日常会話から出発して、言語教育、合意形成などの社会現象へと進む「意味づけ論」のさらなる展開。
心を打つスピーチのために。首長・議員・候補者・管理職…責任ある立場の人必読の実践スピーチ術。
関連性理論・言語行為理論・グライス理論・新グライス派・認知言語学という五つの語用論理論にわたって、その特徴を適切に記述し、相互の差異を明らかにし、そのうちのあるものについては鋭い批判を加えている。語用論の入門書にとっても、専門家にとっても、自分の研究を進める上での至上のガイドラインである。その語り口は平易であり、処々に散りばめられたコラムは笑いを誘う。
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」(川端康成)は英語で「The train came out of the long tunnel into the snow countory」(サイデンステッカー)。世界を表現する際の「視点」 の違い。英語は「神の視点」を得ることによって主語の誕生を準備したが、「虫の視点」を持つ日本語にはそれは必要なかった。英語の歴史を踏まえ両言語と文化の違いを考察。
序 章 上昇気流に乗った英語
第一章 「神の視点」と「虫の視点」
第二章 アメリカよ、どこへ行く
第三章 英語を遡る
第四章 日本語文法から世界を見る
第五章 最近の主語必要論
忘れられた専門誌『季刊翻訳』の驚くべき革新性、次いで『翻訳の世界』がポストモダンの思想界に放ったインターカルチュラルな輝き。それは今日トランスレーション・スタディーズと呼ばれる新しい学問が、欧州とりわけ英国で誕生し展開したのと同時期のこと。共振するかのように日本で芽吹いた翻訳への学問的関心は、しかしどうしていまだ開花せず、翻訳学2000年誕生
説の影に隠れたのか。二誌の翻訳言説を追い、さらに『翻訳の世界』にかかわった翻訳家と編集者9人(辻由美、鴻巣友季子、伊藤比呂美、西成彦、井上健、管啓次郎、沼野充義、丸山哲郎、今野哲男)にインタビュー。埋ずもれた知的地層を掘りあて、学際的学問の風通しのよい未来を展望する。
はじめに
第一章 英国におけるトランスレーション・スタディーズの誕生
背景
展開
言語
まとめ
第二章 『季刊翻訳』『翻訳の世界』の時代と翻訳言説
1 『季刊翻訳』1973-75
研究誌の誕生
等価/文化翻訳と誤訳/原典と翻訳への態度/誤訳の指摘/読者論/「研究室めぐり」/『季刊翻訳』の中の翻訳論
まとめ
2 『月刊 翻訳の世界』『翻訳の世界』1976-
『翻訳の世界』創刊
文化翻訳
翻訳論とその定義
誤訳の指摘と「欠陥翻訳時評」
翻訳専門学校と『季刊翻訳』、通信教育と『翻訳の世界』
まとめ
3 『翻訳の世界』の1980年代
新星『翻訳の世界』
翻訳者の解釈/翻訳権の問題/翻訳の多様性/翻訳を論じるための基準/言語と社会/文化翻訳/メディア翻訳、ジャーナリズム翻訳/漫画とコミック/アジアと翻訳
翻訳理論と翻訳批評
マイノリティ
人物
ダニエル・ジル/カズオ・イシグロ/村上春樹/伊藤比呂美/沼野充義「言語街道交差点」
まとめ
4 『翻訳の世界』の1990年代
イデオロギーと翻訳
翻訳論
女性のための『翻訳の世界』へ
まとめ
第三章 『翻訳の世界』にかかわった人々の言葉からーーインタビュー
辻由美
鴻巣友季子
伊藤比呂美
西成彦
井上健
管啓次郎
沼野充義
丸山哲郎
今野哲男
まとめ
第四章 「トランスレーション・スタディーズ」の誕生?
第五章 現代日本における学問としての翻訳の混迷
おわりにーー未来図
注
後記
参考文献
索引
認知文法の本質は、人間が固有に有している認知能力と知覚作用が抽象化された概念操作から言語現象を解明することであり、言語を脳内現象と捉えているところにある。本書では、認知文法で取り上げられている事態の解釈に関与する概念操作が、脳科学の知見を踏まえることで、その存在理由がより一層明確になることを述べ、どのような概念操作がどのように事態解釈に関わり、言語として表出されるのかを言語現象を取り上げて論じる。
目次
第1章 認知文法の考え方
第2章 Haveの意味論
第3章 不定詞と動名詞の概念構造
第4章 相動詞の補部の選択
第5章 名詞修飾語句の意味論と外置文
第6章 非典型的な目的語の意味構造
第7章 同族目的語構文の本質
第8章 There構文の意味論
第9章 メタファーの根源的基盤
1分でつかみ、5分で説得する、ラジオパーソナリティによる筑波大学の人気講義。自分も他人も「その気にさせる話し方」を完全解説、人前でしゃべることに自信がもてる。
テレビ、広告、アート、建築、都市、サイバースペース…メディアを通してつくりだされる私たちの世界の意味とは何か?ソシュールとパースを源流として展開した「記号の知」によって、身のまわりにみられる意味現象のメカニズムを解き明かし、それから自由になるための批判力の獲得を提唱する。
外国語習得の成功には、他人に頼らず自前の流儀を編み出してゆく試行錯誤や自己点検が何よりも大切。なぜなら、外国語を学ぶということは、日本語の思考回路のスイッチを切り替えて生きることを意味するからだ。自分に合った方法ならば無理がないから続けられる。-どこにでもいそうな語学苦手人間を主人公に仕立て、ゼロから出発して失敗しながら工夫を重ね成功の道筋を発見してゆく物語の中で、どうしたら挫折せずに外国語を習得できるのか、そのきっかけと学習法、成功を左右するポイントを懇切丁寧に指南する。これから外国語を初めて学ぼうとする人、久しぶりにやり直そうとする人に最適。
本書は「ケンブリッジ大学言語学テキストシリーズ」の一冊、『Tense』の日本語訳である。世界の60言語から様々なテンスとその周辺の例が紹介されて、それらが明快で切れ味のいい理論によって、一つの体系の中に実に見事に位置付けられている。広い知識と明晰な分析、学問はこうでなくてはいけない。言語研究を志す人には研究に必要な基礎を、テンス研究で悩んでいる人には、迷路から抜け出すヒントを与えてくれる一冊である。
幾世紀にもわたって行われてきた通訳という営みは、20世紀に入りようやく専門職として登場し、最近になって独自の学術研究対象となるに至った。本書によって、学生も研究者も現役通訳者も「通訳学」という急速に発展している分野に導かれる。
通訳分野の中心的存在であるポェヒハッカーによって書かれたこの『通訳学入門』は、国際会議通訳からコミュニティ通訳、音声通訳から手話通訳まで多彩な通訳形態を網羅している。
本書はまず通訳分野の進展を扱い、影響のあった概念、モデル、方法論的アプローチを検討する。その上で、通訳に関する主要研究分野を提示し、通訳学における現在から将来への流れを確認する。
各章に要点が提示され、さらなる研究へのアドバイスも付されたこの本は、実用的で使いやすい教科書であり、今後さらに発展していく通訳学という重要な分野の、最も信頼できる地図である。
「『通訳学入門』は通訳研究全般への最高レベルの入門書である。信頼できる情報が明晰かつ読者を引きつける文体で書かれている。通訳教育者や研究者には必読の書であり、現代世界における異言語間、異文化間のコミュニケーションに関心のある誰にとっても価値のある書である」
ーーマイケル・クローニン
謝辞
凡例
『通訳学入門』への入門
第I部 基礎編
第1章 通訳という概念
1.1 概念的なルーツ
1.2 通訳の定義
1.3 通訳が行われる場と通訳の種類
1.4 類型化へのパラメータ
1.5 通訳研究の領域と諸相
第2章 通訳学の発展
2.1 社会的な職業としての基盤
2.2 新たな地平の開拓:通訳者と心理学者
2.3 学術的な基盤を形成する
2.4 再生と新たな出発
2.5 通訳学の確立と統合
2.6 21世紀の通訳学
第3章 アプローチ
3.1 学問分野的な視座
3.2 通訳のミーム
3.3 方法論
第4章 パラダイム
4.1 「パラダイム」という考え
4.2 パラダイムを構築する
4.3 通訳を実験する
4.4 科学を希求する
4.5 視座を拡げる
4.6 相互行為への焦点化
4.7 多様性の中の統一
第5章 モデル
5.1 モデル構築について
5.2 社会・職業的モデルと制度的モデル
5.3 相互行為モデル
5.4 プロセス・モデル
5.5 モデル、検証、応用
第II部 研究
第6章 プロセス
6.1 バイリンガリズム(二言語併用)
6.2 同時性
6.3 理解
6.4 記憶
6.5 言語産出
6.6 入力変数
6.7 方略
第7章 訳出物と訳出行為
7.1 ディスコース
7.2 起点ー目標の対応
7.3 効果
7.4 役割
7.5 質
第8章 専門職としての実践
8.1 歴史
8.2 通訳の場
8.3 基準
8.4 能力
8.5 テクノロジー
8.6 エコロジー
8.7 社会学
第9章 教育方法
9.1 カリキュラム
9.2 選抜
9.3 指導
9.4 評価
9.5 メタ・レベル訓練
第III部 方向性
第10章 指針
10.1 動向
10.2 展望
10.3 通訳学へのオリエンテーション
監訳者あとがき
参考文献
インターネット・リンク
事項索引
欧文人名索引
欧文組織名索引
言語行為論の創始者として知られるオースティン。言語行為論のほか、意味、他我、真理などの問題が解明されている。
ポケットサイズ、110問全部新作のクロスワード雑誌! 場所を選ばずいつでもどこでもクロスワード。楽しく語彙を増やしましょう!
本書は日本語で使われる親族語、人称代名詞、個人名(姓名)、役割語(課長、先生等の社会的役割を表示する語)等の命名語を主にポライトネス理論の観点から分析している。日常生活で使われる親族語、人称代名詞、個人名、役割語の用法は私たちにとつて最も身近な発話行為のひとつといえるが、本書ではこれら日本語の命名語を英語・中国語・トルコ語・モンゴル語・タイ語の命名語等と対照比較しながら、日本語の親族語、人称代名詞、個人名、役割語がポライトネスの普遍理論に基づいて使われていることを解き明かしていく。と同時に命名語の用法は学際的な研究分野であり、それは私たちの家族関係および社会関係等とも密接な関わりを持つ。本書はポライトネス理論、言語学、社会人類学、家族心理学、言語発達学等の研究者だけでなく、日本語の親族語、人称代名詞、個人名、役割語の使われ方に興味、関心を持つ一般読者にとっても一助となる書籍といえる。
心理学・認知言語学において重要な研究テーマの1つである「比喩」について、哲学、心理学、言語学、人類学など諸分野の研究を検討し、文学作品を含むさまざまな具体例を豊富に挙げながら、どのように人間の認知と関わってくるかを検証した包括的な解説書。メタファー、メトニミー、アイロニー、イディオムのほか、子供のメタファー理解なども取り上げている。著者はメタファーの心理学・認知言語学的研究における現代の第一人者であり、本書はその研究の集大成として、論文などに引用される頻度も高い。