事業承継とは何か? 本書は、「似て非なる」東アジア諸社会(日本・中国本土・台湾・香港・韓国)の家族企業のケーススタディを通して、事業承継そのものの構造とそれを取り巻く社会構造に迫る。事業承継をめぐる「越境」的研究への第一歩。
序章 東アジアの家族企業と事業承継ー共通性と多様性ー
第1部 総 論
第1章 東アジア諸社会の事業承継問題と事業承継支援政策
第2章 東アジア諸社会の事業承継を取り巻く社会構造
第2部 ケーススタディ編
第3章 株式会社松栄堂(日本)のケース
第4章 生田産機工業株式会社(日本)のケース
第5章 方太グループ(中国本土)のケース
第6章 黛瑪詩時尚服裝有限公司(中国本土)のケース
第7章 大甲化工実業有限公司(台湾)のケース
第8章 海天堂有限公司(香港)のケース
第9章 株式会社コメクス(韓国)のケース
第10章 三海商事株式会社(韓国)のケース
終章 総括と展望
ポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ=ポリコレ)という正義の名のもとに、新たな次元の支配システムが、アメリカを、そしてこの日本を蝕んでいる。
BLM、LGBTQ……「人種差別やジェンダーによる差別をなくし、多様性を認めよ」という掛け声のもと、「新しい正義」が謳われ、その正義の基準に沿わないものは、全メディア総出で、逃げ場なき集団リンチのごとく手酷く批判され、社会的に抹殺される。キャンセル・カルチャーや批判的人種理論が幅を利かせるアメリカ。尻尾を振ってそこを追いかけようとする日本のメディアが、日本を誤った道に連れて行こうとしている。
森喜朗元首相たたきもそうだった。仮に失言はあったにせよ、異様なのは、その後の「全メディア挙げての集団リンチ、吊るし上げ」であり、反論さえ許さぬモンスター的人格攻撃だ。「差別をするな。多様性を認めよ」と叫びながら、その実「自分にとって都合の悪い多様性は一切認めようとせず」「新たな差別を創造する」流れは、今後さらに増加し、極端化し、過激になっていくと思われる。それでいいのか? 防ぐ方法はないのか?
多様性とは、自らと違った立場の意見を尊重し、相互に認め合うことのはずなのに、逆に「不寛容」ばかりが増し、企業も学校も社会も息が詰まっていく。
ポリコレ先進国・アメリカの悲惨さを見よ。非キリスト教徒に配慮するという大義名分のもと、すでに「メリークリスマス」という言葉は奪われ、性差別への配慮として、「お父さん」「お母さん」も公式の場では使えなくなってしまった。カリフォルニアでは、LGBTQに配慮するため、結婚式の際、「夫」とも「妻」とも言えないのだ。狂気だ。
日本は1日も早く先行するアメリカの過ちに気づき、本当の自由と平等を取り戻す努力を始めなければいけない。「機会の平等」でなく、「結果における平等」を保証することは、「新たな不平等を創造」するだけ。そこには絶望しかない。
今や、日本の学校では「あだ名」をつける事さえ、一律に禁止されようとしている。
「言葉狩り」や「#MeToo」、「マスク警察」や「ワクチン警察」、「お母さん食堂」へのいちゃもんなどに代表される動きが、今後さらにエスカレートし、モンスター化し、一方的なレッテル貼りをすることで、人々のつながりが分断され、冤罪事件を生んだり、暴力や殺人など、新しい深刻な差別を生む日も遠くないのでは、と不安を感じている人も多いように感じられる。
忠実で丹念な取材力を基本に、多くのノンフィクション作品で高い評価を得てきた著者が、「ポリコレ」という新たな敵の正体を見出し、追い詰めていく。
現状のまま進めば、日本もジョージ・オーウェルの『1984年』のような全体主義管理社会というディストピアにどんどん近づいていく。
なんとかそれを阻止したいとの強い思いが本書を書かせた。
参加型人権学習プログラムである多様性教育を具体的授業ガイド付きで紹介する入門テキスト。一人ひとりの違いを認め合うことから出発し,反差別や人権問題へと展開するプログラムは参加型学習への疑問に答え,人権教育へと導く。
気候変動枠組み条約の視点から「資源としての生物多様性」を論ずる。
近年、急速に注目度を増してきているeスポーツ。巨大産業としてビジネス界で注目されているだけでなく、地方創生や多様性に配慮した社会福祉としての側面から、自治体や教育現場でも試行錯誤が始まっている。
しかし一方で「スポーツ」に対する従来のイメージから、日本においてはeスポーツに対する否定的な意見や不安の声も根強く残っている状況もある。
改めて今、スポーツとは何か?遊びとは何か?といった根本的な問いについて、向き合って考えていく意義は大きいと言える。
また、日本でeスポーツが隆盛していくためにはどのようなことが必要なのか、eスポーツの普及によって社会にはどのようなメリットがあるのかなど、
スポーツ人類学、スポーツ教育学、スポーツ政策学の大学教員がそれぞれの立場からスポーツおよびeスポーツの様々な側面に焦点を当てながら考える。
女性器切除と「ゼロ・トレランス」をアフリカの現場から深く考える
地球上で1億人以上の女性が受けている「女性器切除(FGM/C)」. 国連は総会決議で完全廃絶を働きかけているが, こうした「ゼロ・トレランス(どのような方法, 形式であれ一切許容しない)」には, 女性の身体と権利を擁護する力がある一方で, 現場で生きる「声」を外部からグローバルな力で消去してしまう落とし穴がある. 女性器切除「絶対否定」の多面的なあり方を, 現場から深く考察し, 複雑で困難な問いと正面から向き合った学際的で論争的な共同研究の成果.
松田素二(京都大学教授)
Introduction グローバル・ディスコースとアフリカの女性器切除
1 WHO による定義と施術タイプおよび実施地域
2 用語について
3 欧米社会による廃絶運動と政治・経済
4 禁止法の制定とその反動
5 国連による「医療化」の禁止,そして「ゼロ・トレランス」へ
6 各章の内容
Chapter 1 女性器切除は女性の身体・心理にいかなる影響 を与えるのか?
─ 近年の生理学・心理学的研究の検討を通して ─
は じ め に
1 FGM の身体への影響
2 性機能に対する影響
3 心理的影響
お わ り に ─ FGM/C の医学的・心理学的リスクをどのように考えるべきか ─
Column 1 男子割礼/包皮切除
Chapter 2 国際社会のルールと家父長制社会の規範
─ ゼロ・トレランス政策を超えて ─
1 ゼロ・トレランスの打開策
2 ゼロ・トレランス政策の限界
お わ り に
Chapter 3 変容する「女子割礼(FC)」
─ 西ケニア・グシイにおける医療化と儀礼の変化 ─
は じ め に
1 グシイにおける通過儀礼としての FC
2 KDHS から見る FC の変遷
3 グシイ地域における反 FGM 活動とその影響
お わ り に
Column 2 現代における「美容整形」という女性器切除 宮地歌織
Chapter 4 草の根の FGM/C 廃絶運動と地元住民
─ ケニア・マサイの事例から ─
は じ め に
1 ローカル社会における FGM/C
2 ナロクの CBO による FGM/C 廃絶運動
3 CBO の役割と地元住民とのかかわり
お わ り に
Chapter 5〈女子割礼/女性器切除〉をめぐる多様性と柔軟 性のエスノグラフィー
─ ケニア牧畜社会における FCM 廃絶運動の功罪とローカ ル社会の反応 ─
は じ め に
1 サンブル社会における FGM/C の意味づけ
2 サンブルの人びとの廃絶運動への反応
3 廃絶運動の功罪
お わ り に ─ ローカル社会の当事者とグローバル・ディスコースとの齟齬 ─
Column 3 ケニアにおける FGM 禁止法への異議申し立てと人びとの反応
Chapter 6 スーダンにおける FGC 廃絶運動の系譜
─ 宗教が果たした役割に着目して ─
は じ め に
1 イスラームと FGC
2 スーダンにおける FGC の歴史の変遷
3 バシール政権下での FGC
お わ り に
Column 4 FGMというカテゴリー ─ どう捉え,どう向き合う?-
教育の国際化にどう応答するか?-多様性の尊重と協働のための理論・実践・教授法ー
グローバル化に伴う留学生の増加やグローバル人材育成といった社会的要請のもとで、異なる言語・文化的背景をもつ学生たちとの意味ある交流を通して学び合う授業ー国際共修ーが今日の各大学で進められている。本書では、国際共修の理論および国内外の実践事例の詳細な分析を通して、わが国にふさわしいカリキュラムや教授法、評価法といった、具体的な授業実践に資する方途を提供する。2020時代の高等教育を担う若手研究者・教職員・学徒必読の一冊!
全国の生物多様性に配慮した米生産の取組み事例について整理し定性的分析を行った結果とともに、その代表的事例として「コウノトリ育むお米」について調査し、生物多様性保全に関する属性が農産物の高付加価値にどのように結びついているかを定量的に明らかにした。
はじめに
第1章 農業生産における生物多様性保全の取組と生きものブランド農産物
1.はじめに
2.生物多様性と農業
3.調査の目的・方法
4.調査結果
5.生きものブランド農産物の課題と今後の展望
第2章 豊岡におけるコウノトリの野生復帰に向けた取組
1.はじめに
2.里の鳥コウノトリ
3.保護,絶滅そして野生復帰へ
4.コウノトリ育む農法
5.自然を再生する取組
6.コウノトリの放鳥と科学的な研究
7.コウノトリと生活をつなげていく
8.おわりに
第3章 コウノトリ育む農家たち
2.聞き取り調査の概要
3.コウノトリ育む農法の取組状況
4.コウノトリ育む農法に取り組む意識
5.生き物への意識
6.コウノトリとのかかわり
7.まとめ
第4章 コウノトリ育む農法のフロンティア
1.問題の所在とコウノトリ
2.祥雲寺地区と〈ツル〉
3.コウノトリ育む農法の蓋然性
第5章 「コウノトリとの共生」をめぐる豊岡市民および
コウノトリ育むお米の消費者の動向
1.「コウノトリとの共生」をめざして
2.「コウノトリとの共生」を支える意識を探る
3.豊岡市民にとっての「コウノトリとの共生」
4.コウノトリ育むお米の消費者にとっての「コウノトリとの共生」
5.便益から見る「コウノトリとの共生」
6.「コウノトリとの共生」をさらに深めるために
第6章 コウノトリ育むお米の価値形成に関する経済分析─市場的価値と環境的価値の分離─…
1.はじめに
2.生きものブランドにおける公共財的価値と私的財的価値
3.アンケート調査の概要
4.分析モデル
5.推定結果と考察
6.おわりに
第7章 コウノトリ育むお米が生み出す地域経済効果
1.はじめに
2.農業分野における生物多様性保全の評価研究
3.産業連関分析と産業連関表の修正
4.分析条件と経済相乗効果の定義
5.分析結果
6.結果の考察
7.政策的含意
8.分析の限界
9.おわりに
あとがき
肥満の増加が社会問題となっているアメリカ。「肥満=悪」という反肥満イデオロギーが叫ばれるが、一体「太っている」とは誰のことを指し、それが意味するものは何なのか。気鋭の文化人類学者が肥満をめぐる問題から人間の多様なあり方を考える意欲的な著作。
生物多様性という言葉を聞く機会が増えてきた。「生物多様性の危機」が叫ばれる今,市民や企業,科学者や研究機関,行政,さらには国際機関に至るまで,さまざまな場面で生物多様性を保全し,将来へ残そうとする試みが見受けられる。それでは,生物多様性とは何だろうか?いったい何を守ろうとしているのだろうか?生物多様性を保全することの意味や意義は?本書は,これらの問いに答えることを目的としている。
生物多様性の評価方法,保全の意義などは一義的に定義できるものではない。自然からの目線,社会からの目線を踏まえつつ,多様に評価でき,多様な意味を持つ「生物多様性」について,本書では幅広く解説する。
1 はじめにー生物多様性について考え始める
2 生物多様性の多様性
2.1 生物多様性とは?
2.2 生態系とは?
2.3 種とは?
2.4 種内変異とは?
2.5 生物多様性の定量化
3 生物多様性を形作するー偶然性と必然性が織りなす
3.1 生物群集とは?
3.2 生物群集の形成プロセス
4 生物多様性の果たす役割ー人類の福利と関わる
4.1 生物多様性と生態系サービス
4.2 生物多様性と生態系機能
4.3 明らかになってきたこと,不確かなこと
5 おわりにー生物多様性をめぐって
引用文献
あとがき
生態学から生物多様性を把握する(コーディネーター甲山隆司)
索引
オミナエシ、キキョウ、カワラナデシコといった在来植物の野生の個体を都会で見ることはほとんどありません。それは生物多様性ほどに、在来植物の多様性の保存は進んでいないからです。日本らしい自然を守るにはどうしたらいいのでしょう? 外来植物との関係は? 各地の保全活動をふまえ、今後の課題と将来を展望します。
はじめに
1 土手に秋の七草を咲かせたい
荒川区立汐入小学校五年生児童の挑戦
隅田川スーパー堤防での試み
土手の植物社会を観察する
汐入方式のすすめ
植物社会をまるごと観察する
地下茎(根茎)や根の広がりを類型化する
超多様性シバ地の植物社会
チガヤ草地の特徴
ススキのサイズは土壌条件で大きく変化する
半自然て何だろう
刈り取り、放牧、火入れが半自然草地をつくる
半自然草地の植物社会
光を求めて空間を棲み分ける
コラム 生産構造図づくりにチャレンジ!
2 外来植物が増えていくメカニズム
在来植物ってどんな草?
絶滅の危機にある在来植物
身近な野草が絶滅している
在来植物が絶滅するとどうなるか
攪乱のしすぎは在来植物の生育地を狭める
在来と外来タンポポの違いを見分けるために
外来生物は聞いたことがあるけれど
理解しにくいのは用語濫立のせい?
外来植物ってどんな草?
どんな外来(帰化)植物が、いつ持ち込まれたのだろう
なぜ外来植物は増えているのだろう
変化する堤防法面の植物社会
侵略的植物なら問題である
3 在来植物を守るわけ
「日本の自然」と「日本らしい自然」の違い
日本列島を覆うモンスーン気候と複雑な地形
地形や気候の特性はどんな気質の日本人を育てたのだろう
日本人のきめ細かさが生んだ景観
草本植物のかたち
半自然草地群落のかたち
優占種の役割
従属種と一時滞在種の特性
4 絶滅の危機にある在来植物を取り戻すために
なぜ絶滅の危機にあるのだろう
絶滅の危機から救い出す
在来野草のタネ播きから苗づくりまで
多様性のある群落づくり
各地で試みる「日本らしい自然の復元」
在来野草の花咲く土手に囲まれた田圃づくり
浅草七福神・石浜神社は在来野草の花盛り
在来野草を昔の棲みかに戻したいーー日本らしい自然を豊かにするために
野焼きと草刈りで伊豆・大室山の植物多様性を高める
キキョウの咲くススキ群落の復元
大室山の持続可能な開発目標(SDGs)を考える
参考文献
おわりに
食虫植物は植物学のフロンティアである。捕虫葉形態形成のように、普通の植物ではわからなかった植物発生の新しい仕組みの発見、あるいは、活動電位のように陸上植物全体に関わるけれども他の植物ではうまく解明できなかった普遍的な現象を解明できる可能性を持っている。それ故、多くの研究が行われ、さまざまな仮説が提唱されている。近い将来、食虫植物だけに留まらない生物学や進化学の全体に影響を与えるような驚きの発見が期待されているのである。
本書は長年、食虫植物に魅せられた著者が、膨大な野外調査と豊富な写真を使って食虫植物の分類や生態などをまとめ上げたものである。ウツボカズラ、ハエトリソウ、ムジナモなど、世界中を歩き廻って集めた2000枚以上の写真と図によって食虫植物の魅力と不思議を存分に紹介し、あわせて図の説明と本文によって、食虫植物の基礎から最新研究までを網羅して紹介した。
食虫植物に興味をもたれる学生から研究者、一般の植物愛好家の方々にも広く読んでいただきたい。【フルカラー】
1.食虫植物の定義と系統分類
2.イネ目の食虫植物
3.カタバミ目の食虫植物
4.ナデシコ目の食虫植物
5.ツツジ目の食虫植物
6.シソ目の食虫植物
7.食虫植物の進化
言語、英語、文化、学習者…さまざまな多様性を念頭に、新たな英語教育の指針である「国際共通語としての英語」を基本から実践まで丁寧に示す。-英語教育の新たな地平が見えてくる1冊。
「生物多様性」をテーマにしたシリーズの第2巻。
第I部では、陸上植物全体の多様性と系統を概観し、第II部にてコケ・シダ・裸子・被子の各植物群の特色を詳説。第III部は、化石植物を含めた各植物群の綱レベルでの図版解説と興味深いコラムを掲載。
分類表や形態用語の解説、生物名・学名・事項の各索引など付録も充実。
現代ドイツの宗教科と倫理・哲学科との関係及びその変容を分析。倫理・道徳教育にみられる多様性と連携の構造を詳細に解明する。
本書は第1部と第2部に別れ、第1部は我が国の取組を扱い、第2部は英国、韓国、台湾の取組を扱っている。我が国の限界地や耕作放棄地において、生物多様性の保全や自然再生の取組を行っている地域を対象に、その支援について検討した。
第1部 我が国における限界地農業の支援制度と自然再生
第1章 耕作放棄地再生手法の類型化と地域振興
第2章 蜜源作物の導入による荒廃農地の解消の可能性
第3章 野草地を利用した緑茶の高付加価値販売─世界農業遺産・静岡の茶草場農法を例に─
第4章 寄付金付き土産による阿蘇農業の支援
第5章 消費者による応援消費を通じた生物多様性保全の可能性
第6章 寄付つきグリーン電力販売による農業支援
第7章 NPO等を中核とした協働活動による農業支援
第2部 海外における限界地農業の支援制度と自然再生
第8章 英国イングランドの新しい農業環境政策(ELM事業)に見る自然再生と農業との両立
第9章 英国の新たな農業政策による構造変革─集約化と粗放化の二極化─
第10章 英国の条件不利地域農業の行方─ダートムーアの事例から─
第11章 台湾の自然再生と森林養蜂
第12章 韓国の事例にみる自然再生と農業