歯科臨床が外科的治療であることは、日常臨床上明らかである。本書はこの外科治療という基本的認識に戻って滅菌、消毒について考えるものである。かっては肝疾患にみられるウイルス性感染症、そして今、世紀の難病ともいわれる、免疫不全症候群AIDSの出現に際し,この滅菌、消毒の重要性を本書でもって強調したい。
本書は、全部床義歯学と部分床義歯学を学生諸君にとって、読みやすく、しかも、よく理解できるようにと心掛けて書かれたものである。できる限りページ数と図表を抑え、必要最小限の知識を平易に記述し、有床義歯学というものが全体として理解できるようにと考え、本書の執筆を企画した。
本書は口腔衛生学の教科書として、新しい教授要綱の学習目標に沿った内容で編集、執筆されている。衛生・公衆衛生学および口腔衛生学は常に社会科学的側面をもち、その領域は広く膨大である。膨大な領域の必要事項を洩らさないように、教授要綱および国家試験の出題基準を参考にして、最も新しい知見、数値などをとり入れ、学習に役立つ教科書として編集を行った。
本書は、マイオドンテックスの臨床的な決定論である自然咬耗咬合に準拠した人類生物学的考察への雄弁な解説と、具体的な治療方法論としての原因療法に従った各装置のある方、つくり方へのていねいな説明で構成されている。
エナメル質はほかの組織と同様に細胞によって作られるにもかかわらず、最終的にはきわめて高度に石灰化し、鉱物と同じような性状を獲得する。その意味でエナメル質は同じ石灰化組織である骨や象牙質よりも学際的な研究の場としての性格がはるかに強いのである。
歯学においても診断は治療の第一歩である。本書の構成はその基礎資料の作り方、記録、レントゲンの読像など歯科臨床記録のあり方から歯周治療、咬合再構成、総義歯までを含む。次に、われわれは日常の臨床の中で患者に満足感に如何に貢献するかを考えていかなければならない。痛みをとったり、咀嚼を回復したり、美しくしてあげたり、歯科に課せられる要求は少なくない。今回はその中でも特に一つ審美性に焦点をあてた。