陽水の創造する空間には社会の歪みから生まれる宛先のない怒りがある。それが時代と呼応して何度目かの静かなるブームを迎えてるわけだが…。タイトルの額面通り判断すると本作は、今までリリースされた作品すべてが収録されているように感じるがライヴ音源はパスされてたりする。しかし、アンドレ・カンドレやアルバム未収録曲が収録されているわけだし大全集といっても語弊はない。512ページの超厚ブックレットには歌詞、年表、スーパー語録、50音索引だけでなく歌い出し索引なんてのも付いている。
最近は役者としての高い評価を受けている玉置サンだけれど、本業の音楽もノリにノっている。バラエティに富んだ構成の本作も、いい楽曲といい歌というポップ・ミュージックの基本から外れることなく、楽しみながら音楽を作っている様子が伝わってくる。