人が体験する打ちのめされるような喪失感(悲しみ)は、共感的な聴き手に話す(言葉を与える)ことによって癒やされ、人生のなかに主体的に位置づけることができる。また、喪失をその後の人生の糧にもできる。本書は、悲しみを表現することの治療的な価値を、文学や体験記など、さまざまな引用と心理学の学説をもとに具体的に論じている。
ラブ・バラード・コンピレーションの集大成。
詩の言葉は過去のものになることはない、詩は深い時の層を掘り起こし現代の光をあてるー。過ぎゆく時代の言葉を死に追いやる新しい時代が文化的飢餓におちいっていくなかで、ロシアの原点プーシキンや古代ローマのオウィディウスをも現代化する詩の発掘力によって照らしだされた美しい言葉。旧都ペテルブルグの死滅を予感しつつ、言葉の使命と時代を見つめた詩人の第二詩集と二つのエッセイ。
今、精神文化の立て直しが求められている-やるせない現実に見出すこころの寄る辺。
鈴子は天使である。あのほほ笑みが次第に佳奈の心から鬼を追い出したのだ。そして、佳奈の心をも素直にしてくれたと思った。人が好きで、動物も好き、そして咲く草花とこの自然界にあるもの全てを好きだと嬉しそうに話す鈴子の心には、鬼もいないし蛇もいないと。佳奈の心は晴れていた。人に幸せを貰うのではなく、自分で幸せを作るのだ、自分も今までと違う道を探そうと、そんな思いが春を待つ息吹のようにあふれてきた。愛とは何か。われわれは、この作品によって、人類永遠のテーマにこたえるひとつの道標を与えられるだろう。
ワルシャワ・ワジェンキ公園に昂然と建つショパンの像。二十歳で出国し、二度と故国の土を踏むことのなかったショパン。しかし彼の魂は決してポーランドの地を離れることができなかった。そんなショパンの姿を著者は克明に追った。
夜の繁華街で「夜回り」を始めて11年、四千人を超える若者と関わってきた高校教師は訴える。
奇蹟をめぐる5つの“聖なる愚者の物語”。“楽園”を追われた子どもたちの魂の放浪…。連載時より各紙誌で絶賛された、文芸賞作家による話題の連作小説。
後悔、羨望、喜び、自慢、怒り、哀しみ-寺島靖国のすべてが詰まった革命的告白録。
1840年という年は、シューマンにとって最も幸せな年といえましょう。紆余曲折を経てクラーラとの愛がやっと成就した年だからです。この年は、シューマン自らが「歌の年」と名付けたように、なんと134曲もの歌曲を書いています。この曲集には、そのスタートを切った「リーダークライス」作品24全9曲と「歌の年」の最大傑作と言われる歌曲集「詩人の恋」全16曲を載せました。