「さらば、民主国家日本よ、だな」日下良治は自嘲気味に呟いた。政府の“教育改革審議会”が、徴兵制に道を拓く答申を出したのだ。翌朝、モンペ姿の妻に揺り起こされた日下は、息子の達郎に“赤紙”が来たことを告げられる。そこは昭和二十年、太平洋戦争下の東京だった。(表題作)羅針盤を失った現代の日本に、著者が警鐘を打ち鳴らす!「危機意識」を呼び覚ます四編。
あなたの夢に出てきた人、モノ、できごととは何ですか?夢は未来へのヒント。
日本を崩壊寸前に追い込んだ福島第一原発事故。首都圏壊滅、三千万人避難の危機に際して、官邸、東京電力、経産省、金融界では、いったい何が起きていたのか?東京電力ビデオ会議の内幕、脱原発阻止の陰謀をしかける官僚など、衝撃の新事実を大幅加筆して文庫化。第34回講談社ノンフィクション賞受賞作。
ぐっすり眠る真夜中にきみの夢の中にあらわれる心霊スポットの使者が。
つくってあそべる。穴あき迷路で地下迷宮へ。迷路+さがし絵の絵本。
その物語はせつなく、時に可笑いくて、またある時はおぞましいー。閉ざされた全寮制の学園で起きた悪意のゲームに、美しい双子姉妹の哀しい秘密。崖の上で出逢った青年と少女が解き明かす化け物屋敷の切ない過去や、大きな古いお城に一人で住む不思議な少女の正体。妹が家の階段を怖がる理由とは…。背筋がぞくりとするようなホラー・ミステリ作品の饗宴。気鋭の作家による傑作短編が一堂に会した贅沢なアンソロジー。
美しい金髪の下級生を誘拐する、有名私立中学校の女子三人組(「とうもろこしの乙女」)、屈強で悪魔的な性格の兄にいたぶられる、善良な芸術家肌の弟(「化石の兄弟」)、好色でハンサムな兄に悩まされる、奥手で繊細な弟(「タマゴテングタケ」)、退役傷病軍人の若者に思いを寄せる、裕福な未亡人(「ヘルピング・ハンズ」)、悪夢のような現実に落ちこんでいく、腕利きの美容整形外科医(「頭の穴」)。1995年から2010年にかけて発表された多くの短篇から、著者自らが選んだ悪夢的作品の傑作集。ブラム・ストーカー賞(短篇小説集部門)、世界幻想文学大賞(短篇部門「化石の兄弟」)受賞。
幼いころに天涯孤独の身となったサラは施設や里親のもとを転々とし、出生のことでいじめられて育った。大学時代には、社会人留学生だったグイードと結婚したが、せっかく身ごもった子を流産してしまうと、義父から手切れ金を渡され、ナポリを追い出されたのだった。10年後、ようやくサラは順調な人生を手にしたかに見えたー親友がもよおす地中海での船上パーティに、いまや大富豪となった元夫グイードが姿を現すまでは。忘れかけていた悪夢に再び打ちのめされたサラに向かって、まるで獲物を見つけた獣のように、彼は不敵な笑みを浮かべた。