「この髪を、けっして解いてはいけないよ」翠は亡き曾祖母の言葉を守り、自分につきまとう得体の知れない力を抑え込んでいた。一方、式を使って霊的な力をコントロールする、式神使いの神戸天明がいた。翠が感じる強い違和感は、相反する力がせめぎ合い、何か蠢きだしたからなのか?そして、ある行方不明事件の謎を追う翠は、自らの途轍もない過去と対峙することに!鎌倉を舞台に「人」と「獣」の壮絶な物語開幕。
波瀾万丈の人生、癌の手術を経て、今ここに正直に自分の来し方を深い感謝の心とともに、自分の作詞を織り混ぜながら綴った渾身の「自分史」。
日本の木造建築は歴史的に見て、構造が第一、意匠は構造に基づいて自然についてくるものである。純粋に意匠材として発生したのは入り口を示す長押ぐらいなものであろう。(長押は、その後、柱を繋ぐ構造材となり、貫が使用されるようになると、再び意匠材として用いられることが多くなる。)「蟇股」もそのように構造材として使われ始めたものである。構造材としての蟇股がどのようにして意匠材として変化して来たのか、意匠材としてどのように成熟して来たのか、土谷氏の興味はそこにあったろうと思われる。
鎌倉時代末期。長い間幕府を支配してきた北条一族の娘・姫夜叉と、一族の頂点に立つことが約束されている高時は幼い頃から将来を誓いあっていた。しかし、同族同士の結婚は許されない。周囲が決めた高時の婚礼が三日後に迫った夜、ふたりは駆け落ちを決行したのだが…。姫夜叉の裡に潜む誰かの思惑が時代を動かしてゆく。妖しくも美しい天女が織りなす、ミステリアス伝奇ロマン。
鎌倉極楽館の庭園灯の仄暗い明かりに、仲居の死体がぼんやりと浮かんでいた。白い頚には紐が巻きつき、ピンク色のスーツの裾が乱れている。新企画のツアーに彼女のキャラクターが必要と考えていたベル旅行社の夏木梨香は、悲鳴を呑み込んだ…。全国各地の観光地で続発する怪事件。ご存じ、小早川警視正と夏木梨香のコンビが謎に挑戦するトラベル推理の傑作集。
本書の書名は、これまで日本の主要幹線であり続けた、古代・中世・近世という3つの時代の東海道を意味している。中世の水陸交通に比重をおいて、遠江・駿河・伊豆という、現在の静岡県を構成する地域を中心に、関連する資料をもとにして、地域からみた東海道の歴史を描いた。
1998年10月に開催された秋季特別展『鎌倉の武士と馬』の発表を活字化した報告書。
聖徳太子、柿本人麻呂、空海、和泉式部、平清盛、西行、織田信長、坂本龍馬、夏目漱石、西田幾多郎、菊池寛、太宰治…。彼らはどう生き、どんなことばを遺して死んでいったのか。日本史上の人物256人の、死に臨んで放った究極のことばを格調高く紹介。
日本史の鎌倉時代的な現われ方は、昭和・平成の御代にも脈々として続いているような気がする。日本人の本質を考えるのに役立ってもらえば幸甚である。
古寺に代表される歴史都市。海を利用した遊びの拠点。生活圏・居住空間としての町。鎌倉にはいろいろな顔があります。本書はスケッチを通して、鎌倉らしさを描くことをテーマにしました。鎌倉を対象に、風景の探し方をまとめたものです。
日本の森林景観は急激に変化している。意外にも自然への回帰が進んでいるという。長らく日本的景観をつくってきたマツ林が劇的に減少し、代わって鬱蒼としたシイ林が増えてきているのだ。なぜそのようなことがおこるのだろうか。私たちの目の前でまさに進行している、日本の森の主役交代劇の実態とそのもつ意味を明らかにする。
「木を生かす」という、昔の大工の知恵を今の日本人に伝える。