何の自覚症状もなく発見された胸部の白い影ー強い絆で結ばれた働き盛りの弟を突然襲った癌にたじろぐ「私」。それが最悪のものであり、手術後一年以上の延命例が皆無なことを知らされた「私」は、どんなことがあっても弟に隠し通すことを決意する。激痛にもだえ人間としての矜持を失っていく弟…。ゆるぎない眼でその死を見つめ、深い鎮魂に至る感動の長編小説。毎日芸術賞受賞。
都会の雑踏に紛れて、忘れかけていたものを探しにでかけた南の島。抜けるような蒼い海と澄んだ空。さわやかな風に吹かれて髪をなびかせ、暖かい光に抱まれていると、本当の自分がみえてきます。夢のような毎日が続き、白い肌が太陽と同じ色に変わった時、私はおとなの“女”になっていくのです。そしてもう一度、都会が待っているあなたのもとへ帰ってきます。ピュアーな気持ちと一緒に…。もし街の片隅で偶然にでも出逢えたら、手を広げて迎えて下さい。優しく抱きしめて下さい。’90クラリオンガール、かとうれいこの新たな旅立ち。
たのしいはっけんがいっぱい。ちがうなかまをくらべてみたり、おんなじなかまをくらべてみたり。どうぶつたちにもいろんななかまがいるんだよ。
本書は、子どもたちに算数の学習の中にもっと季節の移り変わりを感じさせ、各地の行事に親しみをもたせ、意義を感じさせ、算数を通じて、日本各地に語り継がれてきた伝統行事、伝統文化に対して親しみをもち、その価値をふりかえり、日本人の心意気にふれさせたいと願って編集したものである。
平凡なサラリーマンである辰巳吾郎は3年前に行きつきけのスナックの娘・香織と結婚した。彼女は私生児だった。実父は岸森良介といい、立志伝中の財界人。辰巳は義父の良介に会いに奥飛騨の山荘へ行った帰り、人を轢き殺してしまう。が、現場へ警官と戻った時、死体は忽然と消えていた。真相を追及する辰巳の前に岸森の影がちらつく。5千年をさかのべる伝説とともに物語は意外な展開を…。官能サスペンス。
夏村絵里子はコンピュータ結婚相談所のオペレータ。データを見たいという女性の申し出を断わった翌日、その女性が殺された。疑問を抱いた絵里子はデータを調査、システム上で何かが動いていることを知る。プログラムに隠された巨大な陰謀。そして次の犠牲者が…。情報化社会に警鐘を鳴らす、著者得意のハイテク・サスペンス。
’89年2月の大々的な報道以来の吉野ケ里を巡る、古代史学界と現地の動きをたどりつつ、遺跡からの成果を明らかにする。
平成元年夏、秀和=小林社長が敵対的M&A(企業の合併・買収)で流通業界の前に立ち塞がった。ダイエー、イトーヨーカ堂、セゾンの思惑も絡み合う「秀和事件」の謎を追った迫真のセミ・ドキュメント。
レイチェルは二ヵ月後に結婚式をひかえている。それなのに、式の手順をめぐって相手のロジャーと意見が合わない。今夜も言い争った末、彼女はパーティを抜け出してきた。帰途につこうとして、ふと広場の中の男性に気づく。男はハンドルに身を伏せ、身じろぎもしない。病気かしら?ほうっておくわけにもゆかず、レイチェルは男に具合を尋ねたが、直感的に、この男がトラブルのもとになるような気がして、急いでアパートに逃げ帰った。果たして翌日、レイチェルが名前も住所も告げなかったのに、その男はノックもなしに彼女のオフィスに姿を現した。
ルーシーはある雪の日、息子を寄宿学校に送っての帰り道、運転を誤って車ごと溝に突っこんでしまった。なんとか車から抜け出し、歩いてやっと我が家にたどり着くと、電気はつかず、ホールは水浸しだ。雪で水道管が破裂したらしい。そんな窮地を救ってくれたのは、ジョナス・ウッドブリッジだった。彼にだけは助けてもらいたくなかったのに。あれは11年前…ジョナスの弟サイモンの突然の死後、サイモンとつき合っていた私が妊娠していると知った時の彼の態度。あの冷たい態度は忘れられない。その時以来ルーシーは、ウッドブリッジ家には頼らず独りで子供を産み育ててきたのだ。
創業者、本田宗一郎の夢、“F1育ての親”川本信彦、“優勝請受人”桜井淑敏、“年間最多勝利監督”後藤治らF1を愛し、F1に賭けたホンダの男たちの燃えるような闘魂、緻密にして大胆な戦略、奥深いエピソードには、人を引きつけずにはおかないドラマがある。そのドラマを通じて、ホンダという企業を描き、その起爆力となっているチヤレンジ・スピリット“ホンダ魂”を探ろうとしたのが本書である。