ロマンの作家福永武彦は、功緻な方法を駆使して人間の内部の問題にアプローチ、ついに「死の島」で、夏目漱石の「『明暗』に源を発した日本の現代小説の一つの到達点」(加賀乙彦)を示すに至る。本書はその芸術と人生の真実を探求した著者積年の論文集。
“日本の社会言語学史における第三のエポックを画する”。言語がコミュニケーションの用具として集団・社会の中でどう使われてきたか、各言語現象・言語運用をわかりやすく概説。待望の本。
近代の女性作家たちが、女の場から、女の性や感情あるいは心性、社会的課題などを、どのようにとらえ、表現してきたか、ということを女性は制度によって創られているとの視点に立って、近代文学を読み直したい考えから本書は編集された。分量に制約があり、短編11編を選んだが、ある程度歴史的に展望できるように配したつもりである。当然、女性史、文学史の問題をからむ質のものが多く、それが広く見通せるように選択した。
純粋芸術家の梁山泊、伝説の詩雑誌『四季』。その知性と感性を解明。
風を孕んで駆け抜け、不断に自らを生成し続けた漱石の自己劇化を追う…。
本書は、誤用や非用が発生しやすい文法範疇の1つであるヴォイスを取り上げ、日本語と中国語とを、日本語学・日本語教育の立場から、比較対照した研究書である。
山河の体勢を占して営まれる平安京。郊野と苑池に祭祀・行事が催される宴饗・奏楽・詠歌の儀式は聖代の証しである。古代天皇制の基盤をつく『源氏物語』の注解。
本書は、上田秋成の和歌をまとめて、「歌集篇」とし、それに対する考察を「研究篇」となした。歌集篇には短歌二千三百三十五首を、春、夏、秋、冬、恋、雑、賀、哀傷歌の部立で並べ、さらに旋頭歌二首と長歌四十九首及び反歌六十八首を収め、合計二千四百五十四首に番号を付し、頭注をつけた。研究篇には、「秋成作品解題」「秋成和歌研究史」「秋成の桜花七十章」「上田秋成歌巻と追擬十春」「秋成晩年の歌集“毎月集”について」「歌人秋成の位置」「秋成の歌論」「秋成略年譜」の八篇を収めた。増訂版では、秋成の新出歌を整理、六百四十九首を四季別に編んで、「拾遺篇」とした。
クイズ日本人の質問(NHK総合)、となりのパパイヤ(フジテレビ)等に出演し有名な著者が、ことばの語源、不思議をわかりやすく説明。
本書は、小・中・高における国語の系統性と体系化が立体的に眺められるように書かれたものである。小・中・高の学習指導要領をそれぞれ別冊で見るのとは違った貌が見えてくる。国語学・文学研究の方向と視点、あるいは視野を広げて言語学の方面及び国語の授業の在り方、実践に裨益する、役立つものである。