五月に一挙に六冊文庫化された「心得帖シリーズ」の三作目である。本書はタイトルどおり、企業に身を置き、一社員として働くことの意義を、新入社員、中堅社員、幹部社員に向けて説いたものである。▼しかし、読者の中には違和感を持つ人があるだろう。なぜなら、松下幸之助自身は、丁稚奉公と電灯会社に勤めたわずかな期間以外は、常に経営者として社員を遣ってきた立場の人物だからだ。▼ところが本書で述べられている、それぞれに経験の異なる“社員としての心構え”の根底にあるのは、松下電器を大きくするための要求ではない。企業で働くことを通して、ビジネスマンとしての、いや人間としての幸せと成功を感得するには、こう考えたらいい、こういう生き方がよいということを説いているのである。▼今、若者は働き甲斐を見出せず、中堅・幹部はリストラを恐れている。社員として働くとはどういうことか、いま一度、原点に返って考えてみるのに絶好の一冊である。
[第1章]新入社員の心得 ●運命と観ずる覚悟を ●会社を信頼する ●成功する秘訣 ●無理解な上司、先輩 ●会社の歴史を知る ほか [第2章]中堅社員の心得 ●社長、部長はお得意先 ●夢見るほどに愛する ●知識にとらわれない ●信頼される第一歩は ●日ごろの訓練がものをいう ほか [第3章]幹部社員の心得 ●“部下が悪い”のか ●“私の責任です” ●プロの実力を養う ●人を育てる要諦 ●部下のじゃまをしない ほか
「日本列島の歴史はいつから始まる?」「なぜ天皇家の血統は大事にされるのか?」「武士はどのようにして生まれたのか?」……、誰もが気になる日本史の疑問に答えながら、教科書では見えづらい人間ドラマや歴史の裏事情を、東大教授が最新の研究成果を交えて解説。
ベストセラー・角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』の監修者が贈る、大人のための日本史・学びなおし読本。歴史の授業が苦手だった人でも、時代の転換点や流れを大きくつかむ「東大流」で日本史が自然と頭に入ってくる!
【第一章】原始・古代の講義〜天皇家の血筋が歴史を動かした!【第二章】中世の講義〜なぜ武士の時代となったのか?【第三章】近世の講義 〜織豊政権と徳川幕府が成立・崩壊した理由【第四章】近・現代の講義〜戦争を止められなかった日本
読み出したらとまらない! 今までの歴史観を覆す日本史・再発見の旅に出かけよう!
『東大流 よみなおし日本史講義』を改題し、再編集。
丹羽前大使を「親中派」と決めつけてはいけない。氏の中国論はきわめて誠実でまっとうである。(社会学者、『おどろきの中国』著者・橋爪大三郎)▼世界一の貿易額をかさに着て、中国が驕りを見せはじめた。もはや日本なしでもやっていけると言わんばかりに。▼経済的に勢いづいてはいるが、その内実は数々の難問に直面している。拡大する都市と農村の経済格差、国有企業の杜撰な経営体質、テロや暴動が絶えない少数民族問題、要人たちの汚職と不正蓄財……。▼そうした中国国内の真実は、報道を通じて知られているようでいて、意外と情報は流れていない。感情論だけが先走り、隣国を正しく見据えられていないのではないか。▼この状況に危機感をもった前中国大使が、ついに沈黙を破る。商社マンとして30年、大使として2年半。政財界トップの性質や思惑、はては国境近くの庶民や少数民族の生活実態まで、「病める中国」の姿をつぶさに見つめた迫真のレポート。
この本のページをめくるつもりなら、どうぞお覚悟を。
──自分の記憶が、ぐらぐら揺らぎはじめるかもしれません。
人気シリーズ第30弾!
衝撃の真実に涙する──
決して思い出してはいけない、19の記憶とは。
【本書の特徴】
★3分間ショートストーリー×19話! 朝読にもぴったり!
★人生の最期にだけ飲むことのできる医薬品とは・・・・・・。『幸福の記憶』、14年前から届いたメール相手の正体とは・・・・・・。『ハナミズキは見ていた』など、「記憶」にまつわるお話をたっぷり収録!
★ラストには「まさか!」のエンディングをお約束!
【目次】
プロローグ/幸福の記憶/ここはどこ、わたしはだれ?/おいてけ岬/ラスト門番/恋のおまじないアプリ/デコピン/思い出ムービー/前世の記憶/ぼくのサイコメトリー/九九/変身/触れればわかる/ハナミズキは見ていた/忘れちゃったの?/体は憶えている/暗記サプリ/トラウマ削除/みっちゃんの絵
シリーズ累計10万部突破!
死神、九十九神、福の神……
現代社会に溶け込むように存在している八百万の神々と、人間達とのちょっと不思議なふれあいを描いた、切なくも心温まる連作短篇シリーズ第二弾。
【内容例】
●ある消防士が出動すると、勝手に火が消えてしまう。その意外な理由とは?(「天狗さまのもとに」)
●銃で撃たれた女子高生が、死の淵で恋をした男の正体は……(「死神に恋」)
●夢遊病に悩む漫画家は、コインランドリーで美しい女性と出会うが(「眠れぬ夜の神様」)。
ーーなど、全10篇を収録。
文庫オリジナル。
「掻いちゃだめ」といわれても、脳は「掻いて」という……▼(1)原因を突き止めて取り除く (2)「かゆみスパイラル」を止めるーーどちらか一方だけでは解決しない。これを同時並行してしか、かゆみは消えません。▼どうして皮膚はかゆくなるのか? なぜ掻くと快感を得られるのか? 最近になって解明されつつあるそのメカニズムをわかりやすく説明。▼体の中で掻けるところしかかゆくならない、「かゆかった」記憶からかゆみが復活する、ストレスが悪化させるといった特性のほか、これまでは「かゆみは軽い痛み」と考えられていたがそれが完全な誤解であることなど一般化していた間違いも解説する。▼皮膚が無性にかゆくなるのは、イッチ・スクラッチサイクルによるものだ。その負のスパイラルを止める方法、原因の探し方、取り除く例など、著者が長年みてきた実際の治療エピソードを交えて紹介していく。
月刊誌『PHP』で掲載された年配著者の人気記事を書籍化した第二弾。悩みや不安に負けず、年を重ねるのが楽しくなる一冊。
髪ゴムが起こした奇跡と呪いとは? 世界で最も遠い十五歩とは? 半径5メートルで起こる出来事を無駄に膨らませる抱腹絶倒のエッセイ。
明治時代の湘南といえば、大磯だった!
この地には、明治20年代後半から、伊藤博文、大隈重信、陸奥宗などの大物政治家や、岩崎弥之助など経済人が別荘を建て、そこを目指して多くの人が集まるようになった。
また大磯は、日本初の海水浴場として、老若男女が集う一大リゾート地だったのである。
本書は、この地をこよなく愛し、後に宰相となる少年・吉田茂と、謎の隣人・天人(あまと)の二人が、別荘地で起きる様々な事件を解決していく連作活劇ミステリー。
茂が少年時代を過ごした吉田家の別荘は、父・健三によって「松籟邸」と名付けられていた。一方、隣人・天人が住んでいたのは、瀟洒な洋館。アメリカ帰りとも思えるこの若者は、一体何者なのか。そんな天人によって人間性を育まれた茂は……。
『天離(あまさか)り果つる国』で注目を集めたエンタメ作家が、虚と実を巧みに織り交ぜて紡ぎ出した「明治浪漫」。
『松下幸之助発言集』全45巻より厳選。 松下電器(現パナソニック)の主に若い社員に対する講話から、「プロとして立つ責任」など昭和33〜43年のものを話し言葉のまま収録。
夫婦愛、親子愛、隣近所の心のふれ合い。人気落語家の立川志の輔が庶民が織りなす笑いのドラマ100を厳選。古典落語入門の決定版。
「人はひとりでは生きていけない」。その言葉を錦の御旗に、表向きうまくやるのが「おとな」、できない人は病気と蔑むーー他人を傷つけないという名目の下に、嘘やおもねりも正当化されるのが日本社会である。そんな「思いやり」の押しつけを「善意」と疑わない鈍感さ。「人間嫌い」は、そこに途方もない息苦しさを感じてしまう人なのだ。▼したくないことはしない、心にもないことは語らない。世間の掟に縛られずとも、豊かで居心地のよい人間関係は築ける。自分をごまかさず、本音で生きる勇気と心構えを与えてくれる一冊。▼【人間嫌いのルール】なるべくひとりでいる訓練をする/したくないことはなるべくしない/したいことは徹底的にする/自分の信念にどこまでも忠実に生きる/自分の感受性を大切にする/心にもないことは語らない/非人間嫌いとの「接触事故」を起こさない/自分を「正しい」と思ってはならない/いつでも死ぬ準備をしている etc.
●1 さまざまな人間嫌い ●2 共感ゲームから降りる ●3 ひとりでできる仕事を見つける ●4 他人に何も期待しない ●5 家族を遠ざける ●6 人間嫌いの共同体
50代からは「遊ぶように生きる」と、うまくいく。気負わず、無理せず、伸び伸びと、自分のために生きて、働く人生に変える知恵。
全国700万人の「団塊世代」が定年を迎え、日本の高齢者率は4人に1人の時代にーー。▼まだまだ、気力も体力も若々しい人が大勢いる一方で、「そんなに早く老けこまないで」と言いたくなる人もいて、個人差が大きいのが実情です。▼本書は“熟年世代”の心の危機を数多く診てきた精神科医が、定年という大きな変化を乗り越え、元気に暮らすための考え方を実践的に解説します。▼「明日は何をしようか?--定年後は自分に問いかける毎日」「最初の禁句ーー定年後の『少し休んでから』は危険な落とし穴」「老後には3つのものがあればいいーー希望と勇気とサムマネー」「お金を残して死ぬよりも、まわりに素敵な思い出を残そう」「夫婦の頭の冷やし方ーー定年後に便利な冷却期間はない」「長い人生、不具合を抱えてからの生き方で真価が問われる」など、人生の再起動で知っておきたいことばかり。本当の人生は65歳からスタートするのです。▼文庫書き下ろし。
先帝に寵愛(ちょうあい)されていた文姫は、帝位を簒奪(さんだつ)した現帝から守るため、娘の昭月(しょうげつ)を仕人(つかえびと)・宋娥(そうが)に託す。男装をし、宦官(かんがん)として後宮に匿われていた昭月だったが、正体を知られそうになり、宋娥によって城外へ逃れた。初めて体験する市井の暮らしで、友を得る悦びを知る昭月。しかし、そんな彼女の元へ宋娥の死の報せが届く。そして宮廷で奢侈(しゃし)の限りを尽くす、昭月と名乗る女の噂も……。
陰謀と恋が渦巻く中華後宮浪漫。
文庫書き下ろし。
あの国民的アニメを哲学すれば、現実世界の本質が見えてくる! 人気哲学者が、楽しみながら頭がよくなる「思考の新しい鍛え方」を紹介。
「美しさ」は、これほどまでに人を狂わすのか。
たかむら画廊の青年専務・篁(たかむら)一輝と結婚した有吉美術館の副館長・菜穂は、出産を控えて東京を離れ、京都に長逗留していた。妊婦としての生活に鬱々(うつうつ)とする菜穂だったが、気分転換に出かけた老舗画廊で、一枚の絵に心を奪われる。強い磁力を放つその絵の作者は、まだ無名の若き女性画家だったのだが……。彼女の才能と「美」に翻弄される人々の隆盛と凋落を艶やかに描く、著者新境地の衝撃作。
解説:大森望
称徳帝が没し光仁天皇の御世になって8年、物語の舞台は陸奥に移る。平城の都で働く道嶋嶋足に対し、伊治鮮麻呂は陸奥の地で、蝦夷でありながら国府多賀城の役人として蝦夷の乱の鎮圧にあたっていた。祖国を戦場にしないため、朝廷と蝦夷の共存を目指し腐心してきた鮮麻呂だったが、8世紀半ばに発見された黄金を狙う陸奥守の横暴、背後で牙を剥く朝廷側の無理難題に我慢は限界に達していた。▼さらに、蝦夷の地である奥六郡に城を築く計画が着々と進み、また蝦夷を人と思わない帝の勅に、鮮麻呂はもはや戦を防ぐ手立てはないと決起を覚悟する。後事を託すのは胆沢の首長・阿久斗とその息子・阿弖流為(アテルイ)。狙うは陸奥守の首ひとつ。ついにその時はやって来た。▼北辺の部族の誇りをかけた闘いが、ここに幕を下ろす。「風の陣」シリーズ、感動の最終巻。『火怨』『炎立つ』へと連なる著者渾身の大河歴史ロマン、堂々完結! 解説はマンガ家の里中満智子氏。