夏の海が吼えていた。灼けつくような陽をあびて、私は教会の葬礼に参列した。不意に、渇いた視線が突き刺さる。危険な匂いが漂う男、川辺との出会いだった…。やがて、川辺は芳林会の内部抗争を惹き起こす。だが、奴の標的は別の何かだ。トラブルしか縁がないために「ソルティ」と呼ばれる私は、この街の利権抗争に深く踏み込んでいくー。酒瓶(ボトル)に懴悔する男の哀しみ。街の底に流れる女の優しさ。虚飾の光で彩られたリゾートタウンで、ハードボイルドの系譜を塗りかえる弧峰の大長編小説の幕があく。
すべてが痛みにみちて、空からクギがふってくるある日、世界をさかさまにひっくり返したアンナはパパを旅につれ出します。鳥と泳ぎ、魚と飛べるところへ。マリアナ海溝や、カニ星雲をこえて、はるか空の底深くに。
『この涙が枯れるまで』シリーズ第3弾。百合の隠された真実が明らかに!ふたりは…いつまでも運命の糸で結ばれていたんだね。
冷静な判断力と闘志をもって敵艦に肉薄した空の男の真髄。愛機の懐に魚雷を抱き、ペアとともに弾幕の嵐に突入する“艦船攻撃のエース”決戦譜。月光操縦員の対B29迎撃戦記、各型別・零戦血戦記などを併載。
プルックが海で見つけた卵は、絶滅したはずのマキゲフナドリ。はく製にされるところを助けだし、自力で飛べるようにと…。オランダの子どもの本の女王アニー・M.G.シュミット生誕100年記念。
総飛行時間2万1000時間、B747乗務時間1万4051時間という驚異的な記録を残した著者が、42年間一度も乗客乗員の怪我や機材の損傷も起こさなかったパイロット人生を振り返り、さまざまな航空機事故や自身の体験を検証しつつ、航空業界の歴史や昨今の事情を紐解く。
なぜか「文芸部」に入ってしまった空良の、春風のようにさわやかな物語。第19回ちゅうでん児童文学賞大賞受賞。
35年に及ぶ欧米音楽修業・研鑽の旅。独自の発想で展開する「京都フランス音楽アカデミー」「長岡京室内アンサンブル」等、幾多の音楽実践・教育指導の場に臨む孤軍奮闘のドキュメント。
山間の街に住む高校生・相生あおい。進路を決める時期なのに大好きな音楽漬けの日々を送る。そんな彼女を心配する姉・あかねの昔の恋人で、高校卒業後に上京したきりだった慎之介が、街に帰ってきた。時を同じくしてあおいの前に、高校時代の姿のままの慎之介こと“しんの”が現れる!やがてあおいは、しんのに恋心を抱いていくが…。一方あかねと慎之介も13年ぶりに再会を果たす。過去と現在をつなぐ、「二度目の初恋」が始まる。
暗黒のポル・ポト時代を生きぬき日本にたどりついた少女は、30年の時を経て、ふたたび、あの「虐殺の丘」へ向かう。現地に暮らす「加害者」と、幾万の犠牲者を弔うためにー世界に希望の灯をともす、奇跡のノンフィクション。