鎌倉期に革新運動を行った南都仏教。その淵源を探り、中世的展開を薬師寺・大安寺・広隆寺の信仰などから追求する。さらに西大寺流の地域的広がりや、叡尊没後の動向を検証。南都仏教の道筋と、信仰の内実を解き明かす。
上方落語を代表する落語家の名演集シリーズ。本シリーズの最大の魅力は、昭和期の高座だけを収録している点で、脂の乗った頃の名演ばかりを10枚に厳選収録。人間国宝ならではの質の高い落語を堪能できる。
「ジーズニ」は、人生、生涯という意味で、1891〜92年にかけて作曲していたが途中で断念。一部がピアノ協奏曲第3番になったそうだ。その幻の交響曲が復元され、日本で初めて演奏されたときの映像だ。またTBS制作によるドキュメンタリーも収録。
明治政府は、新たな国教として国家神道を創り出した。近代天皇制下で、民衆は世直しをよびかける新しい宗教に救いを求めたが、政府は民衆宗教に厳しい弾圧を加えた。国家神道と民衆宗教の対決を鮮明に対置させる問題作。
発掘された中世都市「草戸千軒」と世界最初の被爆都市広島。平家の厳島神社、戦国大名毛利氏、広島藩・福山藩と城下町、地域独自の歴史を辿る。頼春水らと学問、窪田次郎の活動など、芸備独特の気質と文化に触れる。
平安時代の文学・日記等に記されている病気を詳細に解説するとともに、冷泉・花山・三条天皇の病状、また藤原道長・実資等多くの公卿の病状を現代医学にあてはめて的確に診断する。王朝貴族の実生活にメスを入れた異色作。
民衆の中に伝えられてきた日本的ユートピアとは。民話や芸能にみられる死後の世界観から、不滅の霊魂が生まれかわりを繰り返す「ウマレキヨマリの思想」を解明。さらに非農業民へのまなざしを展開し、差別の問題に迫る。
「城」とは何か、土塁と堀に囲まれ、もっぱら“戦争”の場と捉えられてきた中世の城や館は、じつは“政治的”“日常的”な場でもあった。武勇ではなく安穏を求めた社会の現実を踏まえ、中世の城の新たな実像に迫る。
都市化により失われつつある民俗的世界に対し、新たに語り出される都市伝説。池袋の女・口裂け女などを通して、都市民俗学の可能性を問う。辻の神・境など不思議の空間と、江戸をテーマに都市独自の民俗を解き明かす。
士農工商の江戸時代、少しでも上の身分への“身上り”を望んだ人びとがいた。同時に、他人に出し抜かれたくないという“上下無し”願望も存在した。これまでの身分制の見方を超えた社会を描き、自由と平等の関係を考える。
戦国乱世を駆け抜けた甲斐の虎=武田信玄。信濃侵攻から川中島の戦い、西上作戦に至る軍事、その基盤である領国経営としての棟別役、甲州法度などの内政、さらに家臣団編成に及び、信玄のすべてを詳細かつ巧みに描く。
屯倉・国造・防人・出挙・中務省・白馬節会など、どう読めば良いのかわからない古代史の人名や用語。そのすべてにふりがなを付けた便利で詳細な年表。原始〜1155年をおさめ、『国史大辞典』と連動した索引などを付載する。
さまざまな伝説に彩られ、今なお人々を魅了する源平合戦。保元の乱より奥州合戦に至る数々の戦や人物、歴史用語など、約500項目を詳細・正確の解説。文学・伝承も取り上げ、動乱の時代の全貌に迫る。系図・年表付。
約一万年前、地球規模の温暖化に伴って、海水が陸地の奥深く浸入する縄文海進が始まった。房総半島南端の館山湾にはサンゴ礁が形成され、鎌倉の鶴岡八幡宮や大仏境内は波打ち際だった。六〇〇〇年前には、現在より二〜三メートル高い位置まで海が広がり、複雑な海岸線をもつ入江には多種多様の貝が生息し、台地上には多くの貝塚がつくられた。本書は、当時の海に生息していた貝の化石と貝塚の貝をもとに、海流や海水温の変化を明らかにし、相模湾・東京湾沿岸の縄文時代の海岸線や古環境を復元する。
「大岡越前」として名高い江戸中期の幕臣・大名。将軍吉宗の信頼の下、若くして江戸の町奉行に抜擢され、防火対策や物価政策など、首都江戸の機能を強化。また、地方御用・寺社奉行を歴任し、幕府最高の司法・立法機関である評定所一座に加わり、各地の紛争を裁定する。全国各地の史料を博捜し、享保改革を支えたその実像に鋭く迫る、本格的伝記。