本書は3つの社会問題を扱っている。エイズ、麻薬、そして、人工受精や安楽死などで話題となっている、生命操作の問題である。本書は、これらの主題を今日の社会問題としてとらえ、その諸相と意味するところを述べたものである。と同時に、それに関連する事実、事件、解説や論説を、質と内容の点で読むに値する英文から採り、その訳および語注を加えて紹介するものである。
「救急車を呼びたい。救急車を呼びたい!」。友代は心の中で叫んでいた。万一のときに困るから、とやってきたこの救急病院で、その万一が発生したというのに、医者がこない、医者がいないのだ。娘治美は、手足をググッとそり返らせると、そのまま動かなくなってしまった。-医の心を忘れた“怪物病院”に立ち向かう両親の慟哭を描いた「空白の時刻」。死を受け容れた者だけがみせる深い悲しみ。血友病エイズ患者の“明日のいのち”を想い、厚生行政に怒りを叩きつける「血友病エイズ裁判」ほか、事件でつづる患者と家族の人生模様。
藤森建築探偵が、現代住宅の完成をみた「昭和」に焦点を当てて、そこで成された住宅の主要な改革を探偵の目と足で確認し、つぶさに報告し、建築家の果たした役割を明らかにしている。探偵の目は、洋々たる未来を「住宅」に見ているようだ。その証とはー。
昭和60年発行の「絵とき免疫学」の改訂版。新たにエイズの章を加え、免疫学の基本原理から臨床像、免疫学的検査までを最新の知見をおりまぜ図表をふんだんに用いて丁寧に解説。医学的知識を持たない他分野の方々の免疫学の入門書として最適の1冊。
企業の存続と発展のために“企業イメージ”の確立を世界最大手のPR会社バーソン・マーステラ社の経営幹部がアメリカでの豊富な経験を踏まえて書き下ろした企業イメージづくりの実践書。
平安末、鎌倉期に活躍した随身を躍動的に描き、似絵の代表的作品と目される「随身庭騎絵巻」ほか名品を収録。
本書は、蛋白化学はもとより遺伝子工学、蛋白工学を基調とした抗体の解剖と再構築を試みている。また、ワクチンの遺伝子工学ないし蛋白工学からの可能性を概観し、ワクチン工学の構築に向け現状を分析し、将来を展望している。
相対性理論から最新免疫学まで、これさえ読めばあなたも理科系。噂の深夜番組が生みだした最新科学エッセイ。
街角に見るニューヨーカーの夢・ことば・アート。
地球外知性体探査から量子力学実在論まで。あなたを未来へ相転移。
今日、「家族」は無力化し、そのため「個人」は孤立して政治への抵抗力を失っている。これこそ、晩期資本主義に特有の「ソフトな統治」をもたらすものにほかならないと、著者は看破する。「消費社会」化や医療テクノロジーの発達、さらにはエイズの出現も、この傾向を助長しているとう。著者は、生きた身体の間のコミュニケーションこそ社会の基盤であることに着目し、現代社会に人間性を回復する途を示す。「生の体験」を重視する現象学に裏打ちされた、ヒューマニスティックな社会批評の傑作。