大学の卒業式を目前に控えた時期、田辺高次は東京に引越してきた。音楽での成功をなんとなく夢見ているが、これといった活動をしないまま、怠惰な日々を送る。そんな時に現れたのがカナシミだ。高次を導くかのように、あるいはもてあそぶかのように、カナシミは自在に振る舞う。高次はカナシミに反発しつつも、やがて惹かれていくのだが…。スネオヘアーの代表曲「悲しみロックフェスティバル」をもとにした、笑いながら泣ける、書き下ろし小説。
悲しみを、ときに痛みとしてときに糧として人生の歩を進める人たちの物語。月刊誌『ゆうゆう』で取材した「伴侶の死」「看取りと死の受け止め方」「笑いの力」「がんと向き合う」「ひとり上手になる」などのテーマ記事に新たに取材、編集を加えた、50歳から新しく生きる大切な引き出し。
哀しみをかかえる人たちに寄り添うためにー。3・11以降、日本でもよりいっそう必要とされるようになったグリーフケア。宗教学、人類学、民俗学、医学などの分野、医療従事者、自助グループなどさまざまな立場から、身近に実践できる方法として考える入門書。
動物たちは家族や仲間の「死」を悲しんでいるのか。これまで科学は、人間の感情を安易に動物に投影することを禁じてきた。だが近年、死をめぐる動物たちの驚くべき行動が次々と報告され、自然人類学者である著者も数年にわたる実地調査によって、その考えを変えざるを得なくなったという。死んだ子を離そうとしないイルカ、母親の死を追いかけるように衰弱し死んだチンパンジー、仲間の遺骸のうえに木の葉や枝をかぶせるゾウ。さらに猫や犬やウサギ、馬や鳥などきわめて多くの心揺さぶられる事例が本書では紹介される。死を悼むという行動は、人間だけのものなのだろうかー。