日本の近代化の中で、なぜ真宗門徒は苦しさに耐える倫理を持ちえたか、その信仰と生活の面から追究。正直・勤勉を旨とする熱心な真宗門徒の実態を歴史学・社会学・民俗学の方法で明らかにし、宗教社会史を提唱する。
古代中国のホトトギス・カラスを題材に日本古来の俗信や信仰を解明し、東西の古代氏族の実態を探る。また古代の政治情勢や廃太子、中世の太子信仰、天皇陵の改定など、政治と文化の多様な問題を、斬新な視点から追究。
百万の人口を擁する江戸は、火事が頻発する災害都市でもあった。この江戸には無数の地下室=穴蔵が設けられていた。江戸の特色といえる穴蔵の万般について、都市の構造とそこに暮らす人びとの生活実態を通して迫る。
御家人制研究会編『吾妻鏡人名索引』の第1部人名索引に立項されている人名について、生年・没年・父・母・初見・終見・通称官職名等の8項目に注釈を加えたもの。
室町幕府は、幕府・守護体制とよばれる権力機構を基本構造とした。軍事指揮権の視点より、軍忠状・着到状など関係文書の機能と役割を明らかにし、権力機構の特質を追究する。あわせ足利一門守護の軍事権限の実態を解明。
堕落した女帝と評価されてきた孝謙=称徳天皇。その復権を目指し、皇位継承問題や道鏡との関わりなど、錯綜する歴史を解きほぐす。新しい観点から宇佐八幡宮神託事件の真相と、皇統にたいする苦悩の決断を究明する。
重要な史料でありながら、日記は十分に利用されてこなかった。同時進行的な史料でありながら、筆者の主観や省略された記述が難点となっていた。しかし実際の日記は多様で、個性があり、筆者の性格や時代状況を知ることにより、新たな事実と魅力を引き出せる。本書は代表的な日記から中世社会像を透視し、史料としての日記の可能性を探る。
インド思想の中で、宇宙の根本原理を新しい方法によって証明する密教は、悟りを得るだけではなく、儀礼やマンダラを通して、日常を肯定的に評価する。ネパール・中国などをへて日本に至る展開を巡り、その特質を解明。
禅宗は日本の中世社会に大きな影響を与えた。放下僧ら民間宗教者の禅宗受容や旧仏教との対立の様相から禅宗像を再検討する。また禅と念仏・神祇信仰の関係、禅宗寺院の組織と仏事法会より中世後期仏教の特質を追究する。
室町前期の武将。将軍足利義教と関東公方持氏という二人の権力者の間で、翻弄されながらも調停を試みた関東管領。度重なる諌止を拒否する持氏と対立し、終に永享の乱で心ならずも持氏を死に追込む。乱の終息後、政界を退き、僧侶となって諸国を放浪し、長門国で没する。儒学に志篤く、足利学校を再興したことでも知られる武将の波乱の生涯を描く。
内憂外患の中で、儒学倫理をもとに「世界の中の日本」を構想し、近代化の論策を編み出した政治思想家。松平春岳・橋本左内・坂本竜馬らとの交遊を交え、非業の最期に至る波瀾の生涯を、幕末社会にダイナミックに描く。
火曜夜7時放送中・日本テレビ「伊東家の食卓」驚異のマル得裏ワザ大集合!目に何枚ウロコがあっても足りないほど落ちる。
日本を代表するエリート養成機関として名高い東京大学。だが、その「若き日」の姿は意外に知られていない。明治期の東大生気質や教員の姿、卒業式と「恩賜の銀時計」など数々のエピソードからつづる、東京大学の歩み。
高知生まれの自由民権思想家。明治国家建設にあたり、『民約訳解』などルソーの厳密な翻訳を著し、フランス革命の文明論的原理を追求、フランス学派の代表と目された。民権理論の中核にありながら運動ではほとんど常に孤立。野党統一を求めつつ果たせなかった、奇人として知られる彼の理想とは何だったのか。挫折と苦悩の生涯を大胆かつ精密に描く。
手塚治虫のストーリー漫画や長谷川町子の四コママンガはどこからきたか。コマを送るストーリー漫画の画期的なスタイルが生み出されたのは、大正デモクラシーの時代だった。現代コミックへとつらなるマンガ出生の物語。
ラッコを獲って暮らすアイヌの千島列島は、エトロフを国境として江戸幕府に分断された。開発に駆り出される奥羽民衆、風俗改変を強いられるアイヌ。境界の島に渦巻く思惑と葛藤を見つめ、「国境」創出の意味を問う。