評・評価し、課題解決への汎用性の高い実践知が紡ぎ出された。現職の公務員による視察が、業務上の実利目的をこえて、相互の議論を通じて、幅広い考察と鋭利な認識を得ることができたのである。
本書は全国23 の事例を基に、学者による研究書でなく、コンサルによる現状追認的、政策誘導的な調査報告書でもない、実務家による実務家に対するピアレビューを通して、「文化とまちづくり」をめぐる新たな研究の地平を拓くための一冊。
00.CASE MAP(カラー16 頁)
はじめに
01. 日本の文化政策と自治体の役割
02. 研究成果報告会 公開シンポジウム基調講演 平田オリザ氏
03. 文化政策グループ
NPOアートサポートふくおか
福岡県宗像市
NPO法人太宰府アートのたね
新潟県十日町市
新潟県 新潟市
04. 公共文化施設グループ
いわき芸術文化交流館アリオス
金沢市文化ホール
金沢市民芸術村
可児市文化創造センター
長野市芸術館
富士見市市民文化会館
小金井 宮地楽器ホール
所沢市民文化センター ミューズ
三田市総合文化センター
兵庫県立芸術文化センター
05. コミュニティ創生グループ
大分県大分市
山口県萩市
石川県珠洲市
06. 文化創造・発信グループ
NPO法人BEPPU PROJECT
NPO法人尾道空き家再生プロジェクト
NPO 法人まちづくりプロジェクトiD 尾道
NPO 法人越後妻有里山協働機構
長野県大町市
07. 総論
終わりに CASE DATA
日常生活の中で最も身近な器である「食器」作りの基本を1冊に。毎日使う器だからこそ、使い勝手が良いように作ることが大切。食器作りの定評のある4人の陶芸家が基本的な形から、トンカツ皿、湯呑、ポット、深鉢、徳利、片口、飯碗、カフェオレボウル、マグカップ、高台小皿など目的にあった器の作り方を紹介。
絵画、建築、音楽など、西洋の芸術を学ぶ基礎文献を解説。48の原典で触れる西洋芸術の思索の豊饒。
人間の条件と可能性を大胆に更新する人類学者インゴルド。ジャンルを越えて共感を呼んだ『ラインズ』につづく待望の邦訳。“線”から“つくること”へ!
美学は、美とは何か、を考える学であり、芸術学は、芸術とは何か、を考える学である。美は、芸術に限らず、自然にも存在している。
本書は、自然美にも言及するが、考察の主体を芸術美におき、芸術が、文化の総体と深く豊かに関わっていることを、具体的芸術作品に即しながら、詳しく考察する。前半においては、全体に亘る体系的な考察を行い、後半においては、世界史上初の本格的美術批評家であったディドロの美学・芸術学の深く豊かな意義を明らかにしてゆきたい。
1.美と芸術について 2.美の本質 3.芸術の本質 4.自然美と芸術美 5.美術 6.場共生芸術ー音楽・演劇ー 7.場超越芸術ー文学ー 8.場超越芸術ー映画ー 9.建築 10.芸術の体系的分類 11.美術館の政治性とルーヴル美術館の歴史 12.ディドロ美学の始源 13.ディドロの関係の美学 14.ディドロの美術批評ーシャルダンについてー 15.ディドロの演劇美学
とある学校の芸術科クラスに通う5人の女の子。
彼女たちがデッサンしたり、粘土をこねたりしてるのを見てると、いつの間にかこっちも一緒に授業を受けてる気分に!?
きゆづきさとこの大人気美術系4コマがついに発売!!
分野横断型「インタラクションデザイン実践・研究」の最前線を事例とともに解説。デザインを学ぶ大学生・大学院生、企業人、社会人必携の書!
美術系4コマの決定版「GA」第2巻がついに登場!!
今回もカラー原稿盛りだくさんなスペシャル仕様!!美術大好きな人もあまり興味ない人も、絶対損はさせない1冊。如月たちと一緒にアートな気分に浸ってみてね!!
江戸時代の談義本2作を、読み易い訳文とともに文庫化。いずれも、宮本武蔵『五輪書』とならぶ「剣術の秘伝書」であり「人生の書」でもある。「天狗芸術論」は、剣術者が深山で天狗に出会い、老荘や孔子・孟子、仏教思想をまじえて「芸術」すなわち「武芸」と「心術」の核心に触れる。「猫の妙術」では、どんな猫も敵わなかった大鼠を、一見のろまな古猫が簡単にやっつけてしまう。若い猫たちと家主の剣術家は、古猫に教えを乞う。
滑稽さの中に教訓と風刺をまじえて江戸時代中期に流行した「談義本」の祖とされる佚斎樗山が著した2作を、読み易い訳文と注を併載して文庫化。
いずれも、学術文庫のロングセラーである宮本武蔵『五輪書』とならぶ「剣術の秘伝書」として知られるが、剣術のみならず「人生の書」でもある。
「人は動物なり。善に動かざる時は必ず不善に動く。・・・種々に変転して止まざるものは人の心なり。」と始まる「天狗芸術論」は、奥義を極めたいと深山に入った剣術者が天狗たちに出会い、老荘思想や孔子・孟子、仏教思想をまじえて「芸術」すなわち「武芸」と「心術」の核心に触れる話。「学問剣術ともにただ己を知るをもって専務とす。」と言い残して、大天狗は去る。
「猫の妙術」では、勝軒という剣術家の屋敷に住みつき、どんな猫も歯が立たなかった大鼠を、一見のろまな古猫がなんなく銜えてやっつけてしまう。そこで、若く元気な猫たちと勝軒は、この古猫に教えを乞う。修業とは、また、教えを授かるとはどういうことなのかーー古猫は語る。
神戸女学院大学名誉教授で武道家の内田樹氏が巻末解説を執筆。
天狗芸術論
大意
巻之一
巻之二
巻之三
巻之四
猫の妙術
訳者あとがき
解説 内田樹
感性と知性を統合させる教育改革の原典!教育・心理・造形の諸分野を横断する本書には、21世紀の「希望の原理」がある。
第1章 教育の目的
第2章 芸術の定義
第3章 知覚と想像力
第4章 気質と表現
第5章 子どもの芸術
第6章 無意識的な統合の方式
第7章 教育の自然な方式:第8章 規律と道徳の美的基盤
第9章 教師
第10章 環境
第11章 必要な革命