はじめて武家政権を開いた平安末期の武将。数々の戦乱を制して、ついには最高権力者となった。実力で政権を奪う時代としての中世を切り開いたその生き方は、後世の武人政治家の範となっていく。同時代の貴族の日記や古文書などを丹念に繙きながら新史料の発掘を試み、政治動向の分析と併せて清盛の実像に迫る。従来の通説を覆した清盛伝の決定版。
平安中期の官僚。海賊鎮圧のために伊予に派遣されたが、関東の平将門の反乱と時を経ずして、瀬戸内で反乱を起こす。純友が傍流ながら摂関家につながる中央官人であったという説に立ち、承平・天慶の乱を読み直す。彼がなぜ海賊集団を組織し、反逆者となったのか。10世紀の東アジアと瀬戸内交易との関係、古代の海賊の分析を交えて、生涯を描く。
人権思想の成立を近代ヨーロッパに求め、アジアでの展開など、「生きる権利」を世界史の中に探る。植民地・女性問題などで、絶えず人権がふみにじられてきたことを通し、人権は「終わりなき旅」であることを宣言する。
ナチスの戦争犯罪が裁かれた街ニュルンベルク。だがこの街はナチスの全国大会が開かれた光あふれる祝祭空間であると同時に、ユダヤ人強制移送の暗黒の舞台でもあった。大衆運動としてのナチズムを新視点から描く。
古来の山岳信仰と外来の仏教・道教や神道の習合によって形成された修験道。この日本独特の宗教は役行者を祖師と仰ぎ、それぞれの時代において理想的祖師像を創造した。役行者伝承の展開を通して、修験道の歴史を辿る。
ファシズムーそれは人間を資源として戦争に動員する。十五年戦争下に推進された、心身の健康を強制する政策と病者・障害者たちへの差別を論じ、「存在に値する命」を選別する国家体制を追及する鮮烈なファシズム論。
日本を代表する仏師運慶は、古代から中世への激動期に、清新な表現の仏像を生みだし、檜舞台に登場した。現場からの最新の研究成果にもとづいて、運慶の作品の本質と、日本の仏像と仏師の魅力を明快に説いた仏像論。
この本は、木の家で知っておきたいことを、いろいろな角度から取り上げました。実例もたくさん盛り込みました。木のことを知るために、その恵みをもたらしてくれる森や山のことについても、多くのスペースを割きました。木は、どのように育てられるか、伐採までの過程や、杉の値段の話についても取材しています。
幕末の長州藩士。吉田松陰に師事。松陰の死後、上海に渡り、欧米列強の植民地と化した清国に、兵備の充実を痛感して帰国。四国艦隊下関砲撃事件に際し、身分にとらわれない士庶混成の奇兵隊を創設、尊攘・討幕運動を推進するが、維新の夜明け前に病没する。短い波乱の生涯を、数々の英雄的エピソードを検証しつつ克明に再現し、その実像に迫る。
東アジアの大変動期である5・6世紀、朝鮮半島から大量の渡来人が日本列島に移住してきた。畿内の有力豪族はなぜ彼らと結び付こうとしたのか。渡来系技術者の掌握をめぐる諸豪族の動向を探り、大和政権の実態に迫る。
鎌倉時代末期に分裂した王統の対立は、やがて武家勢力の分裂と結び付き、半世紀をこえる南北朝動乱の時代となる。この長期にわたった内乱の時代の政治・経済・外交・社会・文化を、東アジアという文脈の中で描き出す。
人々を一揆へと駆り立てたものは何か。「一揆の時代」といわれる室町時代の特徴を、幕府政治、武士や民衆の生活、都市と経済、災害や戦乱から探る。日明貿易や能・狂言などの文化にも説き及び、揺れ動く時代を描く。
本書は、皇室に関する諸般の制度の歴史的沿革を明らかにすることを目的として、皇室制度に関する基本的史料を編目別に編修刊行するものである。
国際社会の波の中で、戦国大名が覇権を争った動乱の時代。関東の北条氏、中国の毛利氏といった広域の地域国家の成立、軍事物資の運搬、交差する謀略やうわさ、民衆の知恵など、群雄と民衆の躍動する時代を明らかにする。
鎌倉時代末期の政治家。霜月騒動に連座して不遇の幼少期をおくるが、得宗家の信頼を得て六波羅探題・連署となり、病弱な執権北条高時を支えた。15代執権に就任するが、政争の激化により辞任、幕府の滅亡に殉じた。膨大な貞顕書状から、高時政権を再評価し、称名寺造営や金沢文庫本の充実から、鎌倉の武家文化に足跡を残した権力者の実像に迫る。
ペリーの来航により、開国を迫られた幕末日本。緊迫した東アジア情勢の中で、一旦は鎖国に迷い込みながら、それからの脱却を果たした徳川公儀の政権運営を詳述する。外交政策の新しい解釈を試みた日本開国史の決定版。