謎のタイシルク王失踪事件に挑む長谷部捜査一課長の活躍。
街も人も変わりつづける東京から、逃れるように渡ってきた南の島。そこは昔のままの「楽園」ではなかった。副大統領の暗殺、秘密警察とゲリラの暗闘、うさん臭い日本人の来島…。一触即発の危機的状況のなか、外部との連絡は断たれた。だが、皮肉にもこのとき、理想の女性とふたりだけの、濃密で純粋な愛の時間が訪れる。南海の小国を舞台に展開するサスペンスフル・ストーリー。
あらゆる苦痛が瞬時に癒され、不幸や恐怖の存在しない世界ー少年レアドが暮らすその世界に突如「苦痛」が蔓延した朝、人々の前に不思議な男が現われた。男はジェイスン・ワーシング、伝説の神と同じ名の持ち主だった。その日からレアドは、一万五千年以上にわたるジェイスンの波瀾の人生を何度も夢に見るようになる。夢が進むにつれ、やがて明かされる宇宙創造の秘密とは。人気作家カードの原点といえる傑作SF長篇。
「エイミー、ショットガンを持ってこい」父の叫び声に驚き、幼いオリバーをその場に残して急いて駆けつけた彼女は、呆然と立ちつくした。ハンター、なぜ彼がここに、かつてわたしが愛したひと。でも、その愛は報われなかった。彼は心を閉ざしたまま、子供も家庭も欲しはしなかった。だからわたしは…。あれから三年半になる。そのとき、オリバーが顔をのぞかせ、父がショットガンの銃口をハンターに向けた。「どうやってエイミーとこの子に償うつもりだ。またこそこそと逃げるつもりか」そんな言葉より雄弁な沈黙が続き、ハンターの声が響いた。「エイミー、まさか…」。
私立探偵のジョン・タナーは、大学の同窓会で二十五年ぶりに再会した親友のセス・ハートマンから一通の手紙を渡された。それは〈南部の誇り〉同盟と名乗る白人極右集団が、セスに宛てた死刑宣告状だった。現在チャールストンで弁護士をしているセスは、大学時代に公民権運動に参加したことを除けば、脅迫を受ける心当たりはまったくないという。なぜ彼らはセスを標的にするのか。背後関係を探りはじめたタナーは、セスの依頼人たちも同様の脅迫を受けていることを知る。やがて、狂信的な極右集団は、十字架を燃やすなどその脅迫手段をますますエスカレートさせてきた。
汚ない学生寮の一室で、夜を徹して文学論や反戦論を闘わせたあの日々、自分で言うのもおかしいが、私は、キラキラ輝いていたー。懐かしくも、どこかやましく気恥ずかしい、しかし輝きに満ちていた60年代末に育まれた著者が、青春、恋、文学と全力で駆けぬけた二十年間を率直に語る第一エッセイ集。
今、アジアが熱い。情熱、活気に満ちているアジアはかつてなかった変貌、発展ぶりを見せている。現地で活躍する若きコンサルタントがはだで感じた国々の姿を熱く語る。経済、民族、文化から日本との関係「過去、現在、未来」まで徹底的にレポートする。
オーストラリアの青年兵士と日本人女性の愛の軌跡。
男ってものは。裁判所の廊下で、ヒラリーは憤慨していた。妹のテリーが、不倫の恋をして離婚調停に巻き込まれたのだ。男はいつもトラブルのもとだ。ヒラリーは気をまぎらすために、廊下で談笑する人々に目を移した。中にひとり、いかにも女性の敵という感じの男がいる。高価そうなスーツ、官能的な目。笑うと浮かぶえくぼが不つり合いだ。なぜか彼が気にかかるーそんな思いに呼び寄せられたように、男が声をかけてきた。「こんにちは、ミス・フェアファクス」どうして私の名前を。すると彼は、ヒラリーの従妹マリーンの義兄だと名乗った。夫を亡くした義妹の力になってほしいと言うのだが…。