本書は、21世紀の言語・コミュニケーションの課題に「境界」と「周縁」の視点から迫る。ジェンダー、翻訳通訳、危機言語、移動する人々、方言やマイノリティ言語、言語実践のリアリティなどをテーマとする11の論考は、「境界」と「周縁」の恣意性、曖昧性、政治性、暴力性、潜在するイデオロギーを多様な論点と方法で顕在化させ、新たな研究の地平を照らしだす。
執筆者:新井保裕、新垣友子、井上史雄、尾辻恵美、木本幸憲、熊谷滋子、クレア・マリィ、寺尾智史、坪井睦子、滕越、三宅和子
捉え方、メタファー、身体性、カテゴリー化、使用基盤。認知言語学の最重要概念を援用した英語指導デザイン。その効果を実験的に検証する本格的な応用認知言語学を志向する書。
例えば第4章、ここには、英語法助動詞の指導デザインが示され、これによって、英語を母語としないロースクール学生の英語法助動詞の〈繊細な使い分け〉が格段に上達したという実験報告がある。
実験では、認知的指導を導入したグループとこれを導入しないグループ(統制群)について、(指導前の)事前テスト、事後テスト、遅延事後テストを通して、可能な限り客観的に、認知的指導の有意な効果を検証するプロセスの詳細を見ることができる。
第I部 認知言語学の基礎
第1章 認知言語学に基づく英語教育に向けて -英語教育のこれまでとこれから
第2章 認知言語学の基礎
第II部 認知言語学のL2習得への応用
第3章 L2習得を改変する認知言語学
第4章 英語法助動詞習得に認知言語学を応用する -実験による証拠
第5章 英語前置詞習得に認知言語学を応用する -実験による証拠
第6章 節レヴェル構文習得に認知言語学を応用する -実験による証拠
第7章 言語教育の現在から未来へ -結び
本書は、ジャッケンドフ(Ray Jackendoff)が書いた15冊の著書(共著を含む)に基づいて、人間の言語と心について、ジャッケンドフがどのように考えてきたかをまとめたものである。その中では、生産性/半生産性や心の理論などの問題を取り上げているが、その根底に流れる彼の思想に触れることは、この方面のことを勉強してみたいと考えている方にとって、重要な道しるべになるはずである。
序論 本書の構成と執筆について
第1章 Jackendoffの略歴と業績
第2章 生得性、機能主義、心的表示など
第3章 初期の研究
第4章 概念意味論と並列機構
第5章 指示と真理
第6章 生産性と半生産性
第7章 意識、社会認知、心の理論、行為の構造
第8章 読書案内:Jackendoffの著書
ことばの実践には、社会や文化を作り出す力がある。実践としてのことばという見方に立ち、言語心理学の新たな方向性を示す。心とことばの関係、社会とことばの関係、ことばの発達プロセス、ことばの障害に関する従来の知識をおさえつつ、この新しい見方をみんなで考えていくための教科書。公認心理師試験「言語心理学」領域にも対応。
執筆者:青山征彦、伊藤崇、太田礼穂、城間祥子、新原将義、広瀬拓海、仲嶺真、茂呂雄二
社会言語学の各領域におけるトピックを集成し、それぞれの裏付けとなったデータを図表の形にして掲げ、日本語と英語・中国語・韓国語で簡潔な解説を加えた。近年、大学等での授業科目として「社会言語学」が取り上げられることが多くなった。本図集は、そのための教材として新たに編修したものである。日本語をもとにして、英語、中国語(繁体字)、韓国語による要約も掲げているので、対照しつつ外国語学習としても活用できよう。
モーラ、音節、音楽と言葉の関係(テキストセッティング)、プロミネンスの衝突を俎上にあげ、東京方言以外の方言にも視野を広げて日本語の音韻構造を明らかにする。「一般言語学から見た日本語の音声」シリーズ3部作の最終巻。
【まえがき】より
本書は「一般言語学から見た日本語の音声」シリーズ(3部作)の3巻目として上梓するものである。このシリーズでは、まず2021年に『一般言語学から見た日本語のプロソディー』を、続いて2023年に『一般言語学から見た日本語の語形成と音韻構造』を刊行した。いずれも一般言語学の知見を取り入れて、日本語の音韻現象と音韻体系を日本語のウチとソトから分析したものである。第3巻となる本書でも、引き続き一般言語学の視点から日本語の音声現象を分析した。今回は前2巻で取り上げることができなかったテーマーーモーラ、音節、音楽と言葉の関係(テキストセッティング)、プロミネンスの衝突ーーを俎上にあげ、東京方言以外の方言にも視野を広げて日本語の音韻構造を明らかにしようとしたものである。
第1章 一般化と有標性
1.1 一般化
1.2 有標性
第2章 モーラと音節
2.1 これまでの研究
2.2 詩の韻律
2.3 音韻規則
2.4 形態規則
2.5 言い間違いと吃音
2.6 音楽のテキストセッティング
2.7 言語獲得/発達
2.8 フットの役割
2.9 まとめ
第3章 モーラと音節に関する史的考察
3.1 言語類型と日本語
3.2 モーラ方言と音節(シラビーム)方言
3.3 甑島方言との比較
3.4 鹿児島方言で現在進行中の変化
3.5 鹿児島方言のモーラ性
3.6 まとめ
第4章 歌謡と音韻構造
4.1 英語のテキストセッティング
4.2 日本語のテキストセッティング
4.3 Happy Birthday to Youの分析
4.4 野球の声援の分析
4.5 まとめ
第5章 プロミネンスの衝突
5.1 英語の「強勢の衝突」
5.2 日本語の「高音調の衝突」
5.3 モーラ間のプロミネンス衝突
5.4 母音と母音の衝突
5.5 子音と子音の衝突
5.6 まとめ
Russellの記述理論の意義と限界を解き明かす最新研究。合理論の立場から、言語哲学の問題を言語学的・文法的に分析する。意味論・語用論・統語論を多角的に論じ、日・英語の豊富な言語事実にもとづき綿密な論証を展開する。Russellの知識観とChomskyの言語獲得観、Fregeの述語論理、Russell・Strawson・Donnellanの論争、PutnamやKripkeの議論なども取り上げる。
言語を用いる時に無意識に従うルールは、人間なら全て脳に備わる言語機能に蓄えられている。その観点から、言語機能の仕組みという同じ器に入れて日本語とスペイン語を対照させると、意外な共通点が見え、同時に相違点もより明白に。これまで気が付かなかった新たな視点で、複数の言語を対照研究する入門書。スペイン語学習での疑問やつまづきを解決するヒントにも。各章ごとの練習課題と関連文献を更なる考察の参考に。
言語学入門書にこそ、なじみのない言語をーー! 言語学テキストのほとんどは、最もなじみのある言語を中心に作られている。しかし、既存の枠組みを取っ払って考えるという言語学の基本を実践するのに、なじみのない言語こそ格好の素材である。日本語や英語とは違ったことばの世界があることを知り、なじみのある言語を見つめ直すことにもつながる。筆者の研究対象であるガーナの言語を主に取り上げ言語のしくみを紐解いていく、一味違った言語学入門書。
はじめに
第1章 言語の多様性と危機言語ーアフリカで話されるのは「アフリカ語」?
1.1 世界にはいくつの言語があるのか
1.2 話者数による分布
1.3 話者数の多い言語
1.4 地域による分布
1.5 言語数の多い国家
1.6 危機言語
第2章 言語の系統と類型ー対象言語を俯瞰的にみる
2.1 系統的分類
2.2 類型的分類
2.3 基本語順
2.4 母音
2.5 譲渡可能性
コラム1 アカン語のあいさつ
第3章 音声学ー言語音をつかまえる
3.1 音声学とは
3.2 発音のしくみと音声器官
3.3 国際音声字母
3.4 子音
3.5 母音
3.6 超分節音
第4章 音韻論ー音のしくみ
4.1 音韻論とは
4.2 音素の設定
4.3 音節とモーラ
4.4 さまざまな音韻現象
4.4.1 同化
4.4.2 中和
4.4.3 母音調和
4.4.4 声調
4.4.5 アクセント
コラム2 アカン語の名前
第5章 形態論ー語のしくみ
5.1 形態素
5.2 語形変化
5.3 語形成
5.3.1 派生
5.3.2 重複
5.3.3 複合
5.4 異形態
5.5 語とは
第6章 統語論ー文のしくみ
6.1 文法とは
6.2 語順
6.3 格標示
6.4 一致
6.5 動詞連続構文
6.6 主題化
コラム3 アカン語のことわざ
第7章 言語をフィールドワークする
7.1 未調査言語の調査
7.2 フィールドワークによる言語調査
7.3 対象言語を決める
7.4 インフォーマントを決める
7.5 基礎語彙調査
7.6 文法調査
7.7 基礎調査の先へ
第8章 言語の変種ー言語内の多様性
8.1 言語変種
8.2 言語と地域差
8.3 言語と階級差
8.4 言語と性差
8.5 言語と年齢差
8.6 言語と場面、状況
8.7 言語意識と変種
コラム4 アフリカと「文字」
第9章 言語の変化ー言語の通時的多様性
9.1 言語は変化する
9.2 音の変化
9.3 語彙の変化
9.4 文法の変化
9.5 文法化
第10章 一つの言語とは何か
10.1 ガーナの言語状況
10.2 言語学的にみた「アカン語」
10.3 「アカン語」という言語名称
10.4 アカン語の標準化、書記化
10.5 メディアにおけるアカン語
10.6 おわりに
コラム5 シンボル・模様が伝えるメッセージ
索引
認知言語学理論と関連分野について,言語学研究者から一般読者までを対象に,認知言語学と関連分野の指導的研究者らがその全貌を紹介する。全50項目のコラムで用語の基礎を解説。〔内容〕1.総論(記号学,認知科学,哲学等),2.理論的枠組み(音韻論,形態論,フレーム意味論等),3.主要概念(カテゴリー化,イメージスキーマ,参照点等),4.理論的問題(A.言語の進化と多様性,B.言語の習得と教育,C.創造性と表現),5.学際領域(心理学,人類学,神経科学,脳機能計測,手話等)
言語聴覚士を目指す学生のための新しいテキスト
●標準的言語発達、言語発達障害の必要知識を図表を多用し、わかりやすくまとめた。
●言語聴覚士という専門職に必要な視点や心構え、多職種連携・地域連携のなかでのあり方を育むテキスト。
●章ごとに「学習のねらい」「章の概要」「確認Check!」を収載し、学習ポイントを意識づけできる、全体像を整理できる、学習の定着を確認できる1冊。
●言語聴覚士国家試験出題基準に準拠。
【目次】
第1章 標準的言語発達
第2章 言語発達障害とは
第3章 発達の生理学と病理学
第4章 評価
第5章 障害各論
第6章 指導・支援
日常にあふれる「かわいい」。そもそも「かわいい」とは一体何なのか。私たちはなぜ特定の名前を「かわいい」と感じるのか。キャラクターの名前やアイドルのニックネーム、さらにはオムツなどの商品名を、言語学の視点から分析。身近でありながら謎めいた「かわいい」の正体に迫る一冊。
狂言やキリシタン資料から近代日本文学までを分析し、日本語の時間表現の発展の頂点として現代標準語を位置づける。過去や完了の助動詞の交代や減少を、古代語の単純化とは捉えず、発話時を介さない直接的な相対時制の普遍化と、時制関係の近代的一般化として捉える。原著は1971年にモスクワで刊行。日本の近代語の成立を起点から終点まで綿密に論じた重要な研究成果であるにもかかわらずこれまで顧みられてこなかった。本邦初の翻訳。
原著者:Н.A.Сыромятниковスィロミャートニコフ(1911-1984)原著:Система времен в новояпонском языке
社会言語学の成り立ちから、最新の研究知見までカバーした『概説 社会言語学』の改訂版。社会言語学の基本的なテーマを扱う一方で、相互行為的社会言語学、談話分析、会話分析の章を設け、言語人類学、批判的談話分析に関しても充実させた。はじめて社会言語学を学ぶ学生だけでなく、これから談話分析を目指す学生にも役立つ内容である。言語と社会、言語と文化、異文化コミュニケーションに興味のある学生の読本としても使える一冊。
《関係》の言語学へ
ソシュールが切り開いた一般言語学の可能性を極限まで押し進め、バルトやドゥルーズをはじめとする批評家・哲学者に大きな影響を与えた言語学者ルイ・イェルムスレウ。《言語素論》(glossematique)のエッセンスを柔らかい語り口で提示する「言語理論についての講話」、強靭な抽象的思考の結晶である「言語理論のレジュメ」をはじめ、構造言語学の極北へと誘う最重要論考を収録。
序文(フランソワ・ラスティエ)
1 言語理論の原理
言語相関の一般構造
言語形式と言語実質
言語理論についての講話
言語理論のレジュメーー言語素論、序説と普遍部門
2 表現の研究
音素論の原理について
印欧語の音声体系についての見解
音声学と言語学の関係について
構造的単位としての音節
3 附録
ルイ・イェルムスレウの『言語理論の基礎づけ』について(アンドレ・マルティネ)
イェルムスレウを読むマルティネを読むイェルムスレウ(ミシェル・アリヴェ)
注
本書は、日本のある大学の、学生と教員の会話。二人は、言語学の授業で出会った。二人の会話のさわりだけ。
(順)日本語と朝鮮・韓国語って、まだ、その帰属がわかってないそうですね。
(牧)え、そうなの?
その起源を追い求め、二人は旅に出る。グレート・ジャーニー。本書の鍵。狛犬、DNA、三重構造仮説。トルコ語、ビジ語、タミル語、シンハラ語に出会う。ワトソンとクリック、ドーキンズ、ジョーンズ卿、チョムスキーにも。
1章 はじめに
問題の起源
2章 百済と日本
はにわ
3章 狛犬
シルクロード
4章 アイルランドと日本
信仰
5章 DNA
「ニッポンジン」の過去と今
[コラム1]ワトソンとクリック
6章 グレート・ジャーニー
アフリカ
7章 語彙
タミル語・韓国語・モンゴル語
8章 係り結び
古語・シンハラ語・タミル語
[コラム2]ドーキンズ
9章 対格性
モンゴル語・トルコ語・カザフ語
10章 能格性
ウルドゥ語・チベット語・ビジ語
11章 話題助詞
韓国語・延辺語・モンゴル語・ウイグル語・チベット語・ビジ語
12章 属格主語
モンゴル語・トルコ語・カザフ語・ウルドゥ語・ベンガル語・ビジ語・延辺語
[コラム3]ジョーンズ卿
13章 連体形
モンゴル語・トルコ語・カザフ語・ウルドゥ語・ベンガル語・シンハラ語・タミル語・ビジ語・韓国語・延 辺語
14章 活用
古語・日本語・韓国語・モンゴル語・ベンガル語・トルコ語
15章 直接疑問文
日本語・モンゴル語・韓国語・シンハラ語・古語 vs.トルコ語・中国語・ビジ語・タミル語
16章 間接疑問文
日本語・韓国語・シンハラ語・古語 vs.モンゴル語・トルコ語・中国語・ビジ語
[コラム4]チョムスキー
17章 敬語
古語・日本語・韓国語・チベット語・モンゴル語・トルコ語
18章 主語格助詞
古語・日本語・韓国語
19章 状態述語
日本語・韓国語
20章 おわりに
DNA地図と言語地図
[コラム5]Why Japanese People?