壮大詳細な《翻訳の世界史》
文化や学術が栄える時と場所には必ずその直前に旺盛な翻訳活動が行われている。本書は〈知の転移〉とも言われるこの営みをテーマとして古代ギリシアから古代ローマ、中世アラビア・ラテン世界、そして江戸明治期に至る知の継承の実際とその全世界的な伝播の系譜に迫り、現代の学術翻訳の問題にも切り込む意欲的な作品である。
古代ギリシアの叡智の多くは直接西欧近代に伝わったのではない。まずはシリア語・ペルシア語に、ついでアラビア語・ラテン語に翻訳されていった過程を主に科学作品を軸に追ってゆく。外来知を、専門用語をどう訳しどう現地化するのか。ジュンディーシャープールやバグダード、トレド、江戸の地で、史上随一の翻訳家とされるフナインばかりか、多くの学者やネストリウス派の人々、遍歴知識人等の苦闘が知的ノンフィクションのごとく描かれ、翻訳とは時に原典内容を変形し新たな文化を創出することでもあると強調される。その営為の計り知れない意義とダイナミズムを活写して絶賛された本書は、西洋文明の成立史に一撃を加え、かつ我々の現在をも照射する。叡知の継承を壮大詳細に描く未踏の《翻訳の世界史》。
スマホ、SNS、ICT教育……デジタル技術の発展で変化する子どもの学習環境。最新研究をもとにデジタル時代の学びを分析する。
なにかにつけて「説明責任」が問われる昨今、では翻訳については?「意味わかんない」「へんな日本語!」「なんでこんな訳になるの?」と読者が思っても、翻訳者は「原文がそうなんだから」とまるで他人事、説明責任などどこ吹く風、だった。歯に衣着せずに欠陥翻訳と戦ってきた闘士・ベック先生、そこでまたも立ち上がった。この訳のどこがダメか、どうすればスッキリいい訳になるのか、懇切に説明。実践篇では中学レベルから上級まで、レベルに応じてさまざまなタイプの課題文を出題、悪訳と良訳を並べ、原文理解と翻訳のポイントを具体的にレクチャーする。
グローバル化と急速なテクノロジーの進展により、言語教育も多様な課題への対応を迫られている。本書では、言語には多方向から作用するダイナミクスがあることを認め、様々な地域や文化の言語教育の実践事例を通じて、複合的な視点を持つことの重要性を強調する。
カフェのような活発な会話が生まれる対話の手法、ワールド・カフェの実践本。
初心者からプロまで!全司会者必携!司会者として必要な知識と技能、知っておくと差がつくテクニックの数々を、ベテラン司会者が惜しげもなく公開。大反響を呼んだ前著を「今」に合わせてバージョンアップした最新刊!
明治初期、当時一流の洋学者たちを総動員して進められた、文部省主導の大規模な翻訳プロジェクトがあった。英国の百科事典を70名以上に及ぶ翻訳者・校正者が協働して日本語訳し、最先端の西洋文明を紹介した全97編の出版事業は、近代日本の言語・文化・学問に何をもたらしたのか。事業の概観とともに、各分野の主要翻訳語に着目し、翻訳学の視点から初めて総合的にアプローチした画期作。
〈推薦〉柳父章氏
近代日本の精神にとって、「百科全書」は「黒船」であった。
──「黒船」が封建社会日本を極めて短期間に改編したように、文部省『百科全書』の翻訳は、未知なものを未知なままに受け入れて、「近代日本」の精神、文化をつくりあげていったのだ。 本書には、その次第が精細に描かれている。
〈推薦〉小森陽一氏
翻訳学の画期的業績としてだけでなく、日本近代史、明治思想史、社会文化史にも大きな学問的貢献。
事象と意味をつなぐ視覚化(=絵文字化)のシステム、ISOTYPE[アイソタイプ]。開発者であるオットー・ノイラートの多面的な活動とともに、あらゆる分野におけるビジュアル・コミュニケーションの発展に影響を与え、インフォグラフィックスのはしりとしてデザイン史に名を残すも、その志を著した出版物がこれまで邦訳されることはなかった。大戦の狭間、移民やナショナリズムを背景とし、国際化社会に向けた絵による教育・掲示の体系化と普及に勤しんだノイラート。彼が夢見た、国家を超える〈普遍的〉世界において、“個人のために”科学が、デザインが、果たすべき役割とは何であったのか。80年の時を経て、今なお問われているグローバリズムの課題、取り組まれているユニバーサルなコミュニケーションツールに通じる、その基礎的で壮大な取り組みに光を当てる。
※本書は、本邦初となる完訳『International Picture Language』(1936)、『Basic by Isotype』(1937)に『Modern Man in the Making』(1939)の全図を収録した、日本オリジナルの合本版です。
文学や演劇の世界,日常の会話……。古代ギリシャ・ローマの時代から現代に至るまで,「嫌み」や「皮肉」,パロディや風刺は,社会に欠かせないスパイスの役割を果たしてきました。なぜ,人は嫌みを言うのでしょうか。なぜ,皮肉を言い,風刺を愛するのでしょうか? さまざまな分野で「嫌み」や「皮肉」がどう使われてきたのか,本書ではその歴史と変遷をたどりつつ,人間社会と人間にひそむ心理について探っていきます。
「嫌み」と「皮肉」という,たった二つの言葉から広がる奥深い世界に触れられる1冊です。
※本書は2021年発行『「皮肉」と「嫌み」の心理学』をニュートン新書として発行したものです。
序文
謝辞
第1章 はじめに
・“文字どおりではない言葉"が意味するもの
・ 「アイロニー」と「サーカズム」の定義とは?
第2章 アイロニーとは何か? サーカズムとは?
・ソクラテス的アイロニー
・劇的アイロニー
・宇宙的アイロニー
・状況的アイロニー
・歴史的アイロニー
・ロマン主義的アイロニー
・言葉のアイロニーとサーカズムの関係
・アイロニー的態度
第3章 アイロニーを成立させる条件とは?
・並置と矛盾
・共通基盤
・見せかけ
・情動反応の非対称性
第4章 サーカズムを成立させる条件とは?
・心の理論
・標的と被害者の存在
・アイロニー的含意
・言葉のアイロニーの理論
・エコー的説明
・見せかけとエコーのハイブリッド
・デフォルト性と段階的権限性
・制約充足
第5章 アイロニーと似て非なるもの
・偶然の一致
・パラドックス
・風刺
・パロディ
第6章 人は何のためにアイロニーを使うのか?
・攻撃性
・言い逃れ
・ユーモア
・親密さ
第7章 アイロニーのサイン
・口調
・表情とジェスチャー
・誇張表現と控えめな表現
・アイロニー・マーク
・単語と語彙カテゴリー
第8章 アイロニーとインターネット
・文脈の崩壊
・エモーティコン
・絵文字,ハッシュタグ,インターネット・ミーム
・アイロニーとセンチメント分析
第9章 ほのめかし表現の未来
・非アイロニー的サーカズムの問題
・アイロニーの死
・アイロニーは厄介な「スカンク語」になる運命?
用語集
社会生活を送るうえで必要にせまられる場面を想定し、さまざまな表現集を活用することにより、どのような場面にも対応できるスピーチ例集。現代人がスピーチをするうえで必要となるポイントについても紹介する。
勉強に、仕事に、ふだんの生活に、いつだって言葉はついてまわる。言葉の問題に悩まされることは多いけど、いままで「言葉」そのものを考えたことなんてなかった。「英語をネイティブみたいに話すって、どういうこと?」「どうして言葉が理解できるの?そもそも言葉の意味ってなに?」姪との対話から導かれる、言葉のすこし危なっかしくて豊かな世界。
近代日本の翻訳論の歴史を、明治・大正期から昭和期にかけての代表的テクスト31編と、現代の翻訳研究者によるそれらの解題を通じて総合的に批評する、画期的で初の試み。翻訳研究の邦語必読文献。
はじめに
第1章 逃がしたらもう終わり? ──臨界期仮説を考える
1 臨界期仮説のはじまり
2 臨界期とは何を意味するのか
3 言語能力とは何か
第2章 母語の習得と年齢 ──ことばを学ぶ機会を奪われた子どもたち
1 赤ちゃんの言語習得
2 正常に言語習得を開始できなかった子どもたち
3 手話の発達と習得開始年齢
第3章 第二言語習得にタイムリミットはあるか
1 子どもの耳は本当に優れているのか
2 大人は第二言語の文法をマスターできない?
3 母語と第二言語の語彙習得はトレードオフの関係?
4 臨界期は複数存在する?
5 脳科学は救世主となるか
第4章 習得年齢による右下がりの線 ──先行研究の落とし穴
1 年齢と習得期間のジレンマ
2 言語能力をどう測定するか
3 バイリンガル、母語話者のとらえ方
第5章 第二言語学習のサクセス・ストーリー
1 大人から始めてもネイティブなみに話せるようになるか
2 母語話者と非母語話者の境界線
3 サクセス・ストーリーに学ぶ秘訣
4 異なる結果の裏にあるメカニズム
第6章 外国語学習における年齢の問題
1 「早いほど良い」という神話
2 学習開始時期か授業時間数か
3 読み書きの習得
4 動機づけと不安
第7章 早期英語教育を考える
1 早期開始より量と質
2 読み書きの導入
3 誰が指導するのか
4 英語分断社会
おわりに
参考文献