家庭内では出産・育児を引きうけ、また劣等であるがゆえ社会から遠ざけられ、さらに、男をたぶらかす悪者とされてきた、物言わぬ「女」たち。彼女らがどのようにとらえられ、表象されてきたか-その波瀾万丈な変遷を丹念にたどる新しい美術史。
ハガードや『ジキル博士』からワイルド、『闇の奥』へ、ジェンダー論を中心軸にして世紀末文化の諸相をみごとに分析。性の新たな可能性を見据えた最新の成果。
Religion and Customs (宗教と民俗)
平安時代の女性と出家(京楽真帆子)/中世の尼と尼寺(細川涼一)/「家」の成立と中世神話(脇田晴子)/新宗教の女性教祖(H.ハーディカ)/巫女とカミ(川村邦光)/現代女性の宗教意識(中村恭子)
The Body and Sexuality (身体と性愛)
男装と女装(武田佐知子)/芸者考(曽根ひろみ)/近世末の間引(落合恵美子)/近代の公娼(藤目ゆき)/売買春(森栗茂一)/性の跳梁(成田龍一)/女性の更年期(M.ロック)
社会的・文化的に性差が創られる過程を検証。歴史学・文学以外に宗教学・社会学・社会人類学・民俗学・言語学・医学・法学など多岐にわたる分野において、日本人と外国人学者の学際的研究の成果を世に問う。
邦題:「ジェンダーの日本史」
"The Self and Expression (主体と表現)
『蜻蛉日記』(C.ラフィン)/とはずがたり(阿部泰郎)/中世女性と文学(田中貴子)/女房詞(寿岳章子)/情と感傷(酒井直樹)/近代エリート女性(ひろたまさき)/物語の女(平田由美)/両性の相克(黒沢亜里子)
Work and Life (仕事と生活)
平安時代の女房(吉川真司)/女房と妻の役割(田端泰子)/海女の鑿(A.ブッシイ)/『女學雑誌』(岩堀容子)/炭坑における仕事と生活(岩屋さおり)/母性ー自然と文化(T.スギヤマ)/男の家,女の家(西川祐子)/女性労働(Y.カワシマ)/労働の概念(上野千鶴子)"
「女」が書くとは。『青鞜』に集まった女性たちはそれぞれ異なった立場と書き手としての欲望をもっていた。『青鞜』の文化的配置と不定形性・逸脱性・不整合性を孕んだ複雑な性格を考察し近代における「文学」とジェンダーとの関係を考える。
本書では、夫婦別姓・DV・離婚の三大問題について語り、現実と法のはざまでゆれる家族・家庭のなかでの女性のあり方を問う。
みんなで考えよう、男らしさって何?女らしさって何?今後の社会に望まれる男と女のあり方とは。自分らしく、満たされた生き方を獲得するのに必要なこととは。多様化の一途をたどる時代を共に生きていくために、男女両性の関係と役割とを見つめ直す。
19世紀後半、英国で大流行した〈新しい女〉をヒロインにした小説に光を当て、モダニズム、ポストモダン小説の源泉を探り当てる。
男性中心に動いてきたこの社会の枠組みを、「男女共同参画」はどう変えようとしているのか。日本における「男性学」の第一人者が、複雑化・グローバル化する現代社会に根づくジェンダー構造、男女共同参画政策やジェンダー・フリーをめぐって、各地で起こっているバックラッシュの構図を読み解く。
「女性」が登場することのなかったアフリカの歴史は、ボスラップによる問題提起「女性と開発」に触発され、新たな研究史を拓いた。「王母・大商人・霊媒師・抵抗運動の活動家など傑出した女性」「売春婦・奴隷・家事労働者・農民女性など底辺・周縁の女性」「アフリカ社会におけるジェンダーの問題」をテーマに、古代から現代までのアフリカ史を、女性・ジェンダーに視点をあてた研究の検証を通して再構築。王母、首長、大商人、霊媒師、ダンス結社、売春婦、女奴隷、寡婦、一夫多妻、女子割礼、女性夫、男性娘、セクシュアリティ、開発……。
目次
凡例
日本語版に寄せて……アイリス・バーガー
はじめに
アフリカ女性研究の動向とその意義
第一部 東部アフリカ、および南部アフリカの女性……アイリス・バーガー
第一章 古代から1880年代まで
1 アフリカの社会と文化──共通性と多様性──
2 初期の狩猟採集社会──平等主義的過去──
3 古代の女性──600年までの北東アフリカ(エジプトを含む)
4 1500年までの内陸部の社会
5 イスラーム化の時代
6 チャンスと束縛──1500〜1800年──
7 19世紀の変化
第二章 1880年から現在まで
1 移行期──1880〜1920年──
農村部の社会
都市部の社会
2 リーダーシップと抵抗
3 国家・資本・「伝統」の再構築──1920〜1945年──
都市部の社会
農村部の社会
イデオロギー・宗教・社会的統制
政治と抵抗
4 経済の再編と独立への邁進──1945〜1965年──
農村部の社会
都市部の社会
女性の組織とナショナリストの戦略
5 変化の不確定性──1965年から現在まで──
農村部の社会
都市部の社会
宗教・家族・イデオロギー
アソシエーションと教
4 女性・開発・国家
訳者ノート
訳者あとがき
民族集団の概要
用語例
年表
文献リスト
索引
ケガレという観念は決して過去のものではなく今日もさまざまな形で日本社会に浸透している。人々の暮らしの中であるいは社会的な儀礼や行事において日常の感覚とは次元の異なる禁忌(タブー)の意識が働く場合がある。本書では、ケガレの歴史的・文化的な形成過程を探る。
女性を愛してこそ、男性は自分を理解し健全な人生を歩めます。同様に、男性を愛してこそ女性は女性であることができるのです。
もっとも身近で日常的な社会意識に注目し、データによる 実証研究、理論的研究、アジアの社会との比較研究などの 多彩な試みを通して、多文化世界におけるあらたな市民社 会の構想に一石を投じる。
「家族」言説からの解放を目指して。いま、「家族」には何が起こっているのか。近代から現代へと連なる社会構造的な問題と、人間のこころ・意識とを媒介するジェンダーの視点を中心に据えつつ、法学・臨床心理学・社会学の三方面から、家族を巡る社会現象を考察・分析する。
世界的な男女平等実現への歩みを理解するために。背景にある様々な要員を視野に、女性労働の現実と今後の進展を探る。
明治の離婚率は現在より1.5倍も高い。庶民のなかでは、女も働き手として自活する力をもっていたため、男と同じ立場で離婚を選べたのだ。一方、上流階級では「家」を守るため、婚前契約を結ぶ結婚や、一方的な追い出し離婚が行われていた。当時の新聞や離婚裁判の記録から婚姻の実態を読み解きながら、「地域の慣習」から「明治民法」へと、生活規範の変更を余儀なくされた人々の姿を明らかにする。