誰も他人と同じようには働けない。国家による生活統制を機に、主体化の作用が民衆に及ぶ状況を、戦時下、産業報国運動の展開過程に見る。また、人間を部品と化す規律化。それに抗する戦後社会運動の可能性を、生活協同組合と胎児性水俣病患者たちに着目し探る。
序 章 規律化の二面性と「普遍主義」
第1章 近代社会と公私の分離
──規律化・ジェンダー・「普遍主義」
第2章 戦時下の生活統制と産業報国運動の展開
──国家社会主義と規律化
第3章 1950年代における横浜生協の生活文化活動
──規律化に抗する「主婦」の運動
第4章 1970年代における胎児性水俣病患者の運動
──規律化されない身体と新しい共同性
終 章 主体性の回復と新しい共同性
今までになかった『判断力批判』入門!
近年の再検討事項でもあるジェンダーの視点を取り入れつつ、「難解」と評判のカント美学を理解しやすいように解説。
はじめに
第一章 無関心性:快の感情の分析(その一)
第二章 主観的な普遍性:快の感情の分析(その二)
第三章 目的のない合目的性:快の感情の分析(その三)
第四章 範例的な必然性:快の感情の分析(その四)
第五章 三つの原理と正当化:快の感情の正当化
おわりに
資本主義の成立と発展のなかで、過去の経済学者たちは女性や家族をどのように描いてきたのか。本書では、18世紀末から20世紀初頭の経済学者たちの思想をたどり、家事やケア労働の価値にも光をあてながら、これまで見過ごされてきたジェンダーの視点で経済思想を問い直す。
序章 経済学者の女性論に見るジェンダー思想史
ーー近代社会と「ジェンダー秩序」 柳田芳伸、原伸子
第1部 産業革命期における女性解放の主導者たち
第1章 商業社会と女性
ーーヒュームからトンプソンまで 山尾忠弘
第2章 イギリス産業革命期の結婚と女性
ーーマルサスの所論 柳田芳伸
第3章 ベンサムにおける性的快楽主義と女性
ーー同性愛行為・宗教批判・結婚制度 板井広明
第4章 J. S.ミルの『経済学原理』における女性
ーー男女の平等から労働者の境遇改善へ 小沢佳史
第5章 ハリエット・マーティノゥの経済学
ーーヴィクトリア時代の異端派エコノミスト 船木恵子
第2部 福祉国家黎明期におけるフェミニズム運動の展開
第6章 ミリセント・フォーセットの賃金論
ーー賃金基金説から同一労働同一賃金の提唱へ 松山直樹
第7章 「性の貴族制」から条件付き競争へ
ーーエッジワースにおける女性労働論の思想的変容 上宮智之
第8章 母性手当から家族手当へ
ーーエレノア・ラスボーンによる貧困調査とその解釈を中心に 赤木 誠
第9章 「革新主義時代」のフェミニズムと家政学
ーー無償労働の「発見」とジェンダー平等 原 伸子
第3部 20世紀初頭の日本における女性平等思想
第10章 河田嗣郎の家族崩壊論の特徴
ーー高田保馬による批評を手がかりに 吉野浩司
第11章 永井享の婦人論
ーー社会が求める女性像をめぐって 杉田菜穂
第12章 石橋湛山の消費論と女性
ーー婦人経済会との関係を中心に 牧野邦昭
冷戦体制下、人と自然のありようをテクノロジーが根底から変化させ、食と農の営みが土から遊離した。機械化・化学化と複雑に絡み合う各国の農業政策によって失われた農村の姿と翻弄される人々の経験は、戦後日本の変貌を映す鏡である。工業化ばかりが語られがちな戦後史に、農民の近代科学受容の経験と農村女性が担った役割の変化をグローバルな視点から描く。
ライフコース研究の金字塔『大恐慌の子どもたち』の著者グレン・エルダーらが別のデータを用いてまとめた、20世紀を通貫してアメリカ人の人生を追跡した縦断調査分析の成果。20世紀初頭生まれの人々の人生経験と社会変動を重ね合わせた貴重な記録である。
福祉国家をめざしていたイギリスの市場経済重視への転向が教育に及ぼした影響とは。
中央の管理強化と選択制をうながす自由競争原理による教育政策改革の流れを追い、批判的に概観。
1945年から2000年までの歴代政権の実施した制度と政策を実証的に研究。
序 論
本書の主題 / ポスト福祉社会における人的資本 / 本書の計画
第1章 社会民主主義的総意?教育 1945〜79
機会の平等化1945〜60 / 総合制の闘い / 1960年代の争いの種 / 1970年代 / ラスキンとその後
/ 1970年代のイデオロギー
第2章 自由市場方式の高まり:教育 1980〜87
逆行的ヴイジョン / 選抜と民営化 / 特別選抜 / 少数民族集団 / 学校統治 / 中央集権管理
/ 教師統制 / カリキュラム統制 / 職業教育 / 重大な改革へ
第3章 競争の創造:教育 1988〜94
1988年教育改革法 / 選択と多様性 / 大混乱と片意地 / 視察のための法律 / 過去最も長文の教育法
/ カリキュラム統制 / カリキュラム批判 / 高等教育 / 教員と訓練 / 1990年代初頭の労働党教育政策
第4章 競争の結果:1994〜97
1995〜96年制定法 / 保守党最後の法 / 自由市場方式の影響 / 問題校 / 特別な教育ニーズ
/ カリキュラム問題 / 14〜19歳と教養ー職業区分 / 労働党の政策
第5章 新労働党と教育:1997〜2000
学校政策 / 1988年学校水準・枠組み法 / 選別と専門化 / 排除への取り組み / 中央集権化する支配
第6章 生涯学習の中央集権化
生涯学習 / 成功への学習 / 学習・技能法案 / 高等教育 / 政策と資格14〜19歳
/ 継続性と変化1997〜2000
第7章 教育と中流階級
階級構造の変容 / 能力主義と達成 / 学校の有効性 / 中流階級のニーズ / 私利 / 選択と利点
/ 職業教育の回避 / 貧しい人々を避ける / 階級と公共の利益
第8章 公正の問題:人種とジェンダー
人種と民族性 / ジェンダー / 少女たちの学業成績 / 少年たちの「成績不良」
第9章 教育と経済
最近の歴史 / 1990年代の労働市場 / 仕事と教育 / 新しい経済体制? / グローバル経済と教育
/ 貧しい人々のための将来性
結 論 ポスト福祉社会の教育
プラスの局面 / マイナスの局面 / 将来
昨今、美容整形手術/施術は一般的になりつつあり、ジェンダー・アイデンティティにまつわる議論も活発に交わされています。そうしたなか本書は、心の器としての“からだ”を介して“わたし”が再ー創造されていく様を、多くの実例からビビッドに描きます。--本書の登場人物は、美容整形や身体改造、倒錯的な性行動、ネット世界での耽溺、排泄行為などの、自らの“苦悩”を「無痛」化する作業に囚われています。そして、こうした行動では癒されないとわかった時、かれらは「心と対話する」相談室の門を叩くのでした。
序 章◆身体が語るとき
・体現化された自己
・ふたつの身体を心に留めて
・相談室のなかの身体
・母 体
第1章◆羨望と母体ーー美容整形の精神力動
・現代の美容整形
・母親にまつわる風景
・自己ー製空想
・再生空想
・完全一致空想
・現実をつくり直す
第2章◆いったい、誰の皮膚なのか?--屍姦幻想の精神的機能
・カウチの上の身体
・わたしの母の家で
・皮膚と屍姦幻想
・自分の皮膚のなかで生きる
第3章◆純粋な決定の秩序ーー仮想世界で成長する
・テクノロジカルな体現化の誘惑と危険
・思春期の身体/精神病空間に浮かぶ仮想身体
・ノーボディであること
・仮想空間における身体の運命
第4章◆過去なき現在ーー思春期の性別移行における時間的統合
・カップルの時間
・雲の上で生きる
・時間的つながり
第5章◆もって生まれた身体と、自分そのものである身体
・カウチから出て
・体現化された自己と、見られるという体験
・自分自身にくつろいで
・トランスセクシュアルの心に至る道
第6章◆トラウマと身体ーー映画 《私が、生きる肌》
・喪失に対する倒錯
・良い対象が生き残ること
第7章◆分析家の身体と設定ーー体現化された設定と共生的転移
・体現化された設定と共生的転移
・身体的な逆転移と「警告の物語」
・最初の二年間
・要するに
・共生、分析家の身体
第8章◆ラプンツェル再考ーー髪の無意識的意味
・髪にまつわる物語
・髪の精神的なルーツ
・もっとも露出した身体的境界
第9章◆カウチから離れてーー分析家のトイレの心理的な使い方
・トイレと秘密ーー隠匿と分泌物
・トイレット・ブレストとしての分析家のトイレ
第10章◆自己の起業家たちーー変身リアリティ番組の精神的・社会的機能
・自己の再創造
・プロジェクトとしての身体
・変身リアリティ番組の残忍さ
・完全な監視状態
・まなざしの倫理
スタール夫人やバルザック、ゾラの文学に現われる、逸脱者としての女と男。ときに「宿命の女」「ヴィーナス」と呼ばれた彼女/彼らは何者なのか? ダヴィッドやドラクロワ、モローらの絵画・彫像のイメージから文学作品を読み解くことで、近代におけるジェンダー規範を照射する。
「ジェンダーに関わる多領域をカバーする」「女性の人生の節目を取り上げる」「最新の法律等の情報を盛り込む」ことを基本方針として、女性をめぐる現代社会における問題について、ドラマやマンガ等を用いながら分かりやすく解説。改訂版では、LGBTQや奨学金問題等の近年関心が高まっているテーマに関する解説も新たに掲載。また、 2017年施行の改正男女雇用機会均等法、2018年施行の改正介護保険法等の最新の法令改正にも対応。
改訂版はじめに
第1章 女性学とは
1 女性学の発祥と発展
2 アメリカにおける女性学の発展
3 日本における女性学の発展
4 女性学の将来と課題
第2章 ジェンダー平等をめぐる歴史と理論
1 フェミニズムの歴史と理論
2 今日のフェミニズム──平等の進展と揺り戻し
第3章 家族問題
1 家族をめぐる現代の状況
2 家族とは何か──ヒトが生存していくシステム
3 家族モデルとしての〈近代家族〉
4 現代の日本家族問題の諸相──家族の機能とは
5 家族のゆくえ
第4章 結 婚
1 結婚観の変化
2 結婚をめぐる多様性
3 配偶者の選択──見合い結婚と恋愛結婚
4 離 婚
5 今日の結婚事情──婚活と再婚
6 女性にとっての結婚とは
第5章 子育て
1 子育ては誰が担うのか,担ってきたのか
2 子育て政策
3 今後の子育てを考える
第6章 働くこと
1 女性労働力の変化
2 労働政策の進展
3 両立支援策の進行──育児・介護休業法の変遷と次世代育成支援対策推進法
第7章 高齢者問題
1 老後の女性問題
2 高齢者政策の進展──介護の社会化をめざして
3 高齢者と介護問題
4 認知症高齢者の増加
5 高齢者施策の取り組み課題
第8章 困難を抱える女性と社会福祉
1 貧困と女性
2 暴力と女性
第9章 買売春・性の商品化
1 女性の人権とセクシュアリティ
2 売春防止法の成立と施行
3 買売春と国際問題
4 買売春をなくすために
第10章 セクシュアリティの多様性
1 セクシュアリティとセクシュアル・マイノリティ
2 身体の多様性
3 性同一性障害(GID:Gender Identity Disorder)
4 同 性 愛
索 引
コラム
1 男女共同参画社会基本法と女子マラソン──男女平等への取り組みは,ゆっくり,しっかり,長期戦で
2 小説・映画に描かれる若年性認知症──萩原浩『明日の記憶』(光文社,2004年)
3 映画『ナヌムの家』に描かれた「従軍慰安婦」
4 映画『ハンズオブラブ──手のひらの勇気』にみるレズビアンカップルの軌跡
物語論・言語行為論の視点を用いつつ、「花ごもり」から「われから」にいたる作品をとりあげ、女性への差別が日常的であった明治時代にあっておどろくほど現代的なジェンダー意識をそなえていた一葉文学の謎にせまる。
第一次世界大戦、言葉も肌の色も異なる人々が世界中からヨーロッパに集まった。るつぼの中、語られることなく歴史から抜け落ちていった女性たち、黒人兵たち、「原住民」労働者たち、そして戦場に遺体がさらされたままの無名の人々。人種、ジェンダー認識の起源としての第一次世界大戦を描き、砲撃がかき消した人々の声に耳を澄ます、戦場の社会史。
はじめに
第1章 軍隊と人種
(1)「白人の名誉」
(2)「黒い戦力」
(3) アメリカ軍と人種
(4) 軍隊・階級・人種
(5) 兵士たちの社会
(6) ハーレム・ヘルファイターズーーあるアフリカ系アメリカ人連隊の経験
第2章 戦争と労働
(1) 戦場の労働ーー戦いを支える
(2) フランスにおける労働力ーー「外国人」・「原住民」
(3)「原住民」労働者の労働と生活
(4) 労働補給部隊
(5) 砲撃を受けて
(6) 労働者たちの声
(7) 中国から戦場へ
(8) 戦後に残る人種認識
第3章 人種とジェンダーの交差
(1) 戦場のジェンダー規範ーー「純潔」をめぐって
(2)「白人」女性と植民地兵及び「原住民」労働者との出会い
(3) アメリカ軍におけるジェンダーと人種の交差
(4) インドシナ植民地出身者とフランス人女性労働者
(5) 人権の境界を越えた親密な関係のもつ意味
第4章 越境する人種主義ーーセクシュアリティをめぐって
(1) ドイツ軍の侵攻占領と戦争プロパガンダ
(2) ドイツの情報戦と人種認識
(3) アメリカ流人種主義の輸出
(4)「黒い恥辱」--国際的な「恐怖」の共有
第5章 象徴としての平等性ーー戦死者を悼む
(1) 埋葬と追悼
(2) 象徴としての平等性
(3) 追悼と記憶
(4) 無名兵士の埋葬
(5) 追悼のジェンダー化と人種化ーーアメリカの場合
むすびにかえて
あとがき
索引
東京大学博士課程に在籍していた8研究科・男女54名、女性限定公募実施10大学・採用者14名へのインタビュー調査から見えてきた、アカデミアに根深く残るジェンダー・ギャップ。その実相を描き、解消に有効な方策を提示する。
はじめに(中野円佳)
第1章 日本の女性研究者の現状(久保京子)
1 女性研究者の割合
2 女性研究者の増加という社会課題にかかわる政策
3 研究・教育の現場で女性が抱えている困難
4 まとめ
補論1 「パイプラインの水漏れ」現象はどう議論されてきたか(中野円佳)
第2章 六八人の人生からーー研究の方法と対象者(中野円佳)
1 東大博士課程出身者調査
2 女性限定公募調査
3 質的研究の意義
第3章 女性博士課程大学院生の研究室ネットワークにおける困難(久保京子)
1 大学院に着目する理由
2 女性学生の研究室ネットワークへの参加を阻害する要因
3 男性学生との関係
4 女性学生の研究室ネットワークへの参加を促す要因
5 まとめ
第4章 なぜアカデミアを離れたのか(中野円佳)
1 博士課程修了後、アカデミアに進まなかったケースを分析する
2 三つの径路
3 三つの径路から見えること
第5章 ライフイベントの中の困難ーーどう回避し、乗り越えるか(九鬼成美)
1 ライフイベントとキャリアの関係
2 ライフイベントの中で何が研究継続の困難とされるか
3 キャリアの困難をどう回避し、乗り越えるか
4 まとめ
第6章 女性限定公募は解決策になるか(中野円佳)
1 解決策としての女性限定公募
2 女性限定公募を活用した大学・部局への調査
3 女性限定公募で採用されるという経験
4 岐路に立つ女性限定公募
補論2 女性限定公募をめぐる賛否(中野円佳)
補論3 米国大学の女性研究者支援事業(木原友紀)
終章 大学は何をすべきか/してきたか(中野円佳)
おわりに(中野円佳)
中小企業において、経営者家族の労働と報酬がどのような性質を持つものなのか。本書では、織物業の事例を通じて今まであまり論じられてこなかった中小企業経営者層の労働・生活を、制度と歴史、分業、報酬、主観的世界の側面から検討する。そのフレキシブルな労働の実像に着目し、ジェンダーの視点を取り入れた新たな社会理解のモデルを提起する。
序 章 経営者家族はどのように働いてきたのか
1 中小企業における経営者家族の労働への着目
2 小規模企業の重みと家族の比重
3 生きられた経験から中小工場制の成り立ちを探る
補 論 家族従業者の定義
第1章 織物業とその経営者世帯の構造
1 戦後の絹人絹織物業が抱えた経営環境
2 量産型織物業における分業
3 織物業を営む経営体の構造
4 労働力の構成からみる家族の比重
第2章 織物業を営む家族の働き方
1 経営者の家族は何をしていたのか
2 経営者家族が行う仕事の具体的な様相
3 多様な妻の働き方と役割ーー家族経営のなかの女性
4 家族の柔軟な労働と妻が果たす大きな役割
第3章 家族に対する報酬の配分とその行方
1 家族労働に対する金銭的報酬
2 戦後税制における家族労働の扱い
3 家族従業者に対する報酬付与の過程
4 支払われた報酬の行方ーー報酬の回収・指示・自己抑制
5 回収されていく報酬
補 論 事業を営む家族の老齢年金と高齢期の生活保障
第4章 男性経営者の世界とその帰結
1 男性たちにとっての関心事とその背景
2 男性経営者たちにとっての家族と責務ーー親・きょうだい・子ども
3 男性経営者たちにとっての事業ーーその思いと夢
4 家族的責任と一生をかけた仕事への思いの帰結
第5章 妻たちの労働観と再生産領域における役割
1 女性たちの労働の実像
2 妻たちの職歴と職業観
3 再生産領域に関わる労働の調整
4 彼女たちの労働・生活観
第6章 事業に対する妻の思いと責務
1 妻は事業をどう捉えていたのか
2 事業経営における妻の位置の違い
3 経営者家族の一員としての自負
4 どう捉えようと働かざるを得ないーー家族であることの社会的効果
5 工場を支えた妻たち
終 章 事業を営む人々の側に立って社会を見る
1 経営者家族が社会のなかで果した役割
2 経営者家族が稼ぎ出したものの行方
3 21世紀の労働分析に求められるもの
引用文献
あとがき
資 料 編 【東北・北陸調査地における聞き取り調査票】
人名・事項索引
近年、ジェンダーを論じる際には、旧来の男女二元論を超えるようになってきている。本書は現代社会に生きる「ノンバイナリー」(性自認が男女の二枠に当てはまらない人)たち30人の率直な語りを集め、ジェンダーとは何かという問いに真正面から向き合う。
太宰治の恋愛と情死の報道、情熱の女=柳原白蓮、松井須磨子の道ならぬ恋、ミッチー・ブームを経て隆盛を極める女性週刊誌、そこに躍る女性のスキャンダル……。女性をスキャンダルの渦に巻き込み、身体や生を物語化して消費の対象にする構造を解き明かす。
凡例
はじめに
第1部 スキャンダルを描く──〈太宰治〉の周縁
第1章 「斜陽」のざわめく周縁──〈太田静子〉のイメージ化
1 太宰治「斜陽」と太田静子『斜陽日記』
2 〈「斜陽」のモデル〉という言説
3 広告としての『斜陽日記』
4 〈書く女〉の商品価値
5 「文学少女」とテクスチュアル・ハラスメント
6 〈太田静子〉というイメージ
第2章 こぼれ落ちる声──太田治子『手記』と映画『斜陽のおもかげ』
1 生み出される痕跡
2 『手記』と『斜陽のおもかげ』
3 母はどのように描かれたか
4 こぼれ落ちる声
第3章 「情死」の物語──マス(大衆)メディア上に構築された〈情死〉のその後
1 「情死報道」と作家イメージ
2 選び取られた〈物語〉
3 「情死」を描く──小島政二郎「山崎富栄」と田辺聖子「実名連載小説」
4 神話化する作家と山崎富栄の〈物語〉
第2部 スキャンダルを連載する──〈女〉を語る
第4章 「禁じられた恋」のゆくえ──女性週刊誌「ヤングレディ」に掲載された「実名連載小説」をめぐって
1 女性週刊誌という「夢」
2 「ヤングレディ」と「実名連載小説 禁じられた恋に生きた女たち」
3 「禁じられた恋」のゆくえ──「女流作家」たちが内面化したもの
4 女性週刊誌という「夢」?
第5章 「情死」はいかに語られたか──「ドキュメント情死・選ばれた女」をめぐって
1 文学を語る女性週刊誌
2 「ドキュメント情死・選ばれた女」
3 「いま」・ここの出来事として
4 「選ばれた女」たち
第6章 女性週刊誌で「ヒロイン」を語るということ──石垣綾子「近代史の名ヒロイン」を考える
1 女性週刊誌「微笑」の誕生
2 石垣綾子「近代史の名ヒロイン」
3 写真から立ちのぼる「ヒロイン」の姿
4 「自伝」を読むという行為
終 章 〈女〉を語る場
1 「明治百年」と女性週刊誌
2 女性週刊誌のその後
3 ミソジニーの現場
初出一覧
おわりに
光の世紀の「才女」たち。ニュートンを語る女神と化学革命の女神。ジェンダーの視点が科学史に新たな息吹を吹き込む。