本書は近松作品全般の理解と鑑賞にそなえるため、全作の中から世話物の全部、時代物は特に傑作として定評のあるもの、歌舞伎は名作と言われて、よくその名を知られたもの、五十編を選んで解説したものである。
本書は、実用的な文章の訓練、特に話し方の訓練を目的として編修した。大学生・短大生・専門学校生を中心とした、社会に出る直前の勉強をしている人に使っていただきたいテキストである。社会人としての能力を基準に置いているので、文系・理系を問わず、実践的な日本語能力が養成できるようになっている。
『言海』に始まる近代国語辞典は、あまたの中小辞典を生み、大型辞典は、戦前『大日本国語辞典』『大言海』『大辞典』と続き、戦後の『日本国語大辞典』に至る。『広辞苑』の新村出を加えて、辞書と苦闘した人々の物語。
本書は、近代散文の宝石ともいうべき小品の多面的な魅力を読者に伝えるために編まれた66編のアンソロジーである。
長期にわたる現地調査に基づくバリ島宗教儀礼の研究書。豊穣儀礼・憑依儀礼の進行表や写真を多数掲載。神々と暮らすバリの人々の信仰を読み解く。巻末に便利な用語解説・索引を付す。
奈良時代初期に編纂された各国の地誌『風土記』。その成立から、当時の人々の風習・信仰・伝承に至るまで幅広く論じた一書。『風土記』の中に古代の人々の息吹きを感じ、その生活と伝承を暖かい目で捉えようとする、それが著者の『風土記』研究における基本的姿勢である。
私はここ15年余り、東歌の研究のため、その故地の実地踏査がてらその歌所の写真を撮り歩いてきた。ここになった写真譜「東国の万葉」は、これを基にして一般向けのわかりやすい解説書・案内書として編んでみた。
著者はここ二十数年来、法政大学沖縄文化研究所にかかわり、別の大学では永年、沖縄史を講じた。その間、南西諸島の各地を踏査し、また台湾や中国・東南アジアの各地を訪ねた。ここに収めた論稿は、その踏査報告の一端である。ただし、ここでは島々で口づてに語られている説話と、その説話を伝承させた各島の集落社会を紹介することに主眼をおいている。冒頭に、かつて筆者が二年ほど居住したことのあるシマの民俗誌を掲げ、琉球諸島の基本的な村落構造や信仰体系などの一事例を示している。
激動の昭和史に大きな足跡をのこした高見順(1907〜1965)の文学の精髄を半世紀にわたって自らの精神形成の糧として生きてきた著者が、高見順の全仕事から市井の一読者の眼で小説84編を中心に評論・詩集・日記など全96編を自選し、さまざまな視点から明快に解説し、高見文学の世界の魅力と本質に鋭く迫った異色の作品論。
心底を弾琵琶の海;毒薬は箱入の命;内儀の利発は替た姿;思ひ入吹女尺八;身体破る落書の團;命とらるゝ人魚の海〔ほか〕
21世紀に求められる認知文論。コンピュータによる認知実験の成果、日本人と留学生の構文の違い、文を科学的に解き明かす。