「あんたは生れたときから毎日、銀ブラをしていたんですからね」と言われて育った著者が語る、戦前の銀座周辺の暮らし、幼かった日々。そして、時代小説の名手ならではの、江戸の暮らしのあれこれ、人情味溢れる筆致で綴られる日々のよしなしごと…。細やかな心のひだが描き出す贅沢な名エッセイ集。
フィールドワーク資料に基づき、村落内における人々の間の結合関係(血縁、地縁、信仰や生活互助など)と、国家権力との関係を取り上げ、中国社会における深層の政治社会構造に迫る。
基本的人権の尊重を掲げる憲法のもとで学んでいる現代日本の学生たちにとって、人権が尊重すべき権利だということは常識になっている。ところがそのために、むしろ人権についてまじめに考える機会は少なくなっているかに見える。それは人権が侵害される状況が、どこか遠い世界や遠い昔の出来事でしかないとの認識につながっている。そのような若い人たちが人権という思想を知り、現代社会における人権侵害の現状や、それを克服するための社会制度について学び、人権を身近な問題として考えるようになってほしいと願い、そのための分かりやすいテキストを目指したのが本書である。
現代の法・政治思想では各人のアイデンティティの在り方を含めた「自己決定権」の重要性が声高に主張されているが、「“私”自身は一体何を求めているのか、何者になりたいか」を完全に分かっている人間はいない。文化的・技術的な複雑さがますます増大していく現代社会において、自らの置かれている状況を把握したうえで「自己」決定するという当たり前のことが困難になっている。ポストモダン系フェミニズム法哲学の旗手コーネルが、「中絶」「ポルノグラフィ」「セクシュアル・ハラスメント」の三大テーマに焦点を当てながら、「イマジナリーな領域への権利」保護という視点から、ポスト・リベラルな正義論の可能性を模索する。
40年代半ば〜50年代を代表するジャズ系ポップ歌手で、ハリウッド・スターでもあったドリスのベスト。彼女の主演映画で歌われた曲が多く、そのシーンを思い出す方も多いだろう。ドリスの代表曲(1)や彼女のTVショーのテーマでもあった(15)などの名曲ぞろい。
アメリカの40年代のスタンダード・ナンバーのカヴァーを中心にした、CMソング(2)を含む小野リサのニュー・アルバム。プロデューサー、オスカー・カストロ・ネヴェスとの息の合った、アダルトで洗練されたボサ・ノヴァのアレンジに脱帽。★
各地のクラブに“乱入”しながら、ジャズの源流を辿る米国の旅を終え、終点のNYで録音されたソロ・ピアノ集。奔放で力強い即興、時にロマンティックな面さえ見せる情感、優美な歌心が、旅の収穫を伝える。一音でスウィングさせてしまう達人の力量に脱帽。
75年に発表された、NSPの5thアルバム。当時の流行語で言えば“等身大”の世界を叙情たっぷりに歌っている。飾り気のなさが彼らの魅力であり、同時に物足りなさでもある。とはいえ雰囲気を変えることもなく、自分たちのサウンドを守り続けたグループだった。
ユニバーサルの有名なライブラリーの数々を、“ゴールデン・ヒット・パレード”と題して贈るシリーズ。銀幕の大スター、ビング・クロスビーが代表曲の数々を収録。
2004年にデビュー35周年を迎えたアニソンの女王、堀江美都子のべスト・アルバム。69年のデビュー曲「紅三四郎」から「ゴーダンナー」まで、その瑞々しい歌声を高音質でじっくりと。
スティーヴ・ガッドをはじめとした海外参加ミュージシャンのメンツ、よってどうしたってハイ・クオリティになるサウンド性に驚き、そこに乗っている声が物語る歌謡曲テイスト満載の歌詞世界との妙なマッチングに再びビックリ。カラオケ盤を出してくれ。
女性ファンから圧倒的な支持を得ているCLAMP原作によるテレビ・アニメのヴォーカル・アルバム。元気一杯の曲からしんみり聴かせる曲までバラエティに富んでおり、構成も聴きやすいものになっている。曲間にある“クッキング・マニュアル”が面白い。