日本文学と世界を繋ぐ、文化・言語・領域を越える研究の最前線。国内外の気鋭の研究者による学術交流の成果をバイリンガルで掲載。国際的な共同研究が必要とされる現代の日本文化・比較文化研究の画期的成果。
序論 東アジアにおけるモダンガールと植民地的近代
〈編集委員〉 伊藤るり 坂元ひろ子 バーバラ・H・佐藤 タニ・E・バーロウ ヴェラ・マッキー
1 資本の欲望
1 奢侈と資本とモダンガールーー資生堂と香料石鹸 足立眞理子
2 買うということーー一九二〇年代及び三〇年代上海における広告とセクシー・モダンガールのイコン タニ・E・バーロウ(伊藤るり,結城淑子訳)
2 まなざしの政治
3 宗主国のまなざしーー視覚文化に見られるモダンガール ヴェラ・マッキー(菅沼勝彦訳)
4 漫画表象に見る上海モダンガール 坂元ひろ子
5 新しい女・モガ・良妻賢母ーー近代日本の女性像のコンフィギュレーション 牟田和恵
3 帝国を生きる
6 『婦人之友』における洋装化運動とモダンガール 小檜山ルイ
7 植民地的近代と消費者の欲望ーー二〇世紀初頭の日本における下層中流階級ならびに労働者階級の女性たち バーバラ・H・佐藤(近藤康裕訳)
8 女の移動と植民地的近代ーー沖縄のモダンガール現象への接近 伊藤るり
9 植民地台湾の「モダンガール」現象とファッションの政治化 洪郁如
10 朝鮮の植民地知識人,羅錫(ナ・ヘソク)の近代性を問う 金恩実(藤井たけし訳)
あとがき
関連略年表
主要参考文献
教育は権利であるー権利であることの最大の意義はその平等な享受にある。日本の社会教育の権利論にはジェンダー平等の視点だけでなく、権利の平等をめぐる視点が欠落している。本書は国際比較とその文脈に立って権利論を考える。
再生産領域における女性の移動に関する最新理論をふまえつつ、改革・開放以降の中国フェミニズムと都市家庭の家政サービス(家事代行)を担う農村女性たちとの連関を描く。
女性特有の課題への直面を契機として共感と連帯の意識を世界へと広げていく中で、「女の子」は自立し成熟した「女性」へと解放されていく。本書では、ジェンダーをめぐる今日的な課題に焦点を当てながら、日々の生活の共通体験を掘り起していく。
かけがえのない一生を自分らしく、より充実して生きたい。著者自身の痛切な体験をふまえて執筆されたこの本は、何よりも一人ひとりの女性が自立できる人になってほしい、そしてよき市民になってほしい、という願いのもとにトータルな人間観察の新しい方法を模索する「女性学」へと誘います。最新の動向とデータを盛り込んだ最新版。
頬杖をつき、物思いに沈む解剖学者が手術台の女のヴェールを剥ぐしぐさは何を意味するのか?文学、絵画、映画、広告などに表れるジェンダー像を検証し、医科学が紡ぐ物語/イメージ支配の本質に迫る刺激的論考。図版多数収録。
女性進出は果たして幸せなのか?ジェンダーの先進国オーストラリアに見る“真実”。オーストラリアにおける女性の社会進出について、その裏面に焦点を当てた最新リポート。
MALE NUDEを、女性カメラマンが撮るんです!ある女性写真家が撮り続けた、ヌード表現者の成長記録。サブカルチャー誌に発表された衝撃作。書き下ろし手記を加え、カラー写真を一挙掲載。
宮崎駿が唯一「自分のため」の「個人的な映画」、-『紅の豚』を制作するに至った背景には、いったいなにがあるのだろうか?「千と千尋の神隠し」、「もののけ姫」、「天空の城ラピュタ」、「風の谷のナウシカ」に描写された色彩に視点をおいて、「紅の豚」をジェンダー論から考察する。
パプアニューギニアのマヌス島のクルティ語を話す人たちの村ークルティ社会を断続的に計15ヶ月間(1999年から2006年まで)現地調査した成果。
19世紀後半植民地化され、二つの大戦に巻き込まれ、戦後は国際社会の一員たる主権国家の建設に向き合い、独立後は持続可能な経済社会を模索してきてパプアニューギニア人たち。この激動の過程は、彼らの意思や抵抗と相互作用しながら、地域社会のあり方を総体的に変え、現在の生活世界をかたちづくってきた。
本書では、近代社会の「常識」の概念では計れない「伝統的慣習」のなかでの結婚と扶養をめぐる人々の生活実践をジェンダーの視点ーー男女双方の視点や関係性を踏まえながら、男女の協同や衝突の姿、そして交渉しながら日常生活を構築していく力動的な過程ーーから記述するとともに、こんにちの伝統(カストム)のあり方をみつめる。