人種やジェンダーの観点からアメリカ文学を読みなおし、アメリカに潜む排除と抑圧のメカニズムを明らかにする。
序章 アメリカ/文学を読みなおす
1 アメリカを読みなおす
第1章 女としての〈アメリカ〉-アメリカの「発見」とポカホンタス物語
第2章 男たちの妄想ー魔女幻想とセクシュアリティ
第3章 反復と回帰ー『ウィーランド』とアメリカン・ゴシック
2 アメリカ文学を読みなおす
第4章 ジャンルとジェンダーー越境するポー
第5章 詩とジェンダーーホイットマンとディキンスン
第6章 アレゴリーの毒ー『ラパチーニの娘』あるいは読みのポリティックス
3 ジェンダー・アレゴリー
第7章 ヘスターの「沈黙」-『緋文字』のジェンダー・ポリティックス
第8章 失敗としてのジェンダーーヘミングウェイの男性性構築
第9章 幻想としてのジェンダーー『M・バタフライ』の越境する身体
4 ゴシック・アレゴリー
第10章 フランケンシュタインのアメリカージェイムズ・ホエールのゴシック・アレゴリー
第11章 〈まなざし〉の異性愛ー『めまい』の危険な反復
第12章 皮膚に宿るアレゴリーー『羊たちの沈黙』のゴシック・ホラー
日本社会学理論学会の機関誌。第14号。
「差異と共生」というテーマをめぐって多様な視点からアプローチを試みる。
特集序文
ポスト多文化主義時代における差異と共生
イスラーム、シティズンシップ、ジェンダー
岡崎宏樹
イスラームを人間化する
多文化主義社会イギリスにおけるムスリム女性とヒジャブ
安達智史
「ポスト多文化主義時代」とフランスのマイノリティ
セクシュアル・デモクラシー、「ノン・ミクシテ」と カラー・ブレイヴな普遍主義
森千香子
リベラル多文化主義と先住民の再起
「理論」の独白から思想の対話へ
鈴木赳生
【論 文】
「社会的なもの」としての再生産労働
介護保険制度を中心に
兪羅珠
フェミニズムの主体と権利
中絶をめぐる女性の自己決定権の再考
松浦由美子
見田宗介の社会学理論における近代価値空間の反転と裂開
70年代の理論構想の意義
徳宮俊貴
ホーリズムとしての知識社会学
知識社会学の根本問題の解決に向けて
小田和正
【書 評】
対立を乗り越えるための社会理論
馬渡玲欧
(書評対象書:井口暁著『ポスト3・11のリスク社会学̶原発事故と
放射線リスクはどのように語られたのか』)
〈他者〉の変奏̶インヴェンションとシンフォニア
油井清光
(書評対象書:奥村隆著『反転と残余̶〈社会の他者〉としての 社会学者』)
〈消費社会論〉というジレンマ
石川洋行
(書評対象書:間々田孝夫著『21世紀の消費̶無謀、絶望、そして希望』)
理論はいかにして自由な空間を切り拓くのか
出口剛司
(書評対象書:樫村愛子著『この社会で働くのはなぜ苦しいのか』)
多民族国家エチオピアは若年層の都市流出や高齢化の進展の中たくましく人々が生きている。本書は女性個人の土地保有権を保証する特徴的な土地政策を考察し、1990年代から現在に至るまでの農村社会の変容と人々のエスノグラフィからアフリカ農村の来し方と行く末を考える。
はじめに
序章 農村に変化をもたらすものーー課題の設定
第I部 エチオピア概観
第1章 エチオピアの政治体制の変遷
第2章 EPRDF政権期の経済・社会構造の変化
第3章 調査地/調査方法について
第2部 土地獲得のための戦略と限界
第4章 EPRDF以前の土地制度の変遷
第5章 土地再分配と女性の土地保有権
第6章 土地管理制度の整備ーー国家による農村のとりこみ
第7章 農村における土地制度の実践ーー土地不足のなかで創られる新しい慣習
第3部 「町」の役割ーー受け皿と中継点
第8章 「町」における経済活動
第9章 「町」から変わる若い女性のライフコース
終章 農村変容と若者の選択
おわりに
マルクス主義とフェミニズムの理論的統合をめざす。性差別を不断に生み出している日本型企業社会その克服の展望をさぐる気鋭の野心作。
日本社会のアクチュアルな分析、人間的な価値、総合的な視野、21世紀のグローバル・スタンダードへ、社会形成へのオルタナティブな視角。
本書は、ポスト高度成長期、とりわけ1980年代を主たる対象に、女性の就労に関わる政策を、フレキシビリゼーション・平等・再生産という三つの大きな政策課題に整理し、政治学の視角から分析したものである。
日本には国籍や母語、敬虔さなどからみて、多様で多彩なムスリム(イスラーム教徒)が暮らす。彼ら/彼女らの個々に異なる経験を鮮やかに描き出し、日本のムスリムを取り巻く歴史的・社会的状況を詳らかにした上で、受け入れや共生への課題や方向性を示す。
「イスラーム・ジェンダー・スタディーズ」シリーズ刊行にあたってーー7『日本に暮らすムスリム』
はじめに
第1部 日本でムスリマ/ムスリムとして生きる
第1章 ムスリム理解を考えるーームスリム“も”食べられるインクルーシブ給食と日本人ムスリマのヒジャーブの事例から[佐藤兼永]
コラム1 日本の大学で「イスラーム」を教える[小野仁美]
第2章 「ムスリムであること」とどう向き合うかーー第二世代の語りから[クレシサラ好美]
コラム2 SYM名古屋モスクーー日本中のみんなに伝えたい、一人じゃないよ[カン夢咲/パイン・ゼイイエトゥン/クレシ明留]
第3章 若いムスリム女性のアイデンティティ形成ーー日本とパキスタンにルーツをもつ女性たちの事例から[工藤正子]
コラム3 日本の化粧品市場におけるハラール認証の実効性ーーインドネシア出身ムスリム住民への調査から見えたもの[武田沙南/石川真作]
第4章 日本でムスリムとして子どもを育てる[アズミ・ムクリサフ]
第5章 ヴェールの可視性から考える在日外国人ムスリム女性の葛藤[沈雨香/アキバリ・フーリエ]
コラム4 中古車・中古部品貿易業と千葉のスリランカ人コミュニティ[福田友子]
第2部 歴史と社会制度
第6章 見えにくいものを見るということーー日本のイスラーム社会の概要と実態把握上の課題[岡井宏文]
コラム5 日本のイスラーム建築[大場卓/深見奈緒子]
第7章 日本の入国管理制度とグローバリゼーションーーとくにムスリムの定住の観点から[伊藤弘子]
コラム6 あるクルド人家族との出会いから[温井立央]
第8章 在日ムスリム定住化までの様相ーーイラン人とトルコ人を比較して[森田豊子]
コラム7 インドネシア人技能実習生と考える地域の未来[西川慧]
第9章 インドネシア人女性の生きる闘いーーエンターテイナーたちのライフヒストリー[佐伯奈津子]
コラム8 日本ートルコ交流略史[三沢伸生]
第10章 「日本を懐かしむトルコ人」との邂逅ーー日本人特派員が描いたイスタンブルのタタール移民[沼田彩誉子]
コラム9 1920〜40年代の神戸のテュルク系ムスリムと教育活動[磯貝真澄]
第3部 受け入れと共生
第11章 保健医療分野におけるムスリム対応とモスクによる取り組み[細谷幸子]
コラム10 鹿児島マスジドーー地方の外国人散在地域におけるムスリムの居場所[森田豊子]
第12章 ヨーロッパの「移民問題」から何を学ぶか[石川真作]
コラム11 日本のムスリムと埋葬[岡井宏文/森田豊子]
第13章 日本とカナダの難民認定ーーアフマディーヤ・ムスリムのある一家を事例として[嶺崎寛子]
特論 アフガニスタン女性からのSOSを読み解く[小川玲子]
参考文献
イスラームの実態は、人々が生きる現実の中にある。それは具体的な行為の中に生きられる「生」の一部だ。本書はそうした現場とのかかわりで経験する混乱や気まずさ、小さな喜びを扱う。雑多な感情の交感の中で生まれる何かを知識として提示する、稀有なる書。
「イスラーム・ジェンダー・スタディーズ」シリーズ刊行にあたってーー4『フィールド経験からの語り』
はじめに
序章 なぜいま「フィールド経験」から語るのかーー一人の人間としてイスラーム・ジェンダーを生きるために[鳥山純子]
第1部 関係に学ぶ/を築く
第1章 生と性の間でーー保健師としてのパレスチナ人女性への聞き取りから[藤屋リカ]
第2章 つながりを構築するーー紐帯のビルディング、あるいは社会関係の科学[ダリラ・ゴドバン/翻訳・志田夏美]
第3章 「聞こえないトランスジェンダー」だった私のフィールド体験[伊東聰]
第4章 現地を知る、相手を知るーーパレスチナのフィールドに入る[南部真喜子]
第5章 パレスチナ人ゲイAとの出会い[保井啓志]
第6章 近しさへの奮闘ーー時に不安定なカイロの友人グループ[エイモン・クレイル/翻訳・原陸郎]
第2部 関係がゆらぐ/に悩む
第7章 気まずい、と感じることーーパキスタンでの経験から[賀川恵理香]
第8章 二つの海の出会うところーー香港でさわる、さわられる[小栗宏太]
第9章 「私は何者か」という問いとともに[小川杏子]
第10章 中立性の功罪[村上薫]
第11章 偏見を笑う[細谷幸子]
第12章 感情の荒波を乗り越えるーー調査日誌の読み直しから[岡戸真幸]
第3部 関係が続く/を終える
第13章 フィールドとの往来のなかで時間を重ねること[植村清加]
第14章 モロッコにおける友情と文書収集[レオン・ブスケンス/翻訳・中西萌]
第15章 フィールドワークの終わりーーあるいは、私がバドル郡に行く理由[竹村和朗]
執筆者による関連論文
イスラーム世界では労働は経済的報酬を伴うだけでなく、時に神への奉仕ともなる。歴史と思想からその労働観を紐解きつつ現実生活における男女の多様な働き方を多角的に考察する。性別によらず誰もが人間らしく働ける社会に向け「労働」の意味を問い直す一冊。
「イスラーム・ジェンダー・スタディーズ」シリーズ刊行にあたってーー8『労働の理念と現実』
はじめに[岩崎えり奈]
統計にみるムスリム諸国の女性の労働
第1部 歴史と思想のなかの労働とイスラーム・ジェンダー
第1章 イスラームの聖典に読む「労働」とジェンダーーークルアーンとその解釈の可能性[大川玲子]
第2章 前近代イスラーム社会における奴隷と労働[清水和裕]
第3章 イスラーム法と前近代ムスリム社会の「性別役割分業」[小野仁美]
コラム1 カースィム・アミーンにおける女性の労働観[岡崎弘樹]
第4章 「真の労働者」とその母ーー近代エジプト労働の社会史の一断面[長沢栄治]
コラム2 初期のムスリム同胞団における労働ーーエジプトの労働問題への取り組み[福永浩一]
第5章 イスラーム銀行の実践からみた労働理念と女性[長岡慎介]
第6章 イランの保健医療・福祉分野におけるボランティア活動と労働[細谷幸子]
コラム3 循環する利他と利己ーーギュレン運動における信仰と奉仕[幸加木文]
第2部 ムスリム社会の労働の現実とジェンダー
第7章 イランの開発計画と女性の経済的エンパワーメントーー女性起業家支援策の意義[村上明子]
第8章 ヨルダンにおける失業問題とジェンダー[臼杵悠]
コラム4 STEM専攻ムスリム大卒女子の高い割合と就労の現状[鷹木恵子]
第9章 「トルコの工場女性労働とジェンダー規範」再訪[村上薫]
第10章 家内と戸外をつなぐ手仕事ーーアルジェリア女性の家内労働という働き方[山本沙希]
第11章 ケア労働と性別役割分業ーーエジプトとパキスタンの家族を事例に[嶺崎寛子]
コラム5 時間利用調査によるエジプトの無償労働の評価[松尾和彦]
第12章 インドネシアの「母系社会」における男の働き方・女の働き方[西川慧]
第13章 エジプト人出稼ぎ労働者の働き方から考えるジェンダー役割ーー湾岸諸国の事例から[岡戸真幸]
第14章 湾岸諸国のフィリピン人家事労働者ーーなぜ見知らぬ他人の助けに頼るのか[石井正子]
第15章 モロッコの地方村落に生きる女性にとっての労働、移動、都市ーー「セーフティーネット」としての家族・親族ネットワーク[齋藤剛]
コラム6 映画『ハウス・イン・ザ・フィールズ』にみるモロッコ山村の性別分業[鷹木恵子]
第16章 ジェンダー政策を再考するーーガーナ農村部の女性の地位向上と労働・家計負担の増加[友松夕香]
編者あとがき[岡戸真幸]
参考文献
ジェンダー視点で見る新しい世界史通史
歴史を形成してきた「ひと」とは何か。「近代市民」モデルを問い直す!
この世界に生きる「ひと」は年齢・身体的特徴・性自認・性的指向等、多様な属性を持つ存在であるが、国家や社会はしばしば「ひと」を単純化し、望ましい役割や振る舞いを割り当てる。とりわけジェンダーは「ひと」の定義の根幹にかかわる存在である。本巻では「ひと」の生にジェンダーがいかに作用しているのかを、「身体・ひと」「生殖・生命」「セクシュアリティ・性愛」「身体管理・身体表現」「性暴力・性売買」の各領域について歴史的視座から検討し、その構造を考察する。
第1章では、各文化における身体・生命観を問い、社会的規範としての「らしさ」がいかに構築されるのか、「ひと」がいかに分類され、差異化されたのかを比較史的に明らかにする。
第2章では、産む身体としての女性身体、産まれる子の生命、人口政策・人口動態を論じる。
第3章では、歴史上の多様な性愛・結婚の在り方を確認し、LGBTQの人びとの在り方をめぐる比較史に焦点をあてる。
第4章では、「健康」の文化性、身体描写や身体表現のジェンダーバイアスを検討する。
第5章では、性暴力の歴史と買売春の比較文化を叙述する。
■本シリーズの特徴
世界史通史としての本シリーズの特徴は、「国家や政治・外交・経済」といった「大きな物語」を中心に記述するのではなく、等身大の「ひと」を中心に据え、それを取り巻く家族や共同体、グローバル経済や植民地主義といったテーマに段階的に踏み込んでいくという構成にある。
近代歴史学の根底にある近代市民社会モデルは、暗黙の裡に「健康で自律的な成年男性」をその主たる担い手と見なしていたが、それは一方で女性や社会的弱者を歴史から排除することにもつながっている。本シリーズでは、単に歴史の各トピックについて、ジェンダー史の知見を紹介するのみにとどまらず、「ひと」はそもそも「ケアしケアされる存在」である、という認識に立って、世界史の叙述そのものを刷新することを目指している。
働く女性が増えた、女性の活躍の場が広がったというのは本当か?90年代以降の女性のキャリアの何が変わり、何が変わらなかったのかを実証データから解明する。
共働きが多数を占めるようになってきた現在、夫婦関係はどう変わるのか。結婚、離婚、家計、働き方、政治参加から、これからの夫婦が直面する課題を提示する。
女性を保護するか、男性と平等に扱うか。戦後日本の女性労働を決定づけた「ねじれ」の原点を、日米ジェンダー観の出会いの場・占領改革に探る。