学問領域を越えて翻訳のあり方を問う。
複言語主義について、CEFR以前にこの思想が形成されていたイタリアの言語事情とその展開、複言語教育の創造的アプローチ、CEFR補遺版が着目した媒介をひとつの概念装置として文学や思想の翻訳を分析する営みへの活用など、多角的に動態を解明する。
本書は、“言語”、より一般には“記号”、すなわち、“社会文化的コミュニケーション”の問題系において、イデオロギーは、どのような意味を持つのか、イデオロギーの持つ記号論的、社会文化的特徴はどのように性格づけられるのか、それを明らかにすることにより、言語、方言、語用、記号、社会文化的コミュニケーション、そして、それらを対象とする諸学、全ての学知が、どのような意味でイデオロギー的であると言えるのかを、できるだけ精確に明示する。
怖くて、深くて、おもしろい!普段使っているあの漢字のルーツはとても怖かったー。掲載150字以上!
言語教育・学習におけるグローバル化の視点と目標、および運用原理を再検討し、多様な実践を営むための教師教育の方向性を見すえる。
著者による序文
謝辞
第1章 言語の教師教育を描き直す
訳者座談会1:日本の英語教育と日本語教育に「ポスト」がもたらすもの
第2章 知る
第3章 分析する
第4章 認識する
第5章 為す
第6章 見る
訳者座談会2:「見とおす」目を持つ言語教師とは
第7章 モジュールモデルを (改めて) つくる
訳者座談会3:モジュールモデルの視点から見る日本の言語教師教育カリキュラム
補論1:メソッドとポストメソッドーー両者は本当にそこまで相容れないものなのか?(デイヴィット・M・ベル)
補論2:TESOLにおけるメソッドーー変化の過程と挑戦的な傾向(B・クマラヴァディヴェル)
訳者座談会4:クマラヴァディヴェルとポストメソッド
参考文献
索引
本書は、多様なアプローチからの研究方法を用いてナラティブ(語り)を考察する実証研究論文9本とイントロダクションから構成される。様々な場所で、様々な人を相手に語られたナラティブを紐解くことで、そこに反映されている現代の価値観や社会規範を批判的に読み解き、それに基づく問題の所在とその解決を導くことをめざしている。
執筆者:相田慎、石原凌河、植田栄子、大場美和子、佐藤彰、秦かおり、村田和代、山口征孝、吉田悦子、饒平名尚子
イントロダクション
第1部 国を越えた移住
第1章 日本在住日系人へのインタビューナラティブの談話分析ー表出するアイデンティティに着目して 村田和代
第2章 中国人技能実習生が就労する養鶏場で語られた問題の分析ー日本人雇用者・従業員のインタビューにおける言語的特徴に着目して 吉田悦子・大場美和子
第3章 高度専門職移民のナラティブ分析ー認識人類学的アプローチからの示唆 山口征孝
第4章 Brexitを契機に顕在化した排除・調整・共感の中でー在英日本人移民のナラティブを分析する 秦かおり
第2部 震災の経験
第5章 仮定の語りにおける語り手のアイデンティティ構築ー震災経験をどう語るのか 佐藤彰
第6章 過去の災害の語りから未来の災害を展望する 石原凌河
第7章 いわき市内の小学校における講演「放射線のおはなし」-「質疑応答」から見えること 相田慎
第3部 診療の現場
第8章 あるナラティブ・セラピーにおける人種・アイデンティティ・ことば 饒平名尚子
第9章 医師に対するインタビュー・ナラティブ分析ーメタ言語の可視化によるNarrative-Based Medicine(NBM)への貢献 植田栄子
索引
執筆者紹介
〈内なる国際化〉が進む現代日本の病院や薬局で・警察や裁判で・役所の窓口や学校で。現場は日常どのような事態にあり、そこで何ができるのか。
医療通訳・司法通訳・行政通訳を3本の柱に、手話通訳、難民認定に関わる通訳、服薬指導やDV相談、災害時など有事のさいの通訳にも周到に目配り。全体像を建設的に提示する初の概論。
超音波検査で「はっきりとはわからないが女の子」と言われた妊婦さん。はっきりとは、の部分をしっかり訳せなかったために、一家は赤ちゃん用品を全部女の子用で揃えてしまった……放火事件の裁判員裁判で、被告人の母語の通訳人はいないので英語で通訳する。ガラスの割れるガチャンやバリンはさてどう訳す……市役所の相談窓口に受付終了まぎわにやってきた女性は、なかなか口を開かない。生活保護を受けたいのだとやっとのことで聞き出して、閉まりかかった庁舎の担当課へ同行する……
2012年の住民基本台帳法改正で、外国人は制度上も、住民票を交付される地域社会の一員として明確に位置づけられるようになっている。コミュニティ通訳の必要を裏づけるのは、基本的人権としての〈言語権〉の概念である。通訳がスムーズに成り立つには、通訳を使うユーザーの側、つまり言葉の壁のある外国語話者と、受け入れ社会の専門家の両方のユーザー教育が欠かせない。すぐれた通訳者養成のためには、社会人の学び直しのプログラム整備が急務であろう。通訳者教育はこれまで、外国語と海外文化の理解に注意が向きがちだったが、今後は特に、少数言語のわかる外国出身の通訳者が日本の社会と文化について知識を深められる場をつくるべきである。大学間あるいは教育機関と専門機関との連携に、さまざまの可能性を追求できる。--そうした積極的な提言に、本書は満ちている。
日々現場に立つ通訳実務者、通訳者を志す人、通訳・翻訳研究者、医療・司法・行政・教育・福祉等の専門家と関係機関、そして、多文化社会に生きる市民としてすべての人に関心をよせてほしい。危急の〈社会問題としての通訳〉。
“ことばを使う行為”を通して、私たちはどのような女/男であろうとしているのか。“ことば…”はジェンダーの権力関係にどう左右されるのか/どう変革しているのか。ジェンダーに関するイメージ・規範・カテゴリーは“ことば…”によってどのように作り上げられ正当化され普及しているのか?研究史と最新の成果。
母語話者といえども、我々の発話は実はたいてい非流暢である。しかし、母語話者の非流暢性は学習者の非流暢性よりも気付かれにくい。なぜか? 母語話者流の非流暢性を学習者に教えたらどうなるか? 健常者の非流暢性は言語障害者の非流暢性とどう違っているのか? AIが非流暢に話したらもっと人間らしく聞こえるのではないか? 言語学・会話分析・日本語教育・言語障害・合成音声の研究者による最新の成果を収めた論文集。
本書は、認知言語学的な観点から、日常言語と文学言語の修辞性と創造性の問題を、文法を中心とする言葉の形式的な側面だけでなく、言葉の創造的な担い手である表現主体の心的プロセスの諸相との関連で考察していく。これまでの言語研究の閉塞性を打破し、認知科学の関連分野に新たな研究の方向を示す。また、知のメカニズムの解明に関わる認知科学の関連領域の研究に重要な知見を提供する。
分析哲学では外在主義がほぼ定説となっている一方、チョムスキー以降の言語学では内在主義が当然視されている。両主義の間には明白な対立があるにもかかわらず、哲学者が現代言語学の研究に言及することはほとんどなく、逆に言語学者が外在主義に言及することもほとんどない。
外在主義が「言語表現は外的環境の事物を指示し、文は真理値をもつ」ことを前提とするのに対し、チョムスキーは「意味の理論にとって指示や真理の概念は無用である」との立場をとってきた。しかしながら認知言語学はチョムスキー派言語学と異なり、言語使用者と外的環境の相互作用が意味と概念の成立基盤をなすと考える理論であり、外在主義と無関係ではありえない。
外在主義の想定と認知言語学の想定の両立可能性を仔細に検討し、哲学と言語学の架橋を図った画期的研究。※全編英語
Preface
Chapter1 The (Lack of) Impact of Externalism on Cognitive Linguistics
1.1 The Internalist Turn in Linguistics
1.2 Internalism in Philosophy
1.3 Externalism
Chapter2 Social Externalism and Prototype Semantics
2.1 Partial Compatibility of Social Externalism and Cognitive Linguistics
2.2 Social Externalism and Incomplete Understanding
2.3 Incomplete Understanding of Concepts
2.4 Sawyer’s (2003) objection to Wikforss (2001): ‘sofa’
2.5 Conceptual or Analytic Truth
2.6 Prototypes and Incomplete Understanding
Chapter3 Incomplete Understanding and Construal
3.1 Twin Cases and Frege Cases
3.2 Prototype and Concept or Epistemology and Metaphysics
3.3 Conceptual Content vs. Construal
3.4 Construal and Frege’s Sense
3.5 Frege’s Constraint and Incomplete Understanding
3.6 Identity and Distinctness of Concepts
3.7 Minimal Semantic Competence
3.8 Incomplete Understanding as a Basis of Construal
Chapter4 Deferential Construal
4.1 Different Construals vs. Same Concept
4.2 Frege Cases and De Jure Coreference
4.3 Construal and Mutual Understanding
4.4 Deference
Chapter5 Physical Externalism and Polysemy
5.1 Social Externalism vs. Physical Externalism
5.2 Deference and Physical Externalism
5.3 The (Un)importance of the Putative Underlying Structure
5.4 The Polysemy of ‘water’
5.5 Cognitive Linguistics and Physical Externalist Intuition
Epilogue
References
Index
武術の心と身体の使い方をもとに
現代人のコミュニケーション力を養う!?
力が無い、身体が小さい、お金が無い、知識が無い、権威が無い…そういう弱さに敗北感を感じる必要は無い! 作家であり、古武術活用研究家である著者が、武術を通して得た発想や身体感覚を交えつつ、現代人がコミュニケーションに活かせる兵法を伝授します。「切るより、引き出す」、「執着を去り、自由な心を得よ」... etc. 武術愛好家はもちろん、武術未経験者にも役立つ武術の智慧を日常生活や仕事に活かすヒントをわかりやすく紹介します。負けず勝たずの話術の極意です!!
CONTENTS
第1章 敵をつくらない話術
柳生新陰流会話術
「切らず、とらず、勝たず、負けざる」剣/喧嘩は弱いが、口は立つ!?/
話術はいつも本番/争いの根を消す
会話力は、語彙の量では決まらない
語彙と筋力/競り合わず「無刀取り」/もてる知識は全部使う
コミュニケーションと視覚
話題に困ったら?/視覚に導かれる飛躍/「視聴同時」の感得
第2章 人との距離
「間合」を制する
斬らない「間合」/「親しみ」と「遠慮」/攻撃的な相手の場合
上下関係と距離感
隠れた依存心/自分が恐がられたら/上下を超えた対話
最も危険な「近間」
人は自然には話せない!?/改めつつ、変化に対応/怒りと支配欲
聴く力としての「目付」
相談されたら?/切るより、引き出す/とらわれず、流れを生む
勇気と自由
困った人/入口でよく吟味/自由になることが肝心/
欲がなく、志のある消極主義
第3章 コミュニケーションの「ものさし」
虚と実
文章の虚実/形のない「実」/「虚」が生む度量
男女の会話から
女の話は長い?/意外に合理的な女性達/自分の話ととらえる
夢、データ、武勇伝
「教える」男子/武勇伝の歴史/個人を見つめて勝負
褒められた時
決まり文句の罠/欠点が褒め言葉を活かす/素直に喜ぶ
欠点を突かれた時
切られる線は一本/複数の価値基準/反省し、動揺しない
第4章 言葉の転換
いい形容、悪い形容
両極端を知る/間接的に褒める/「対」の活用
人をコントロールしない
「人脈」を疑え!?/人生はその人のもの/例外的なケース
受け手の技量
ものは言いよう/浅い解釈は身をほろぼす/「その心」を考える
第5章 実践修行
日常会話の磨き方
「おばちゃん的」話術者/武器はいつ持ち出すか/「事理一体」の工夫
仲裁
論戦が生む盲点/目を開いて語る/仲裁で、中心を知る
予習と復習
会う前にできること/予習が自分を変える/日常にとけ込む復習
節
忍術の知恵/一貫した伏線/「辻褄合わせ」の苦しさ
独立心
小よく大を制す/自分で考えない人間/独立心と気概
第6章 理とその奥
表と裏
…他
意識とは何か?意味とは何か?答えはこの本の中にあります!位相空間論が奏でる意識と意味と物理空間。
“普遍理論”はどこが画期的なのか?どこが不十分なのか?ブラウンとレヴィンソンによる20世紀を代表する社会理論を、従来あまり話題にされなかった点も含めて詳しく解説。さらにそれを発展させた著者の「ディスコース・ポライトネス理論」の最新の内容を公開!
新郎新婦の会社の社長・部長・課長・店長、両親の来賓、恩師…。スピーチの基本から、スピーチをするときの姿勢、表情、話し方、忌みことばまで、この一冊にすべてを網羅した、主賓・来賓としてスピーチする人のための文例集。
日本の文字の進化論的図式は正しいのか。
漢字から「万葉仮名」へ、そして平安時代の仮名へ。
『万葉集』を世界の文字史から見ると、7・8世紀の日本の書記や文学の歴史の問題がより明らかになる。
「万葉仮名」は歌を書くなかで生み出されたのではなく、
書くためにふさわしいメディアとして意識的に選びとられたものであった。
『万葉集』を通して世界を見るダイナミックな視点も提示。
古代日本の研究成果が、世界の文字史研究に寄与することを説き、日本古典研究の明日を拓く。
世界的規模の人類文化史的視点から、独自の『万葉集』文字文化の研究を進める気鋭の学者による、講演録。
はしがき(小川靖彦)
講師紹介(小川靖彦)
*
1 はじめに
『万葉集』の書記の多様性
「表音文字」と「表語文字」という視点
2 世界の文字史の伝統的な史観における〈表語〉と〈表音〉の関係
〈表語〉から〈表音〉への〈進化〉という捉え方
アルファベット=〈文明〉という神話
“表語から表音へ”という図式では説明できない
3 表音への〈進化〉とその〈干渉〉という概念が日本に当てはめられる
ディリンジャーの文字史観の限界
「東洋史における悲劇」
当たり前のものでない「言文一致」
「偉大な勝利」として複数のリテラシーの併存
英語のスペリングの表語性
文字制度をどのように捉えるべきか
4 『万葉集』と世界の文字史
表音文字主体の書記の少ない『万葉集』
表語文字主体から表音文字主体へという一九七〇〜八〇年代の定説
歌木簡の発見によって覆った定説
さまざまな要因によって選択された表語文字書記・表音文字書記
表音文字主体書記の多様性
5 おわりに
表語文字の排除という問題
『万葉集』から世界の文字史へ
講演を聴いてーコメントとレスポンス
●コメント(小川靖彦)
講演から想起されたことー日本語の文字の諸相
研究史における講演の位置
三つの質問
●レスポンス(ディヴィッド・ルーリー)
西洋と東洋では反対方向となる文字の神話化
書く行為と読む行為のさまざまなバランス
文字を使ったパフォーマンス
●会場からの質問への回答
⑴
1韓国・朝鮮語のハングルのように制定者が明らかな場合には文字は神話化しないのか
2現代韓国語が漢字でなく、表音文字のハングルを使っていることをどう考えるか
⑵ 資料1ⓐⓑのように同じ歌が別の巻に重複して掲載されているのは、編集ミスによるものか
⑶ 『万葉集』の表音文字主体の歌と表語文字主体の歌とでは、英訳する際に違いがあるのか
○青山学院大学文学部日本文学科主催招聘講演「世界の文字史と『万葉集』」について(山下喜代)
プロの翻訳者が解き明かす、日・英語のギャップ攻略法。翻訳に携わる人のみならず、国際ビジネスマン、英語教師、受験生、大学生など、すべての英語学習者に最適。
言語教育の第一人者ジム・カミンズが、日本の教師や支援者向けに「バイリンガル・マルチリンガル育成」の基礎知識を語った3講演を収録。「日本語教育推進法」制定を受け、子どもの言語発達支援の具体的な指針と方策を示す。
出版にあたって
レクチャー1 マジョリティ言語とマイノリティ(継承)言語ーーバイリンガル・マルチリンガル教育の重要性[ジム・カミンズ(トロント大学名誉教授)]
はじめにーーマイノリティ言語児童生徒の課題
1.カナダの多様文化主義と継承語政策
2.移民の背景を持つ児童生徒の学業成績
3.マイノリティグループの児童生徒にとっての第1言語と第2言語の関係
4.言語間の転移を促進する教育論(Crosslinguistic Pedagogy)
5.共有基底能力と相互依存説に対する妥当な批判はあるか
6.日本の公立学校における中国系児童生徒の発達途上にあるバイリンガルの縦断的研究ーー言語政策と社会統合を焦点に
7.結論
レクチャー2 マルチリンガル環境で育つ子どもの教育のあり方について再考するーーマジョリティ言語とマイノリティ言語、両言語の力を伸ばす教育上のストラテジー[ジム・カミンズ(トロント大学名誉教授)]
はじめに
第1部 主な研究の成果
第2部 マルチリンガル学習者が経験する機会の格差に対応するため、エビデンスに基づいた指導を特定する総合的な枠組み
第3部 入れ子型教育のオリエンテーション
結論
レクチャー3 バイリンガル教育理論とトランスランゲージング教育論ーー言語政策と教育実践への示唆[ジム・カミンズ(トロント大学名誉教授)]
はじめに
パート1 第2言語教育の理論的背景に対する歴史的概観
パート2 バイリンガル教育(L2イマージョンやCLILを含む)の研究成果と2つの指導原理
パート3 「マルチリンガル・ターン」の出現と「クロスリングィスティック・トランスファー」を目指す教育
パート4 日本および他の地域において第2言語教育に関する研究と理論が示唆するもの
解説 言語マイノリティのためのバイリンガル・マルチリンガル教育論とトランスランゲージング教育論ーーカミンズ教授が示す政策のあり方・学校のあり方・教師のあり方[中島和子(トロント大学名誉教授)]
1.はじめに
2.レクチャーの経緯と背景
3.カミンズ教授の教育論の歴史的流れ
4.レクチャーの要約と実践上の指針
5.日本国内外のバイリンガル・マルチリンガル教育事情
6.2言語相互依存説ーー日本語を1言語とする実証的研究
7.アカデミック言語
8.マルチリンガルとしてのアイデンティティ
9.トランスランゲージング教育論ーーCTTとUTT
10.これからの日本の学校のあり方・教師のあり方ーー佐藤郡衛先生(指定討論者)のスライドを踏まえて
11.おわりにーーマルチリンガル教育論と年少者のための「ことばの教育の参照枠」
参考文献
資料講演に用いたスライド
2020年講演 レクチャー1
2021年講演 レクチャー2
2022年講演 レクチャー3
略歴