外国人留学生の多いロンドンの学生寮で盗難騒動が次々と起き、靴の片方や電球など他愛のないものばかりが盗まれた。が、寮を訪れたポアロは即刻警察を呼ぶべきだと主張する。そしてその直後、寮生の一人が謎の死を遂げる。はたしてこれらの事件の裏には何が…マザーグースを口ずさむポアロが名推理を披露する。
中東の王国で起きた革命騒ぎのさなか、莫大な価値をもつ宝石が消え失せた。一方、ロンドン郊外の名門女子校、メドウバンクにも事件の影が忍び寄る。新任の体育教師が何者かに射殺されたのだ。ふたつの謎めいた事件の関連は?女子学生の懇願を受けて、ついに名探偵エルキュール・ポアロが事件解決に乗り出した。
穏やかなセント・メアリ・ミードの村にも、都会化の波が押し寄せてきた。新興住宅が作られ、新しい住人がやってくる。まもなくアメリカの女優がいわくつきの家に引っ越してきた。彼女の家で盛大なパーティが開かれるが、その最中、招待客が変死を遂げた。呪われた事件に永遠不滅の老婦人探偵ミス・マープルが挑む。
大都会ロンドンの一画に、エドワード王朝時代そのままのたたずまいを保つバートラム・ホテル。だが、その平和で静穏なムードの裏でも、事件の影はうごめいていたのだ。常連客の牧師が謎めいた失踪をとげ、やがて霧の夜、恐るべき殺人事件が!ホテルで休暇を過ごしていたミス・マープルが暴く、驚愕の真実とは。
おしゃれで、潔癖で、自負心が強く、小柄な体格で風変わりなベルギー人が、“灰色の脳細胞”を駆使して、次々と難事件を解決する…いまや世界に知らぬ人のない名探偵エルキュール・ポアロが、よき相棒のヘイスティングズとともに14の謎に挑む!ミステリ史上屈指の名コンビが活躍する最初の短篇集。新訳で登場。
雪に閉ざされたゲストハウスに電話が入った。ロンドンで起きた殺人事件の関係で警察が向かっているという。やがて刑事がやってきて…マザー・グースの調べにのって起こる連続殺人劇、戯曲「ねずみとり」の原作をはじめ、ポアロ、ミス・マープル、クィンら、名探偵たちの推理がきらめく珠玉の短篇集が新訳で登場。
おしゃべり好きが災いして会社を馘になったヴィクトリアは、一目惚れした美青年を追いかけて一路バグダッドへ。やっとのことで彼の勤め先を探しあて、タイピストとして潜り込んだものの、とたんに不可解な事件に巻き込まれてしまった。さらに犯人の魔手は彼女にものびて…中東を舞台に展開するスパイ・スリラー。
慈善家の老婦人が殺され、評判の悪い養子のジャッコが逮捕された。彼はアリバイを主張したものの有罪となり、獄中で死んだ。それから二年後、外国から帰ってきた男が、ジャッコの冤罪を告げに遺族の住む屋敷を訪れた。が、その来訪は遺族にとって迷惑だった。落着したはずの事件が蒸し返されることになったのだ。
知らぬうちに作りだしている、素晴らしい治療力をそなえた天然の良薬。奇跡のヒーリングパワー。
自分が犯したらしい殺人についてご相談したい。そう言ってポアロを訪ねてきた若い娘は、結局何も告げないまま立ち去ってしまった。その午後、事情通のオリヴァ夫人から事情を聞いたポアロは、俄然興味を示し、夫人とともに調査を始める。だが娘の周囲に殺人の匂いはなかった…死体なき殺人の謎をポアロが追う。
アガサ・クリスティーの夫マックスは、著名な考古学者であった。しばしば夫婦は中東の地へ発掘旅行に出かけ、彼の地で実り多い時を過ごしている。二人で第二次大戦前に訪れたシリアでの発掘旅行の顛末を、ユーモアと愛情に溢れた筆致で描いた旅行記である本書は、また豊かな生活を送った夫妻の結婚記録でもある。
若くして夫と死別したアンは、持てる愛情のすべてを注いで一人娘セアラを育ててきた。だが再婚問題を機に、二人の関係に亀裂が。貞淑で知られた母は享楽的な生活を送るようになり、誤った結婚を選択した娘は麻薬と官能に溺れていく。深い愛情で結ばれていた母娘に何が起きたのか?微妙な女性心理を繊細に描く。
東西の冷戦でふたつに引き裂かれているヨーロッパ。その西側陣営で科学者たちが次々に失踪していた。いままた、めざましい成果をおさめた科学者ベタートンが行方不明となる。東側の陰謀なのか?英国情報部はベタートンの妻に瓜ふたつの女性スパイとして適地に放つが…会心の冒険スパイ小説、新訳で登場。
霧の夜、神父が撲殺され、その靴の中に九人の名が記された紙片が隠されていた。そのうち数人が死んでいる事実を知った学者マークは調査を始め、奇妙な情報を得る。古い館にすむ三人の女が魔法で人を呪い殺すというのだ。神父の死との関係を探るべくマークは館へ赴くが…。オカルト趣味に満ちた傑作、新訳で登場。
晩餐後、科学者サー・クロード・エイモリーは家の者を集め「この中に極秘書類を盗んだ者がいる」と叫んだ。部屋を暗くしている間に書類を返すことを彼は勧めたが、明かりがつくと殺されていた。彼から国家的大問題について相談したいと言れていたポアロは、真相を追うが…巧みな構成による、同名戯曲の小説版。
亡くなった叔母の遺品、一幅の風景画を見たタペンスは奇妙な胸騒ぎをおぼえた。描かれている運河のそばの一軒屋に見覚えがあったのだ。悪い予感を裏づけるかのように、絵のもともとの所有者だった老婦人が失踪した…初老を迎えてもますます元気、冒険大好きのおしどり探偵トミーとタペンス、縦横無尽の大活躍。
引退を控えたポアロが、自らのクリスチャン・ネームであるエルキュール(=ヘラクレス)にかけて「十二件の依頼を受けてやろう。しかも、その十二件は、ギリシャ神話のヘラクレスの十二の難業を参考にしてえらばなければならない」と、難事件の数々に挑戦。オムニバス形式の短篇十二篇を収めた作品集。新訳決定版。
深い霧がたちこめ、霧笛が響く夜。庭を見わたすフランス窓の前で、車椅子に座った館の当主が射殺されていた。そのかたわらには、拳銃を握ったままの若い妻が立ちつくしている。車の故障でたまたま立ち寄った男は、美しい妻のために一計を案ずるが…スリリングな展開と意外な結末が待ちかまえる傑作ミステリ戯曲。
高価なエメラルドの首飾り盗難をめぐり浜辺でくりひろげられるユーモラスな騒動。何者かに襲われ意識不明となった患者の証言を聞きだす実験。アパートの一室に誘い出された男女を待つ恐るべき罠。クリスティーのミステリ趣味が思う存分に活かされ、その魅力が凝縮された、いずれおとらぬ一幕劇の傑作三作品を収録。
ローラは寂しい少女だった。両親の愛は、若くして死んだ兄に向けられ、さらに生まれたばかりの妹シャーリーがその愛を奪おうとしている。ローラは嫉妬を覚えた。だが、家が火災に見舞われ妹を救いだしたことで、ローラは愛する歓びを知り、ひたすらシャーリーに愛を注ぎこむ。それが妹の重荷になるとも知らず…。