街も人も変わりつづける東京から、逃れるように渡ってきた南の島-。そこは政情の不安に揺れていた。秘密警察の暗躍、ゲリラの跳梁、そしてうさん臭い日本人の来島…。一触即発の危機的情況のなかで外部との連絡も断たれ、「理想の女性」と2人だけの奇妙で純粋な愛の時が。だが…。太平洋に浮かぶ小国を舞台に、笑いとサスペンスいっぱいに繰りひろげる〈陰謀と熱愛と冒険〉の物語。
民俗音楽が記譜法を前提としない即興の音楽、演奏者の音楽であることを確認し、その認識のもとに、1920〜30年代のジャズの音楽言語を,リズム,旋法,和声,バンド編成の水準から記述する。聴覚印象のみによる憶測や安直な思弁を排した実証的な記述は、ジャズの中に混在する黒人的な成分と雑種的な成分、商業的な成分の判別を可能にするとともに、それぞれの成分の起源にさかのぼり、因果関係を把握するための指針を与える。
1986年3月、日本で二人目の女性大使が赴任した国ウルグアイは、10年余の軍政をくぐりぬけ、民主主義と経済の復興に歩み出したばかりだった。任国をこよなく愛する熱い心が報告するパンパの国の人びとのホットな息吹き。
日本のサンゴ礁地域である琉球列島の島々のサンゴ礁の自然にかんする最新の研究成果。多くの図と写真を用いて解説する本格的な一冊。自然景観の成り立ちだけでなく、最近の開発行為に伴うサンゴ礁の危機、島々の風景の変容にも言及し、環境保全についての考え方を提示。
ロルフとキャリーは二人だけの兄妹だ。二人は極端に厳しい父親のもとで抑えつけられて育ったが、兄ロルフは父親に反抗して勘当の身となり、メキシコで自由を謳歌している。妹キャリーは、父親に従順なあまり、自分の意見一つ言えない娘だ。そんなキャリーが生まれて初めての旅に出ることになった。メキシコ人の女性との結婚を決めた兄が式に招待してくれたのだ。太陽の国メキシコへ!キャリーの胸は躍る。ところが、メキシコシティの空港に兄の姿はなかった。早くもキャリーは、心細さに泣きだしそうになった。
熱波が襲うサンフランシスコの空地で、一人の娘が殺された。美しい顔を歪ませた死体は背中で両の親指を縛られ、近くの地面には牛の絵が刻まれていた。これは中米ゲリラの復讐の印か?捜査を始めた刑事クルスは、事件に絡む密入国組織の存在を知るが…。戦火の中米から密入国したゲリラが潜む都会のジャングルを舞台に、中年刑事の心死の捜査を描く力作。
あらゆる危険からの安全を保障する安全管理会社イダプロダクツ主宰者の井田一郎は、妖艶な未亡人・奈良晶子の警護を依頼された。事業家だった夫の巨億の富を継いだ晶子は、資産を狙う右翼団体・国義士団から非道極まる脅迫をを受けていたのだ。井田は自分の意のままになる女性協力者たちを使って、国義士団の動きを探らせ、背後に米国企業セリーカンパニーの日本進出計画があることを掴む。だが、協力者の1人芦屋かりねが国義士団の罠に落ち、晶子も手段を選ばぬ彼らに拉致されてしまった。一か八か、井田は敵の根城に正面突入を敢行する。長篇バイオレンス・アクション。
何の自覚症状もなく発見された胸部の白い影ー強い絆で結ばれた働き盛りの弟を突然襲った癌にたじろぐ「私」。それが最悪のものであり、手術後一年以上の延命例が皆無なことを知らされた「私」は、どんなことがあっても弟に隠し通すことを決意する。激痛にもだえ人間としての矜持を失っていく弟…。ゆるぎない眼でその死を見つめ、深い鎮魂に至る感動の長編小説。毎日芸術賞受賞。
都会の雑踏に紛れて、忘れかけていたものを探しにでかけた南の島。抜けるような蒼い海と澄んだ空。さわやかな風に吹かれて髪をなびかせ、暖かい光に抱まれていると、本当の自分がみえてきます。夢のような毎日が続き、白い肌が太陽と同じ色に変わった時、私はおとなの“女”になっていくのです。そしてもう一度、都会が待っているあなたのもとへ帰ってきます。ピュアーな気持ちと一緒に…。もし街の片隅で偶然にでも出逢えたら、手を広げて迎えて下さい。優しく抱きしめて下さい。’90クラリオンガール、かとうれいこの新たな旅立ち。