本書は、生物時計について研究を始めたいという大学の理科系医歯薬系学部学生を対象にしている。 意識することはあまりないけれども、毎日のリズムは生活の基本であり、ヒトの理解を目指す生理学や、生物の理解を目指す生物学の原則である。そのリズムの原因を作った地球を対象にする科学、リズムを利用して健康を維持しようとする医学、リズムをもつ生命が生み出す環境や社会の科学もそれを無視することはできない。本書は、リズムを作り出す機構を生物学の視点から簡潔に記述することを目指した。必要な神経生理学や分子生物学の基礎知識はこの本の中で解説しているので予備知識は必要ない。
序章 生物時計と生物リズム
0.1 生物時計の意義
0.2 関連する学問領域
0.3 カバーしきれなかったトピック
0.4 本書で採用した工夫
0.5 本書の読み方
第1章 ヒトで見られる日内リズム
1.1 身体の動き
1.2 体温
1.3 血中のホルモン濃度
1.4 尿中のイオン
1.5 睡眠ー覚醒
1.6 消化,代謝活動
1.7 心臓血管系の活動
1.8 免疫系の活動
第2章 普遍的に存在する日内変動
2.1 ラット,ハムスター,マウスの活動リズム
2.2 魚類,両生類,爬虫類のリズム
2.3 単細胞生物のリズム
2.4 植物のリズム
2.5 その他の動物のリズム
2.6 季節変動
2.7 太陽コンパス
2.8 誕生,羽化の時刻
2.9 日内リズムの起源
第3章 サーカディアンリズムの基本的性質
3.1 周期,位相,振幅
3.2 測定可能性ー生物時計振動体と時計の針
3.3 サーカディアンリズムの内因性
3.4 同調(エントレイン)
3.5 同調の機構
3.6 ノンパラメトリック仮説の限界とパラメトリック効果
3.7 内因性の判定基準
3.8 同調因子であるための条件
3.9 生物時計の安定性
第4章 生物時計の局在
4.1 生物時計の特徴
4.2 軟体動物の生物時計
4.3 昆虫の生物時計
4.4 魚類,両生類,爬虫類の生物時計
4.5 鳥類の生物時計
4.6 哺乳類の生物時計
4.7 ヒトの生物時計
4.8 生物時計の系統発生
第5章 視交叉上核の神経機構
5.1 視交叉上核の解剖学
5.2 視交叉上核破壊による行動リズムの消失
5.3 視交叉上核活動のサーカディアンリズム
5.4 視交叉上核活動の光応答
5.5 明暗による同調の経路
5.6 視交叉上核アイランドにおけるサーカディアンリズム
5.7 摘出視交叉上核のリズム
5.8 視交叉上核移植
5.9 視交叉上核の唯一の時計
5.10 末梢のサーカディアン振動
5.11 視交叉上核の出力と行動のリズム
5.12 昼行性と夜行性
5.13 単一細胞内の生物時計
第6章 生物時計の分子機構
6.1 時計遺伝子
6.2 フィードバックループ
6.3 マウスの時計遺伝子
6.4 光に対する応答
6.5 分子レベルの時計の出力
6.6 末梢の組織における時計遺伝子の日内変動
6.7 共通の分子機構,生物時計の進化
6.8 細胞のサーカディアンリズム機構ーまとめ
第7章 ヒトの生物時計
7.1 ヒトの生物リズム
7.2 ヒトの生物時計の特徴ー弱い制約
7.3 ヒトの生物時計の意義
7.4 生物リズムの不調
7.5 健康な生活のために
7.6 豊かな社会のために
参考文献
あとがき
索引
時計遺伝子のクローニングとその解析が爆発的に進んだことで、約24時間の周期性を生み出すシステムの骨格がみえてきた。複雑に絡まり合う時計遺伝子のネットワークがリズムを刻む。サーカディアンリズム研究のすべてをまとめた待望のレビュー集。
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