本書は、古代から現代にいたるまで、涸れることなく生み出されてきた歌ことばを解説したものである。『歌ことばの泉ー時・人・心・生活』に続き、一五九項目を収めた。解釈や読み方など諸説あるものは一つに絞り、作品の出典を示した。
第一部は、『蜻蛉日記』の主題にかかわる「かげろふ」の語義について考察した。第二部は、回想体の日記である『蜻蛉日記』において、道綱母の二十一年間の結婚生活の軌跡がどのように意味づけられているか、回想性や自照性という視点から作品の解明を志した。第三部は、『蜻蛉日記』の文芸性の本質を明かすのに重要と思われる語彙に着目し、その語性や語義を考察したもの、この日記の和歌的性格の一面を位置付けていくための引歌の修辞を検討したもの、道綱母の心の深層と色彩の関連、さらには色彩とこの日記の文芸性との関与について考察したもの等を収めた。
古くからの宮座組織を基盤に持つ金刀比羅宮大祭、太鼓台で知られる豊浜町のちょうさ祭り、浅野町のひょうきんなひょうげ祭り、女性だけで遣われる直島女文楽、三百年以上の伝統を持つ小豆島の農村歌舞伎など、香川の祭りをカラーで紹介する。
島崎藤村・有島武郎・遠藤周作・山本周五郎…神の御前に立つ真摯な倫理と恩寵。日本近現代文学の機軸を探る試み。
本巻には、京都市伏見区の東丸神社所蔵の『故唐律疏議』『令義解聞記』『令集解箚記』および九州大学法学部法制史資料室所蔵の『令問答』、天理図書館所蔵の『令解(一名、令集解考)』を収め、翻刻に当たっては、原本を忠実に活字化することに努めた。
最初の元寇からくだること60余年。同じ鎌倉幕府のとき、南朝と北朝、そして武将と幕府をまきこんでの争乱を華麗に綴った軍記物語の現代語訳。
本書は、これまでに出版ないし発表された埼玉方言の語彙に関する記述の集成である。特に、埼玉独自のことばのみならず従来いわれてきた東京語・新方言との関連まで捉える埼玉県を知るための画期的な辞典!巻末に埼玉方言文献目録を付す。
鮮やかなカラー写真で綴る「歳時記」・「祭り紀行」、祭りの特色を平易な文章で紹介する「解説」・「祭り探訪」。地域に根差した祭りの魅力に迫る。巻末に市町村別祭礼行事一覧掲載。
『源氏物語』の翻訳や現代語訳という研究テーマは、それぞれの訳の特徴にとどまらず、訳が生み出される歴史的、文化的背景を明らかにするという重要な問題と密接に関わっている。さらに世界文学としての『源氏物語』/日本文学としての『源氏物語』がいかにあり、今後どのように展開していくか、本巻はその過去・現在・未来をも視野に収める。
茂吉の伝記研究に情熱を燃やし続ける著者が贈る、茂吉研究の決定版。
本書は、平家物語成立過程の、特にその発生段階の状況分析を手掛かりに、輻輳するこの物語の発生事情の解明に取り組んだ、生成平家物語論、発生考篇である。