漢字とローマ字を中心に様々な表記法で書かれる台湾語を事例として、文字使用の多様性と規範化の有り様を用例の分析と書き手へのインタビュー調査に基づいて記述し、少数言語の文字化という問題に社会言語学的視点から迫る。
第1章 序 論 001
1.1. 初めに 001
1.2. 研究の目的と位置付け 005
1.2.1. ダイグラフィアの定義 007
1.2.2. リテラシースタディーズとの関係 011
第2章 台湾語とその表記 015
2.1. 台湾の言語状況 015
2.1.1. 歴史ー「台湾語」の誕生と国語による抑圧 016
2.1.2. 現在ー本土言語の復権? 021
2.2. 台湾語の概要 026
2.2.1. 言語学的特徴 027
2.2.2. 名称について 030
2.3. 台湾語の表記 034
2.3.1. 表記の歴史 034
2.3.1.1.近代以前の表記 034/2.3.1.2.表記をめぐる論争 038
2.3.2. 表記の種類 043
2.3.2.1.漢字 043/2.3.2.2.ローマ字 048/2.3.2.3.漢字ローマ字交じり 053/
2.3.2.4.その他の文字・記号 056
2.4. 先行研究 060
2.4.1. 臧汀生(1996) 060
2.4.2. 張學謙(2003) 062
2.4.3. Klöter(2005) 064
第3章 使用領域と文字 067
3.1. 学校教科書 068
3.1.1. 教育部規範以前 068
3.1.2. 教育部規範以後 070
3.2. 雑誌 078
3.2.1. 文字使用の傾向 079
3.2.2. 漢羅文の特徴 087
3.2.2.1.『台文通訊BONG報』の全面漢羅 087/3.2.2.2.限定漢羅から見たローマ字
091/3.2.2.3.ローマ字の証跡としての「--」(ダブルハイフン) 094
3.3. 歌謡曲の歌詞 100
3.3.1. 先行研究 102
3.3.2. 否定辞から見た文字使用の「通俗規範」 105
3.3.3. 「中国語の読み書き能力」と「公的規範」の利用 112
3.3.4. 漢字以外の文字の使用 116
3.4. 言語景観 118
3.4.1. 調査概要 120
3.4.2. 台湾語標識 124
3.4.2.1.漢字以外の文字 125/3.4.2.2.中国語で出現頻度の低い漢字(単字) 129/
3.4.2.3.中国語で出現頻度の低い漢字の並び(文字列) 132/3.4.2.4.考察 135
3.4.3. 遊びの要素 136
3.5. ダイグラフィアの実態 141
第4章 言語イデオロギーと文字 149
4.1. 概念定義と調査方法 150
4.1.1. 「言語イデオロギー」の定義 150
4.1.2. 面接調査 152
4.2. 台湾意識 157
4.2.1. ナショナルアイデンティティとしての「台湾意識」 157
4.2.2. 台湾意識と台湾語の文字選択 160
4.3. 文字選択の諸相 167
4.3.1. 文字の機能的優位性 168
4.3.2. 文字の戦略的使い分け 172
4.3.3. 文字か発音記号かー台羅拼音をめぐって 174
4.3.4. 通用拼音の思想 179
4.3.5. 書記の方法 184
4.4. 言語学者のイデオロギー 186
4.4.1. 漢字の選定 187
4.4.2. 文字としてのローマ字 191
4.4.3. 読み書きと教育 196
4.5. ダイグラフィアの深層 201
第5章 結 論 207
5.1. 研究の結果と展望 207
5.1.1. 事例研究の総括 207
5.1.2. 理論的貢献の可能性 209
5.2. 終わりに 212
参考文献 215
附 録 225
あとがき 231
索 引 234
コーパス言語学(corpuslinguistics)は、英語においては1990年代以降、日本語においては2000年代以降、それぞれ急速な進展を見せ、現在、言語や言語教育に関わる幅広い研究分野に大きな影響を及ぼしている。本書は、英語コーパスと日本語コーパスの両者に目配りしつつ、初学者を対象に、コーパス構築の理念やコーパスを生かした言語研究の方法論について平易に解き明かすことを目指す。
言語学の知識を既に身に付けている読者を対象として、「目で見る生活様式(文化)を持つろう・難聴コミュニティで自然に発生した言語」の研究の基本的な知識と近年の動向について日本語で情報を得ることを目的として作られた一冊。
■「まえがき」より
各章は 【基礎編】 と 【最前線編】 の二部構成となっている。【基礎編】でトピックに関する基本的な概念を導入したうえで,【最前線編】 でより専門性の高い内容が提示される。「第1章 イントロダクション」では,手話言語学という分野を概観する 【基礎編】 に続いて,近年の研究の展開の一例として手話音韻論を取り上げた。音韻のトピックは「第3章 プロソディ」にも含まれている。「第4章 複合語」では形態論のトピック,「第5章 文末指さし」「第6章 削除」では統語現象,「第7章 焦点」「第8章 メタファー」では意味に関わる現象がテーマとなっている。「第2章 類型論」と「第9章 手話の発生」では手話の多様性を扱う研究成果が提示されており「第10章 マウス・アクション」は複数の分野にまたがる事例研究である。
■執筆者一覧
浅田裕子(昭和女子大学 グローバルビジネス学部 准教授)
今西祐介(関西学院大学 総合政策学部 教授)
上田由紀子(山口大学 人文学部・人文科学研究科 教授)
内堀朝子(東京大学大学院 工学系研究科 准教授)
岡田智裕(総合研究大学院大学 複合科学研究科 情報学専攻 博士課程在学)
坂本祐太(明治大学 情報コミュニケーション学部 専任准教授)
相良啓子(人間文化研究機構 人間文化研究創発センター 特任助教)
下谷奈津子(関西学院大学 手話言語研究センター 研究特別任期制助教)
高嶋由布子(国立障害者リハビリテーションセンター研究所
脳機能系障害研究部 高次脳機能障害研究室 流動研究員)
富田 望(フレーミングハム州立大学 外国語学部 助教)
平山仁美(慶應義塾大学 商学部 専任講師)
前川和美(関西学院大学 手話言語研究センター 研究特別任期制助教)
松岡和美(慶應義塾大学 経済学部 教授)
矢野羽衣子(関西学院大学 手話言語研究センター 客員研究員)
*各章は、基礎編と最前線編の2部立て。
基礎編には見出しタイトルがありません。
各章の2行目は最前線編のタイトルです。
第1章 イントロダクション(松岡和美)
手話言語学の発展:音韻研究を例として
第2章 類型論(相良啓子)
数詞の類型論
第3章 プロソディ(下谷奈津子・前川和美)
日本手話のうなずきとその習得ー母語話者と学習者の比較
第4章 複合語(浅田裕子)
動詞由来複合語の統辞分析ー日本語と日本手話の観察から
第5章 文末指さし(内堀朝子・今西祐介・上田由紀子)
文法的一致を示すものとしての文末指さし
第6章 省略(坂本祐太)
空項の理論的分析:動詞残余型動詞句省略か、項省略か、空代名詞か?
第7章 焦点(平山仁美)
手話言語の焦点の意味論・語用論的分析
第8章 メタファー(高嶋由布子・富田望)
手話のメタファー分析の試み
第9章 手話の発生(矢野羽衣子)
宮窪手話の言語学的特徴
第10章 マウス・アクション(岡田智裕)
マウス・アクションの使用実態の分析
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私の朗読は、「魚住式メソッド」ともいえる「完全オリジナル版」です。
この「魚住式メソッド」は私が30年を超えるアナウンス経験から生み出したもので、唯一無二の方法と自負しています。
前回の本ではこうした朗読のメソッドを中心に述べたため、限られた朗読の例文しか掲載できず、多くの方から「もっと他の例文がたくさん欲しい」との要望をいただきました。今回はそんなご要望にしっかりお応えして「近代以降のさまざまな文学作品を掲載しました。
美しい日本語で書かれた文章を朗読するのは、それだけで気持ちが高揚するし、教養度も格段にアップするので本当におすすめです。
最初は「朗読なんて興味がもてない」と言っていた人が、一度やってみるとその楽しさに開眼し、「いまでは一生の趣味です」「こんなに楽しいならもっと早く始めたかった」 と言っていただくことも多いのです。
朗読には、人生を変える力があるのです!
それではみなさん、魚住式メソッドで朗読の世界を存分にお楽しみください!
【「1日1分朗読」は、こんな人におすすめです!】
★自分の声が苦手な人、好きじゃない人
★声が良くなりたい人、「いい声」で話したい人
★人前で上手く話せない人、プレゼンやスピーチが苦手な人
★職場やデートなどでの「雑談」が苦手な人
★滑舌が悪い人、滑舌を良くしたい人
★「語彙」を増やしたい人、「大人の言い回し」がしたい人
★単純に、名作・名文を楽しみながら読みたい人、教養を身につけたい人
★趣味として朗読したい人、朗読でストレス解消をしたい人
★朗読しながら、脳トレや認知症予防の効果も期待したい人
「1日1分朗読」を楽しみながら、人生が激変する「大人の声と話し方」をいっきに身につけよう!
〈「社会を全体として伝達理論に関連して解釈する」という前途洋々たる企てを開始したのは、レヴィ=ストロースであった。……それゆえに言語学と、経済学と、最期に親族および婚姻の研究とは、「戦略的に異なるレベルにおいて同一種の問題に接近し、事実同一の領域に属する。」……レヴィ=ストロースは、言語は上記の三レベルのすべてに介入すると、正しく強調している。〉
構造言語学そして現代思想の形成に寄与した、言語学者による論文集。レヴィ=ストロースに影響を与えた著者ならではの「人類学者・言語学者会議の成果」にはじまり、失語症の問題、音韻論、文法、そして通信理論や翻訳や詩学と言語学との関連など、広範にわたる主題の全12編。
まえがき
第一部 一般問題
I 人類学者・言語学者会議の成果
II 言語の二つの面と失語症の二つのタイプ
III 類型学とその比較言語学への貢献
IV 翻訳の言語学的側面について
V 言語学と通信理論
第二部 音韻論
VI 音韻論と音声学
VII 張りと弛み
第三部 文法
VIII 言語の音素的相と文法的相との相互関係
IX 転換子と動詞範疇とロシア語動詞
X 文法的意味についてのボーアズの見解
第四部 詩学
XI 言語学と詩学
第五部 言語学と隣接諸科学
XII 言語学と隣接諸科学
事項索引
原語索引
人名索引
言葉の意味が変わってしまうのはなぜか。
単語の指すものの内実が変わったり、同じものを指していたとしても受け止め方が変わったりする。同じ一つの文の意味も決してずっと同じであり続けるわけではない。
このとき、私たちにはいったい何が起きているのだろうか。
そもそも、「意味」とは何なのか。
「自己」とは何か、「出来事」とは何かといった、哲学ではよく知られたさまざまな問題と交錯しながら考察する。
はじめに
Ⅰ 意味変化という主題
1意味をめぐる問い
言葉の「意味」とはーー接続詞と動詞を手がかりに
浮かび上がる「意味」--単語から文へ
意味をめぐる考察の略史
物とも心とも異なるもの
2意味は変化する
意味が変わるとはどういうことか
語の意味の変化
文の意味の変化
受け止め方や推論をめぐる意味変化
3意味が通じないとき
意味変化と誤解
述定内容の変化
異なる文脈への気づき
Ⅱ 事実へといたる意味
1意味は幻なのかという疑い
消えてなくなるもの
言葉がもたらす間違いーー論理分析の効力
空性を体得する
消えずに残るもの
2確固たる意味についてーー存立・出来事・事実
構文的な対象性ーー「存立」か「実在」か
隠された出来事
出来事という存在者
たんなる意味から「事実の概念」への移行
3事実のもつ客観性
事実を知る〈私〉
異なる者の認め合い
事実と意味変化
Ⅲ 意味をもたらす自己
1行為する自己の意識
〈私〉と〈私〉以外を分けるもの
自己への気づきと身体
世界への自己の刻印
自己表現としての行為
2視野を拡げること
局所的な視野の単層性
局所的な視野の接続による拡大
広域性と「心の壁」
3視野の揺れ動き
自己を揺るがす遭遇
述語の意味が変わる
揺れ動きつつ生きる
Ⅳ 世界の意味が変わるとき
1厚みのある観点の獲得
重層性を増す経験
役割・立場をもつ
様相性を獲得する
2自己へ問いを向ける自己
理想と生きる意味
自己を変える自己
観点がともなう意志
意味を与えるもの
3自己の変様、世界の変貌
剥き出しの現実
意味が到来する
変様なのか開示なのか
おわりに
あとがき
認知言語学の体系は少しずつ形をとり始め、その過程は現在もまだ進行中と言ってよい。そこには、その若さの故の不確定さも多く内蔵されているが、新しいことの起こりうる可能性も豊かに内包している。「百花繚乱」とも言える認知言語学研究の各テーマを、第一線で活躍する研究者が解説する。
執筆者:池上嘉彦、早瀬尚子、野村益寛、進藤三佳、黒田一平、大堀壽夫・秋田喜美、深田智、菅井三実、鍋島弘治朗、木原恵美子、碓井智子、大月実、大谷直輝、高橋英光、坪井栄治郎、友澤宏隆、有光奈美
第1章 事態把握 池上嘉彦
第2章 視点と事態解釈 早瀬尚子
第3章 参照点 野村益寛
第4章 主観化 進藤三佳
第5章 文法化 黒田一平
第6章 類像性 大堀壽夫・秋田喜美
第7章 イメージ・スキーマ 深田 智
第8章 格の意味関係 菅井三実
第9章 メタファー 鍋島弘治朗
第10章 メトニミーとシネクドキ 木原恵美子
第11章 空間と時間のメタファー 碓井智子
第12章 色彩語とカテゴリー化 大月 実
第13章 語彙の意味ネットワーク 大谷直輝
第14章 日本語の命令文と依頼文 高橋英光
第15章 ヴォイス 坪井栄治郎
第16章 反意語 友澤宏隆
第17章 否定 有光奈美
認知言語学理論と関連分野について,言語学研究者から一般読者までを対象に,認知言語学と関連分野の指導的研究者らがその全貌を紹介する。全50項目のコラムで用語の基礎を解説。〔内容〕1.総論(記号学,認知科学,哲学等),2.理論的枠組み(音韻論,形態論,フレーム意味論等),3.主要概念(カテゴリー化,イメージスキーマ,参照点等),4.理論的問題(A.言語の進化と多様性,B.言語の習得と教育,C.創造性と表現),5.学際領域(心理学,人類学,神経科学,脳機能計測,手話等)
可能世界意味論の登場とクリプキの「新しい指示論」によって、言語哲学は70年代に根本的な変化を迎える。増補改訂版第3巻が登場!
50年代末の可能世界意味論の登場によって様相論理の評価は一変し、70年のクリプキ「名指しと必然性」によって可能世界の概念は哲学全般に大きな影響をもたらした。クワインの様相論理批判の行方と、指示の理論と可能世界意味論との関係というふたつの謎を軸に、言語哲学の展開を論じる。大河入門書の増補改訂版、待望の第III巻。
増補改訂版へのまえがき
第一版へのまえがき
第二部 可能世界意味論と様相の形而上学
第4章 様相の論理学
4・1 創始者による無視ーーフレーゲとラッセル
4・2 意味論以前の様相論理
4・3 カルナップと様相論理の意味論
4・4 クワインの様相論理批判
第5章 可能世界意味論
5・1 基本的発想
5・2 様相命題論理のモデル論ーー到達可能性
5・3 様相量化論理のモデル論ーー個体と世界
第6章 可能世界意味論の応用と哲学的基礎
6・1 自然言語の意味論
6・2 哲学的概念分析への応用
6・3 可能世界とは何か
6・4 貫世界同一性
第7章 直接指示の理論
7・1 固有名と記述ーー「標準理論」
7・2 「標準理論」への批判
7・3 新たな標準理論に向かって
終 章 必然性とア・プリオリ性
可能世界意味論とは結局何だったのか
ア・ポステリオリな必然性
ア・プリオリな偶然性
浅い必然性と深い必然性
第二部への文献案内
補 註
後記 二〇二四年
1 パラコンと可能世界
2 規格化と意味論的分析
3 存在論とイデオロギー
4 ホモフォニックな意味論とヘテロフォニックな意味論
5 意味論における複数的語法と様相的語法
6 様相虚構主義
索 引
言語学の入門テキスト。日本語と英語の具体例・実験例を見ながら,言語学の基礎理論とことばを科学的に理解する方法を学ぶ。
【主な目次】
Part 1 イントロダクション
1. ことばを操るーー「気づいていない」のに「知っている」とは?
2. ことばを理論的に科学する -仮説を立てて検証するとは?-
3. 心と脳の働きを調べるー実験研究のための手法ー
Part 2 音の文法
4. 音の異同の認知 -音素・異音とその処理ー
5. 「語」の中の音 -日本語のアクセントと連濁ー
Part 3 語の文法
6. 同じ語の語形変化 -屈折と二重メカニズムー
7. 語から別の語を作る -派生語の構造と処理ー
8. 語の意味と構文 -語の意味分解ー
Part 4 文の文法
9. 文の階層構造と二階建ての文ー日本語の使役文を中心にー
10. 名詞句の移動 -受身文の構造と処理ー
11. 節境界を越えた関係ー疑問文の構造ー
Part 5 ことばの使用の文法
12. 話し手と聞き手の関係 -相手はどこにいる?相手はどう思っている?-
13. 常識的な知識と意味 -名詞の意味と世界知識ー
まとめに代えて
14. 手話から見る言語の普遍性と多様性ー聴覚を使う言語と視覚を使う言語ー
比較言語学の目的は、言語間の系統関係の確立にとどまらず、系統関係にある諸言語の祖語を再建し、各言語が祖語の状態から現在の状態に至るまでにどのように変化を遂げてきたのかを解明することにある。文献に記録のない言語史を、比較言語学の手法によってどのように再建するのか。日琉諸語の例に基づいて解説する画期的な書。
まえがき
第1章 言語史研究における比較方法の位置づけ
1.1 最も古い文献に在証されるものが言語的に古いとは限らない
1.2 諸方言を上代語の子孫と考えることの問題
1.2.1 古典作品の本文批判と原文復元を例に
1.2.2 言語の場合
1.2.3 言語変化に関する前提
1.3 日本語史を文献資料のみによって研究することの問題
1.4 文献以前の日本語の歴史を明らかにする
第2章 言語変化
2.1 言語は変化する
2.2 音の変化
2.2.1 音変化とは何か?
2.2.2 条件変化と無条件変化
2.2.3 音声変化と音韻変化
2.2.4 音変化の類型
2.2.5 音韻変化
2.2.6 連鎖推移
2.3 語彙の変化
2.3.1 派生と複合
2.3.2 借用:漢語・外来語
2.4 類推・再分析
2.5 統語変化
2.6 意味変化
第3章 比較方法
3.1 比較言語学とは
3.1.1 比較言語学の目的
3.1.2 祖語の再建は虚構ではなく仮説
3.1.3 記録のない時代の言語を再建する
3.2 系統関係の確立
3.2.1 言語間の歴史的なつながり:系統関係と借用関係
3.2.2 音対応
3.2.3 音変化の規則性
3.3 日琉語族と他の諸言語との系統関係
第4章 内的再建
4.1 異形態の交替
4.2 内的再建の適用例
4.2.1 連濁とハ行子音
4.2.2 音便と清濁
4.2.3 露出形と被覆形
4.3 内的再建の限界
4.3.1 過度の一般化
4.3.2 内的再建と「発達史」観
4.4 内的再建と比較方法
第5章 系統樹の推定
5.1 類型分類と系統分類
5.2 派生形質の共有に基づく系統分類
5.3 距離行列法による「系統分類」
5.4 琉球諸語の系統分類
5.5 系統関係に由来する形質を見つけるには
5.6 借 用
5.7 並行変化
5.8 改新と保持の区別
5.9 系統樹モデルの限界
第6章 祖語の再建
6.1 音対応から再建される祖形と音変化
6.2 琉球祖語*e,*oの再建
6.3 日琉祖語*uiと*əiの再建
6.4 日琉祖語*eと*oの再建
第7章 方言学的なアプローチと文献資料を用いた日本語史研究
7.1 方言学・言語地理学における言語史の再建
7.1.1 方言区画論:共時的分類として
7.1.2 方言周圏論と言語地理学
7.1.3 逆周圏論と並行変化の問題
7.1.4 言語地理学と比較言語学の関係
7.2 文献資料を用いた日本語史の研究
7.2.1 文字から音声・音韻を推定する方法
7.2.2 写本・校定・原文
7.2.3 古語辞典における在証形と推定形
7.2.4 影印の問題
参考文献
あとがき
索 引
本書の目的は既存の通説を打破して、新しい上田万年像を打ち立てることである。上田万年は称賛するにせよ、批判するにせよ、西洋言語学を日本に導入した人という評価は変わらない。その評価はどこまで正しいのか。そこが本書の出発点である。新村出筆録・柴田武校訂(1975) 『シリーズ名講義ノート・上田万年 言語学』をネット上にある上田が参照したと思われる原書文献と照らし合わせ、上田の西洋言語学理解を検証する。
「この言語学の新しい方法は、他の学問分野の先例、さらには模範に当たるものとさえなり、今やことばの諸問題は多種多様な専門分野からの関心を集めて、そうした隣接分野の数も増加の一途を辿っている」
(「言語学の発展を顧みて」より)
「能動態の動詞形が、はじめは中動態に対立し、後には受動態に対立しているのが見られる」
(「動詞の能動態と中動態」より)
ソシュールの後継者と称され、ヤーコブソンと並び20世紀を代表する言語学者の主著の一冊。収録21篇の論文は、言語学の領域をこえて、文化人類学、社会学、歴史学、精神分析とも関連する広がりをもつ。ソシュールの歴史的意味、言語学における《構造》とは、能動態と中動態・受動態、印欧語彙における贈与と交換など、言語と人間・文化の関係を考えるうえで重要な書。
凡例
はしがき
I 言語学の変換
1 一般言語学の最近の傾向
2 言語学の発展を顧みて
3 ソシュール没後半世紀
II コミュニケーション
4 言語記号の性質
5 動物のコミュニケーションと人間のことば
6 思考の範疇と言語の範疇
7 フロイトの発見におけることばの機能についての考察
III 構造と分析
8 言語学における《構造》
9 言語の分類
10 言語分析のレベル
IV 統辞機能
11 名詞文について
12 動詞の能動態と中動態
13 《be》動詞と《have》動詞の言語機能
V 言語における人間
14 動詞における人称関係の構造
15 フランス語動詞における時称の関係
16 代名詞の性質
17 ことばにおける主体性について
18 分析哲学とことば
VI 語彙と文化
19 再構成における意味論上の諸問題
20 婉曲語法:昔と今
21 印欧語彙における贈与と交換
あとがき
索引
現代的な意味論や語用論といった分野は分析哲学から派生したため、言語学と哲学は密接な関係にある。本書は言語学において議論されることが少ないプラグマティズムという哲学の概念が言語分析の基礎概念として機能することを示すと共に、その帰結を論じることを試みる。本書はプラグマティズムに加え、身体性、フレーム理論、ネオ・サイバネティクスといった概念との関係について詳細に論じる初の学際的な研究書でもある。
ポストモダン思想の限界を乗り越えよ!
デリダやヴィトゲンシュタインによってかえって「謎」と化してしまった言語の本質を、現象学的方法によって解明。「原理」を提示し、人間的・社会的課題に向き合うことで認識の「普遍洞察性」(共通了解の普遍性)に近づいていくという哲学的思考のエッセンスは、こうして再興される。
著者年来の思索を集約し、来たるべきテーマを予示する、記念碑的名著。
* * *
[目次]
1章 現代の反形而上学ーー『声と現象』のマニフェスト
(ヨーロッパ思想の自己克服/脱構築的マニフェスト/根源概念の禁止/エクリチュールと主体の死)
2章 デリダ的脱構築と懐疑論
(「純粋自我」の逆説/懐疑論の本質/差延と超越性)
3章 「現象学的」言語理論について
(形而上学の解体/言語ゲーム/「言語」の現象学/ハイデガーの言語意味論)
4章 エクリチュールと「作家の死」
(言語の信憑構造/言語の「意味」とは何か/エクリチュールの構造/文学テクストの本質)
5章 一般言語表象
(一般言語表象と言語の多義性/指示理論について)
6章 「意味」の現象学
(「意味」の存在論/「発語」の現象学/規則のパラドクス)
7章 「正義」のパラドクスと「否定神学」
(否定神学/正義のパラドクス/倫理の現象学)
終章 現代的「超越項」
(「語りえないもの」の複数性/現代的「超越項」について)
あとがき
学術文庫版へのあとがき
1章 現代の反形而上学ーー『声と現象』のマニフェスト
(ヨーロッパ思想の自己克服/脱構築的マニフェスト/根源概念の禁止/エクリチュールと主体の死)
2章 デリダ的脱構築と懐疑論
(「純粋自我」の逆説/懐疑論の本質/差延と超越性)
3章 「現象学的」言語理論について
(形而上学の解体/言語ゲーム/「言語」の現象学/ハイデガーの言語意味論)
4章 エクリチュールと「作家の死」
(言語の信憑構造/言語の「意味」とは何か/エクリチュールの構造/文学テクストの本質)
5章 一般言語表象
(一般言語表象と言語の多義性/指示理論について)
6章 「意味」の現象学
(「意味」の存在論/「発語」の現象学/規則のパラドクス)
7章 「正義」のパラドクスと「否定神学」
(否定神学/正義のパラドクス/倫理の現象学)
終章 現代的「超越項」
(「語りえないもの」の複数性/現代的「超越項」について)
あとがき
学術文庫版へのあとがき
ノーム・チョムスキーは従来の「構造言語学」と根底から対立する「生成文法理論」を
創始、提唱した。この画期的な理論の影響は、言語学のみならず。哲学、心理学、
情報科学等の隣接諸科学にも及び、いわゆる「認知革命」誕生の礎となる。本書は
1990年代以降のミニマリスト・プログラムの指針のもとでさらに発展しつつある
「生成文法理論」の考え方の基礎をわかりやすく提示する。
広く言語に関心を持つ初心者から、言語研究の専門家まで必携の一冊。
言語と心のメカニズムを科学する。言語の基底にあるものとは。
待望のロングセラー復刊!巻末に訳語対照表を収録。
講義1 メンタリズムと行動
講義2 言語研究の概念的基礎
講義3 言語の性質、使用、および獲得について
訳者あとがき
訳語対照