休暇で訪れた湖畔の町をぶらついていたカリンダは立ち寄ったギャラリーで男の声に思わず振り返った。狭い店内には客も店員の姿も見えない。低くくぐもった声に好奇心をかき立てられ、店の裏口に向かうとそこではオーナーのランドが魚をさばいているところだった。なんてやる気がないのかしら。のんびりしたランドの態度にいらいらしたものの、たわいない会話を交わすうちにディナーの誘いを受けていた。夕食を一緒にするくらい悪いことじゃないでしょう?この町に来たほんとうの理由を一瞬でも忘れられるなら。『ロッキーの熱い想い』新訳改題。会社経営者のカリンダと小さな町のギャラリーオーナー、ランドー正反対に思われたふたりだが…。
ドルーは、ティアが十四歳のときから憧れつづけた男性だった。故郷を出て働いていた町で偶然彼に会うなんて、信じられない幸運だった。六年ぶりに会うティアにドルーは気づかず、ティアは素性を明かさずに彼を誘惑した。数週間後、ティアは帰省し、彼を訪ねて妊娠を告げた。「ぼくたちが最初にするべきは、結婚だ」愕然としながらドルーが申し出たのは、かりそめの結婚だった。憧れの男性との形ばかりの結婚は悲しい。だが、二人には体裁を繕わなくてはならない理由があった。
時は15世紀、ヨーク公エドワード王が治める薔薇戦争期の英国。幼いころから伯父の城に住むネルは、突然帰宅を命じられた。10年ものあいだ会っていない父親が勝手に決めた結婚のために。出発前夜、厩で愛馬との別れを惜しむネルのもとに迎えが来た。道中の護衛だというその男の服には、ヨーク派の白薔薇の刺繍。傷跡が走る顔は無愛想だが、なぜか敵意のようなものを感じる。そもそも、国王の臣下らしき者がどうしてわたしの付き添いを?男は不審がるネルをその場で無理やり馬に乗せ、出発を宣言した。冷たい雨の中、正体もわからぬ男と、運命の旅が始まった…。身を守るために、ふしだらな女を演じる乙女。心に憎しみを抱いた騎士は彼女の真実に気づかず…。傲慢系ヒーローロマンス。
演歌ではなく、あくまでも歌謡曲といった歌唱を聴かせるハスキー・ヴォイスの門倉有希。彼女の代表曲となっているお伽話風の「ノラ」はもちろん、その歌声が一段と効果を発揮して激励ソングとなっている新曲「友情」までを収録したベスト。汚れ役を思わせる歌も巧い。
骨肉の争いという言葉があるが、肉親同士が時として他人以上に憎しみ合ったりするのは、誰にでも思い当たることだろう。映画やテレビの“ホームドラマ”は家族があのようにありたいという観客のあこがれを描くのだろう。寅さんシリーズが、愚かな兄と賢い妹の滑稽譚だったとすれば、今度の『おとうと』は、賢い姉と愚かな弟の、可笑しくて哀しい物語である。
ユニークで個性的な5人のマスターとともに各地の「木の神さま」「水の神さま」を訪ね歩く。それこそは、日本の隠れたパワースポットだった!その聖域を訪ねる者たちに向けて語られる時空を越えたマスターたちのユーモラスでやさしいメッセージ。
壁にぶつかって、心がいっぱいいっぱいになると、くじけそうになったり、逃げ出したくなったりします。でもね、それは、人生で“新しいこと”を学ぶとき。心が成長するときなのです。好きなページから読んでください。あなたの胸がじんわり温かくなる、いつも幸せでいるヒントがいっぱい。中学生から大人まで。
空港の赤字とはそもそも何なのかを考え、海外の空港事情を追い、“航空”の観点から空港を分析し、日本の空港の活路を見出す改革案を提示する。
両腕をベッドの支柱に縛りつけられ、風変わりなブローチをつけて殺された若者。ブローチが服喪用装身具だと気づいた刑事は、大学で教鞭をとるスウィーニーに助力を求めた。だが、死亡した若者が彼女のゼミの生徒で、名門パトナム家の一員であることが判明。スウィーニーは、被害者の兄に心惹かれつつ調査をはじめる。死と象徴に彩られた、芸術史家スウィーニー・シリーズ第二弾。
自社の贈賄を発見したアデナは、上司である恋人の関与も同時に知ることになった。ショックと憤りから、彼女は会社にも恋人にも別れを告げ、贈賄の相手会社を訪ねるーこの不正を正すよう訴えなければ。現れた社長のホルトは、予想に反して若くハンサムな男だったが、アデナの訴えを気にも留めない様子でブランデーなど勧めてくる。そして、不正を正すどころか、彼女にとんでもない申し出をした。「きみには、その古い情報よりはるかに値打ちがある。その魅力をぼくに売ってくれないか?」驚きに口もきけない彼女の唇を、ホルトの唇がふさいだ。