大地母神の使い、魔女裁判の被告、グリム童話に登場する老婆。史実/伝承/グリムによる近代的家庭像の創出から魔女像の変容と真相に迫る。
ひとりの女性として浮かび上がる、マリー・キュリーの素顔とその時代。偉大な科学者にして良妻賢母の伝説を打ち破り、巧みな筆で描き出す。結婚と死別、家族と戦争、アカデミーとの闘い、不倫事件、放射能の栄光と悲惨ー、彼女が直面したのはすべて現代の問題なのだ。多くの紙誌で好評をえた初版(2010年刊行)に、新たな発見や福島第一原発事故への思いもこめた改訂版。
なぜ、ヘミングウェイの描く妊婦は次々と死んでいくのか。数多くの傷病者を描くことでヘミングウェイは何を表現したかったのか。傷病に侵された登場人物たちは周縁的な描かれ方をされているものの、その陰画的存在はメイン・キャラクターを照射する極めて重要な役割を担っている。社会不安や権力への反発を投影する圧倒的な負の存在に着目しつつ、ヘミングウェイ・テクストの再読を試みる。
序章
第一章 『日はまた昇る』における語り・視覚性・客体化
第二章 「キリマンジャロの雪」における腐敗・去勢・死
第三章 「神よ陽気に殿方を憩わしめたまえ」における切断された身体
第四章 「インディアン・キャンプ」における先住民妊婦の身体
第五章 『武器よさらば』における医学と権力
第六章 「アルプスの牧歌」における言説とセクシュアリティの構築
第七章 病んだ身体ー「蝶々と戦車」における空間・身体・死者の魂
第八章 『エデンの園』における身体変容
結論
あとがき
註
引用文献一覧
索引
気鋭の研究者6人が、制度、音楽、スポーツ、投書文化、人体表象などを切り口にして、戦前期における「男性性」「女性性」の特質を浮かび上がらせる!性によって学校も学習内容も区別された、日本の教育体制に迫る!!
フェミニズムによって導入されたジェンダー観点は、時々刻々立ち現れてくる支配的な観念や絶対だと信じられている真理を、流動化する大きな力となってきた。さらにそうして生み出された流れを、観念にとどめることなく社会的現実に転化するための思考的実践が必要なのである。「フェミニズム的転回」叢書創刊第1巻目の本書は、哲学、倫理学、美学、宗教民俗学、歴史学の各分野で活躍する著者たちによる刺激的なジェンダー批評の実践である。
第1章 フェミニズム的転回のとき(大越愛子)
第2章 倫理学とジェンダーの視点(志水紀代子)
第3章 美的判断力の可能性(持田季未子)
第4章 「日本」論という思想(井桁碧)
第5章 女性史研究と性暴力パラダイム(藤目ゆき)
中世の男性は人前で烏帽子を外せず、女性は長い黒髪が必須。史料や物語から中世の人々のジェンダーをめぐる意識をやさしく紹介する。
プロローグ 男とは何か、女とは何か
第一章 男たちの烏帽子狂騒曲
1 元服して冠・烏帽子をかぶる
2 烏帽子が落ちたら一大事
3 寝るときも烏帽子をかぶったか?
4 烏帽子と身分制
5 烏帽子のダンディズム
第二章 女たちの重い黒髪
1 女の人生と黒髪
2 髪の長さは身分を表す
3 見えない女たち
4 美女か不美女か
5 かづら大作戦
第三章 中世に、女であるということ
1 女はつまらない
2 穢の問題と女の仕事
3 女も男も同じ「人」
エピローグ 烏帽子と王権
企業の社会的責任(CSR)を考慮する上で、重要な指標になっているヒューマン・ライツの問題に焦点を合わせ、企業文化論のアプローチを使用しながら、CSRの本質に迫る。著者のこれまでの企業文化のジェンダリング研究の蓄積をもとに、企業の雇用管理体制におけるヒューマン・ライツへの配慮をジェンダー平等、ワーク・ライフ・バランス、障害者雇用の3側面から捉え直し、CSRの本質を企業文化論的に解読。
本論文集は、四部をもって構成されている。第1部では、憲法と条約、雇用形態と均等待遇、性差別禁止などのテーマが、第2部では、雇用社会の基本原則・展望あるいはワーク・ライフ・バランス、第3部では、性暴力と人権、性の自己決定と尊厳、家族と婚姻、そして第4部では「ハラスメントと法」が論じられている。各テーマの第一人者、気鋭の論者による力作揃いの本論文集が、社会法とジェンダー法の協働を体現する学術書として、尊厳ある社会の実現に少しでも寄与できることを編者一同願ってやまない。(「刊行にあたって」より)。
【日本の経済政策を変える最新実証分析】
日本政府の借金はこの30年間で莫大な額に膨れ上がっており、財政の持続可能性が危惧されている。限られた予算のなかで、効率的にお金をつかう「賢い支出」が必要とされているのだ。本書は、景気刺激策としての財政出動の効果について論じる最先端の経済政策分析。財政乗数の決定要因、高齢化が財政政策の効果(財政乗数)に与える影響、公共投資の効果がインフラストラクチャーガバナンスと労働市場の柔軟性に大きく左右されること、財政政策が雇用・失業に与える影響、そして、ジェンダー平等に与える影響について明らかにする。経済政策の新たな可能性に迫る先端研究。
筆者は過去約十年にわたり、高齢化、ジェンダー平等、労働市場の観点から、財政政策がマクロ経済に与える影響を分析してきた。本書はこれらの研究成果をとりまとめ、財政政策がマクロ経済に与える影響について幅広く検討している。
第1章 問題意識と要約
第I部 財政政策効果の決定要因
第2章 財政乗数
第3章 高齢化と財政政策の効果
第4章 公共投資の効果ーインフラガバナンスと労働市場の役割
第5章 財政政策とジェンダー平等
第II部 財政政策と労働市場
第6章 財政政策が労働市場に与える影響
第7章 財政政策と失業変動
第8章 雇用対策としての財政政策
本書では、企業内の正社員・非正社員の分業と秩序がどのように構築・維持され、変容したのかを、1950年代以降の正社員とパートタイマーの人事制度をめぐる労使交渉の分析と職務評価調査による小売・流通業の現状分析によって明らかにする。職務と賃金の序列をめぐる企業内の「公平観」や処遇格差の発生メカニズムを検討し、格差の「合理性」をめぐるこれまでの議論の枠組みを批判的に検討する。
仏教は女性を救済するか?「肉食妻帯勝手」の布告より140年、僧侶の妻、尼僧、女性信徒、仏教界で女性の立場はどう変わってきたのか。女性による仏教改革運動のフェミニスト・エスノグラフィー。
ロジャヴァ以後、革命の意味は変わったーー。
【序文:デヴィッド・グレイバー】
アラブの春以後、シリア内戦、イスラム国との熾烈な対決ど、覇権政治の激戦を突破し樹立された、クルドの自治政府。欧米諸国を驚かせたのは、革命の主役がロジャヴァの女性たちだったこと。草の根民主主義、ジェンダーの解放、環境問題の重視、独占資本主義解体などを理念とする女性たちが展開する、先進的革命の実際を詳細に追う現地レポート。女性の解放なくして、革命はあり得ない!
浮かび上がる様々な問い。そして、問われる「私」。陽気・大家族・恋愛に奔放…多くのイメージに囲まれたイタリア。その実態とは?
建築家・磯崎新は、公営住宅に「ジェンダーの視点」を実現できたのか?「女性専用車両」で想定される性別とは?地理学からの、男性研究・ジェンダー論。
独自調査と警察庁資料に見る政府主導の日本人「慰安婦」送出の実態、背景にある遊郭の暗い歴史を辿り、日本のジェンダー平等を問う。
序 章 日本人「慰安婦」はどこにでもいた
第一章 ビルマ従軍の日本人「慰安婦」調査
第二章 政府はこうして、日本人「慰安婦」を集めた 「警察庁資料」は語る
第三章 遊郭へ私の旅
第四章 米兵のための「慰安所」と国民の知る権利
第五章 日本人「慰安婦」はジェンダーの根幹
伝統的な社会規範や家族観などがいまだ根強く残る現代日本において、家族をめぐる実態やその変容を分析し、展望や課題を明らかにする研究書。研究者と実務家らが協働して、ジェンダー・セクシュアリティ・子どもの視点から現行法制度の課題を考察し、その再構築の必要性を提起する。
序章 家族と法制度の変容 (二宮 周平)
==1部 家族のリアルを問い直す==
◆1 現代日本と家族のリアル
1章 新自由主義以降の家族規範の変容とグローバル資本主義の展開 (海妻 径子)
-フェミニズムの新潮流
2章 子育て支援と家族主義 (松木 洋人)
-子どものケアをめぐる論理を書き換える
3章 男の介護を通して見る「ケアとは何か」 (平山 亮)
4章 若者の結婚言説にみる結婚観の〈変質〉と親密性の変容 (永田 夏来)
5章 ステップファミリー (野沢 慎司)
-複数世帯を横断するネットワーク家族の可能性と法制度の再構築
コラム1 子ども視点の面会交流支援 (光本 歩)
◆2 セクシュアリティの多様性と家族の変容
6章 異性愛を前提とする家族概念をはみ出す同性パートナーシップ制度 (風間 孝)
-ケアの視点からみた渋谷区と世田谷区における制度化
7章 セクシュアルマイノリティの家族形成 (杉山 麻里子)
8章 トランスジェンダーが子どもをもつこと (小門 穂)
-性別変更と生殖医療
コラム2 「GID法律上も父になりたい裁判」 (山下 敏雅)
==2部 法制度の再構築を考える==
◆1 ジェンダーと原理論・法構造
1章 「近代家族」を超える (三成 美保)
-21世紀ジェンダー平等社会へ
2章 家族と民主主義(田村 哲樹)
3章 憲法・人権からみたジェンダーおよび親密圏 (齊藤 笑美子)
4章 暴力とジェンダー (矢野 恵美)
-性犯罪、DV、セクハラを中心に
◆2 セクシュアリティ・子どもからの法制度の再構築
5章 セクシュアルマイノリティに関する国際社会の議論の到達点と課題 (谷口 洋幸)
6章 子どもの権利保障 (大江 洋)
-親子法制の見直し
7章 子ども虐待対応に関する現行法の問題点と改正私案 (山田 不二子)
8章 子どもの権利向上の視点からの「家族」支援法制の考察 (鈴木 秀洋)
-地域ネットワーク再構築と里親制度推進を中心に
終章 血縁・婚姻から意思へ (二宮 周平)
-家族の法制度の再構築