風邪は自然の健康法である。風邪は治すべきものではない、経過するものであると主張する著者は、自然な経過を乱しさえしなければ、風邪をひいた後は、あたかも蛇が脱皮するように新鮮な体になると説く。本書は、「闘病」という言葉に象徴される現代の病気に対する考え方を一変させる。風邪を通して、人間の心や生き方を見つめた野口晴哉の名著。
捕物帖もあれば、敵討ちの話もある。毒婦もいれば、はかない運命にもてあそばれる女もいる。さまざまな事件や日常を通じて、そこには細やかな心の動きが余すところなく描かれているー沢田ふじ子「蓮台の月」、杉本章子「夕化粧」、諸田玲子「千客万来」、松井今朝子「阿吽」、宇江佐真理「ただ遠い空」、戸川昌子「夜嵐お絹の毒」、栗本薫「お小夜しぐれ」、北原亜以子「証」の全八篇を収録した傑作女流時代小説アンソロジー第二弾。
アイナメの焼き霜作り、トロのヅケあぶり、シマアジのカマの焼きもの…はじめて出会う極上の愉しみ。
ローマ帝国はなぜ滅んだか?-ディオクレティアヌス帝からコンスタンティヌス帝にいたる4世紀初めの50年間が、古代ローマの歴史を決めた。栄光の異教的古代世界は衰退し、キリスト教中世への道が着々と準備される。「内的変質」をともなうドラスティックな変化、たった50年に凝縮されるこの変化に、いったいだれが気づいていたというのか。胸躍る文化史の金字塔、本邦初訳。
法と山に懸けた“登山家判事”の述懐-裁判官の体験と意見を中軸として国民の法意識や刑事裁判の実際をわかりやすく解きあかす異色作。
丸腰で、仕事はできない。あなたのアタマとカラダを『アイデア工場』に変えるとっておきのシンキング・ツール、教えます。
用心棒の里村半九郎は、秋葉屋という商家の押しこみを撃退し、許嫁の奈津と穏やかな時間を過ごしたのもつかの間、再び秋葉屋本人の警護についていた。そんなある日、奈津が何者かに、かどわかされてしまった。目的は何なのか、そして誰が!?半九郎は、警護の仕事を放り出し、奈津の探索を始めるのだが…。“血湧き肉踊る”決闘シーン満載の、剣豪ミステリー。
イラク攻撃以後の世界秩序。世界の話題を独占中のホットな海外ベストセラー、待望の完訳。アメリカは“帝国”に非ず。ソ連崩壊を世界で最も早く予言した『新ヨーロッパ大全』のトッドが、ハンチントン、フクヤマ、チョムスキーらを逆手にとり、“EU露日VSアメリカ”という新構図、“新ユーラシア時代の到来”を予言。
ユダヤ系でありながら熱烈な愛国者にしてゲオルゲ派。迫害と亡命。二十世紀の矛盾そのものを生きたかのような著者の法外な学殖と情熱は、王権表象の冷徹な解剖に向けられた。王は死んでも王位や王冠、王朝は存続する。その自然的身体とは独立して存在するように見える王の政治的身体は、いかにして産出されたのか。王権の政治神学的・象徴的基盤は西欧の歴史の中で、どのように編制されたのか。本書には、問題提起とシェイクスピア『リチャード二世』論に始まり、キリスト論との類比、法学的思考の浸透とその影響、王を神秘体の頭と捉える政体有機体説に説き及ぶ、第五章までを収録する。全二巻。
有機体論が国王二体論へと移行するためには、時間観念の導入が要請される。王が団体の頭であるにせよ、団体そのものであることは含意しないし、また団体の永遠性を保証はしないからである。団体観念を時間的に構成することで初めて、連綿たる王朝が恒久的な団体として、王がその体現者、不死鳥にも似た単独法人として捉えられ、ここに、個々の王の自然的身体からは独立した、非人格的な政治的身体が秩序の基盤となる近代国家が生まれる。王権の擬制的性格を克明に跡づける著者の筆は、ダンテ『神曲』の分析に至って、処女作に見える理想的支配者への憧憬を漂わせながら、円環を閉じる。全二巻。
日本で新聞が誕生した幕末から20世紀末までの140年間にわたり、1年ごとに政治・経済・社会の主要な事件を当時の新聞記事を以て語らしめた、一大新聞クロニカル。
それでも、恋を信じますかー。幸せになれないとわかっているのに駄目な男に魅かれてしまう麻子、男に妻と離婚させ結婚したが、生活に疲れてゆく宏美、別れた男にストーカーしてしまう誠子、「男なんて、みんなみんな嘘つき」と思わず叫んでしまう私…すれ違い、傷つけ合っても求め合わずにはいられない、男と女のさまざまな愛の形を描く24のショートストーリー。
日常のどこかに口を開けて待っている、悪意に満ちた陥穽。わずかなほころびから生じる、人間関係のゆがんだ綾ー。女流作家が贈る色とりどりのミステリー・ワールド。全九篇を収録した傑作アンソロジー。
15歳のぼくは、母親といってもおかしくないほど年上の女性と恋に落ちた。「なにか朗読してよ、坊や!」-ハンナは、なぜかいつも本を朗読して聞かせて欲しいと求める。人知れず逢瀬を重ねる二人。だが、ハンナは突然失踪してしまう。彼女の隠していた秘密とは何か。二人の愛に、終わったはずの戦争が影を落していた。現代ドイツ文学の旗手による、世界中を感動させた大ベストセラー。