換喩(メトニミー)の力のありかは、どこなのか?動物寓話におけるイメージ(挿絵)とテキストの関係を分析し、視覚へと傾斜する近代以降の表現構造の変化とその修辞的意義を明らかにする。
「教える/教えられる」の関係を超えた言語活動主体のあり方を問い、人間形成としてのことばの教育を考える。
機能主義的翻訳理論に基づいた体系的な翻訳分析。テクストの印象を決定的に左右する話法表現に焦点を当て、英語ー日本語間の多様な翻訳事例を分析する。
本書は、2003年10月に審査に提出し、2004年3月に明海大学大学院応用言語学研究科から博士学位を授与された博士学位請求論文を元に加筆修正した書物である。本書では、今までの格助詞の研究を、認知意味論の言語論に立脚して、空間という概念から問題を説き起こし、日朝中3言語の構造の対照を通じて3言語の異同を探り、ひいては言語の個別性および言語の普遍性研究に理論的かつ実質的根拠を与えることを目的としている。
本書はフィルモアの提唱したフレーム意味論の立場から、動詞と関わる意味論的諸問題に多面的に取り組む日本で初めての書物である。言語表現が喚起する背景知識の総体である「フレーム」の概念を用いて、11名の気鋭の研究者が、語、構文・イディオム、語形成などに関する意味論の課題に新しい答えを見出す。言語学、特に認知言語学・構文文法理論に関心のある学生・研究者、さらにはAI・自然言語処理研究者にとっても必読の書。執筆者:秋田喜美、有薗智美、岩田彩志、氏家啓吾、小原京子、陳奕廷、中嶌浩貴、野中大輔、長谷川葉子、松本曜、籾山洋介。
序章 フレーム、フレーム意味論、フレームネット
松本 曜・小原京子
第I部 動詞の意味論
第1章 解釈述語と内容述語の主要部交替
ーRun_riskフレームにかかわる英語と日本語の文構造の比較対照考察ー
小原京子・長谷川葉子
第2章 複数のフレームに基づく多義語の分析ー「黙る」を中心にー
籾山洋介
第3章 動詞における反義性ーフレーム意味論による分析ー
松本 曜
第II部 構文とイディオム
第4章 Eat one's way-構文とフレーム意味論の接点ー
岩田彩志
第5章 動詞の関連事象に基づく言語分析
ー「飲む」とdrinkから見る日本語と英語の結果構文ー
陳 奕廷
第6章 日本語の心理動詞と心理慣用句
ーフレーム意味論とフレームネットの観点からー
野中大輔
第7章 述語的な慣用的連結句から見た日本語身体部位詞とフレーム
有薗智美
第III部 動詞と名詞・オノマトペ
第8章 日本語の転成名詞に見られる小さな規則性
ー「支え」「妨げ」「覆い」などに注目してー
氏家啓吾
第9章 英語における語形成へのフレーム意味論的アプローチ
ー植物名詞に由来する名詞転換動詞の研究ー
中嶌浩貴
第10章 オノマトペの意味のファセット性
秋田喜美
週刊誌の見出し、現代思想のテキスト、TVの字幕、数式やプログラミング・コード、そして現代にあふれる括弧的な現象…。括弧によって切り取られた言葉は、ある種のアブナイ性質を帯びる。言語の持つ生成性の源に触れる、現代コミュニケーション論。
意味と事実の峻別というウィトゲンシュタインの考えを批判。認識が進展する時、私たちの言語理解はどのような形で成立しているのか。
メタファー(隠喩)と異なり、ものとことが直結して感覚をよびさますメトニミー(換喩)-この特質を武器に、寓話、挿絵、喜劇、漫画、映画、詩、「女」etc.の構造を鮮やかに分析。
チュアート・ダイベック『故郷』、バリー・ユアグロー「鯉」、レイモンド・カーヴァー「ある日常的力学」、ハルキ・ムラカミ=村上春樹(英訳はジェイ・ルービン)“かえるくん、東京を救う”、イタロ・カルヴィーノ『見えない都市』より「都市と死者2」、アーネスト・ヘミングウェイ『われらの時代に』より第5章と第7章の抜粋、ローレンス・ウェシュラー「胞子を吸って」、リチャード・ブローティガン「太平洋ラジオ火事」、レベッカ・ブラウン「天国」。村上春樹、ジェイ・ルービンもゲスト参加!東大文学部の翻訳演習を完全収録。
語られたことはどうして理解できるのか。言語哲学と心の哲学の二つの領域に跨がる「意味と信念」を考え課題を整理した中級の入門書。
1990年頃を境に言語哲学は中心舞台を去り、代って心の哲学が躍り出た。その背景には、脳神経科学、コンピュータサイエンス等の爆発的な展開がある。だが言語哲学は役割を終えたわけではない。よりべーシックな位置へと移動したのである。本書はこうした趨勢を反映した、言語哲学と心の哲学の今後の実りある共働へ向けた試論である。
序論 語られたことをどうして理解できるのか
第一章 言葉は何を意味しているのか──語用論的意味論の提案
1 外延的意味論とは何か
2 意味内容の導入による外延的意味論の補完の試み
3 記号の語用論的解釈
4 語用論的解釈の擁護
第二章 信念総体が言葉の意味を規定する──全体論の検証
1 分析性とは何なのか
2 言葉の意味が変わるとき
3 意味の合成原理と全体論的制約はどう関係するのか
4 全体論からの帰結
第三章 フランス国王は禿か──前提と背景信念
1 記述の理論
2 使用の理論
3 前提とは何なのか
第四章 あなたが言いたいこと──公共の意味と話者の意味
1 直示の意味論・語用論
2 確定記述の帰属的使用と指示的使用
3 話者意味の特定としてのメタファー解釈
4 会話の含み
第五章 あなたは何を信じているのか──信念内容のパズル
1 事象信念のパズル
2 言表信念のパズル
3 信念帰属の分析
4 パズルの解法
第六章 双子地球の物語──語り手の視点
1 信念内容の把握とは何か
2 信念帰属の物語
3 語り手の視点と語られる者の視点
4 「意味」の意味
第七章 あなたの考えとは何か──「内在主義」対「外在主義」
1 内在主義と外在主義とは何なのか
2 環境と信念内容はどのように関わるのか
3 外在主義と一人称権威
第八章 言語の社会性と個人性
1 意味に関する懐疑と権威の承認
2 固有名の指示と権威の役割
3 言葉と心
註
あとがき
文献表
事項索引
人名索引
〈翻訳不可能なものの翻訳〉をめぐる、ポストコロニアル研究を牽引してきた最前線の研究者たちによる一大総括にして、新たな出発点
2020年2月、ポストコロニアル研究の世界的思想家がニューヨークに集結。異文化の間、政治と文化の間、男女の間など、いたるところに翻訳不能なものはある。それを超えたところに翻訳は成り立つのか。人間関係の他性、理解不能性の根源を問う、日文研主催の国際会議の成果。
◎目次
序文 磯前順一、平野克弥、プラダン・ゴウランガ・チャラン
開会挨拶ーータイムズスクエアの日文研 荒木浩
総論 タラル・アサド(茢田真司訳)
○第一部 翻訳不可能なものの翻訳
第一章 翻訳不可能なものを翻訳することーーポストコロニアル研究の総括 磯前順一
第二章 言語の数え方・人類の分け方 酒井直樹(大村一真訳)
第三章 翻訳とポストコロニアル研究の遺産 ガヤトリ・チャクラヴォルティ・スピヴァク(舟橋健太訳)
第四章 神(々)を翻訳することーーポス トコロニアルという契機以後の宗教研究 ヘント・デ・ヴリース(久保田浩訳)
○第二部 東アジアにおける翻訳のポリティクス
第五章 日本酒 vs ワインーー夏目 漱石の「文化的翻訳(不)可能性」概念をめぐって プラダン・ゴウランガ・チャラン(山本昭宏訳)
第六章 セトラーコロニアルな翻訳ーー「文明化」作用とアイヌの声 平野克弥
第七章 日本の拡張主義イデオロギーを読み換えるーー戦時期の東亜聯盟運動に参加した朝鮮人 松田利彦
第八章 翻訳としての二〇世紀中国ーー中国及び空間革命における条件 汪暉(村島健司訳)
○第三部 円卓討論
ポストコロニアル翻訳論における翻訳不可能性とは何か?
酒井直樹、マリオン・エガート、ヘント・デ・ヴリース、ガヤトリ・C・スピヴァク、安井眞奈美、楠綾子、平野克弥、徐禎完、松田利彦、プラダン・ゴウランガ・チャラン、磯前順一(村島健司訳)
エピローグ 磯前順一、プラダン・ゴウランガ・チャラン
あとがきーー人文社会科学の今後に向けて 安井眞奈美
本書は、実際のテクストの中での語の働き・ふるまいを観察し、テクストの展開と関係づけて論じるテクスト分析をめざしている。“テクスト構成”や“語彙的結束性”といったテクスト分析の概念を、語の辞書的“意味”の捉え直しや、近代語テクストにおいて重要性を増す“漢語”や“名詞”の役割、コ系やド系指示語の機能の再発見等と関連づけて具体的に論じ、文体論やCDA(批判的ディスコース分析)にも目配りしている。
日本語版への序文
序章 共同体と諸地域
言語社会史/共同体の問題/比較研究/物語
第1章 「話を聞けば,どんな人物かが判明する」--近世における言語の発見
中世末期/言語の発見/欠損と余剰/1 言語史/2 言語の多様性
第2章 ラテン語 言語共同体への模索
教会のラテン語/文人共和国におけるラテン語
第3章 競い合う俗語群
革新派解釈とその諸問題/ルネサンスと俗語の賞讃/競い合い/言語領域/法律と行政/言語と政治/学術的分野/宗教の言語/翻訳/帝国主義/欧州での勝者と敗者/共通語としてのフランス語
第4章 標準語化する諸言語
印刷物の役割/規範化/綴字法と句読法/特定の方言の勝利/共通語の興隆/聖書の言語/印刷業者の役割/話しことば/求心力と遠心力
第5章 混ざり合う諸言語
言語学習/英語の事例/接触の場所/言語混交の実感/出会いと交流/新世界ポルトガル語の事例/欧州における混合/混合の場(メルティング・ポット)としての軍隊/実用上の混合化/遊戯的混合ーーマカロニ風借用の隆盛/言語的交換
第6章 言語の純化
純粋性を擁護する活動/ラテン語の純化/純化としての標準語化/防衛的純粋性,ルネサンスから宗教改革へ/一七ー一八世紀/反純粋派/純粋と危険
終章 言語と民族
一七五〇年以前の言語と民族/スコーネの場合/一八世紀後半/想像の共同体/民族主義と純粋性
訳者あとがき
年表
地図・付表
索引
正しく「無音の音」を響かせ、うまく「有音の音」を合わせれば、自然とあなたの毎日が整って、美しい「声」が生まれるのです。
1本の線が議論を変える!枠を使えば、話し合いが沸く、アイデアも湧く。
プレゼン、交渉、雑談…すべては1秒で決まる!
元日本テレビアナウンサー魚住りえによる、
瞬時に人を惹きつける、声の磨き方、抑揚のつけ方、表情!
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改めて考え見ると、「1秒」はほんのわずかな時間ですよね?
実際、「あ、」と言葉に出している間に過ぎていってしまいます。
でも、そのほんのわずかな時間が相手に与える印象、相手から受ける印象を大きく変えてしまうのです。
たとえば、あなたがこんな場面に遭遇したら、相手に対してどんな印象を持つでしょうか?
・ここからが話の大事なところというタイミングで、友達がスマホを取り出した
・注文を取りに来た店員さんが「はいはいはいはい」と矢継ぎ早な相槌を打ってきた
・商談相手が挨拶を交わしてすぐに腕時計をチラ見した
・初めて食事に行った気になる相手が、癖なのか、貧乏ゆすりが目に入る
・上司に相談していたはずが、「それでね」のひと言で切り返えされた後、相手の愚痴を聞くハメに
どれも些細な言動かもしれません。でも、どの場面でもいい印象は持ませんよね?
「え!? この人、なんかちょっと失礼かも?」と感じるのに必要な時間は、
1秒にも満たない相槌や言葉、態度で十分です。
しかも、一度、定着した相手の印象は半年近く変わらないことが心理学の研究でわかっています。
そして、それは人に与える好印象、人から受ける好印象でも変わりません。
私たちが初めて会った人を「この人、いいな」と思い、身
近にいる誰かのことを「やっぱり、この人はステキだな」と感じるのに必要な時間もまたわずかなもの。
ちょっとした立ち振る舞い、話し始めの声のトーン、相槌、返してくれた言葉、話を聞いているときの所作など、
ほんの1秒で伝わる何かが好印象につながっていくのです。
この本では、出会い頭の1秒、会話の最中の1秒、別れ際の1秒、あの人のことを思い出したときの1秒など、
コミュニケーションの間に生じる「特別な1秒」に焦点を当てて、
あなたの周りにいる大切な人たちにステキな印象を残す方法を掘り下げていきます。
ぜひ本書で「1秒」を見事に操り、あなたの味方につけてください!