1980年代から現在に至るまで活躍する女性作家たちの小説を、結婚制度とそれにまつわる社会状況を照合しながら多角的に考察する。
凡例
序 章
第一節 「結婚小説」の解体
第二節 近代文学研究における「家族」(一)-家庭の崩壊と女性表現の批判性
第三節 近代文学研究における「家族」(二)-家族の「多様化」という評価
第四節 近代文学研究における「家族」(三)-「家族」概念の操作
第五節 本書の研究方法と目的
第六節 本書の構成と概要
注
第一部 結婚の境界線を探ること
第一章 労働と結婚を繫ぐものー山本文緒・絲山秋子の女性表象からー
第一節 均等法以後ー篠田節子『女たちのジハード』が残したもの
第二節 ゲームの裏切りー山本文緒「囚われ人のジレンマ」
第三節 「無意味さ」としての女性身体ー絲山秋子「勤労感謝の日」
第四節 均等法が残したもの
注
第二章 暴力からの脱出/他者への接近ー津村記久子「地下鉄の叙事詩」論ー
第一節 公的領域としての鉄道内空間
第二節 新自由主義の内面化
第三節 暴力の空間
第四節 満員電車という環境下のジェンダー
第五節 公共空間における偶発的なすれ違い
注
第二部 異性愛主義の延命
第三章 結婚をめぐる争いー笙野頼子『説教師カニバットと百人の危ない美女』論ー
第一節 文体と物語内容
第二節 「怒り」の居場所
第三節 「愛」と「不公正」の狭間
第四節 もう一つの争い
第五節 生活を共にする「猫」
注
第四章 教化される感覚ー多和田葉子「犬婿入り」論ー
第一節 「郊外文学」の系譜
第二節 国立市の歴史をめぐって
第三節 伝播する犬婿伝承
第四節 忘却された感触
注
第五章 包囲される/衝突する女性同性愛ー松浦理英子『ナチュラル・ウーマン』における欲望と関係性ー
第一節 「女性同性愛」表象の分析にまつわる困難
第二節 婚姻制度の牽制
第三節 白と赤の衝突
第四節 欲望と関係性の差異をめぐって
第五節 「完璧な眺め」を見下ろすなかで
注
第三部 選択肢としての結婚/まとわりつく結婚
第六章 親族関係という「蜘蛛の巣」-金原ひとみ作品の二人組と結婚ー
第一節 金原作品における「結婚」の機能
第二節 「不妊」の行方
第三節 「母」になる/させられるということ
第四節 子供の「親」とは誰なのか?
注
第七章 「不幸」な結婚が意味するものー鹿島田真希「冥土めぐり」論ー
第一節 結婚の「新たなモデル」?
第二節 「冥土めぐり」の快楽
第三節 「母殺し」の方法と脱出の構図
第四節 飼い慣らされる「不幸」
注
第八章 「家族」を作らないという選択ー姫野カオルコの介護作品を中心にー
第一節 「介護の社会化」の後に
第二節 滑川までの「三時間」
第三節 赤江朋子の家族構成
第四節 鶯小屋からの親密性
注
終章
第一節 各章の要点
第二節 偶発的な親密性を取り込むこと
注
後記
女性と政治を隔てているものとは何か?
共同体に滅亡をもたらす者、革命家として憲兵の刃に倒れる者、産まれたばかりの我が子を手にかける者……死と暴力にまみれ、恐怖(テロル)の相貌を帯びた女性たちはなぜ描かれたのか。
19、20世紀を生きた作家たち、宮崎夢柳・福田英子・平林たい子・三枝和子の諸作品から、今なお根強く残るジェンダー秩序と、女性表象や女性解放をめぐる問題に鋭く切り込む。
凡例
序章 公/私区分とジェンダー
1 自由と女ー宮崎夢柳の政治小説
第一章 「佳人」の死ー「芒の一と叢」における女性表象
はじめに
一 「諸君は此の髑髏の誰れたるを知るか」
二 勤王志士の系譜
三 女性像の転換
おわりに
第二章 土佐を歩く夢柳ー初期テクストと土佐自由民権運動の距離
はじめに
一 夢柳と土佐自由民権運動
二 陽暉楼/得月楼
三 「近水の楼台月の面影」
四 「芸郡紀遊」
おわりに
第三章 「鬼啾啾」における「主義」と「私事」
はじめに
一 女性像の変遷
二 公/私区分の再編と「自由」な政治的主体
三 「私事」としての女権論
おわりに
2 階級と女ー福田英子と平林たい子
第四章 「女壮士」の行方ー景山英子から福田英子へ
はじめに
一 英子をめぐる言説1-崇拝と侮蔑
二 英子をめぐる言説2-〈公〉か〈私〉か
三 『妾の半生涯』の同時代的文脈と戦略
四 「婦人世界」における女性解放論
おわりに
第五章 「理知」と「意志」のフェミニズムー平林たい子における公/私の脱領域化
はじめに
一 「承認」の政治からの再評価と批判
二 「理知」と「行動への意志」
三 「施療室にて」
おわりに
第六章 境界をめぐる物語ー平林たい子「夜風」論
はじめに
一 公的な活動様式
二 「身辺的認識」からの脱却
三 農民文学をめぐる論争
四 「夜風」
おわりに
3 文化と女ー三枝和子のフェミニズム・ディストピア
第七章 亡霊的な「女性原理」-「鬼どもの夜は深い」を中心として
はじめに
一 滅亡への志向性
二 亡霊としての「女性原理」
三 「鬼どもの夜は深い」
四 一九八〇年代フェミニズムにおける和子の位相
おわりに
第八章 「自由」への憧憬と懐疑ー『八月の修羅』から『隅田川原』へ
はじめに
一 第二波フェミニズムと「自由」
二 『八月の修羅』
三 「江口水駅」
四 「隅田川原」
おわりに
第九章 友でもなく、敵でもない者
はじめに
一 「敵」と「友」の境界線の混乱
二 「「法」ロゴス」と「エリーニュス」
三 「幽冥と情愛の契りして」
おわりに
終章 テロルの女たち
初出一覧
あとがき
索引
被爆国がなぜ原発大国になったのか?ヒロシマはなぜフクシマを止められなかったのか?なぜむざむざと54基もの原発建設を許してしまったのか?-。
原初史の最初に出てくる天地創造物語は史実なのかどうかが争われてきた。宗教と科学の対決とも言われてきた。しかし、この物語が史実なのか神話なのかという二者択一の問いを立てること自体が、原理主義にとらわれた行為ではないか。原理主義からの解放を視野に入れながら、原初史物語に託された「聖書の著者(たち)」からのメッセージは何かを聴きとる。
はじめに
1時間目 旧約聖書の構成、成立、伝達
1.聖書のよみ方
批判的に聖書を読む
批判と非難
「歴史を学ぶ」とは?
聖書との対話を通して
2.「旧約聖書」とは何か
「旧い契約」「新しい契約」
「契約を切る」
四つの契約
70人訳聖書
構成について
新共同訳聖書
五書の成立、ヴェルハウゼンの提唱
スピノザの排斥
マルチン・ノートーー『モーゼ五書伝承史』
書記の誕生
正典化・キャノナイゼイションの過程
正典化の必要性
公的朗読
死海写本
ソーフェリーム・数える人々
2時間目 天地創造物語
はじめに神は天地を創造した
闇から光りを
希望の光
パターンのくり返しと、言葉による創造と行為による創造
左右対称に込められたメッセージ
クリエーショニズムー創造主義と進化論
信仰の告白
生きることの意味
バビロニア捕囚
バビロニアの信仰体系との対決
バビロニアの創造物語
神々の奴隷としての人間、「神の似姿」しての人間
神の像の「民主化」
3時間目 アダムとエバ物語
「人間は土の塵から造られた」
「エデンの園」
「マイムマイム」
地に仕える僕
善悪の知識の木
エバの創造
父母を見捨てて
蛇の誘惑
関係の崩壊
原因譚
エバ、「命」
アダムとエバの関係
問題の箇所
アーダームは男か
ケネグドーーー彼と向き合う助け手
男性だけの翻訳委員会
4時間目 ノアの洪水物語
カインとアベルの物語
二資料仮説によるノアの洪水物語
J版洪水物語
P版洪水物語
増補改訂仮設
神による継続的創造
古代オリエントの洪水物語
5時間目 バベルの塔物語
物語のような歴史、歴史のような物語
通時的研究・共時的研究
著者が託した主張
バベルの塔物語を読む視点
嫉妬による殺人
人間の悪への裁き
バビロニアのバベルの塔
多様性の祝福
多様性を生き抜く
むすび
おわりに
参考文献
1980年代以降の生活保障システムを詳細なデータを基に跡づけ分析し,日本の社会・経済の脆弱性を照らしだす。特に貧困や地域格差など偏ったお金の流れ,個々人の「生きにくさ」がジェンダーと深く関わっていることを明らかにする。迫力ある著者待望の書。
序 論 危機や災害に脆い社会
第1章 所得の格差・動態にかんするデータ─ミクロとマクロ
第2章 生活保障システムというアプローチ
第3章 福祉レジーム論をふりかえる
第4章 生活保障システムの3類型と日本
第5章 「失われた20年」のガバナンスの推移
第6章 「失われた20年」の始まり─1990年代のガバニング
第7章 小泉改革とはなんだったか─2000年代のガバニング
第8章 生活保障システムの比較ガバナンス─2000年代の日本の座標
終 章 グッド・ガバナンスに向けて
女性はなぜ生きづらいのか。常識を疑う叛骨の精神が組み込まれたジェンダー概念を用い、政治学に埋め込まれた男性の優位性、女性に対する抑圧と排除、男性と女性の不公平な関係に焦点を当て、市民社会やリベラル・デモクラシーに内在する不平等を解き明かす。政治学の土俵でフェミニスト・アプローチの可能性を探る。
序章
第一章 フェミニズムとジェンダー
1 第一波フェミニズム──女性の権利獲得運動
2 第二波フェミニズム──女性解放運動
3 多様化の時代のフェミニズム──「再分配」から「承認」へ
4 分析概念としてのジェンダー
結語
第二章 「性」の支配──女性はなぜ敗北したのか
1 支配システムとしての「家父長制」
2 家父長制と資本主義
3 家父長制の起源
4 家父長制の定着
結語
第三章 「労働」の支配──ジェンダー役割分業観念はいかに構想されたのか
1 西洋社会の女性と労働
2 ブルジョワ階級女性をめぐる労働と生活の変化
3 資本主義はなぜ「ジェンダー役割分業」を必要としたのか
4 ジェンダー役割分業の行方
結語
第四章 リベラリズムにおける排除と包摂──平等のディレンマ
1 フェミニストのシティズンシップをめぐる議論
2 古典的リベラリズムの排除の論理
3 ソーシャル・リベラリズムの二面性
4 普遍的平等の不平等
結語
第五章 リベラリズムにおける平等と差異──「積極的平等」をめぐる批判と反論
1 積極的平等政策
2 機会の平等、能力主義への挑戦
3 不名誉な烙印
4 派閥の台頭
5 本質主義への回帰
結語
第六章 ジェンダー不在の市民社会──フェミニストの批判
1 市民社会概念
2 市民社会と女性
3 フェミニストの市民社会(論)批判
結語
第七章 市民社会の再構想──「重なり合う、切れ目のない世界」の提案
1 アイリス・ヤングの市民社会モデル
2 ヤングの三層モデルの効果
3 ヤングの三層モデルの課題
4 重なり合う、切れ目のない世界
結語
第八章 リベラル・デモクラシーの不平等──議会における過少代表
1 リベラル・デモクラシーの不平等
2 政治社会の先住集団と後続集団
3 女性議員の多寡を左右する要件
結語
第九章 リベラル・デモクラシー再訪──議会代表と議会外代表
1 記述代表と実質代表
2 議会を越える女性の政治代表
3 議会外代表の強調が引き起こす問題
4 議会代表の潜在力
結語
終章
参照文献
あとがき
索引
近世の版本、ポスター・雑誌、CM、流行歌、映画、小説などの多彩な資料から、遊女、町娘、農婦、上流階級女性、モダンガール、作家、街娼、女工、主婦の喫煙や「たばこ屋の娘」の表象、戦争とたばこ、嫌煙権、分煙社会の方途に挑んだ意欲作。
ベル・フックスのアメリカ黒人現代アート批評、待望の邦訳。白人至上主義的・資本主義的・家父長制による排他的な視覚の政治学が深く浸潤する現代アートとその批評、システムの内部にメスを入れ、真の黒人の美学を開示する。
社会学するとは何かーメディアを通して様々な「常識」や「記憶」が創られている。身近な文化現象を、理論/歴史/流行現象の視角から再考し、社会学を「実践」することの面白さと奥深さを開示する。
性別移行し生きる道を模索し続ける人々の生活史
女(らしさ)/男(らしさ)という二元的かつ固定的な性のあり様にもとづく社会の様相に変革をもたらす当事者たちの可能性とは
日本における性同一性障害にもとづく社会問題化の様相およびその背景について明らかにし、また、ジェンダー形成の観点から、当事者たちが直面している困難が生じるプロセスや、その背後にある社会構造の問題を明らかにする。
はしがき
第1章 トランスジェンダーの社会問題化
第1節 用語ーートランスジェンダー・LGBT(Q+)・SOGI(ESC)
第2節 ラベリング理論と構築主義アプローチ
第3節 一九九〇年代後半から二〇一〇年代までの様相
第4節 社会問題化と〈中心ー周縁〉化
コラム1 りりぃの生活史ーー生い立ち
第2章
トランスジェンダーの生活史調査
第1節 トランスジェンダーの病理/脱病理化
第2節 調査の概要
第3節 3名の事例分析
第4節 当事者たちのリアリティ
コラム2 りりぃの生活史ーー性別越境と性風俗
第3章 トランスジェンダーの教育支援
第1節 教育支援とジェンダー形成
第2節 4名の事例分析
第3節 ジェンダー/セクシュアリティに関する意識
コラム3 りりぃの生活史ーー学びと研究
第4章 トランスジェンダーの二重生活
第1節 女装者論と理論的枠組み
第2節 2名の事例分析
第3節 女装者たちが直面する困難
コラム4 りりぃの生活史ーー海外渡航
第5章 トランスジェンダーのジェンダー形成
第1節 まとめーー主流となった社会問題化と当事者たちの困難再考
第2節 今後の展望ーー差別の客体から変革の主体へ
第3節 本書の意義と限界
あとがき
米国の宗教学者による水子供養の画期的論考、待望の邦訳。史料分析と現地調査により、大衆メディアの活用、徹底的な商業化、超宗派的な儀式の性格を多面的に描き、その根底にある女性差別、胎児中心主義的イデオロギーを暴き出す。
日本社会で長期間にわたって居住している高学歴移民女性について、包括的な「ライフコース」の視点からその経験と現状を明らかにし、そこからみえてきた問題の解決策を探る。従来の移民女性像を超え、多様な生き方を描き出す移民研究・ジェンダー研究の最新成果。
メディアのなかにあらわれた病、女、血、アイヌをめぐる差別と定型の物語から、韓国併合、閔妃暗殺、大逆事件などの暗殺をめぐる物語まで。物語のほころびをとおして、帝国日本の成立過程をさぐる気鋭の論考。
労働のグローバル化が進む中で、脆弱な環境に置かれた現代ラテンアメリカの女性たちが国境を越え、移民労働者として国外労働市場に組み込まれるプロセスと、その中で女性たちが直面する様々な問題を明らかにする。
在日タイ女性に焦点を当て、日ータイの越境的な家族関係、それぞれの社会・制度に埋め込まれたジェンダー規範による、高齢期に向けた選択における制約と、彼女たちが抱える脆弱性を明らかにする。高齢期を迎えるニューカマーの実相に迫った嚆矢となる研究成果。
まえがき
序章 在日タイ女性の高齢期ーー「国際移動の女性化」の帰結として
1.本書の目的と調査対象者
2.壮年期と高齢期の準備期間とは
3.高齢期に備える在日タイ女性の選択
4.研究方法と調査対象者
5.先行研究から考える、在日タイ女性の高齢期
6.本書の構成
第1章 在日タイ女性のトランスナショナルなライフコースとその背景
1.在日タイ女性の来日の複合的な背景
2.在日タイ女性を取り巻く法と福祉制度に埋め込まれたジェンダー規範
3.年金制度とジェンダー格差
4.在日タイ女性の高齢化
5.日本における高齢者への社会保障と在日タイ女性
6.送出国タイの30年の変化
第2章 在日タイ女性の高齢期をめぐる諸要素と分析概念
1.在日タイ女性の高齢期の準備に影響する諸要素
2.在日タイ女性の複合的な背景と分析概念
第3章 感情的紐帯と経済的紐帯の分かちがたさーータイと日本、娘・妻・母親という役割
1.「日本人の妻」役割によって支えられるタイの娘役割と母役割
2.「日本的」ジェンダー規範に沿う母親役割とタイの家族
3.小括
第4章 高齢期の準備ーー日タイの家族の感情的紐帯と経済的紐帯の維持と選択
1.ひとり親としての日本での子育てと、タイの親のための本帰国
2.日本での再婚と人身取引に関与したタイの母親
3.ひとり親としてケアする者からケアされる者へ
4.小括
第5章 壮年期の経済的脆弱性と高齢期の社会保障
1.社会保障制度のポータビリティと在留資格による「ケアされる権利」の制約
2.高齢期の社会保障の脆弱性と「ケアされる権利」
3.小括
第6章 エスニック・グループがもつ感情的紐帯の機能ーー包摂と相対的剥奪感による排除
1.一様に描くことができないエスニック・グループ
2.身寄りのない在日タイ女性の看取りーーエスニック・グループの感情的紐帯とタイ寺院
3.単身在日タイ女性の高齢期を支えるのは誰か
4.エスニック・グループの中に埋め込まれたジェンダー規範と相対的剥奪感
5.小括
第7章 社会的資源としての自治体窓口やNGOと相対的剥奪感の緩和
1.自治体窓口担当者との感情的紐帯
2.NGO支援者たちとのつながりと相対的剥奪感の緩和
3.小括
終章 国境を挟む高齢期の準備に潜む脆弱性
1.タイと日本、そして壮年期から高齢期へーー選択と制約の中に生きる在日タイ女性
2.結論ーートランスナショナルなライフコースの中にある脆弱性
3.本書の限界と今後の課題について
あとがき
別表
参考文献
索引
男女ともにワーク・ライフ・バランスを実現するためのカギとは?一人ひとり異なる生きた個人の内面の声と、働き方やジェンダー規範という社会の構造的な問題とを、生涯発達心理学の視点から結びつける。
日本では、パートタイム労働市場の拡大とパートタイマーの企業内定着と同時に、パートタイム労働者と正社員との賃金格差が広がり、「職務と処遇の不均衡」が拡大している。本書では、スーパーマーケット産業の事例を通じて、このような現象が起きる構造と過程を、ジェンダー視点と行為者戦略アプローチから、企業、労働組合、パートタイマー本人それぞれの行為戦略を分析する。日本的パートタイム労働市場の特徴の形成と再生産を解き明かす試み。
序 章 日本におけるパートタイム労働とは
1 問題意識と研究課題
2 分析の視座
3 先行研究
4 研究対象と資料
5 本書の構成と特徴
第1章 スーパーマーケット産業とパートタイム労働ーー主婦パートの基幹労働力化
1 スーパーマーケット産業の成長と主婦パート
2 事例店舗の紹介
3 主婦パートの量的基幹労働力化ーー事例店舗を中心に
4 主婦パートの質的基幹労働力化ーー事例店舗を中心に
5 主婦パートの基幹労働力化と女性正社員
6 基幹労働力化とジェンダー
第2章 企業の行為戦略ーー制限的内部化と区別作り
1 企業の課題ーー二兎を追う
2 選別的内部化ーーパートタイマーの雇用区分
3 擬似内部化(1)--パートタイマーの教育訓練と評価
4 擬似内部化(2)--賃金制度
5 区別作りーー家庭優先性の認定
6 主婦パート活用モデル
7 基幹労働力化と主婦協定の衝突
第3章 労働組合の行為戦略ーー排除と包摂
1 労働組合の課題ーー三つの危機
2 事例労働組合のパートタイマーの組織化状況
3 危機解決戦略の決定要因
4 2000年代におけるパートタイマー組織化戦略の変化
5 組織化と基幹労働力化の相関関係
第4章 主婦パートの行為戦略ーー受容と抵抗
1 主婦パートの生涯経験と就業経験
2 主婦パートの目線
3 主婦パートの対応戦略(1)--受容戦略
4 主婦パートの対応戦略(2)--抵抗戦略
5 非公式権力の拡大と公式権力の亀裂
終 章 日本的パートタイム労働市場の変容と再生産ーー主婦協定の改正と制限的内部化の拡張
1 新しい人事制度の内容と狙い
2 改正制度における社員区分別処遇格差
3 「働き方のジェンダー化」と「身分としてのジェンダー」
4 共に生きていく社会のためのジェンダー平等
付図表
参考文献
あとがき
アンケート
索 引
19世紀半ばに生まれた電信の技術は、多くの女性たちに新たな職業空間を提供した。彼女たちは、従来の「女の居場所」を超えて技術職に就き、男性に伍して働き、電信会社相手のストライキを果敢に闘った。西部劇や小説にはヒロインとして登場した。今や忘れられた、当時の「サイバー・スペース」に生きた先駆的女性群像を生き生きと描いた本書は、現代の働く女性たちにも力を与えよう。
図表一覧
日本の読者へ
謝辞
第1章 電信業ではたらく女性
米国の電信業への女性の進出
カナダとヨーロッパにおける女性電信手
非欧米世界における電信と女性
二〇世紀における電信業と女性
第2章 電信オフィスにおける毎日の業務
鉄道駅の電信所の場合
モールス電鍵と「バグキー」
商業電信局の場合
労働環境
労働時間
テレタイプの導入
職業上の事故・病気
第3章 社会における電信オペレーターの位置
電信手の社会階層
電信手のエスニック構成
電信手の学歴と訓練
電信手として働くようになった理由
統計に見る労働力としての電信手
電信手のレジャーライフ
電信手の旅行と移動
宗教、親睦、および社会活動の組織
電信コンテスト
家族と結婚
第4章 電信オフィスにおける女性の諸問題
米国における女性の電信への進出と『テレグラファー』誌上論争
ヨーロッパの電信業における女性の進出
一八七〇年代の米国における女性電信手論争
職場における振舞いとジェンダー
男女同一賃金問題
起業家としての女性
電信オフィスにおける競争──リジー・スノーの場合
電信オフィスと性道徳
第5章 文芸と映画に見る女性電信手
文学に描かれた女性電信手
映画のなかの女性電信手
第6章 女性電信手と労働運動
電信手保護同盟と一八七〇年のストライキ
ヨーロッパの女性と労働運動
電信手友愛会と一八八三年のストライキ
女性電信オペレーターと婦人運動
鉄道電信手騎士団
アメリカ商業電信手労働組合(CTUA)と一九〇七年のストライキ
一九一九年のストライキ
オーストリアにおける一九一九年のストライキ
その後のアメリカ商業電信手労働組合
第7章 むすび
電信業の工業化
電信時代の終焉
技術労働者としての女性電信手
まだ書かれていない歴史を求めて
なぜ歴史を再発見するのか
訳者あとがき
文献
原注
索引