市民主権による平和構築の必要性を訴えるとともにジェンダー平等実現のための課題と展望について熱く語った待望の講演録。代理母・クォータ制・平和的生存権など最新の問題に憲法から切り込む渾身のメッセージ。
欧米には見られない独特なジャンルである「少女小説」。明治末期から現在までの少女小説の物語構造を代表的な作品やジュニア小説・コバルト文庫、マンガ、ラノベを素材に読み解いて、時代ごとに変わる“少女像”や少年/少女の分割線の変容をあぶり出す。そして、明治末から百年間にわたり受容されてきた少女小説がはらむジェンダーの問題系を解明する。
ビューティー・サロンは「女らしさ」を読み解く絶好のスポット。身体・ジェンダー・健康をめぐる利用客の多彩な関心と、美容という労働の位置と経験を鮮やかに浮かび上がらせ、新たなフェミニスト思想の地平を拓く。
女たちはたくさんの仕事をこなしてきた。バリの女たちの日常が、日本の女たちの現在を照らし出す。交響する民族誌。
ヨーロッパ中世、近世イタリア、戦中・戦後の日本映画、ピンクリボンキャンペーンなど、古今東西の乳房イメージと社会との関係を明らかにして、女性の身体そのものから乖離している乳房イメージと、それに密接に絡み合うジェンダー力学を解明する乳房文化論。
はじめに 山崎明子
第1章 男/女の差異化ーー医学的言説における乳房 黒田加奈子
1 医学史概略とジェンダー
2 医学史に見る乳房・乳をめぐる言説ーー体液としての乳
3 薬剤としての乳
第2章 美の威嚇装置 山崎明子
1 ピンクリボンキャンペーンとは
2 ピンクリボンキャンペーンの歴史
3 蓄積される乳房の表象
4 新たな意味創造の困難
5 「乳がんではない」美しい身体
6 表象の裏切り
7 ピンクリボンキャンペーンをめぐる表象の政治学
第3章 「聖戦」論理の構築 池川玲子
1 戦時下日本映画にみる「授乳」のイメージ
2 銃後映画の「授乳」イメージ
3 戦地・占領地映画の「授乳」イメージ
4 満洲移民映画の「授乳」イメージ
第4章 都市秩序の再生 新保淳乃
1 ペスト危機と乳房イメージ
2 ペスト図像での乳房イメージ
3 授乳しない乳房の系譜
4 都市秩序の再生
第5章 男性優位のジェンダー秩序の再編/強化 千葉 慶
1 「危機」の時代の/「危機」に抗する日本映画ーーレイプ表象の生産/消費の背景
2 「俺たちをケダモノにしたのはお前たちじゃないか」--「劣情有理」とレイプ表象
3 「あんたも、お嬢さんなんて仮面を早く取ることだな」--「レイプ神話」の定着へ
あとがき 山崎明子
織工として定収入を得る人から、彼女たちの家事を代行して稼ぐ人まで、戦間期にイギリスの女性の働き方や暮らしは一気に多様化する。理論と実証研究の統合を目指した意欲的なオーラル・ヒストリー。一九二〇年代以降にイングランド北西部、ランカシャーで就労していた女性の経験について、一九九〇年代初頭に実施した調査をまとめたもの。
ベル・フックスのアメリカ黒人現代アート批評、待望の邦訳。白人至上主義的・資本主義的・家父長制による排他的な視覚の政治学が深く浸潤する現代アートとその批評、システムの内部にメスを入れ、真の黒人の美学を開示する。
1980年代から現在に至るまで活躍する女性作家たちの小説を、結婚制度とそれにまつわる社会状況を照合しながら多角的に考察する。
凡例
序 章
第一節 「結婚小説」の解体
第二節 近代文学研究における「家族」(一)-家庭の崩壊と女性表現の批判性
第三節 近代文学研究における「家族」(二)-家族の「多様化」という評価
第四節 近代文学研究における「家族」(三)-「家族」概念の操作
第五節 本書の研究方法と目的
第六節 本書の構成と概要
注
第一部 結婚の境界線を探ること
第一章 労働と結婚を繫ぐものー山本文緒・絲山秋子の女性表象からー
第一節 均等法以後ー篠田節子『女たちのジハード』が残したもの
第二節 ゲームの裏切りー山本文緒「囚われ人のジレンマ」
第三節 「無意味さ」としての女性身体ー絲山秋子「勤労感謝の日」
第四節 均等法が残したもの
注
第二章 暴力からの脱出/他者への接近ー津村記久子「地下鉄の叙事詩」論ー
第一節 公的領域としての鉄道内空間
第二節 新自由主義の内面化
第三節 暴力の空間
第四節 満員電車という環境下のジェンダー
第五節 公共空間における偶発的なすれ違い
注
第二部 異性愛主義の延命
第三章 結婚をめぐる争いー笙野頼子『説教師カニバットと百人の危ない美女』論ー
第一節 文体と物語内容
第二節 「怒り」の居場所
第三節 「愛」と「不公正」の狭間
第四節 もう一つの争い
第五節 生活を共にする「猫」
注
第四章 教化される感覚ー多和田葉子「犬婿入り」論ー
第一節 「郊外文学」の系譜
第二節 国立市の歴史をめぐって
第三節 伝播する犬婿伝承
第四節 忘却された感触
注
第五章 包囲される/衝突する女性同性愛ー松浦理英子『ナチュラル・ウーマン』における欲望と関係性ー
第一節 「女性同性愛」表象の分析にまつわる困難
第二節 婚姻制度の牽制
第三節 白と赤の衝突
第四節 欲望と関係性の差異をめぐって
第五節 「完璧な眺め」を見下ろすなかで
注
第三部 選択肢としての結婚/まとわりつく結婚
第六章 親族関係という「蜘蛛の巣」-金原ひとみ作品の二人組と結婚ー
第一節 金原作品における「結婚」の機能
第二節 「不妊」の行方
第三節 「母」になる/させられるということ
第四節 子供の「親」とは誰なのか?
注
第七章 「不幸」な結婚が意味するものー鹿島田真希「冥土めぐり」論ー
第一節 結婚の「新たなモデル」?
第二節 「冥土めぐり」の快楽
第三節 「母殺し」の方法と脱出の構図
第四節 飼い慣らされる「不幸」
注
第八章 「家族」を作らないという選択ー姫野カオルコの介護作品を中心にー
第一節 「介護の社会化」の後に
第二節 滑川までの「三時間」
第三節 赤江朋子の家族構成
第四節 鶯小屋からの親密性
注
終章
第一節 各章の要点
第二節 偶発的な親密性を取り込むこと
注
後記
いま激動する社会に最適なかたちを模索して試行錯誤する日本の家族。進化心理学、文化心理学など新たな視点をも統合した、新しい家族心理学。
原初史の最初に出てくる天地創造物語は史実なのかどうかが争われてきた。宗教と科学の対決とも言われてきた。しかし、この物語が史実なのか神話なのかという二者択一の問いを立てること自体が、原理主義にとらわれた行為ではないか。原理主義からの解放を視野に入れながら、原初史物語に託された「聖書の著者(たち)」からのメッセージは何かを聴きとる。
はじめに
1時間目 旧約聖書の構成、成立、伝達
1.聖書のよみ方
批判的に聖書を読む
批判と非難
「歴史を学ぶ」とは?
聖書との対話を通して
2.「旧約聖書」とは何か
「旧い契約」「新しい契約」
「契約を切る」
四つの契約
70人訳聖書
構成について
新共同訳聖書
五書の成立、ヴェルハウゼンの提唱
スピノザの排斥
マルチン・ノートーー『モーゼ五書伝承史』
書記の誕生
正典化・キャノナイゼイションの過程
正典化の必要性
公的朗読
死海写本
ソーフェリーム・数える人々
2時間目 天地創造物語
はじめに神は天地を創造した
闇から光りを
希望の光
パターンのくり返しと、言葉による創造と行為による創造
左右対称に込められたメッセージ
クリエーショニズムー創造主義と進化論
信仰の告白
生きることの意味
バビロニア捕囚
バビロニアの信仰体系との対決
バビロニアの創造物語
神々の奴隷としての人間、「神の似姿」しての人間
神の像の「民主化」
3時間目 アダムとエバ物語
「人間は土の塵から造られた」
「エデンの園」
「マイムマイム」
地に仕える僕
善悪の知識の木
エバの創造
父母を見捨てて
蛇の誘惑
関係の崩壊
原因譚
エバ、「命」
アダムとエバの関係
問題の箇所
アーダームは男か
ケネグドーーー彼と向き合う助け手
男性だけの翻訳委員会
4時間目 ノアの洪水物語
カインとアベルの物語
二資料仮説によるノアの洪水物語
J版洪水物語
P版洪水物語
増補改訂仮設
神による継続的創造
古代オリエントの洪水物語
5時間目 バベルの塔物語
物語のような歴史、歴史のような物語
通時的研究・共時的研究
著者が託した主張
バベルの塔物語を読む視点
嫉妬による殺人
人間の悪への裁き
バビロニアのバベルの塔
多様性の祝福
多様性を生き抜く
むすび
おわりに
参考文献
1980年代以降の生活保障システムを詳細なデータを基に跡づけ分析し,日本の社会・経済の脆弱性を照らしだす。特に貧困や地域格差など偏ったお金の流れ,個々人の「生きにくさ」がジェンダーと深く関わっていることを明らかにする。迫力ある著者待望の書。
序 論 危機や災害に脆い社会
第1章 所得の格差・動態にかんするデータ─ミクロとマクロ
第2章 生活保障システムというアプローチ
第3章 福祉レジーム論をふりかえる
第4章 生活保障システムの3類型と日本
第5章 「失われた20年」のガバナンスの推移
第6章 「失われた20年」の始まり─1990年代のガバニング
第7章 小泉改革とはなんだったか─2000年代のガバニング
第8章 生活保障システムの比較ガバナンス─2000年代の日本の座標
終 章 グッド・ガバナンスに向けて
女性はなぜ生きづらいのか。常識を疑う叛骨の精神が組み込まれたジェンダー概念を用い、政治学に埋め込まれた男性の優位性、女性に対する抑圧と排除、男性と女性の不公平な関係に焦点を当て、市民社会やリベラル・デモクラシーに内在する不平等を解き明かす。政治学の土俵でフェミニスト・アプローチの可能性を探る。
序章
第一章 フェミニズムとジェンダー
1 第一波フェミニズム──女性の権利獲得運動
2 第二波フェミニズム──女性解放運動
3 多様化の時代のフェミニズム──「再分配」から「承認」へ
4 分析概念としてのジェンダー
結語
第二章 「性」の支配──女性はなぜ敗北したのか
1 支配システムとしての「家父長制」
2 家父長制と資本主義
3 家父長制の起源
4 家父長制の定着
結語
第三章 「労働」の支配──ジェンダー役割分業観念はいかに構想されたのか
1 西洋社会の女性と労働
2 ブルジョワ階級女性をめぐる労働と生活の変化
3 資本主義はなぜ「ジェンダー役割分業」を必要としたのか
4 ジェンダー役割分業の行方
結語
第四章 リベラリズムにおける排除と包摂──平等のディレンマ
1 フェミニストのシティズンシップをめぐる議論
2 古典的リベラリズムの排除の論理
3 ソーシャル・リベラリズムの二面性
4 普遍的平等の不平等
結語
第五章 リベラリズムにおける平等と差異──「積極的平等」をめぐる批判と反論
1 積極的平等政策
2 機会の平等、能力主義への挑戦
3 不名誉な烙印
4 派閥の台頭
5 本質主義への回帰
結語
第六章 ジェンダー不在の市民社会──フェミニストの批判
1 市民社会概念
2 市民社会と女性
3 フェミニストの市民社会(論)批判
結語
第七章 市民社会の再構想──「重なり合う、切れ目のない世界」の提案
1 アイリス・ヤングの市民社会モデル
2 ヤングの三層モデルの効果
3 ヤングの三層モデルの課題
4 重なり合う、切れ目のない世界
結語
第八章 リベラル・デモクラシーの不平等──議会における過少代表
1 リベラル・デモクラシーの不平等
2 政治社会の先住集団と後続集団
3 女性議員の多寡を左右する要件
結語
第九章 リベラル・デモクラシー再訪──議会代表と議会外代表
1 記述代表と実質代表
2 議会を越える女性の政治代表
3 議会外代表の強調が引き起こす問題
4 議会代表の潜在力
結語
終章
参照文献
あとがき
索引
近年、ジェンダーを論じる際には、旧来の男女二元論を超えるようになってきている。本書は現代社会に生きる「ノンバイナリー」(性自認が男女の二枠に当てはまらない人)たち30人の率直な語りを集め、ジェンダーとは何かという問いに真正面から向き合う。
社会学するとは何かーメディアを通して様々な「常識」や「記憶」が創られている。身近な文化現象を、理論/歴史/流行現象の視角から再考し、社会学を「実践」することの面白さと奥深さを開示する。
特集:難民・強制移動とジェンダー/セクシュアリティ
特集│難民・強制移動とジェンダー/セクシュアリティ
・企画趣旨 工藤晴子/難民研究フォーラム編集委員会
特集論文・報告
・難民・強制移動研究におけるフェミニズムとクィアのアプローチ 工藤晴子│神戸大学(国際社会学、ジェンダー/セクシュアリティ、難民・強制移動研究)
・欧州共通庇護政策とジェンダー主流化ーヴァルネラブルな移民・難民の救済をめぐる言説と実践 園部裕子│香川大学(社会学、国際移動研究、フランス社会研究)
・判例報告 B・C対スイス事件判決ー欧州人権裁判所、2020年11月17日 谷口洋幸│青山学院大学(国際人権法、ジェンダー法)
・翻訳 カナダのガイドライン9はSOGIEに基づいた難民性の主張の評価を改善するものなのか? モイラ・ダスティン(Moira Dustin)/ヌノ・フェレイラ(Nuno Ferreira)
投稿論文
・日本に難民を受け入れる土壌はないのか?-戦前のロシア難民からの学び 藤谷美希歩│法政大学国際文化学部卒業(国際文化学)
若手難民研究者奨励賞成果論文・研究概要
・若手難民研究者奨励賞とは
・国際刑事法と難民法をめぐる課題に対する一考察ー国際刑事裁判所による証人保護と難民条約除外条項の適用をめぐる分析を通して 藤井広重│宇都宮大学国際学部准教授(国際人権法、国際刑事法、アフリカ政治)
・難民条約の人権規範と1952年体制のレイシズムとの相克をめぐる一考察 梁英聖│東京外国語大学世界言語社会教育センター講師(レイシズム研究、社会学)
シンポジウム報告
・若手研究者が語り合う「難民研究の面白さと難しさ」-学部生・大学院生への第一歩 片雪蘭│奈良大学講師(文化人類学、南アジア地域研究)/植村充│東京大学博士後期課程、法政大学兼任講師(EU研究、移民・難民研究、フランス政治)/小俣直彦│オックスフォード大学国際開発学部難民研究センター准教授(文化人類学)/山田光樹│難民研究フォーラム事務局員/松本悟│法政大学教授(開発研究)
通年報告
・2021年日本の判例動向 杉本大輔│全国難民弁護団連絡会議事務局
・海外判例評釈 加藤雄大│東北医科薬科大学
・2021年難民動向分析ー日本ー 山田光樹│難民研究フォーラム
・2021年難民動向分析ー世界ー 原直哉│国際・開発研究大学院在学中
・2021年難民動向分析ー韓国ー 呉泰成│都留文科大学兼任講師
・2021年難民関連文献一覧
労働のグローバル化が進む中で、脆弱な環境に置かれた現代ラテンアメリカの女性たちが国境を越え、移民労働者として国外労働市場に組み込まれるプロセスと、その中で女性たちが直面する様々な問題を明らかにする。
今までになかった『判断力批判』入門!
近年の再検討事項でもあるジェンダーの視点を取り入れつつ、「難解」と評判のカント美学を理解しやすいように解説。
はじめに
第一章 無関心性:快の感情の分析(その一)
第二章 主観的な普遍性:快の感情の分析(その二)
第三章 目的のない合目的性:快の感情の分析(その三)
第四章 範例的な必然性:快の感情の分析(その四)
第五章 三つの原理と正当化:快の感情の正当化
おわりに