東京大空襲から奇跡の生還をとげ、戦後日本を勤勉実直な教師として生きた井上は、同時に、書壇も画壇も蹴飛ばし、常識を覆し、前衛書道も笑い飛ばす、一匹狼の書家でもあった。書に命を燃やす「型破りの凡人」像を描く。
東・西医学に通ずる専門医が、中医学の一般的知識、薬膳の素材、薬膳による病気の予防と治療、料理法などを具体的に解説した決定版。そこに、花粉症、不眠症、痛風など15の病気・症状への対処法を新たに追加した待望の増補版。
ふと気になるあの疑問、徹底取材してみました。
旅が現在ほど容易ではなかった時代、また一生海を見ないことが珍しくなかった時代、音楽家、作家、画家たちは、この果てしなく海の広がる「水の都」でどんなインスピレーションを授かり、光輝く「南の国」はいかなる影響を彼らに与えたのか?貴族の庇護、ゴンドラの死のイメージ、陽気な祭の即興、迷路を思わせる運河と路地…。モーツァルト、ゲーテ、ワーグナー、そしてヴェネーツィア出身のヴィヴァルディら八人の人生と芸術を辿りつつ、この街の魅力を描く。
知らず知らずのうちに刷り込まれている「常識」。だけどその中にはいくつもの「ウソ」が含まれている。自慢気に話していると間違っていると指摘され、恥をかくことに。新常識を身につけるための1冊。
いま若者を中心に静かに、しかし熱い支持を得ているカポエイラ。その魅力のすべてを明らかにする。
私たちの生活のなかで、芸術、文化、スポーツ、観光など、文化的活動の役割はますます重要になりつつある。これら文化的活動の特徴を明らかにし、これからの社会にふさわしい「人間生活の改良の道具」をめざすのが文化経済学である。本書では、文化的価値や文化資本の概念など、文化経済学のもつ、経済学の他の分野にはない特徴を明らかにしながら、文化の経済的側面にみられる様々な性質を解説する。そして、それらの成果をベースにして、現実世界の多様な文化現象に分析のメスを入れ、文化にかかわる公共政策の必要性を提起するとともに、文化経済学の進むべき道を展望する。
34年ぶり。ついに期間限定で帰ってきたフォークルだが、はしだのりひこがいない。あの震えた声もフォークルでは重要なポイントだった。しかし、この作品はいい。ノスタルジックでノスタルジックでない。(6)の加藤、こんなにギターが上手かったのか!
「伊福部昭のSF交響ファンタジーか、どれどれ」とCDをスタートさせたら、鳴り出したのはバリバリのトロンボーンによる「ゴジラ」。その後も出るわ出るわ、キングギドラやキングコング。つまるところは、伊福部映画音楽メドレー。イキのいい演奏が楽しい。
人類に発生した「心」の起源に迫る野生のサイエンス。人文諸学の再構築を目的とした芸術と人類学の創造的な融合。前人未到の表現空間が今、ここに拓かれる。
櫟健介と妻・知子、息子の究介の一家が住むアパートの大家が殺された。完璧な密室だった現場、遺産相続問題、それぞれ動機を持つ住人たち。櫟ファミリーがたどり着いた意外な犯人の姿とは!?生活感溢れる描写と二転三転する展開が魅力の長篇「二つの陰画」、さらに同シリーズの短篇2作、作品ノート、単行本未収録のボーナストラックも収録。仁木悦子ならではのアットフォームな世界を堪能できる、名探偵コレクション第2弾。
本書のいちばんの特徴は、ワイルダーの映画人としてのキャリアが作品ごとにまとめられていることである。これは他書に類を見ない構成で、読者に対してー映画ファンに対して非常に親切だ。あの映画の製作の陰には、こんな苦労話があったのか。この映画のスタッフやキャストは、こんなことを考えていたのか。そういうエピソードがわかれば、彼の映画を鑑賞するうえで非常に役に立つ。第二の特徴は、ワイルダーの言葉をそのまま載せていることである。一九七〇年代のなかばにワイルダーと知り合ったチャンドラーは、二〇〇二年にワイルダーが九十五歳で亡くなるまで三十年近くにわたり、折に触れてインタビューをつづけてきた。そして録音魔のチャンドラーは、彼の肉声を残らず記録し、忠実に再現した。第三の特徴は、インタビューの対象者が本人だけでなく、じつに多いことである。チャンドラーは本書のために数々の人々にインタビューし、彼らの言葉を通じてワイルダーの人柄を浮き彫りにした。
芸術とは論じるものでなく、行なうものだ。この持論に基づき、六〇年代のネオダダ、千円札事件から八〇年代の超芸術トマソン、路上観察へ。絶えず人々を挑発し続けてきた著者が、ついに到達した侘び寂の境地にて最も根源的に「芸術」を再定義する試み。既成概念に風穴を開ける、赤瀬川流脱芸術の原点を示す名エッセー。
失踪した矢竹謙吾が砂村宛に送った英文書。一見ただの商用文だが、そこには驚くべき意図が…英文謎解きが見ものの傑作長篇「青じろい季節」と、その後結婚した砂村夫妻を主人公にした短篇「縞模様のある手紙」。さらに、驚愕の結末が待ちうける文庫本未収録作「一本のマッチを擦る時」、著者の夫・二日市安氏の特別寄稿、著者の大ファンで翻訳家でもある仁木めぐみ氏の解説も収録。
当時、中堅として確固とした地位を築いていた3人による録音。N.ルビンシュテインの追悼の意を込めた作品を、華やかさと切々とした歌とをあわせ持って、まことにスケール大きくまとめている。