頬杖をつき、物思いに沈む解剖学者が手術台の女のヴェールを剥ぐしぐさは何を意味するのか?文学、絵画、映画、広告などに表れるジェンダー像を検証し、医科学が紡ぐ物語/イメージ支配の本質に迫る刺激的論考。図版多数収録。
女性進出は果たして幸せなのか?ジェンダーの先進国オーストラリアに見る“真実”。オーストラリアにおける女性の社会進出について、その裏面に焦点を当てた最新リポート。
MALE NUDEを、女性カメラマンが撮るんです!ある女性写真家が撮り続けた、ヌード表現者の成長記録。サブカルチャー誌に発表された衝撃作。書き下ろし手記を加え、カラー写真を一挙掲載。
宮崎駿が唯一「自分のため」の「個人的な映画」、-『紅の豚』を制作するに至った背景には、いったいなにがあるのだろうか?「千と千尋の神隠し」、「もののけ姫」、「天空の城ラピュタ」、「風の谷のナウシカ」に描写された色彩に視点をおいて、「紅の豚」をジェンダー論から考察する。
パプアニューギニアのマヌス島のクルティ語を話す人たちの村ークルティ社会を断続的に計15ヶ月間(1999年から2006年まで)現地調査した成果。
19世紀後半植民地化され、二つの大戦に巻き込まれ、戦後は国際社会の一員たる主権国家の建設に向き合い、独立後は持続可能な経済社会を模索してきてパプアニューギニア人たち。この激動の過程は、彼らの意思や抵抗と相互作用しながら、地域社会のあり方を総体的に変え、現在の生活世界をかたちづくってきた。
本書では、近代社会の「常識」の概念では計れない「伝統的慣習」のなかでの結婚と扶養をめぐる人々の生活実践をジェンダーの視点ーー男女双方の視点や関係性を踏まえながら、男女の協同や衝突の姿、そして交渉しながら日常生活を構築していく力動的な過程ーーから記述するとともに、こんにちの伝統(カストム)のあり方をみつめる。
所得格差の拡大や貧困層の増加などにより変貌をとげつつある日本社会の実態に,社会階層論,社会意識論,教育史,生涯学習論,社会政策論などからアプローチを試みた画期的な書。格差の諸相を明らかにし,解決に向けた政策のあり方を論じています。
1章 雇用・就労にかかわる問題への対処行動
性別と社会関係資本に着目して 杉野 勇
2章 キャリア教育は職業・雇用の格差問題を解決するか 亀山俊朗
3章 現代日本社会のジェンダーとメディア
意識調査からみた雑誌,ファッションとの関係 坂本佳鶴恵
4章 「男性の更年期」をめぐる医療言説
「健康」とジェンダーの関係 原 葉子
5章 高等学校間の序列構造形成の要因を探る
長野県阿南高等学校を事例として 米田俊彦
6章 尋常小学校正教員給与における府県格差の構造
1900〜1910年の統計的分析 河田敦子
7章 日中教育文化交流の歴史が教えるもの
北京崇貞学園の事例を通して 李 紅衛
8章 生涯学習は格差是正に貢献するか 三輪建二
9章 医療政策における公平性 大森正博
10章 格差・貧困問題と社会保障 平岡公一
近代医学の柱である西洋医学の伝統を,心身の健康という観点から明らかにする。著者は西洋中世の医学と医療を,疾病を取り巻く自然環境や社会環境に加え,医師・看護士が行う臨床ケアや病院・施療院などの医療インフラ,さらに健康観や身体観を社会的・文化的に考える身体医文化論の方法によって豊富な資料や図版を用いて考察する。
ヒポクラテスやガレノスにより確立した古代医学は宇宙の中に人間を位置づけ,自然との調和に基づく身体観・人間観をとおして,身体と魂のバランスを体液生理学を軸に展開,これが西欧に伝わり魂の健康と死後の救済を結びつけるキリスト教に受容され,身体と魂の全体をケアするホリスティックな医療となった。
ギリシア医学はイスラム圏に継承され,さらに12世紀に誕生した西欧の大学が医学部教育にイスラム医学と占星術を導入して,中世医学の基盤を形成した。
14世紀に黒死病が発生すると身体と魂の健康への不安が募り養生訓が流行した。女性たちは看護や介護を支えてきたが正当に評価されず,さらに月経や母乳,妊娠と出産など女性の身体を男性に従属する存在と見なす偏見についてジェンダーの視点から解明する。
中世の医学と医療の全体像を示す貴重な業績である。
はじめに
第一章 魂の治療
一 魂の健康
「医師キリスト」(Christusmedicus)
二 身体の治癒と魂の癒し
第四回ラテラノ公会議ーー告解と悔悛の義務
三 巡礼と病の癒し
中世の巡礼
聖人崇拝と聖遺物
身体の治癒
第二章 世俗の医学
一 ギリシャ・イスラム医学の継承
二 古代ギリシャの体液説
三 解剖学と人体の仕組み
四 医学と占星術
五 健康規範(Regimensanitatis)
養生訓
『健康全書』と食餌療法
六 環境
大気・水・土地
臭気と芳香
第三章 医療に従事した人びと
一 内科医
二 外科医
三 薬剤師と薬草医
第四章 女性の身体
一 古代医学の生殖観
男女の違い
月経と母乳
二 男性(vir)と女性(mulier)
男女の相違の文化的構造
キリスト教会と女性蔑視
三 女性の仕事
妊娠・出産
女性と医療活動
第五章 中世の病院(施療院)
一 聖なる空間
二 慈善事業
最後の審判
煉獄思想と魂のケア
三 身体のケア
結び
あとがき
注/参考文献/図版一覧/索引
秀逸な着眼と方法で障害者差別の具体的な姿と日本社会の構造的問題を浮彫りにする瞠目すべき社会学研究の達成。綿密な聞き取りと、ジェンダー論から福祉国家論にまで及ぶ理論的考察は、差別研究に新地平を拓く必読の労作である。
ノーベル文学賞(1991年)受賞の白人女性作家として著名なナディン・ゴーディマが生涯を通じて追求し描き続けた、人種差別と男女差別と異文化交雑する南アフリカ社会の中に生きる女と男の姿を通して見えてくるものがある。
序章 ゴーディマの作品世界と南アフリカ社会:人種、ジェンダー、セクシュアリティが交差する国家と家族のポリティクス
第一章 『偽りの日々』における植民地支配者の娘の抵抗
第二章 『愛する機会』と『自然の変種』におけるアパルトヘイト政策と異人種間の愛と性
第三章 『バーガーの娘』における場所のポリティクスと主体性の問題
第四章 『マイ・サンズ・ストーリー』におけるカラードアイデンティティと南アフリカの文化変容の模索
第五章 新生南アフリカ国家と家族、女性、権力:ゴーディマのポストアパルトヘイト文学
終章 ゴーディマの作品世界と南アフリカ社会、国家、家族
参考文献
私たちは知らず知らず“国家”がつくる枠の中で生きている。“国家”が規定する境界を超えるとはどういうことか、多様な立場から真摯に論ずる。
序章 戦後日本の政治地理学・行政地理学
第1部 グローバル化をめぐる大都市圏郊外の議会と行政
第1章 グローバル化がもたらした郊外の都市合併ーー東京都旧田無市・保谷市
第2章 東京大都市圏郊外周辺部における最後の「開発型合併」--東京都あきる野市
第2部 米軍基地をめぐる大都市圏郊外の議会と行政
第3章 郊外の在日米軍基地所在都市における文化と政治ーー東京都福生市
第4章 騒音と補助金ーー郊外の「基地公害」をめぐる政治
第3部 大都市圏郊外の政治・行政をめぐる新しい論点ーー環境・ジェンダー
第5章 郊外の新ごみ処理場建設場所をめぐる「環境正義」--東京都小金井市
第6章 地下水をめぐる「ポリティカル・エコロジー」--山梨県北杜市白州町
第7章 40年にわたる郊外の女性運動からみえる市政と「ジェンダー」--旧田無市・保谷市の「どんぐり会」