この本は、伊田が行ったジェンダー論・ダイバーシティ論の講義録である。15回分の講義であるので全部で15冊となるもののうちの第3回の講義録(下巻)である。
なお、長くなったので第3回講義録は、紙媒体の場合(ペーパーバック、POD)、上巻と下巻の2回に分けて発行する。
第3回講義「ジェンダー秩序の理解を深めるーーーー「美の秩序」と「ジェンダーをめぐる諸論点の検討」を中心に」(下巻)
目次
3-3-1 弱者男性論からの「反フェミ」の誤りーー「弱者男性論」や「インセ
ル」問題を考える
3-3-2 弱者による「権利の乱用」問題ーーポリコレやキャンセルカルチャー
の問題も含めて
3-3-3 「女性の安全」の名を利用したトランスジェンダー排除言説状況の
問題
3-3-4 女性運動・フェミニズム攻撃、アファーマティブアクション攻撃、困
難女性支援法攻撃の問題(コラボ問題含む)
3-3-5 異論による対立・分断か、寛容性を持った統一戦線形成か
3-4 様々な資料から見る、ジェンダー、主流秩序の状況
3-5 第3回の課題と学生の応答例
参考資料
この本は、伊田が行ったジェンダー論・ダイバーシティ論の講義録である。15回分の講義であるので全部で15冊となるもののうちの第4回の講義録(上巻)である。
『主流秩序概念を使ったジェンダー論の実践ーーダイバーシティの理解と絡めて』と名付けたこの講義で語ったことと配付レジメの大枠を紹介するものである。
なお、長くなったので第4回講義録は、紙媒体の場合(ペーパーバック、POD)、上巻と下巻の2冊に分けて発行する。
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この回は、ここまで提起してきた主流秩序という概念がどういう実践的な効果をもたらすのかが分かってくる回になるような講義である。つまり第1回講義で主流秩序という社会や自分の見方の「メガネ」を提供し、第2回、第3回講義で主流秩序とつなげてのジェンダー(秩序)についての基本とダイバーシティ、マジョリティ/マイノリティ、交差性などの理解を深めて、最近の対立を解きほぐすための視点を提供してきた。その上で、今回は主流秩序の視点が生き方における3つ【4つ】の道を考えさせるものであること、主流秩序論の目指すものが何なのか、主流秩序からの離脱とは何か、などを学ぶ。
もう少し具体的には、主流秩序のプラスとマイナス、連立方程式、カツアゲ場面で何ができるか、主流秩序への3つ【4つ】のスタンス、間接介入 、「3つの道」の視点で考えるべき多様な現実、 いざというときに動けるようになるにはどうしたらいいか、非暴力主義、 様々なケースを通じて主流秩序の状況やそれと対抗する営み、政治やメディアにおける主流秩序の状況、魅力的なフェミ、などについて学んでいく。
また学生の様々な体験談や4つの道についての考察例も紹介し、この学びの意味や効果を理解していく。
第4回講義 主流秩序への3つ【4つ】のスタンス(上巻)
目次
4-1 ここまでの話を振り返る
4-2 主流秩序のプラス面とマイナス面および主流秩序論の目指すもの
4-3 主流秩序からの離脱を考える:「3つの道(スタンス)」の提起
4-4 「3つの道」の視点で考えるべき多様な現実
4-4-1 主流秩序への3つのスタンスにかかわる考察
4-4-2 学生が考えた多様な「主流秩序への抵抗」例
4-4-3 様々な題材を「主流秩序への3つのスタンス」の視点で考える
4-5 非暴力主義について学ぶーー暴力的な主流秩序への対抗の一つ
(4-6 以降は下巻)
参考資料
このマンガはきっと、あなたを想像以上に多様なジェンダーの経験の中に投げ込む。ジェンダーについてのどんな理論もいったん忘れて、十人十色の語りに耳を傾けてほしい。
自身も性や身体への違和感に悩んだ著者が、さまざまな性自認、性的指向をもつ市井の人々56人にインタビューし、その語りをマンガでいきいきと再現。各人各様のジェンダーと生き方の関係に魅了されつつ、新たな語りへの動機と勇気を刺激される、傑作ノンフィクション・コミック。
はじめに
自分をどう称すればいいか、どうすればわかるんだろう…
女性性
男性性
人種
表現
身体感覚
性ホルモン
医療
言葉
見える・見えない・見られない
人間関係
住居
トイレ
クィアコミュニティ
築いていくもの
謝辞
注記
参考文献
ジェンダーを語る(三木那由他)
長期にわたるライフヒストリーインタビューによる調査から、求職者支援訓練が女性受講者のその後の仕事、生活や意識にどのような変化をもたらしたのかを明らかにする。求職者支援訓練を社会とつながる場として捉え、訓練を通じて獲得される「力」の獲得過程を分析。本制度の成果と今後の政策改善のあり方を考察する。
序 章 女性たちのエンパワーメント
◆第1部 日本の労働市場と女性の能力形成
第1章 就労支援とジェンダー
第2章 エンパワーメント概念の整理
◆第2部 求職者支援制度の創設と概要
第3章 公共職業訓練と求職者支援訓練
第4章 職業訓練科目の考察
◆第3部 女性たちのライフヒストリー
第5章 学卒から訓練受講前まで
第6章 訓練後から約10年間のキャリアの変遷
終 章 職業訓練が拓く女性のエンパワーメント
参考文献
初出論文一覧
資 料
資料1 求職者支援訓練 医療・介護事務科 訓練日程
資料2 求職者支援訓練後に想定される職業職種分野一覧
あとがき
索引
私たちの看護はかくも表現できるのか!
読むとつい、誰かと議論したくなる133のアジェンダ(検討課題)を提示。
2005年から続く「週刊医学界新聞」の人気連載が待望の書籍化。
ジェンダーに「男性」と「女性」しかないなんて、もう過去の話!
ジェンダーにはさまざまなジェンダー・アイデンティティがあります。自分のジェンダー・アイデンティティを探し、お家や学校、友だち関係の中で、どのように表現し、伝えていけばいけばよいか、ジェンダーの基礎から10代が不安に感じること、つらい問題への対処をワーク形式でわかりやすく紹介。
・自分のジェンダー・アイデンティティを探してみよう!
・ジェンダー・アイデンティティを表現してみよう!
・不安に感じること、つらい問題に立ち向かう方法を見つけよう!
70年代末から続いた一人っ子政策は,中国の社会構造を大きく変えた。近代化路線と同時に始まったリプロダクションにおける強権の行使と黙認・容認,抵抗と打算,家族・労働の変化等々,生殖コントロールをめぐる実践の中で,女性は酷く傷ついたが,結果として,男性中心社会は大きく揺らぎつつある。「圧縮された近代」の隣人たちが経験した,リプロダクティブ・ヘルス&ライツの変貌を鋭く分析する。
大学生・藤ヶ谷銀の秘密の趣味は女装だったが、レイプされそうになったところを同じ大学に通う仲町朝に助けられる。
朝の指令でダンスサークルに入部することになるが、朝が女性ダンス部員とキスをしているところを目撃してしまい!?
「性」の狭間で揺れ動く禁断の青春群像劇!
中学入試の社会科は、現実社会を映す鏡である。2022年の実際の入試問題の中から、中学受験のプロが9問を厳選。外国人労働者、環境、格差、ジェンダーなど多岐にわたる分野はSDGsにも通じており、大人の学びにとっても格好の教科書となる。掲載校は麻布、田園調布、武蔵、頌栄、浅野、鴎友、駒場東邦、東京純心、市川。圧倒的本気度の9問は、子どもにとってはペーパーテストでも、大人にとっては解決すべきリアルな課題だ。SDGsの第一人者による監修とワンポイント解説、巻末資料付き。
なぜみずからの性別に違和感をいだくのか?どのようにして、割り当てられた性別とは異なる性同一性を形成していくのか?「ある性別として生きる」とはどういうことなのか考えてみたい、すべての人におくる一冊。
序章 「ある性別として生きる」とはどういうことかー新たな性別観呈示のために(多様な性に関する諸概念
本書の構成)
第1章 これまでの性別観はどのようにつくられてきたかー本書の背景(性別観をめぐる学校教育領域とマス・メディア領域の立場の違い
これまで性同一性は、何によって形成されると考えられてきたのか
遺伝と環境要因をつなぐ行動遺伝学研究
“病理”としての性的自己の非典型性)
第2章 研究1 双生児データによる性同一性障害傾向の発達メカニズム(小児期から成人期までの性同一性障害傾向の遺伝と環境の影響)
第3章 研究2 多様な性同一性の形成(性同一性の測定法
身体への医学的介入とジェンダー・アイデンティティの関連
典型的性役割とジェンダー・アイデンティティの関連
性的指向の諸側面
他者や社会からの受容とジェンダー・アイデンティティの関連
ストレスコーピング・スタイルとジェンダー・アイデンティティの関連
規定されないものとしてのジェンダー・アイデンティティ)
終章 これからの性別観ー総合考察(多次元モデルからみた性同一性
多様で流動的な性別のあり方)
肉体の性別とは違う性認識を持つことが尊重されるようになってきた。先進的に見えるが、じつは日本の古典文学には、男女の境があいまいな話が数多く存在する。
男同士が恋愛仕立ての歌を詠み合ったり、経済力のある姫が一族を養う。武士は泣き、女将軍が敵に向かい、トランスジェンダーきょうだいは男女入れ替わってすくすく成長ーー。太古の神話から平安文学、軍記もの、江戸川柳まで古典作品を通して伝統的な男らしさ・女らしさのウソを驚きをもって解き明かす。昔の日本の「性意識」がいかにあいまいだったか、それゆえに文芸が発展したかも見えてくる。年表作りを愛する著者による「ジェンダーレス年表」は弥生時代から現代までを網羅。
無国境、無国籍的な田村俊子の思想遍歴をたどる。
なぜ晩年の俊子は、中国の女性問題に尽力することになったか?
日本から北米へ、そして最終的に中国にわたった田村俊子の作品とその思想を、時系列に沿って分析し、そのなかに見えた田村俊子の「ジェンダー」「人種」「階級」言説の形成の軌跡を解明する。
俊子が取り組んだ〈ジェンダー〉問題は、当時、女性たちの社会進出とどのような関係にあったのか。作家・田村俊子は、なぜ日本を離れ、カナダのバンクーバーに赴いたのか。そして、一八年間の北米滞在を終え、日本に帰国した俊子は、なぜ、また日本を離れて中国に発ったのか。俊子は、海外でどのように活動し、どのような成果を達成したのであろうか。
第1部「ドメスティック・イデオロギーへの挑戦ー田村俊子にみるジェンダー諸問題」、第2部「カナダのバンクーバーにおける思想的変遷ー日系社会を描く作品群をめぐって」、第3部「インターナショナル・フェミニストの連携ー上海時代の佐藤(田村)俊子と中国女性問題」と、全体を3部に分け追求していく。
【田村俊子は、日本から北米、そして中国へと移動し、それぞれの土地にさまざまな足跡を残した。このような俊子の半生を一言でいうなら、「コスモポリタン」田村(佐藤)俊子となろう。彼女はいかなる道程を辿って、ここに至ったのであろうか。】……「序章」より
18世紀の植民地の暗く苛烈な文化交流史において、著者はオウコチョウのようなつつましい植物に焦点を当てる。現地の人びとから植物の知識を熱心に吸収したヨーロッパ人は、奴隷の女たちが主人を欺くために使っていた中絶薬についての知識を、あえて無視した。ヨーロッパはまさに重商主義のもと、人口増加を奨励している時代だった。植物探査のはらむ深刻なモラル問題に光を当てる。アメリカ歴史学会大西洋世界史賞、フランス植民地歴史学会Heggoy賞、アメリカ医学誌協会薬学史Ester賞ー受賞。
本書は2005に提唱された「ジェンダード・イノベーション」について、JST/CRDSによる8ヵ国・地域の政策調査に基づいた事 例を紹介しています。海外では研究の性差考慮不足や無意識の偏見への意識が向上し、AIの偏りや男性基準製品の安全性課題が顕在化しています。主要ジャーナルでの記述義務化や各国資金機関での組み込み義務化などの取り組みを詳しく解説し、日本における科学的・倫理的側面の性別考慮に関しても議論の一助となることを目的とした調査報告書です。
1 背景・問題意識
1.1 セックスとジェンダーを考慮した 研究・イノベーションとは
1.2 セックスとジェンダーとは
1.3 セックスとジェンダーを考慮した 研究・イノベーションの歴史的背景
1.4 本調査の目的と調査対象
2 注目動向
2.1 多様な研究分野・テーマへの拡がり
2.2 科学研究における取り組みの制度化
2.3 セックスとジェンダーに基づく分析方法の開発
3 各国の取り組み
3.1 カナダ
3.2 欧州連合(EU)
3.3 米国
3.4 ドイツ
3.5 英国
3.6 フランス
3.7 韓国
3.8 日本
4 考察 - 今後の取り組みの方向性
4.1 公的な競争的研究費制度を通じた仕掛け
4.2 基盤的な研究環境を整備する取り組みの促進支援
4.3 国の科学技術・イノベーション政策としての方針の明確化
付録A ケーススタディ
付録B AMED・JST 共催「ジェンダード・イノベーション」
付録C 各国の主要な政策・取り組み一覧
新聞、雑誌、教科書など様々なメディアを通して広く読まれてきた島崎藤村。〈私的領域〉をモチーフとしながらも、ただの自伝や告白としてではなく、文学として昇華させることが目論まれたテクストは、社会の制度や通念に揺さぶりをかける、鋭い批評性を持っていた。
メディア・他者・ジェンダーをキーワードに、実生活と芸術、個人と社会、規範と逸脱が交錯する藤村文学を読み直し、そのダイナミズムを提示する。
序 章 島崎藤村のテクストを〈今〉にひらく
第一部 メディアのなかのテクスト
第一章 新聞小説と挿絵─名取春仙の『春』
第二章 『文章世界』のメディオロジー─『桜の実の熟する時』の読まれ方
第三章 教育実践としての『藤村読本』─「世界」と「郷土」の狭間
第四章 教科書の中の島崎藤村─仮定された「内面」への回路
第二部 テクストのなかの他者
第五章 翻訳の政治学─ルーマニア語版『破戒』/「Legǎmîntul cǎlcat」の位相
第六章 青年と〈狂気〉─『春』における〈引用〉の力学
第七章 上書き可能な〈自己〉と〈他者〉─「懺悔」と手紙の『新生』
第三部 ジェンダーを撹乱するテクスト
第八章 〈他人〉の戦争─『新生』とジェンダー規範
第九章 女の心身─「ある女の生涯」における老いと病
第一〇章 〈父性〉と〈家族〉のあり様─「嵐」の射程
あとがき
大好評『腐女子の心理学』の続編。前著より大規模な調査をもとに「腐女子」と呼ばれる女性たちの恋愛・結婚観を読み解き、ジェンダー意識とフェミニズムの分析に踏み込む。
まえがき
目次
第1章 オタクと腐女子の定義
研究1-1「『二次創作に興味を持つ』=『二次創作好き』と呼べるか」
研究1-2「『二次創作に興味を持つオタク女子』は『腐女子』を意味するか」
第2章 腐女子とオタクのジェンダー・ステレオタイプ
研究2「腐女子とオタクのジェンダー・ステレオタイプ」
第3章 腐女子とオタクの恋愛と結婚に関するジェンダー意識の比較
研究3-1「腐女子とオタクの結婚に関するジェンダー意識」
研究3-2「腐女子とオタクの異性不安の検討」
研究3-3「腐女子とオタクの恋愛に対する接近ー回避傾向の検討」
第4章 腐女子とオタクの恋愛・結婚意識
研究4-1「腐女子とオタクの恋愛と結婚の条件」
研究4-2「腐女子とオタクの恋愛と結婚のタイプ」
研究4-3「恋愛対象の理想的イメージとファン対象の理想的イメージの比較」
第5章 腐女子とオタク女子の女子力
研究5「女子力を比較する」
第6章 腐女子とオタク女子の恋愛物語の好み
研究6-1「純愛物語志向性の検討」
研究6-2「猟奇愛物語志向性の検討」
研究6-3「少女マンガと少年マンガ」
第7章 腐女子とオタクの愛を巡る規範意識
研究7「愛を巡る価値観や規範意識」
第8章 腐女子とオタクの愛に関する自己表象
研究8-1「愛に関する表象と否定的自己評価」
研究8-2「腐女子とオタクの大学生活満足度」
第9章 腐女子とオタクの恋愛強迫観念
研究9-1「恋愛強迫観念の比較」
研究9-2「恋愛強迫観念を規定する要因」
第10章 総合考察
第1節 人を動かす力
第2節 オタクの適応方略
第3節 人間は理解し合えるという幻想
第4節 ダイバーシティ・ゲーム
Intermission
エッセーと科学論文
現象を体感的に理解すること、本を読んで理解すること
Meaning of the mean--平均値の意味
腐女子研究における腐女子性
フェミニズムをだしに腐女子を語ること、腐女子をだしにフェミニズムを語ること
大数の法則
差があることを示すこと/差があるように見せかけること
「おっさん」は加害者か? 被害者か?
「アガペ」は性差別なのか?
谷崎潤一郎をはじめ、口述筆記を行った作家は実は多い。だが、ディスアビリティやケアが絡み合う空間で、筆記者、特に女性の役割は不可視化されてきた。大江健三郎、多和田葉子、桐野夏生らの作品をも取り上げ、書くことの代行に伴う葛藤とジェンダー・ポリティクスを鋭く分析した力作。
<b>女性たちがグローバルな搾取と向き合うために</b>
性産業、食品加工工業、軍事基地、観光産業、家事労働、外交の場までーーーー世界の不平等が凝縮された場所から、国境を越えて女性が連帯し、平等で平和な社会を実現するには。
背景の異なる様々な女性の声に耳をすませた鮮やかな政治学的分析。
グローバルな資本主義市場、パワーゲームが支配する国際情勢の中で、女性は自らを取り戻すためにどうあるべきか。ナショナリズムの陰で女性たちは家父長制にとりこまれることなくどう戦略をたてるべきか? 消費者である富裕層の女性と生産者である貧困層の女性はどう連帯できるのか? 私たちは何に気づくべきだろうか?
フェミニズムの分析フレームから好奇心と関心をもって世の中を眺める方法を示しつつ女性たちの置かれている状況を鋭く暴く。
19世紀中頃に浙江省で生まれ、「京劇に次ぐ第二の劇種」と称されるようになった「越劇(えつげき)」。
なぜ女性が男性役を演じる女性演劇が生まれたのか。そこでは何がテーマとされたのか。女優たちは男性俳優から何を学び、学ぶことをやめたのか。また、観客たちは何を求めたのか。
浙江省男性農民の田舎芝居にはじまる「男たちの越劇」は、彼らに指導された「少女の越劇」時代を経て1940年代の上海で「姉妹の越劇」として女性の芝居へと変容を遂げる。
中華人民共和国成立後は、中国共産党の指導により政治的な作品を生み、文化大革命という政治的混乱に翻弄される「父の越劇」時代を迎える。80年代には故郷浙江省で女性の理想を詩的に描く「母の越劇」が誕生し、21世紀に入ると女性の多様な生き方を描く「女たちの越劇」へと変容する。
越劇の形成・展開に重要な役割を果たしてきた環境や人々をジェンダーの視点から考察し、時代や社会のニーズに応じてスタイルを変え続ける越劇の姿を、一人の女性の成長史として読み直すユニークかつ意欲的な試み。