大好評『腐女子の心理学』の続編。前著より大規模な調査をもとに「腐女子」と呼ばれる女性たちの恋愛・結婚観を読み解き、ジェンダー意識とフェミニズムの分析に踏み込む。
まえがき
目次
第1章 オタクと腐女子の定義
研究1-1「『二次創作に興味を持つ』=『二次創作好き』と呼べるか」
研究1-2「『二次創作に興味を持つオタク女子』は『腐女子』を意味するか」
第2章 腐女子とオタクのジェンダー・ステレオタイプ
研究2「腐女子とオタクのジェンダー・ステレオタイプ」
第3章 腐女子とオタクの恋愛と結婚に関するジェンダー意識の比較
研究3-1「腐女子とオタクの結婚に関するジェンダー意識」
研究3-2「腐女子とオタクの異性不安の検討」
研究3-3「腐女子とオタクの恋愛に対する接近ー回避傾向の検討」
第4章 腐女子とオタクの恋愛・結婚意識
研究4-1「腐女子とオタクの恋愛と結婚の条件」
研究4-2「腐女子とオタクの恋愛と結婚のタイプ」
研究4-3「恋愛対象の理想的イメージとファン対象の理想的イメージの比較」
第5章 腐女子とオタク女子の女子力
研究5「女子力を比較する」
第6章 腐女子とオタク女子の恋愛物語の好み
研究6-1「純愛物語志向性の検討」
研究6-2「猟奇愛物語志向性の検討」
研究6-3「少女マンガと少年マンガ」
第7章 腐女子とオタクの愛を巡る規範意識
研究7「愛を巡る価値観や規範意識」
第8章 腐女子とオタクの愛に関する自己表象
研究8-1「愛に関する表象と否定的自己評価」
研究8-2「腐女子とオタクの大学生活満足度」
第9章 腐女子とオタクの恋愛強迫観念
研究9-1「恋愛強迫観念の比較」
研究9-2「恋愛強迫観念を規定する要因」
第10章 総合考察
第1節 人を動かす力
第2節 オタクの適応方略
第3節 人間は理解し合えるという幻想
第4節 ダイバーシティ・ゲーム
Intermission
エッセーと科学論文
現象を体感的に理解すること、本を読んで理解すること
Meaning of the mean--平均値の意味
腐女子研究における腐女子性
フェミニズムをだしに腐女子を語ること、腐女子をだしにフェミニズムを語ること
大数の法則
差があることを示すこと/差があるように見せかけること
「おっさん」は加害者か? 被害者か?
「アガペ」は性差別なのか?
「救い」は仏様でなくフェミニズムがくれた
「お寺のおくさん」は献身して当たり前? お坊さんと結婚して飛び込んだ仏教界は違和感だらけ。モヤモヤの日々に救いをくれたのは仏様よりもフェミニズムだった。日本のお寺の持続可能性を問いかける当事者エッセイ。
推薦:深沢潮さん(作家)
初めて眼鏡をかけたとき、視界がはっきりとして、世界が明るくなった。
一方、影にも気づくようになった。
フェミニズムは眼鏡のようなものだと思う。
自尊心を回復させてくれて、心が晴れ晴れとすると同時に、
理不尽な構造を知り、苦しくなる。
「寺族」という言葉を知らなかった。
なんという男性都合のシステムか。
足元からお寺の矛盾を見つめ直す森山りんこさんのように、
私たちも目を凝らしたい。
1章 私が「お寺のおくさん」になるまで
Before 寺/「結婚」が始まる/二人の、ではなく寺の結婚式/何を着たものか……/信仰心は誰のもの?/お寺での日常/自分の職業がわからない/心のバランスが崩れてしまった/お寺の運営講座を受けてみた
2章 「私」に帰る
モヤモヤの正体/家のふりをした宗教組織/私が失っていたもの/「お寺のおくさん」 への日々/二度目のグリーフケア/前進/お寺のブログ/語学で広がった世界/「ただの私」になると決めた
3章 フェミニズムが教えてくれたこと
ジェンダーギャップ指数なるものを知ってしまった/フェミニズムと私/答え合わせ/母のこと/寺での子育て/「お母さんの請求書」/妻は無能力者?/妻たちをこれ以上利用するな
特別対談 仏教界のジェンダー平等とお寺のこれから 西永亜紀子 × 森山りんこ
反射し拡散し、新たに焦点を結ぶ三つの言葉と三つの主題。「近代国民国家と暴力」にまつわるフェミニズム論争の万華鏡。
フェミニズムの賞味期限はすぎたのだろうか?血となり肉となったことばたち。
あなたの「フェミニズム」は大丈夫?
主流の白人フェミニストが提唱する「シスターフッド」に対して、
BLMの時代、「ブラック・フェミニズム」からの切なる訴えとは━━?
白人女性=自分に置き換えると見えてくる、シスターフッドのあるべき姿ーー
●米「タイム」誌 2020年読むべき本100に選出
●ワシントンポスト 2020年注目すべきノンフィクションブックに選出
●英BBC 2020年ベスト・ブック100に選出
●NYタイムズ ベストセラーリスト10週間ランクイン
「教育を受け、安定した職業に就く日本のフェミニストが本書を手に取って読むと居心地の悪さを感じる記述が少なくないだろう。ただし、目を逸らさずに『白人女性』
『主流派のフェミニスト』への批判を自分に置き換えながら読み進めてほしい。」
━━治部れんげ(東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授)
主な内容
・連帯はいまだに白人女性のためのもの ホワイト・フェミニズムの罪ーー中・上流階級の白人
女性以外を排除するフェミニズムとは
・銃による暴力 セイ・ハー・ネームーー銃に命を奪われた黒人女性たちにも名前はあった
・#FASTTAILEDGIRLSと自由 レイプ・カルチャーへの抵抗ーー被害者非難より加害者にならない教育を
・降り注ぐ家父長制 コミュニティーに内在する家父長制の害ーー白人カルチャーを模倣した根深い性差別
との闘い
・〇〇にしては、かわいい コミュニティーの内外に存在するカラリズムとテクスチュアリズムーー
白人至上主義の美学
・恐怖とフェミニズム ホワイト・フェミニズムよ、白人至上主義の家父長制から抜け出し、異人種への恐怖を
手放して、全女性のために立ち上がれ
・人種と貧困と政治 投票権は民主主義の柱である 万人のために確約せよ
・教育 教師によるいじめ、学校から刑務所へのパイプライン、常駐警官への依存を断ち切る
・アライ、怒り、共犯者 ホワイト・フェミニズムはプラットフォームと人的・物的資源を差し出して、真の支援を
「ミッキ・ケンダルはフェミニストたちーー特に白人フェミニストーーに書状を突きつけた。ムーブメントの担い手である我々が記憶にとどめるべき人種差別の歴史と、インターセクショナルな視点及び人種差別反対主義に焦点を当て、前進する必要性を訴えている
ーーダイアナ・アンダーソン、『Problematic』著者
「『フッド・フェミニズム』〔原題〕はフェミニスト必読の1冊だ。メインストリームのフェミニスト・ムーブメントの欠陥を問いただし、黒人女性たちについて知るべき知識を提供している。ケンダルはア…
2021年9月、日本に誕生したデジタル庁のスローガンは「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を。」だが、オンライン空間ではヘイトスピーチ、ハラスメントがすさまじく、インターネットから距離をとる人が少なくない。白人男性中心の開発、高齢、貧困、障害など、さまざまな要因でアクセスすらままならない人もいる。
現在のインターネットは誰にでも優しいとは、決して言えない。これからのデジタル空間を生き抜くために、インターネットをフェミニズム視点で考えていく。
中絶の権利と胎児の生命に対する配慮は両立できるのか。フェミニズム思想の深化をめざして、リベラリズムとの差異を明らかにする。
フェミニストが主張する「私の身体は私のもの」と、リベラリズムの身体の自己所有の概念とは同じものか。それぞれの特徴を探る。フェミニズムは「女の身体は女のもの」という中絶の自由の主張を、リベラリズムの権利の概念を用いて正当化してきた。しかし胎児の生命のとらえ方をめぐって、リベラリズムに対していらだちや違和感をかかえこんでいる。女性の権利と胎児の権利の衝突をどう調停すればよいのかを考え、二つの思想の特徴を明らかにする。リベラリズムを批判的に相対化しようとする試み。
はしがき
序章 産む産まない権利とリプロダクティブ・フリーダム
1 中絶の権利の諸問題
2 リプロダクティブ・フリーダムと中絶の「権利」
1 フェミニズムとリベラリズムの相克
第一章 井上達夫・加藤秀一の論争
1 中絶は権利葛藤問題か
2 論争のすれ違いが意味するもの
2 身体を所有する権利をめぐって
第二章 所有権としての中絶の「権利」
1 身体の自己所有の原則
2 所有権による中絶の正当化1--パーソン論における中絶の「権利」
3 所有権による中絶の正当化2--ジュディス・トムソン「人工妊娠中絶の擁護」
4 所有権に対するフェミニストの異議ーー「胎児の両義性」の主張
第三章 身体的統合の平等としての中絶権ーードゥルシラ・コーネルの試み
1 身体的統合の権利と中絶
2 コーネルは所有権を乗り越えたか
第四章 「身体」の再編
1 <対象としての身体>から<私が存在する身体>へ
2 胎児と「私の身体」の境界
3 <私の身体は私のもの>再考
3 プライバシー権をめぐって
第五章 公私の分離原則とプライバシー権
1 正の善に対する優位
2 中立性の原則
3 個人の独立性
4 プライバシー権としての中絶の位置づけ
5 フェミニストのプライバシー権批判
第六章 「ケアの倫理」とリベラリズム批判ーーキャロル・ギリガンの『もうひとつの声』
1 もうひとつの声
2 ケアと正義(リベラリズム)をめぐる論争
3 ケアの倫理と再生産責任
第七章 宗教的自由としての中絶の「権利」--ドゥオーキンの『ライフズ・ドミニオン』をめぐって
1 「価値」問題としての中絶
2 「宗教的自由」論はプライバシー権批判をのりこえたか
終章 リプロダクティブ・フリーダムに向けての課題
1 リベラリズムとの決別
2 フェミニズムと「孕む」ことーー「生命倫理学」を超えて
3 リプロダクティブ・フリーダムに向けての課題
4 リベラリズムとフェミニズムの今後
あとがき
参考文献
索引
ネオリベラリズムが蝕む女性たちの生
「仕事も家庭もあきらめないで、すべてを手に入れましょう」「欠点を受け容れ、粘り強く立ち直りましょう」「福祉に頼るのはだらしなさの証拠です」「あんなふうにはなりたくないでしょう?」--映画、雑誌、テレビにSNSと、至るところから絶え間なく響く呼びかけに駆り立てられ、あるいは抑えつけられる女性たちの生。苛烈な「自己責任」の時代を生きる女性たちに課された幾重もの抑圧をさまざまな文化事象の分析を通じて鋭く抉り出す。一九九〇年代以後のフェミニズム理論を牽引してきた著者の到達点にして、待望の初邦訳書。
「テレビは見ない」「「YouTube」は見る」といった二者択一の議論ではなく、テレビを真正面から語るために、社会的な課題であるジェンダーやフェミニズムの視点からバラエティーとドラマを中心としたエンターテインメントコンテンツを多角的に問い直す。
まえがき 青弓社編集部
第1部 バラエティーとフェミニズム・ジェンダー
第1章 第七世代が浮き彫りにするテレビの問題点 西森路代
第2章 人気バラエティー番組でのジェンダーの“描かれ方” 清田隆之
第3章 テレビ史から見える女性芸人というロールモデルと可能性 西森路代
第4章 わきまえない女たちーー女性芸人とフェミニズムとエンパワーメント 西森路代
第5章 バラエティー番組の暴力性ーー性的マイノリティをめぐる表現から 松岡宗嗣
第6章 なぜワイドショーはずっとああいう感じなのか 武田砂鉄
第2部 ドラマとフェミニズム・ジェンダー
第7章 フェミニズムの視点を取り入れた日本のドラマの変遷ーー二〇一四年から現在まで 西森路代
第8章 坂元裕二、宮藤官九郎、野木亜紀子ーー三人の作家とフェミニズム 西森路代
第9章 『チェリまほ』とBLドラマの現在地 前川直哉
第10章 プロデューサー本間かなみに聞くーードラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』を作って [聞き手:西森路代]
第11章 フェミニズムから見る韓国ドラマクロニクル 佐藤 結
第12章 画面の向こうとこちらをつなぐ“シスターフッド” 岩根彰子
第13章 わたしのためではない物語に親しむーーマイノリティ、ジェンダー、テレビドラマと社会空間のあいだから 鈴木みのり
あとがき 西森路代
「フラジリティ(感性)」・「表象」・「言説」・「自然」
“個”が差異を超越できる“世界“を見据え、実在する人間社会のジェンダーや美学を繊維な表現で紡ぐ。
秦 辰也(近畿大学国際学部教授・シャンティ国際ボランティア会副会長)
第1部 フラジリティ(感性)と身体
第 1 章 フラジリティ(感性)の身体的次元
1 - フェミニズム認識論に向けて
2 - コンシャスネス・レイジング(CR)の流れ
3 - ウーマン・リブと身体への問い
4 - 自助と互助のあわい
5 - ヒューマニズムと実存
第 2 章 演劇セラピーとエンパワーメントータイー日移住女性たちの経験からー
は じ め に
1 - 日本へ働きにいかなければならなかった
2 - わたしたちは女性だから
3 - 自分たちの「ホーム(居場所)」
4 - 経験は詩になりうる
お わ り に -エンパワーメントの意味ー
第 3 章 フラジリティ(感性)の主体形成
1 - エンパワーメントに向けて
2 - 主体形成の被傷性
3 - ラディカル・デモクラシーの行方
4 - 経験のアポリア
第2部 フラジリティ(感性)と表象
第 4 章 別の身体になることーエヴァ・ヘッセの空間性と自己意識ー
は じ め に
1 - 人が見るフレームを覗く
2 - リアルを感じる
3 - 非物質性の空間
4 - 自己とイメージの物質性 -愚かさに宿る夢ー
お わ り に
第 5 章 フラジリティ(感性)の表象的次元
1 - 性的差異と普遍的なもの
2 - 感性の分有
3 - 翻訳可能性
4 - 詩学と悲劇的なもの
第3部 イメージと象徴
第 6 章 従軍慰安婦を表現する平和の少女像の象徴様式 -エルンスト・カッシーラーの神話的思考に照らし合わせてー
は じ め に
1 -『表現の不自由展・その後』をめぐる攻防
2 - モニカ・メイヤーのインスタレーションに通底するもの
3 -「従軍慰安婦」を象徴するということ
4 - 個人的な体験と視覚表現
5 -「慰安婦」をめぐる公的言説の環境
お わ り に
第 7 章 象徴様式の哲学
1 - 道徳的イメージをめぐって
2 - シンボルを操る動物
3 - 神話とフラジリティ(感性)
4 - 生と精神
第4部 「自然」とジェンダーの交錯
第 8 章 呼吸するコミュニティ・アートー植物的生物としての私たちー
は じ め に
1 - コミュニティセンターとしての会館
2 - 空間の広がり
3 - 社会とのつながり
お わ り に
第 9 章 ファブリック製品とジェンダーに配慮した生産ーフェアトレードの試みを通じてー
は じ め に
1 - フェアトレードと国際協力
2 - ソーシャル・ビジネス
3 - 布の象徴作用
4 - オルタナティブな構造のあり様
お わ り に
今日のフェミニズム研究に不可欠な視点である「インターセクショナリティ(交差性)」を前面に押し出し、豊富な事例や広範な先行研究をふまえて政治理論の近代以降の基軸に異議を申し立てる、積年のフェミニズム研究の大いなる成果。
第一章 性別化された身体ーー挑発
セックスを解釈する
セックスを脱自然化する
第二章 ジェンダーを概念化する
ジェンダーの歴史をたどる
言語学からの教訓
ジェンダー、および身体化された差異の規制
性的二形性を混乱させる
セクシュアリティを脱自然化する
セックス、ジェンダー、セクシュアリティの関係性を精査する
生物学的還元主義者の説明
パフォーマティヴな連関
構造的説明
ジェンダーを錯綜させる
第三章 身体化=身体性を理論化する
人間本性
身体を人種化し、ジェンダー化する
ジェンダー化された人種化と植民地化
近代の身体化からポスト近代の身体化へ
結論
第四章 公的なものと私的なものを描き直す
正典とされてきた説明
構成的な矛盾ーーリベラルな家父長制
公/私二元論への現代的取り組み
結婚
セクシュアリティ
身体の商品化
第五章 国家と国民を分析する
西洋政治理論における国家概念
ジェンダー化された制度としての国家
国民と国家
国民国家における人種化、ジェンダー化、異性愛化
奢侈禁止法から服装規定へ
政治的統一体を標準化する
異性愛化
第六章 不正義の概念をつくり直す
正義と国家
国家の不正義
人種化
ジェンダー化された排除と危険
アイデンティティを無効にすること、現実を強制すること
ポストコロニアル的、帝国主義的介入
国家にもとづいて正義にアプローチすることの限界
社会変革を構想する
日本語版の読者へ
特殊性を深掘りする
フェミニズムがたどってきた道
架橋する
訳者あとがき
参考文献
人名索引
事項索引
著者・訳者紹介
フェミニズムによって導入されたジェンダー観点は、時々刻々立ち現れてくる支配的な観念や絶対だと信じられている真理を、流動化する大きな力となってきた。さらにそうして生み出された流れを、観念にとどめることなく社会的現実に転化するための思考的実践が必要なのである。「フェミニズム的転回」叢書創刊第1巻目の本書は、哲学、倫理学、美学、宗教民俗学、歴史学の各分野で活躍する著者たちによる刺激的なジェンダー批評の実践である。
第1章 フェミニズム的転回のとき(大越愛子)
第2章 倫理学とジェンダーの視点(志水紀代子)
第3章 美的判断力の可能性(持田季未子)
第4章 「日本」論という思想(井桁碧)
第5章 女性史研究と性暴力パラダイム(藤目ゆき)
韓国において「革命的」といえるほど大きな盛り上がりを見せた#MeToo 運動。その根底に流れる理論と実践を提示。韓国フェミニズムの現在に対する批判的な分析は、日本のフェミニズム・ジェンダー状況を対比的に浮き彫りにする。
まえがき ── 日常の革命、#MeTooの政治学
まえがきの執筆を繰り返しながら/『被害と加害のフェミニズム』から『#MeTooの政治学』まで/男性文化と労働市場 -- #MeTooの背景/#MeTooとジェンダー/安熙正事件の 意味/#MeToo、ジェンダー暴力、性的権利/フェミニストの知識創造
あの男たちの「女性問題」-- 韓国の進歩的男性権力者の#MeToo運動に対する理解(権金ゲン怜)
「工作」したのは誰か/誰が何のために裁かれているのか/「どうすれば地位が他者の人権を奪えるのでしょうか?」という意味不明な文章/存在する権力は必ず行使される/陣営論のロジックーー問題提起を妨害する最も効果的な方法/「女性問題」という枠組み/ おわりに
女性に対する暴力と#MeToo運動(鄭喜鎭)
父の道具、そして「ささやき」/犯罪通報が革命である社会/加害者によって左右される争点 /男性と女性の「恣意」は同じではない/認識論としてのジェンダーの地位/ジェンダー社会で「不可能な#MeToo」/男性社会が選別する被害者/男性の新たな「性役割」は自らに対する責任感
春香には性的自己決定権が必要だった(橌砦イン)
はじめに/成春香と卞学道に聞きたい二つのこと/春香が守ろうとしたのは貞操ではない/卞学道は性欲を満たせなかったことに怒ったのではない/貞操では誰も救えない・れにもかかわらず、刑法には「貞操権」が入った/貞操権を超えて性的自己決定権へ/誰のための「抵抗」か/「同意」に必要なのは「拒否する権利」ではない/おわりに
ジェンダー概念とジェンダー暴力(ルイン)
トランスジェンダー・クィアの視角で見たジェンダー暴力の意味/「ブランドン・ティーナ/ティーナ・ブランドン」のカテゴリーを取り巻く論争/セックス‒ジェンダーの必然的関係に対する批判
/ トランスジェンダー・クィアとジェンダー/ジェンダー認識と、トランスジェンダー・クィアが受ける暴力の性格/ジェンダー暴力とジェンダー競合(Gender Dysphoria)連続体/トランスジェンダー・クィア連続体/トランス・フェミニズムに向かって
MeToo運動とフェミニズムの「大衆化」-本書の解説に代えて(申キ榮)
離れる他に、できることはないのだろうか。病理/非病理、偽物の愛/真実の愛、不幸/幸福、支配・従属/支え合いなど、多くの両義性を抱える「共依存」をめぐる言説を分析。そこに存在する倫理観を暴き出すことで、臨床の専門家や各領域の理論家が見逃してきた倫理と現実を提示する。
優生裁判、AV新法、宗教右派などの動きをめぐり、排除・抑圧・対立の歴史をふりかえりながら、性と生殖の権利を捉え直す。
【特集】生と性:共存するフェミニズム
戦前のアナキズム思想やフェミニズム、プロレタリア文学、戦後の大江健三郎や井伏鱒二、井上ひさしの作品を「暴力をめぐる記録/記憶」として読み解き、「歴史」「戦前・戦後」などの時間の視点からそれらの作品や思想に介入して、批判的に検証する文学研究。
序 章 時間に/で介入する
1 文学と想像的世界の二重性
2 暴力に潜む時間ーー津村記久子『君は永遠にそいつらより若い』
3 距離をとりつつ、取り憑かれるーー歴史の射程
4 本書の構成
第1部 運動/性/階級のポリティクス
第1章 フェミニズムとアナキズムの出合いーー伊藤野枝とエマ・ゴールドマン
1 女性の分断は何に寄与するのか?
2 フェミニズム批判のレトリックーーエマ・ゴールドマンと伊藤野枝
3 男たちのアナキズム
第2章 プロレタリアの「未来」と女性解放の夢ーー性と階級のポリティクス
1 無産階級運動と女性の要求
2 運動への献身と「貞操」をめぐるレトリック
3 “個人的なことは政治的なことである”
4 「女人芸術」の「プチブル的作品」が描くもの
第3章 残滓としての身体/他者ーー平林たい子「施療室にて」と「文芸戦線」
1 闘争主体としての「母」
2 純化されるイデオロギーと残滓としての身体
3 同室の女たちと「私」
第2部 暴力を描く地点
第4章 強制労働の記憶/記録ーー松田解子「地底の人々」
1 春川鉄男「日本人労働者」評と帝国主義をめぐるナラティブ
2 暴力の位相ーー松田解子「地底の人々」の初出と世界文化社版から
3 「中国人労働者」たちの蜂起と連帯
第5章 歴史の所在/動員されるホモエロティシズムーー大江健三郎『われらの時代』にみる戦争の痕跡
1 「停滞」する世界の表象
2 ホモソーシャル/ホモセクシュアルな欲望
3 歴史の免責と暴力の傷痕
第6章 「戦時」をめぐる歴史的時間の編成ーー井伏鱒二「黒い雨」
1 「庶民」の表象と「異常な戦時」
2 去勢された家長と敗戦
3 「喪失」と「回復」をめぐる遠近法
終 章 未来を語る/語らないことーー井上ひさし『父と暮せば』
1 『父と暮せば』の時間
2 記憶の回復/整序と再生産的未来
3 単線的時間の(不)可能性ーー大田洋子『夕凪の街と人と』を参照軸として
初出一覧
あとがき
独立革命の時代から今日まで200年にわたるアメリカ女性の歩みを辿り、フェミニズムはどのようにして生まれたのかを追求する。
「第4波フェミニズム」期のまっただなか、2015年に誕生した社会派アートグループ「明日少女隊」。
これまでの作品や活動を網羅するだけでなく、ジェンダー学の基礎知識や時事問題をふんだんに盛り込み、
「フェミニスト×アート」を実践的に学べる入門書決定版!
世界中に散らばる約50名の隊員で構成され、ピンクのマスクがトレードマークの匿名アーティスト集団「明日少女隊」。本書は、フェミニズムの旗を掲げ結成した2015年から、2023年の最新作までを収録した初の作品集です。フェミニズムに関わる社会の出来事を年表化しながら、それに応答してきた「明日少女隊」の活動を時系列に追いかけます。
明日少女隊の特徴は、アートとしてフェミニズム問題を表現するだけでなく、実際に社会への強い働きかけを行うところにあります。その活動範囲は広く、性犯罪に関わる刑法の改正、広辞苑のフェミニズムの定義の見直しのほか、「慰安婦」問題やトランスジェン
ダーの権利問題など多岐にわたります。
本書の特筆すべきポイントは、単に作品集であるだけでなく、女性の参政権獲得に始まるフェミニズムの歴史を解説するなど、フェミニズムの入門書としても使えるように基礎知識をわかりやすく説明しているところです。外部の有識者による寄稿や対談を盛り込み、また会話形式や吹き出しを多用することで、フェミニズムを身近に感じることができる一冊となっています。
フェミニズムは今日盛り上がりをみせていますが、美大などの専門の教育機関でさえ、アートとフェミニズムの両方を学ぶ機会は少ない現状にあります。本書は、こうした状況を打開すべく、フェミズム・アートを一から学びたい方のためにつくられており、それは、
「全ての性の平等を願うフェミニズムの思想」を広める明日少女隊の活動そのものといえる書籍となっています。