覚醒剤取締法違反から2年。薬物依存、鬱病、自らの罪を執行猶予中に綴った一年間。これは、どうしようもない、人間らしさの記録である。
別れた男の片腕と暮らす女。ある日、男の妻から意外な要求を受ける(「くちなし」)。運命で結ばれた恋人同士に見えるという幻の花(「花虫」)。鮮烈な才能を持った同級生への想い(「愛のスカート」)。幻想的な愛の世界を繊細かつリアルに描き絶賛を受けた、直木賞候補作にして第五回高校生直木賞受賞作。全七篇。
都市に“トマソン”という幽霊が出る!?街歩きに新しい楽しみを、表現の世界に新しい衝撃を与えた“超芸術トマソン”の全貌が、いまここに明らかにされる。多くの反響を呼んだ話題の本に、その後の「路上観察学」への発展のプロセスと、新発見の珍物件を大幅に増補した決定版。
「同テーマの類書を読め」「自分の水準に合わぬ本は途中でも止めろ」「?と思ったらオリジナル・データにあたれ」…、実戦的読書のためのアドバイスから、書斎・書庫をめぐるあれこれ、そして驚異的な読書遍歴を物語る少年時代の作文まで。旺盛な取材、執筆活動の舞台裏と「知の世界」構築のためのノウ・ハウを全公開する。
「カテーの問題」と言われたら、その「カテー」が家庭か假定かあるいは課程か、日本人は文脈から瞬時に判断する。無意識のうちに該当する漢字を思い浮かべながら…。あたりまえのようでいて、これはじつは奇妙なことなのだ。本来、言語の実体は音声である。しかるに日本語では文字が言語の実体であり、漢字に結びつけないと意味が確定しない。では、なぜこのような顛倒が生じたのか?漢字と日本語の歴史をたどりながら、その謎を解きあかす。
誰よりも強く光りたい。元アイドルの佐和が自分を主張し始めた途端、撮影現場は大混乱。苦り切る人気俳優、怒る監督、傷付く女プロデューサー、佐和に惹かれるカメラマン。金、名声、意地、義理、そして裏切り。我執を競い合って破綻に向かう、世にも身勝手な奴らの逆プロジェクトX物語。直木賞受賞後第一作。
偶然再会した少年の頃のヒーローは、その後、負けつづけの人生を歩んでいた。もう一度、口笛の吹き方を教えてくれたあの頃のように胸を張って笑って欲しいー。家庭に職場に重荷を抱え、もう若くない日々を必死に生きる人々を描く五篇を収録。さり気ない日常の中に人生の苦さをにじませる著者会心の作品集。
日本のサッカーに限界を感じ、16歳で単身スペインに渡ったリュウジは、様々な困難にぶつかりつつプロ1年目を終え、ベティスにレンタル移籍。フラメンコで有名なアンダルシア地方セビリアの地に舞台を移し、強豪チームと熱き戦いを繰り広げるほか、危険なダービーマッチにも挑む。新たな恋の行方にも注目。
大事なのは「変えようとした」こと。著者初のエッセイ集。事実を元にしたフィクション。
「宿命」をより深く理解し、豊かに生きるためのアドバイス満載。
都会から高知にやってきた大学生・篤史は、従兄弟から強引に本場・よさこい祭りに誘われる。衣装、振り付け、地方車、鳴子。六年ぶりに復活する町内会チームは、どこよりも熱い。南国高知、真夏の風は、空から海へと吹き抜ける。一途な思いを秘めて、踊る青春群像。
渋谷のチーム「雅」の頭、アキは、チーム解散後、海外放浪を経て、裏金強奪のプロ、柿沢と桃井に誘われ、その一員に加わる。二人は、あらゆるテクニックをアキに教え込み、アキも持ち前の勘の良さで、課題をクリアしてゆく。はたして、アキのデビューはうまくゆくのか?「ヒートアイランド」の続篇となる痛快クライムノベル。
私たちが「アメリカの圧倒的な力」と思いなしているものの一部は明らかに私たちが作り出した仮象であるー誰ひとりアメリカ問題の専門家がいない大学院の演習での内田氏の講義と聴講生たちとの対話をベースに、日米関係、ファースト・フード、戦争経験、児童虐待、キリスト教などからアメリカを読み解く画期的な論考。
鎌倉で小説家の父と暮らす山野内荒野は、中学入学の日、通学中の電車で見知らぬ少年に窮地を救われる。だが、それは彼女の身に起こる小さくて大きな変化の始まりでしかなかったー。“恋”とは、“好き”とは?うつろいゆく季節のなかで、少しずつ大人になっていく少女の四年間を描くビルドゥングスロマン。全三巻の第一巻。
作家としての行き詰まりを感じていた孝夫は、医者である妻・美智子が心の病を得たのを機に、故郷の信州へ戻ることにした。山里の美しい村でふたりが出会ったのは、村人の霊を祀る「阿弥陀堂」に暮らす老婆、難病とたたかいながら明るく生きる娘。静かな時の流れと豊かな自然のなかでふたりが見つけたものとは…。
生きていれば、きっとある。恋が終わり、夢が破れ、自分が損なわれる瞬間が。でも、そこから立ち上がりまた歩き出す瞬間も、きっとー。3.11の後、「今、自分たちにできること」をしようとペンを執った10人の女性作家たち。そして2011年7月、その想いは全額寄付を目的としたチャリティ同人誌へと結実した。電子書籍から生まれた、再生への希望きらめく小説集、待望の文庫化。
わかりやすいニュース解説でひっぱりだこの池上さんが、さらに基礎のキソ、読者も思わず「そこからですか!?」と驚き呆れるレベルから、世界の難問50を解き明かします。私たちの生活に直結するニュースを理解するために、ビジネスマンから就活生まで必読の書です。
「あたし、当たり前の幸せなんか、いやだ…」。大人になりきれない37歳のレミちゃんともう子どもではいられない15歳の藍子。心ゆさぶる友情の物語。