アラブ革命が発するメッセージはアラブ世界にとどまらず、世界中の若者の心をとらえ、アメリカ、ヨーロッパでも新しいタイプの抗議行動を引き起こすというグローバルな波及効果を生んでいる。アラブ発21世紀型革命の世界への伝播が始まったのかもしれない。本書は、アラブ革命の背景を、歴史・政治・経済・社会・文化/宗教的、かつジェンダー的視点から総合的に把握する試みの一つである。
著者のこれまでの「ジェンダー」「権力」「民衆」を視点とした魯迅の分析・考察をまとめる。これまでに発表された魯迅作品の日本語訳ではほとんど留意されていなかったが、魯迅は「狂人日記」のなかで「子供」に関する言葉を使い分けており(男女、幼長の別)、それらが示す魯迅の真意を考察する第1章、「鋳剣」の中から「母・魯瑞」「旧妻・朱安」「新妻許広平」との新たな関係への魯迅の決意を読み取る第3章、「革命家」ではない自身と革命の関わり方についての魯迅の考えを詳説する第4章、そこから魯迅の思想を現在の「マルチチュード」概念につなげる終章などに著者の独自性を見いだせる。補論1は、魯迅の祖父周福清の事績をまとめた旧稿の増訂版となっており、現在も参考価値が高い。
「保健の先生」はくるしい。それはなぜ?性暴力にあった生徒の問題に向き合わざるをえなくなった著者が、養護教諭の「無力さ」の由来を徹底的に探究した果てに、たどりついた答えとは。次世代にむけたあり方の再定義へといたる希望の書。
太平洋戦争敗戦時には280万人の日本人がいた中国東北部の「満州」。その満州での移民体験と敗戦時の引揚げ体験を描いた文学を〈「満州」植民地文学〉と捉え、ジェンダーと他者の視点を軸に解明する。「満州」に生まれ育った著者がそれを基点とし、〈植民地文学〉の代表的な作家と作品を研究する。
序章
第一部 「満州国」という時代ー移民文学
第一章 打木村治『光をつくる人々』論
第二章 打木村治「満州」開拓文学における女性についての考察
第二部 「満州国」時代とその崩壊へー牛島春子文学
第三章 牛島春子の「満州国」時代
第四章 牛島春子と「満州国」
第五章 牛島春子の引揚げ作品におけるジェンダーの再編成
第三部 「満州国」の崩壊
第六章 藤原てい『流れる星は生きている』における朝鮮人像
第七章 藤原てい『流れる星は生きている』論
第八章 藤原てい『赤い丘 赤い河ー十字架を背負って』論
第九章 榛葉英治『赤い雪』論
突然の転勤命令、単身赴任、ワンオペ育児─日本的雇用システムと、それを支える近代家族。転勤の再生産領域への影響を問う。
日本的雇用システムのもと、男性にジェンダー化され、性別役割分業を強化してきた組織命令型の転勤。著者自身の帯同経験を起点に、歴史・理論とアンケート・インタビューによる分析を総合し、子育て・若年世代の葛藤とシステムの揺らぎを描き出すとともに、持続可能な社会に資するこれからの働き方と両立支援のあり方を展望する。
じゃじゃ馬・娼婦・魔女・天使など、女たちのレッテルを解読することで、女と男、そして家族に潜む権力関係に迫る。
『美術とジェンダー』から8年。再び日本・東洋・西洋美術史研究者14名による大論集。
大地母神の使い、魔女裁判の被告、グリム童話に登場する老婆。史実/伝承/グリムによる近代的家庭像の創出から魔女像の変容と真相に迫る。
なぜ、ヘミングウェイの描く妊婦は次々と死んでいくのか。数多くの傷病者を描くことでヘミングウェイは何を表現したかったのか。傷病に侵された登場人物たちは周縁的な描かれ方をされているものの、その陰画的存在はメイン・キャラクターを照射する極めて重要な役割を担っている。社会不安や権力への反発を投影する圧倒的な負の存在に着目しつつ、ヘミングウェイ・テクストの再読を試みる。
序章
第一章 『日はまた昇る』における語り・視覚性・客体化
第二章 「キリマンジャロの雪」における腐敗・去勢・死
第三章 「神よ陽気に殿方を憩わしめたまえ」における切断された身体
第四章 「インディアン・キャンプ」における先住民妊婦の身体
第五章 『武器よさらば』における医学と権力
第六章 「アルプスの牧歌」における言説とセクシュアリティの構築
第七章 病んだ身体ー「蝶々と戦車」における空間・身体・死者の魂
第八章 『エデンの園』における身体変容
結論
あとがき
註
引用文献一覧
索引
女性解放の先達とされながら、優生思想の影響や性役割容認という批判もある平塚らいてう。「ジェンダー・アイデンティティ」の確立を求め揺れうごいた、らいてうの思想と行動を、彼女の生きた時代と個性の葛藤のなかから描き出す。きわめて日常的な家事・育児にかかわりつつ、壮大な宇宙構想へ至った精神のあゆみを明らかにする。
フェミニズムによって導入されたジェンダー観点は、時々刻々立ち現れてくる支配的な観念や絶対だと信じられている真理を、流動化する大きな力となってきた。さらにそうして生み出された流れを、観念にとどめることなく社会的現実に転化するための思考的実践が必要なのである。「フェミニズム的転回」叢書創刊第1巻目の本書は、哲学、倫理学、美学、宗教民俗学、歴史学の各分野で活躍する著者たちによる刺激的なジェンダー批評の実践である。
第1章 フェミニズム的転回のとき(大越愛子)
第2章 倫理学とジェンダーの視点(志水紀代子)
第3章 美的判断力の可能性(持田季未子)
第4章 「日本」論という思想(井桁碧)
第5章 女性史研究と性暴力パラダイム(藤目ゆき)
企業の社会的責任(CSR)を考慮する上で、重要な指標になっているヒューマン・ライツの問題に焦点を合わせ、企業文化論のアプローチを使用しながら、CSRの本質に迫る。著者のこれまでの企業文化のジェンダリング研究の蓄積をもとに、企業の雇用管理体制におけるヒューマン・ライツへの配慮をジェンダー平等、ワーク・ライフ・バランス、障害者雇用の3側面から捉え直し、CSRの本質を企業文化論的に解読。
なぜ女は逃げ、叫び、そして生き残るのか? なぜ男は女を追い、殺し、そして見つめるのか? 『悪魔のいけにえ』『ハロウィン』『13日の金曜日』など、ホラー映画史を代表する作品群を通して、現代社会における性と権力の神話と構造を照らし出す。ホラー研究、フェミニズム批評、さらにはファン文化にも大きな影響を与えた記念碑的著作。
「本書の目的は、ホラー映画の観客そのものについての研究ではないし、ホラー映画というジャンルそのものについての考察でもない。本書が探求するのは、「観客の多数派」(若い男性)と、特定のホラー映画において際立つ女性のヴィクティム゠ヒーローとの関係である。この組み合わせは、映画観賞という行為そのものについて、そして表象のポリティクス、転移のポリティクス、さらには批評と理論のポリティクスに関しても、多くの示唆を与えてくれるものだと私は考えている」(本書より)
カバー・本文イラスト:學
ブックデザイン:小川純(オガワデザイン)
プリンストン・クラシックス版への序文
謝辞
序論──キャリーと男の子たち
第一章──彼女の身体、彼自身
第二章──開く
第三章──仕返し
第四章──ホラーの目
原著あとがき
訳者あとがき
付録 ホラー映画年輪型図解
作品一覧
参考文献
索引
独自調査と警察庁資料に見る政府主導の日本人「慰安婦」送出の実態、背景にある遊郭の暗い歴史を辿り、日本のジェンダー平等を問う。
序 章 日本人「慰安婦」はどこにでもいた
第一章 ビルマ従軍の日本人「慰安婦」調査
第二章 政府はこうして、日本人「慰安婦」を集めた 「警察庁資料」は語る
第三章 遊郭へ私の旅
第四章 米兵のための「慰安所」と国民の知る権利
第五章 日本人「慰安婦」はジェンダーの根幹
気鋭の研究者6人が、制度、音楽、スポーツ、投書文化、人体表象などを切り口にして、戦前期における「男性性」「女性性」の特質を浮かび上がらせる!性によって学校も学習内容も区別された、日本の教育体制に迫る!!
本論文集は、四部をもって構成されている。第1部では、憲法と条約、雇用形態と均等待遇、性差別禁止などのテーマが、第2部では、雇用社会の基本原則・展望あるいはワーク・ライフ・バランス、第3部では、性暴力と人権、性の自己決定と尊厳、家族と婚姻、そして第4部では「ハラスメントと法」が論じられている。各テーマの第一人者、気鋭の論者による力作揃いの本論文集が、社会法とジェンダー法の協働を体現する学術書として、尊厳ある社会の実現に少しでも寄与できることを編者一同願ってやまない。(「刊行にあたって」より)。