特集:難民・強制移動とジェンダー/セクシュアリティ
特集│難民・強制移動とジェンダー/セクシュアリティ
・企画趣旨 工藤晴子/難民研究フォーラム編集委員会
特集論文・報告
・難民・強制移動研究におけるフェミニズムとクィアのアプローチ 工藤晴子│神戸大学(国際社会学、ジェンダー/セクシュアリティ、難民・強制移動研究)
・欧州共通庇護政策とジェンダー主流化ーヴァルネラブルな移民・難民の救済をめぐる言説と実践 園部裕子│香川大学(社会学、国際移動研究、フランス社会研究)
・判例報告 B・C対スイス事件判決ー欧州人権裁判所、2020年11月17日 谷口洋幸│青山学院大学(国際人権法、ジェンダー法)
・翻訳 カナダのガイドライン9はSOGIEに基づいた難民性の主張の評価を改善するものなのか? モイラ・ダスティン(Moira Dustin)/ヌノ・フェレイラ(Nuno Ferreira)
投稿論文
・日本に難民を受け入れる土壌はないのか?-戦前のロシア難民からの学び 藤谷美希歩│法政大学国際文化学部卒業(国際文化学)
若手難民研究者奨励賞成果論文・研究概要
・若手難民研究者奨励賞とは
・国際刑事法と難民法をめぐる課題に対する一考察ー国際刑事裁判所による証人保護と難民条約除外条項の適用をめぐる分析を通して 藤井広重│宇都宮大学国際学部准教授(国際人権法、国際刑事法、アフリカ政治)
・難民条約の人権規範と1952年体制のレイシズムとの相克をめぐる一考察 梁英聖│東京外国語大学世界言語社会教育センター講師(レイシズム研究、社会学)
シンポジウム報告
・若手研究者が語り合う「難民研究の面白さと難しさ」-学部生・大学院生への第一歩 片雪蘭│奈良大学講師(文化人類学、南アジア地域研究)/植村充│東京大学博士後期課程、法政大学兼任講師(EU研究、移民・難民研究、フランス政治)/小俣直彦│オックスフォード大学国際開発学部難民研究センター准教授(文化人類学)/山田光樹│難民研究フォーラム事務局員/松本悟│法政大学教授(開発研究)
通年報告
・2021年日本の判例動向 杉本大輔│全国難民弁護団連絡会議事務局
・海外判例評釈 加藤雄大│東北医科薬科大学
・2021年難民動向分析ー日本ー 山田光樹│難民研究フォーラム
・2021年難民動向分析ー世界ー 原直哉│国際・開発研究大学院在学中
・2021年難民動向分析ー韓国ー 呉泰成│都留文科大学兼任講師
・2021年難民関連文献一覧
社会学するとは何かーメディアを通して様々な「常識」や「記憶」が創られている。身近な文化現象を、理論/歴史/流行現象の視角から再考し、社会学を「実践」することの面白さと奥深さを開示する。
2022年版の女性白書は「コロナ禍を超え、ジェンダー平等社会の実現を」をテーマに、総論では、女性労働政策や「新しい資本主義」についてを、ジェンダー視点で論じます。他、コロナ禍におけるリプロダクティブ・ヘルスについて、女性労働者の実態、「生理の貧困」をめぐって、教育のデジタル化などのテーマをとりあげました。巻末の統計や各種資料も充実。
子育ては『わくわく』『つらい』『不安』?多様化する育児雑誌が映し出す子育ての現在。子育てをめぐることばの束(言説)を分析し日常に浸透する密かな統制を読み解く。育児メディア研究の最前線。
近世の版本、ポスター・雑誌、CM、流行歌、映画、小説などの多彩な資料から、遊女、町娘、農婦、上流階級女性、モダンガール、作家、街娼、女工、主婦の喫煙や「たばこ屋の娘」の表象、戦争とたばこ、嫌煙権、分煙社会の方途に挑んだ意欲作。
米国の宗教学者による水子供養の画期的論考、待望の邦訳。史料分析と現地調査により、大衆メディアの活用、徹底的な商業化、超宗派的な儀式の性格を多面的に描き、その根底にある女性差別、胎児中心主義的イデオロギーを暴き出す。
労働のグローバル化が進む中で、脆弱な環境に置かれた現代ラテンアメリカの女性たちが国境を越え、移民労働者として国外労働市場に組み込まれるプロセスと、その中で女性たちが直面する様々な問題を明らかにする。
男女ともにワーク・ライフ・バランスを実現するためのカギとは?一人ひとり異なる生きた個人の内面の声と、働き方やジェンダー規範という社会の構造的な問題とを、生涯発達心理学の視点から結びつける。
メディアのなかにあらわれた病、女、血、アイヌをめぐる差別と定型の物語から、韓国併合、閔妃暗殺、大逆事件などの暗殺をめぐる物語まで。物語のほころびをとおして、帝国日本の成立過程をさぐる気鋭の論考。
女性と政治を隔てているものとは何か?
共同体に滅亡をもたらす者、革命家として憲兵の刃に倒れる者、産まれたばかりの我が子を手にかける者……死と暴力にまみれ、恐怖(テロル)の相貌を帯びた女性たちはなぜ描かれたのか。
19、20世紀を生きた作家たち、宮崎夢柳・福田英子・平林たい子・三枝和子の諸作品から、今なお根強く残るジェンダー秩序と、女性表象や女性解放をめぐる問題に鋭く切り込む。
凡例
序章 公/私区分とジェンダー
1 自由と女ー宮崎夢柳の政治小説
第一章 「佳人」の死ー「芒の一と叢」における女性表象
はじめに
一 「諸君は此の髑髏の誰れたるを知るか」
二 勤王志士の系譜
三 女性像の転換
おわりに
第二章 土佐を歩く夢柳ー初期テクストと土佐自由民権運動の距離
はじめに
一 夢柳と土佐自由民権運動
二 陽暉楼/得月楼
三 「近水の楼台月の面影」
四 「芸郡紀遊」
おわりに
第三章 「鬼啾啾」における「主義」と「私事」
はじめに
一 女性像の変遷
二 公/私区分の再編と「自由」な政治的主体
三 「私事」としての女権論
おわりに
2 階級と女ー福田英子と平林たい子
第四章 「女壮士」の行方ー景山英子から福田英子へ
はじめに
一 英子をめぐる言説1-崇拝と侮蔑
二 英子をめぐる言説2-〈公〉か〈私〉か
三 『妾の半生涯』の同時代的文脈と戦略
四 「婦人世界」における女性解放論
おわりに
第五章 「理知」と「意志」のフェミニズムー平林たい子における公/私の脱領域化
はじめに
一 「承認」の政治からの再評価と批判
二 「理知」と「行動への意志」
三 「施療室にて」
おわりに
第六章 境界をめぐる物語ー平林たい子「夜風」論
はじめに
一 公的な活動様式
二 「身辺的認識」からの脱却
三 農民文学をめぐる論争
四 「夜風」
おわりに
3 文化と女ー三枝和子のフェミニズム・ディストピア
第七章 亡霊的な「女性原理」-「鬼どもの夜は深い」を中心として
はじめに
一 滅亡への志向性
二 亡霊としての「女性原理」
三 「鬼どもの夜は深い」
四 一九八〇年代フェミニズムにおける和子の位相
おわりに
第八章 「自由」への憧憬と懐疑ー『八月の修羅』から『隅田川原』へ
はじめに
一 第二波フェミニズムと「自由」
二 『八月の修羅』
三 「江口水駅」
四 「隅田川原」
おわりに
第九章 友でもなく、敵でもない者
はじめに
一 「敵」と「友」の境界線の混乱
二 「「法」ロゴス」と「エリーニュス」
三 「幽冥と情愛の契りして」
おわりに
終章 テロルの女たち
初出一覧
あとがき
索引
オリンピックはその輝かしい名声に本当に応えているのか?歓喜や希望の水面下にうごめく政治的、経済的思惑を暴き、若者の教育やジェンダー、アスリートの権利など人権的な視点からも鋭く切り込む。
水村美苗さん(作家)推薦!
「問われるべきだったのに、問われなかった問い。それを問うのが学問のすべてである」
小澤征爾、内田光子、竹澤恭子、ヨー・ヨー・マ、チョン・キョンファ、ラン・ラン、ユンディ・リー、サラ・チャン──西洋クラシック音楽の世界でアジア人が活躍しているのはなぜか? 70人におよぶアジア系音楽家の証言をもとに、歴史・文化・民族誌の見地から、クラシック音楽ひいては芸術の本質にせまる!
はじめに
序
1 「アジア人」とクラシック音楽
太平洋を越える西洋音楽
西洋音楽、東アジアに到来
蝶々夫人・日本版
中産階級のためのクラシック音楽、そしてアジアから西洋への「逆輸出」
スズキ・メソードのグローバリゼーション
結び
◆音楽家たちの声
1 デイヴィッド・キム
2 リフェン・アンソニー
3 高橋利夫
4 竹澤恭子
2 「アジア人音楽家」という「人種」
アメリカのアジア人音楽家たちの「ルーツ」と「ルート」
留学生
「音楽移民」
「移住するプロ音楽家」
「越境子女」
「混合」アジア人
音楽と「差異」
音楽と民族/国家アイデンティティ
結び
3 クラシック音楽における性力学
ジェンダー規範の逸脱─男性音楽家たち
音楽界の性力学との葛藤─女性音楽家たち
アジア人音楽家のビジュアル・マーケティング
音楽とセクシュアリティ─ゲイの音楽家たち
結び
4 階層としての音楽家、文化資本としてのクラシック音楽
階層理論と職業としての音楽
音楽家の出身階層
クラシックのコスト
クラシック音楽家の経済生活
文化的生産「フィールド」と階層
結び
◆音楽家たちの声
5 マーガレット・レン・タン
6 チョーリャン・リン
7 名倉誠人
8 ケンジ・バンチ
5 自分たちの声を求めて
クラシック音楽の「インサイダー」と「アウトサイダー」
自分自身の声 その一─器楽家の場合
自分自身の声 その二─オペラ歌手の場合
自分自身の声 その三─作曲家の場合
結び
おわりに──クラシック音楽という「経験」
あとがき
参考文献
索引
在日タイ女性に焦点を当て、日ータイの越境的な家族関係、それぞれの社会・制度に埋め込まれたジェンダー規範による、高齢期に向けた選択における制約と、彼女たちが抱える脆弱性を明らかにする。高齢期を迎えるニューカマーの実相に迫った嚆矢となる研究成果。
まえがき
序章 在日タイ女性の高齢期ーー「国際移動の女性化」の帰結として
1.本書の目的と調査対象者
2.壮年期と高齢期の準備期間とは
3.高齢期に備える在日タイ女性の選択
4.研究方法と調査対象者
5.先行研究から考える、在日タイ女性の高齢期
6.本書の構成
第1章 在日タイ女性のトランスナショナルなライフコースとその背景
1.在日タイ女性の来日の複合的な背景
2.在日タイ女性を取り巻く法と福祉制度に埋め込まれたジェンダー規範
3.年金制度とジェンダー格差
4.在日タイ女性の高齢化
5.日本における高齢者への社会保障と在日タイ女性
6.送出国タイの30年の変化
第2章 在日タイ女性の高齢期をめぐる諸要素と分析概念
1.在日タイ女性の高齢期の準備に影響する諸要素
2.在日タイ女性の複合的な背景と分析概念
第3章 感情的紐帯と経済的紐帯の分かちがたさーータイと日本、娘・妻・母親という役割
1.「日本人の妻」役割によって支えられるタイの娘役割と母役割
2.「日本的」ジェンダー規範に沿う母親役割とタイの家族
3.小括
第4章 高齢期の準備ーー日タイの家族の感情的紐帯と経済的紐帯の維持と選択
1.ひとり親としての日本での子育てと、タイの親のための本帰国
2.日本での再婚と人身取引に関与したタイの母親
3.ひとり親としてケアする者からケアされる者へ
4.小括
第5章 壮年期の経済的脆弱性と高齢期の社会保障
1.社会保障制度のポータビリティと在留資格による「ケアされる権利」の制約
2.高齢期の社会保障の脆弱性と「ケアされる権利」
3.小括
第6章 エスニック・グループがもつ感情的紐帯の機能ーー包摂と相対的剥奪感による排除
1.一様に描くことができないエスニック・グループ
2.身寄りのない在日タイ女性の看取りーーエスニック・グループの感情的紐帯とタイ寺院
3.単身在日タイ女性の高齢期を支えるのは誰か
4.エスニック・グループの中に埋め込まれたジェンダー規範と相対的剥奪感
5.小括
第7章 社会的資源としての自治体窓口やNGOと相対的剥奪感の緩和
1.自治体窓口担当者との感情的紐帯
2.NGO支援者たちとのつながりと相対的剥奪感の緩和
3.小括
終章 国境を挟む高齢期の準備に潜む脆弱性
1.タイと日本、そして壮年期から高齢期へーー選択と制約の中に生きる在日タイ女性
2.結論ーートランスナショナルなライフコースの中にある脆弱性
3.本書の限界と今後の課題について
あとがき
別表
参考文献
索引
日本では、パートタイム労働市場の拡大とパートタイマーの企業内定着と同時に、パートタイム労働者と正社員との賃金格差が広がり、「職務と処遇の不均衡」が拡大している。本書では、スーパーマーケット産業の事例を通じて、このような現象が起きる構造と過程を、ジェンダー視点と行為者戦略アプローチから、企業、労働組合、パートタイマー本人それぞれの行為戦略を分析する。日本的パートタイム労働市場の特徴の形成と再生産を解き明かす試み。
序 章 日本におけるパートタイム労働とは
1 問題意識と研究課題
2 分析の視座
3 先行研究
4 研究対象と資料
5 本書の構成と特徴
第1章 スーパーマーケット産業とパートタイム労働ーー主婦パートの基幹労働力化
1 スーパーマーケット産業の成長と主婦パート
2 事例店舗の紹介
3 主婦パートの量的基幹労働力化ーー事例店舗を中心に
4 主婦パートの質的基幹労働力化ーー事例店舗を中心に
5 主婦パートの基幹労働力化と女性正社員
6 基幹労働力化とジェンダー
第2章 企業の行為戦略ーー制限的内部化と区別作り
1 企業の課題ーー二兎を追う
2 選別的内部化ーーパートタイマーの雇用区分
3 擬似内部化(1)--パートタイマーの教育訓練と評価
4 擬似内部化(2)--賃金制度
5 区別作りーー家庭優先性の認定
6 主婦パート活用モデル
7 基幹労働力化と主婦協定の衝突
第3章 労働組合の行為戦略ーー排除と包摂
1 労働組合の課題ーー三つの危機
2 事例労働組合のパートタイマーの組織化状況
3 危機解決戦略の決定要因
4 2000年代におけるパートタイマー組織化戦略の変化
5 組織化と基幹労働力化の相関関係
第4章 主婦パートの行為戦略ーー受容と抵抗
1 主婦パートの生涯経験と就業経験
2 主婦パートの目線
3 主婦パートの対応戦略(1)--受容戦略
4 主婦パートの対応戦略(2)--抵抗戦略
5 非公式権力の拡大と公式権力の亀裂
終 章 日本的パートタイム労働市場の変容と再生産ーー主婦協定の改正と制限的内部化の拡張
1 新しい人事制度の内容と狙い
2 改正制度における社員区分別処遇格差
3 「働き方のジェンダー化」と「身分としてのジェンダー」
4 共に生きていく社会のためのジェンダー平等
付図表
参考文献
あとがき
アンケート
索 引
近年、ジェンダーを論じる際には、旧来の男女二元論を超えるようになってきている。本書は現代社会に生きる「ノンバイナリー」(性自認が男女の二枠に当てはまらない人)たち30人の率直な語りを集め、ジェンダーとは何かという問いに真正面から向き合う。
19世紀半ばに生まれた電信の技術は、多くの女性たちに新たな職業空間を提供した。彼女たちは、従来の「女の居場所」を超えて技術職に就き、男性に伍して働き、電信会社相手のストライキを果敢に闘った。西部劇や小説にはヒロインとして登場した。今や忘れられた、当時の「サイバー・スペース」に生きた先駆的女性群像を生き生きと描いた本書は、現代の働く女性たちにも力を与えよう。
図表一覧
日本の読者へ
謝辞
第1章 電信業ではたらく女性
米国の電信業への女性の進出
カナダとヨーロッパにおける女性電信手
非欧米世界における電信と女性
二〇世紀における電信業と女性
第2章 電信オフィスにおける毎日の業務
鉄道駅の電信所の場合
モールス電鍵と「バグキー」
商業電信局の場合
労働環境
労働時間
テレタイプの導入
職業上の事故・病気
第3章 社会における電信オペレーターの位置
電信手の社会階層
電信手のエスニック構成
電信手の学歴と訓練
電信手として働くようになった理由
統計に見る労働力としての電信手
電信手のレジャーライフ
電信手の旅行と移動
宗教、親睦、および社会活動の組織
電信コンテスト
家族と結婚
第4章 電信オフィスにおける女性の諸問題
米国における女性の電信への進出と『テレグラファー』誌上論争
ヨーロッパの電信業における女性の進出
一八七〇年代の米国における女性電信手論争
職場における振舞いとジェンダー
男女同一賃金問題
起業家としての女性
電信オフィスにおける競争──リジー・スノーの場合
電信オフィスと性道徳
第5章 文芸と映画に見る女性電信手
文学に描かれた女性電信手
映画のなかの女性電信手
第6章 女性電信手と労働運動
電信手保護同盟と一八七〇年のストライキ
ヨーロッパの女性と労働運動
電信手友愛会と一八八三年のストライキ
女性電信オペレーターと婦人運動
鉄道電信手騎士団
アメリカ商業電信手労働組合(CTUA)と一九〇七年のストライキ
一九一九年のストライキ
オーストリアにおける一九一九年のストライキ
その後のアメリカ商業電信手労働組合
第7章 むすび
電信業の工業化
電信時代の終焉
技術労働者としての女性電信手
まだ書かれていない歴史を求めて
なぜ歴史を再発見するのか
訳者あとがき
文献
原注
索引
被爆国がなぜ原発大国になったのか?ヒロシマはなぜフクシマを止められなかったのか?なぜむざむざと54基もの原発建設を許してしまったのか?-。